【Premier League 第9節】
ニューカッスル vs チェルシー
【結果】
0−2
【スタジアム】
St. Jame's Park
【得点者】
ニューカッスル:なし
チェルシー:10’ OG 65' エイブラハム
【主審】
Craig Pawson
スターティングメンバー
サイドを制圧する攻撃
ここまで9節を終え、チェルシーは22ゴール10失点という結果を残している。ゴール数に関しては現在リーグトップ、失点数に関しては上にいるのはトッテナムとウルブスの2チームのみで、リーグ3位につけている。
シーズン開幕戦から数試合こそ、低調な試合で、今季は苦しいものとなると予想する人も多くいただろうが、その予想を覆す結果を残している現在のチェルシー。
失点も減り、ゴールが増えた。この良い流れを作ったのは確実に怪我から復帰したツィエクの存在だろう。
彼がいるからこそ、チェルシーはサイドを制圧でき、敵陣深くまで侵入することが容易になった。こうすることで、奪われてもすぐにボールを奪回できる、または敵陣深くからプレッシャーがかかった状態でボールを蹴らせるので、2CBを越えるボールを供給することはほぼ不可能に近く、簡単にボールを回収することができる。
このサイドを制圧する攻撃こそ、今のチェルシーの好調ぶりを支えている大きな要因の一つだ。
そしてもちろんのことながら、今節のニューカッスル戦も同様に、サイドを制圧することで攻撃を仕掛け続けていた。
ではチェルシーはどのように攻撃を仕掛けていたのだろうか。
この試合のニューカッスルは5-4-1のブロックを形成し、守備を行うことでできるだけ0-0の時間を増やし、カウンターで一矢報いることを狙っていた。
これに対してチェルシーはサイドで『四角形』を作り出すことでニューカッスルのブロックを崩していく。この四角形こそが、チェルシーの大きな強みとなっている。
上の図のように、幅を作り出すのがSBとWG、ハーフスペースにIHが立ち、横のサポートにDMFが入る。このようにして四角形を作り出す。
この時にDMFが少しサイドに寄るので、逆IHが気持ち中央をカバーするポジションを取るために下がってくる。その代わりに逆SBが高いポジションを取る。
このようにすることで、この先の攻撃は以下のように展開できる。
上記のようにWGにパスを入れることで、ニューカッスルWBを釣り出す。これで、その背後のスペースにIHが抜け出し、敵陣深くを取りに行く。さらにIHが抜け出すことで、CBを引き連れ、さらに場所を空けるので、WGはCFへのパスを差し込むこと、または自分で持ち替えて中に入り込むこと、さらにには高精度クロスを供給することができる。
最悪、ここで上手く行かなくても、後ろにSBのサポートがあるので攻撃を作り直すことが可能になっている。
このようにして四角形を作り出すことで、サイドを制圧して行く。もちろん、サイドでの四角形の作り方は他にもある。
このパターンはWGがハーフスペースに立つことで、四角形(菱形)の頂点になる。こうすることで、SBが幅を作り、横のサポートにIH、後ろのサポートにCBが入る。こうすることのメリットとして、DMFカンテを中央に残すことができることで、守備バランスを保つことができ、さらに逆IHをライン間に配置することが可能になる。
これで以下のように攻撃を仕掛ける。
ここでも大外でボールを持った選手が多くの選択肢を持つことが可能に。
この時に1つ目の時と同様に、WBを釣り出すとその背後にWGが抜け出す。そしてそれと呼応してWGが開けたスペースにIHが入ってくる。これで幅を作ったSBはWGまたはIHにパスを供給することで、サイドを攻略していく。
このように攻撃を仕掛けることで、CF、逆WG、IH、そしてSBまでもがクロスのターゲットとなり、この攻撃を完結させることで、ニューカッスルのゴールを脅かし続けていた。
後半からのニューカッスルの修正
特に前半。ホームチームは自陣のブロックを形成してチェルシーの攻撃を受け止め続けた。と表現するよりも、攻撃に出ることができなかった。
だからこそ、ホームチームはハーフタイムで守備の修正を加える。
ではどのように守備を修正していたのか。
ざっくりこの修正を解説すると、引いてブロックを形成することを止め、前からプレスをかけ、CBとDMFにプレッシャーを与えるようになる。
このようにすることで、チェルシーは中央を経由して前進することが難しくなり、ロングパスをSBへ送ることでプレスを回避することを試みる。
これをデザインし、狙ったニューカッスル。SBへのパスの移動の間にWBが狙ってSBへプレスをかけてボールを奪うことでショートカウンターへ移ることを試みた。
このようにニューカッスルは前半とは違う守備を行うことでチェルシーのビルドアップに制限をかけ、ボールを握れるようになっていた。
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チェルシーの対応
ではチェルシーはこの守備に対してどのような対応を取ったのか。
まずチェルシーは昨季から継続して行っていること、『プレスを受けても勇気を持って繋ぐ』ことを選択する。この土台があるので、DMFとCBでニューカッスルCFとSHのプレスを呼び込むことができる。これで空いてくるのがCB−MF間にスペースを作り出すことができる。これでIHがそこのスペースに降りることでボールを引き出す。
ここでIHがボールを引き出すに当たって、ライン間に大きなスペースがあるため、ニューカッスルCHは前に出てプレスを行うことが難しくなる。
さらにSBに対してWBが出てしまうと、簡単にその背後をWGに使われてしまう。だからIHがボールを前を向いてボールを受けることができる。
そしてここでIHがボールを持つと、CFが背後にまず抜け出す。これでDFラインを引き下げ、FW−MF間にスペースを作り出す。ここにIHが入り込むことで縦パスのコースを作り出す。このようにIHが斜めに入ることで、CHを中に寄せることで大外のSBにパスを送ることが可能になる。さらにはWG(主にヴェルナー)への裏抜けのパスを出すことができる。現に、ヴェルナーが抜け出すこの形はチェルシーの大きな武器の1つとなっている。
このようにしてチェルシーは対応を行った(昨季から積み上げてきたものをしっかりと行った)ことでこの試合も勝利を収めることに成功した。
まとめ(雑感)
シーズン開幕当初はビッグタレントを持て余している、最適解を見つけることに苦労しているように見えたが、とうとう最適解を見つけることに成功したランパード監督。さらに、ここに推進力抜群のプリシッチが帰ってくるとなると、より早い攻撃、より破壊的な攻撃力を展開することが可能になるだろう。さらに注目すべくは失点の少なさだろろう。これは確実にサイドを制圧することで即時奪回を測れること、そしてロングパスを蹴らせることでCBで回収することができるからだろう。
このままの勢いで次節は恩師モウリーニョ監督が率いるトッテナムとの対戦だ。果たしてどのような結果になるのか、どのような試合内容になるのか。かなり楽しみだ。
終わりに
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