Premier League 18節
レスター vs チェルシー
キング・パワー・スタジアム
結果:2−0
レスター
6’ エンディディ
41’ マディソン
シーズン当初の勢いはどこへ。そう感じているサポーターは多いはずだ。疲労からなのか。コンディションの問題なのか。システムの問題なのか。戦術の問題なのか。自信を無くしているのか。原因は多岐に渡るかもしれない。だが、悪くない。悪くはない。前節のフラム戦と比べると明らかに内容、パフォーマンスはよかった。だが勝てない。
今回対戦したレスターのプレスと反応の速さに苦戦したが、ゴールに迫れなかった訳だではなかった。では今回は悪くなかったチェルシーの戦いを中心に、レビューを行っていこう。
- スターティングメンバー
- レスターのプレッシング
- チェルシーの剥がし方
- ハーフタイムのチェルシーの修正
- チェルシーの課題はどこに?
- どうなる?ランパード
- サッカーを愛する全ての人へ!
スターティングメンバー
レスターのプレッシング
レスターはこの試合、チェルシーの対して以下のようなプレッシングを行うことでビルドアップを押さえ込み、試合の流れをまずは引き寄せた。
ではどのようにレスターはプレスを行っていたのだろうか。
このように、レスターはGKにもプレッシングを行う方法を採用。そのために、CFがCBの間に立つことでどちらかを消しながらGKへプレスを行う。また開いたCBにはSHがSBを消しながら外切りのプレスを行う。この時に中盤とSBはマンマークを行うことで中央へのパスコースを無くし、GKに近くのパス(CBへのパス)を選択させる。
そしてCBにパスが出ると、SHが外切りプレスを敢行。この時に連動してIHが少し立ち位置を調整し、SBにもCHにも行けるポジションを取る。またDMFも縦スライドを行い、OMFを意識しながら、CHのカバーを行う。さらにSBは予めSHを捕まえる。
これで、CBのでボールを回収できれば最高だが、そう簡単にはいかないので、レスターは次の展開でボールを回収することを狙う。
このように、CBのパスコースを消すことでGKへのバックパスを選択させる。この時にGKの近くにCFがいるので、GKは同サイドへのSBへのミドルパスが多くなる。この「あえて開けていたSB」にボールを届けることがレスターの狙いだったように見えた。そしてSBへのパスの移動中にIHとSHが挟み込んでボールを回収する。この時にDMFがスライドしてサイドに蓋をすることで圧縮してボールを奪い切ってショートカウンターを打ち込んでいた。
チェルシーの剥がし方
もちろんチェルシーも時間が経つに連れてこのプレッシングに慣れてくる。そしてだんだんとプレスを剥がして前進できるようになる。ではどのように前進を行っていたのだろうか。
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1つ目の前進方法
まず1つ目の前進方法はSBへのミドルパスだ。ここは狙われているのでは?と感じるだろう。だが、これはSBの立ち位置により、回避が可能になった。
このように、SBが高い位置を取ることで「狙ってプレスにくるIHとSHと距離を作る」ことで、ボールを受けるスペースと時間を作り出していた。仮にIHが外寄りの立ち位置を取るのならば、CHへの縦パスを一度打ち込めるので、レスターを動かすことが可能になる。まずこれを行うことで、チェルシーはプレスを回避した。
そしてこれを行ったことで、2つ目の回避方法が生まれる。
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2つ目の前進方法
SBで回避できるようになったチェルシー。これで、レスターSHに迷いを植え付けることで、縦パスを通せるようになっていた。
SBで時間が作れるので、レスターSHはCBにプレスに行くのか、SBを消せる立ち位置を取るのか迷う。これでCBが時間を持つことが可能になっていた。それに伴い、CHが降りることでIHの意識を引く。前線ではCFが中央を開け、OMFがライン間に移動することでDMFの意識を背後に。こうなると開いてくるのが中に入るSHへの縦パス。これで前進することができていた。
そしてこのようにフリックすることで一気にスピードを上げて攻撃を仕掛けていた。
これらがチェルシーのプレス回避の方法、前進方法だ。
前進してからの攻撃は?
では前進し、押し込んだ時の攻撃はどのようになっていたのだろうか。
これはこの試合、4-2-3-1で試合に臨んだ意図が見えていた。
このようにSBへ展開した場合は、SBが持ち運ぶことで敵陣に入って行くことが多かった。そして3列目からマウントがハーフスペースへ飛び出すことで、SBからのパスを受ける。(OMFが飛び出すこともある。この場合はマウントが中央で横パスを受ける)
ハーフスペースに飛び出すことで、レスターIHにカバーを強要させる。ここのカバーが間に合う場合は、中央へのクロスを選択。その中にいるのが、CF、OMF、逆WGだ。これでチェルシーは攻撃を完結させようと試みていた。
ハーフタイムのチェルシーの修正
前半でレスターは2ゴールを奪って折り返すことに成功。だが守備に焦点を当てた時に、嵌り切っている状態ではなく、前進されることが多々あった。だからこそ、レスターは以下ように修正を加える。
このように、レスターは守備ブロックを4-4-1-1に変更。CFで2CB、OMFで2CHを見る形を取るようになる。これを行うことで、ボールをCBで持たれてしまうが、その代わりに、逃げ道になっていたSBと、WGへのパスを消すことに成功する。
SBに対してはSHが対応を行い、OMFに引っ張られ、DMFの周辺のスペースを消すためにティーレマンスを横並びに。これで中に入るWGの対応を行えるように。さらにSBはWGの対応を行うCHのカバーと仮にSBに前進された時のカバーに徹することができるようになっていた。
この修正を行ったことで、レスターはチェルシーの攻撃を上手く食い止め、ロングパスを回収することに成功していた。
チェルシーの課題はどこに?
悪くない。決して悪くない。そんなチェルシーがなぜ勝てないのか。それは確実に守備の局面にあると考える。
勝てなくなってから感じること。それは『CBがサイドに釣り出される回数が増えた』ことだ。これで、中央に人数が足りなくなり、苦しい状況に陥ることが多くなる。ひっくり返された早い攻撃を受けることも多くなる。ではなぜ、このような現象が散見されるようになってしまったのか。この試合を題材に考えていこう。
基本的に前からプレスを行うことで、回収を試みるチェルシー。その時の守り方は人を意識するものとなっている。以下、レスター戦を題材に考えていく。
このように、チェルシーはCBに対しCFが牽制し、DMFにはOMFがマークを行うように設定されていた。さらに、WGはSBを常に意識する立ち位置を取ることが多くなり、その背後のSBはSHを見る形になっていた。
ここに1つ目の原因がある。それが上の図のように、CBからの縦パスのコースが開いてしまうことだ。この試合でもそうだったし、前節のフラム戦でもそうだった。WGの立ち位置とタスクの関係により、チェルシーはここのパスコースがよく空いてしまうので、守備を嵌め込むことができずに、簡単にライン間にパスを差し込まれてしまう。
もちろん、この縦パスを受けたところで潰せれば良いのだが、スペースが広大にできているので、それは難しい。(ここで潰し切れるカンテの不在は致命傷)だから、IHでボールを受けられるとSHが横のサポートを行う。これでSBを釣り出すことで、その背後をSBが外から使う。この時に、WGは常にSBを意識して近くにいるので、簡単に背後をとられ、背走してしまう。これでCBが釣り出されて、攻撃を完結させられることが多くなっているのだ。
さらに、押し込まれた時にも課題はある。
このように、ハーフスペースのカバーが曖昧になっているので、簡単にそこを取られてしまう。最近はここを埋めるために、5バックもしくはCH(DMF)がSBとCBの間に降りてカバーすることが常例となっている。だがチェルシーはそのカバーをCBが行うことが多い。だからこそ、中の人数が足りなくなること、さらに、バイタルへのマイナスのクロスの対応が難しくなっているのだ。
このように、チェルシーは守備の局面でかなり苦労しているように感じる。それに追い討ちをかけるように、守備のエキスパート、カンテの離脱。
かつてのような堅いチェルシーは鳴りを潜めてしまった。
どうなる?ランパード
一気に周辺の声が騒がしくなったランパード。それもそうだ。大型補強を成功させ、明らかにプレミアトップクラスの戦力となった。だが、最適解を未だに見つけられず、苦しんでいる。そして、我慢することができないオーナーの存在。これまでの監督も非常なほどにすぐにその仕事を取り上げられた。このまま勝てないようなら、チェルシーのレジェンとも同じ目に合うだろう。いちチェルシーファンとして、ランパードにはなんとか頑張ってもらいたい。果たしてこれからどのように修正を行っていくのか。それとも修正できる前に解任されてしまうのか。彷徨うランパード。これからの動向に要注目だ。
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