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【理不尽にも屈さない闘い】Premier League 16節 チェルシー vs アストン・ヴィラ

 

【Premier League 16節】

チェルシー vs アストン・ヴィラ

スタンフォード・ブリッジ

結果1−1

【チェルシー】

34’ ジルー

 

【アストン・ヴィラ】

50’ エルガジ

 

今シーズンの台風の目となったアストン・ヴィラ。ディーン・スミス監督の下、曲者を揃えた古豪が復活を遂げようとしている。そしてこの曲者を迎えるチェルシー。不甲斐ない試合をしてしまったビッグロンドンダービーから、どのようなリアクションを見せるのかに注目が集まった。前節から中1日という、理不尽極まりないこの日程を前に、両者は今年ラストゲームをどのように演じたのか。

 

スターティングメンバー

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守備から違いを作ったアウェイチーム

まずこの試合のペースを握ったのはアウェイのアストン・ヴィラだった。その流れの掴み方は、「守備」からのものだった。ではアストン・ヴィラはどのような守備を行っていたのだろうか。

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簡単にいうと、アストン・ヴィラはミドルプレスを行ってサイドに追い込み、場所を狭くしてロングボールを蹴らせるか、狭めたエリアで選択肢を消し、ボールを回収していく。

上の図のように、CBにボールが出るとそこへはCFがプレスをかける。この時にOMFは必ずと言っていいほどDMFを捕まえれる立ち位置を取っていた。そしてこれと同時に準備するのが、両SHとCHだ。

ボールサイドのCHはSBを捕まえれるポジションを、逆SHは逆CBを捕まえれるように立ち位置をとる。CHはIHを捕まえ、ボールと逆のCHは中央にポジションを移す。

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これでボールサイド2レーンに人を多く配置することで場所を狭くしていく。この時に、ボールと逆CHがサイドを変えさせない立ち位置をとることで、ボールホルダーの選択肢を同サイドに絞らせる。

これでミスを誘う、またはロングボールを蹴らせることでボールを回収。そしてチェルシーに満足のいくビルドアップを行わせなかった。

これで攻撃に移ることでアストン・ヴィラはチャンスを創出していく。

 

エースを生かす攻撃

とうとう本格ブレイクを果たした若きイングランド人。それがグリーリッシュ。スピードは劣るが、かつてのアザールを彷彿させるドリブルを中心に、カットインすれば、スルーパスも供給することもできる。その背中で、チームメイトを引っ張っていく。Premier Leagueにおいて、独力で違いを作り出せる数少ないプレーヤーだ。

そしてアストン・ヴィラは彼を生かすために、以下のように立ち位置をとることが多かった。

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このように、OMFに入ったグリーリッシュが左サイドに流れることが多かった。これを行う時に、CB+CHで組み立てを行う。これを行うことでIHの意識をCHで引きつける。さらにSBを押し上げてWGの立ち位置を下げさせ、SHを中に押し込むことでSBを中でピン止めする。

これでグリーリッシュがサイドに流れることでDMFに判断を迫らせる。その判断が、「中央を開けて着いていくか、中央に残ってOMFをフリーにするか」というもの。

前半はDMFが着いてくることがなかったので、SBの手前、WGの背後、もっというとIHの斜め後ろでOMFが前を向いてボールを受けることができていた。

ここでボールを受けることで、RSBアスピリクエタに対して数的優位を作り出し、優位に攻撃を仕掛けていく。さらに、SBの背後を取るとCBを釣り出すことができるので、ここ最近のチェルシーの守備の綻びが出る状況を作り出すことが可能になっていた。

だから、チェルシーDMFがOMFに着いていくようになる28分あたりまではアストン・ヴィラのペースで試合が進んでいた。

 

チェルシーが見出す活路

昨季からの積み上げ。攻撃に関しては積み上げてきたものがしっかりと試合で披露されている。それが「きちんと見て、活路を見出す」ことだ。もっと言うと、昨季前半戦で見せた、頑なに背後から丁寧に繋ぐこと。そして昨季後半から見せた、要所でのロングパスの使用だ。だからこそ、ジルーの存在感が後半戦になり増したのではないだろうか。

そしてこの積み上げを行ったことで、今季はしっかりと活路を見出すことができている。ではこの試合はどこに「その活路」を見出していたのだろうか。

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まず最初に見出したのがLSBチルウェルへのミドルパスだ。これはCBでSHのプレスを呼び込み、そしてDMFでOMFを、WGでSBをピン止めしている時にチルウェルで時間を作ることができていた。これを行えるGKメンディの獲得がいかに大きかったかがこの試合でも確認できた。

そしてここにボールが入ると一気にスピードを上げて攻撃を仕掛ける。

まず1つ目が以下の形。

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この攻撃が一番シンプルで、一番早い。その方法が上の図のようにWGがSBの背後に抜け出す攻撃だ。これを行うことでクロスを供給、またはプリシッチのドリブル突破で攻撃を完結させることができていた。

そしてもう1つが、3人目でIHが抜け出す攻撃だ。

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このようにWGがボールを受ける動きをすることでSBの意識を引きつけ、IHマウントのフリーランを促す。そしてここでもSBの背後にボールを流し込むことで攻撃を完結させようと試みていた。

 

これが最初に見つけた活路だ。この方法は主に右サイドで行われていた。

では左サイドではどのようになっていたのだろうか。

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左サイドではCFジルーがハーフスペースに流れることで、ミドルパス/ロングパスを受ける準備をする。これと同時にWGオドイはサイドを引っ張ってSBの立ち位置を下げさせること、そしてジルーのフリックに反応できる立ち位置を取る。

逆WGは中央まで入り込み、バランスを保つ。これでCB→SBの順でボールを回し、その時にIHカンテがボールを受ける動きを作ることで、MF-DF間にスペースを生み出す。

これでCFジルーへのパスを供給し、収めればOK、または2ndボールを作り出すことで前進を行う。

ではなぜ、主に左サイドでこれを行っていたのか。それはIHカンテの存在だ。彼のサイドでこれを行うことで、作り出した2ndボールを回収する確率が高くなる。世界屈指のボール回収能力のあるカンテのサイドだからこそ、この攻撃の質が上がっていた。

そして拾ったボールは以下のように動かすことが多かった。

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このようにボールサイドに人を集めるアストン・ヴィラの守備を逆手にとり、サイドを変えることでSBチルウェルで時間を作り出す。ここに展開すると、例外なく早い攻撃を仕掛けていた。チェルシーは、この似た形で先制点を生み出している。

 

なぜチェルシーは不調なのか?

ここからはチェルシーが不調に陥っている理由を考えてみたい。個人的な意見だが、この不調には『縦に早すぎる』ことが起因しているのではないだろうか。

守備陣形が整う前に、ゴール前まで迫れる早い攻撃は魅力的だ。そしてそれを高次元で行うことのできる選手も揃いに揃っている。

だからこそ、これが一種の足枷になっているのではないだろうか。

この試合でも推進力のある両WGがいる。そしてさらに時間を作り出すことで、周りの上がりを促すジルーの存在。さらには超攻撃的な両SBの存在。これにより、『縦に早く!』に拍車がかかる。そしてこの攻撃を全て完結に持っていけるのなら、何も問題はないだろうが、サッカーと言うスポーツはそうはいかない。完結できないことの方が多い。だからこそ、試合が進むにつれての疲労により、ネガトラの反応が徐々に遅くなる。さらに間延びも起こる。

だからこそ、SBの背後を使われてCBが釣り出させれる場面をよく見るようになったのではないだろうか。

ここ最近の試合で失点が重なってしまっているのも、これに起因していると思われる。そしてランパード監督自身も述べていたように、ジエクの離脱。これが不調に陥っている大きな原因だ。

現在、チェルシーに所属するWGの中で異質なプレーヤー。ドリブルによる推進力を発揮するのではなく、時間を作り出すドリブルを行う。だからこそ、全体を押し上げることができて、奪われてもコンパクトな状態なので、敵陣で奪い返すことができる。

さらにラストパスやクロスなど、多くの飛び道具を持っている。

 

ここからわかるように、チェルシーが不調な理由は、『縦に急ぎすぎている』と個人的には考えている。

 

理不尽にも屈しなかった!

選手を殺しにかかる勢いのPremier Leagueの超過密日程。理不尽極まりない。それでも互いに中1日でのインテンシティではなかった。ハードフルで、スピーディーなものだった。サッカー好きとしては、高レベルな試合を年中サッカーを見れるのでPremier Leagueの存在はとてもありがたいが、それでも心配になる過密日程。それを妥協せずに今年ラストのゲームを終えた両チームを讃えたい。そして年末にもサッカーを見られる幸せを噛みしめ、来年もサッカーを楽しんでいきたい。

 

 

 

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