【お互いに譲れないもの】J1第30節 サンフレッチェ広島 vs コンサドーレ札幌

 

【J1第30節】

サンフレッチェ広島 vs コンサドーレ札幌

 

【スタジアム】

エディオンスタジアム広島

入場者数:6,346人

 

【天候・気温・湿度】

曇りのち晴・10.5°・67%

 

【結果】

2−2

 

【得点者】

札幌:42‘福森 53’ 宮澤

広島:54‘ ペレイラ 58’ ヴィエイラ

 

【主審】

池内 明彦

 

【スタッツ】

 

www.jleague.jp

 

【ハイライト】

www.youtube.com

 

スターティングメンバー

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プレスを剥がされるサンフレ

お互いに3-4-3の布陣をベースとする両チーム。だからこそ、狂人ビエルサのリーズばりのマンマークハイプレスを仕掛けるコンサドーレはそれぞれのマーカーを捕まえ易かったはずだ。だが、いざ蓋を開けてみると、どちらかと言うとボールを握るのはアウェイのコンサドーレだった。

そこでサンフレはボールを奪うために今季積み上げてきたハイプレスを行うが、剥がされてしまう。

ではサンフレはどのようにプレスを剥がされてしまっていたのか。

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まずサンフレのハイプレスはこのように行われる。こちらもミラーゲームになっているので、捕まえるべき選手がはっきりし、プレスはかけやすかったのではないだろうか。

これに対してコンサドーレは以下のようにプレスを剥がされてしまう。

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まずコンサドーレが行ったこと。それがCHがバックラインに入って4バック化することだ。これは他の試合でも見られるもので、サンフレはこれを行われることで、CHが着いていくか迷うことになる。そしてサンフレが取ったのは、中央に残るコンサドーレCHを捕まえること、そして余ったCHが中央を埋めること。これを行うことで、コンサドーレはCBが幅を作り、WBを1列前に押し出す。こうすることで、サンフレWBを押し下げる。これで幅を作るCBがボールを持つことができていた。

またこのような場合もある。

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このようにSTが降りてくることで、サンフレCHに対して数的優位を作り出し、縦パスを引き出すことで、サンフレのハイプレスを剥がすことで前進していた。

そしてこれらを行われることで、コンサドーレはサンフレの懐を抉るパスを差し込む。

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このように、STに対応するために中央CHのマークを捨ててCHが横スライド、そのマークを捨てたCHに対応するために、サンフレCHが縦スライドで対応する。これでコンサドーレはサンフレCHを動かすことができるので、逆STの場所にパスを届けることで、より早く、攻撃を仕掛けることができていた。

 

このようにサンフレはコンサドーレの動きにより、マークのズレが生まれ、そして局所で数的不利を作られることで、前進されてしまっていた。

 

  • サンフレの守備の修正

ではサンフレはこのコンサドーレの組み立てに対して、どのような修正を行っていたのか。

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サンフレはこのようにSTが下がることに対して、CBがそのまま着いていくことでCHの場所で数的不利を作らせないように対応する。とりわけこれは、敵陣〜ハーフウェイライン付近でSTに対してCBが出て対応するように修正されていた。

仮にこのプレスが間に間に合わない場合は、割り切って一度後退することを選択していた。だから、特に後半からはミドルプレスをかけることが少なくなった印象だったし、ハイプレスと自陣でブロックを作って守備のはっきりとしたものになっていた。

 

サンフレがチャンスを作れる場合

ではサンフレの攻撃面はどのようなものだったのか。特に前半はコンサドーレのマンツーマンの守備に苦しみ、上手く前進することが敵わなかった。

だがそれでも攻撃を仕掛けることができていたのは、CHに入る青山の存在があったからだ。

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このようにバックラインの付近で、青山がボールを受け前を向けるとコンサドーレのプレスを止めることができていた。この状況をよく見受けることができたのは、ほとんどコンサドーレの攻撃終わりだった。

そしてここでプレスを止めることで次のように攻撃を仕掛けていく。

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プレスを止められたことでコンサドーレはまず背後を埋めることを優先とする。だからこそ青山はサイドに展開することでCBで時間を作る。そしてここでCBが持ち運ぶことで、コンサドーレと似たように、WBを押し上げる。この時にコンサドーレと違うのが、STがマンマークするCBをボールを受けに下がることで引き連れ、その背後にCFが抜け出すことだ。これを行うことで一気に敵陣深くを取り、攻撃を完結させることをお試みていた。だが、CFが流れることで、クロスの絶対的なターゲットマンがいなくなってしまうのが、この攻撃のサンフレの1つの懸念点だったのではないだろうか。

 

後半のサンフレの攻撃の修正

先述したように、CFがサイドに流れることでクロスのターゲットマンを1枚削ってしまうことを懸念した城福監督。だからこそ、後半から攻め方を修正していた。

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上の図のように、STがサイドに流れることが多くなり、マーカーのCBをサイドに釣り出す。こうすることで、コンサドーレCBのスライドによるズレと遅れを利用し、CFがハーフスペースを狙う動きを加えれるようになる。さらに、もう1つの修正が逆STもボールサイドに寄ってくることだ。これを行うことで、STもハーフスペースの奥を狙うことが可能になっていた。

そしてCBが明確に持ち出すスペースを作り出すために、WBも幅を作り出し、コンサドーレWBに対してWB+CB vs WBの状況を作り出して、優位に立っていた。

実際にこれを行ったことで、サンフレは後半から明らかに攻撃に迫力が出ていたし、さらにCFが流れた場合でもクロスのターゲットマンを配置するためにドウグラスヴィエイラを投入し、攻撃の厚みをさらに増す采配を選択。だがこれらの攻撃もコンサドーレGK菅野が立ちはだかり、逆転までとは行かなかった。

 

まとめ(雑感)

同じ配置を採用する両チームで、お互いに譲れないものがあったこの一戦。お互いにハイプレスを仕掛け、局所で数的優位を作り攻撃を仕掛ける。ここの部分で譲ってしまうと、この試合で負けてしまうことを選手達は理解していたので、かなりタイトでインテンシティの高い試合となっていた。

そしてお互いのプレスの剥がし方に注目してみると、明確な意図と修正が見られ、とても面白いものとなっていた。そうやってプレスを剥がしていくのか!と気づかされる部分もあったので、ぜひ皆さんもこの試合を見返してみて欲しい。

 

 

終わりに

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