開幕戦を振り返ろう! Jリーグ 清水エスパルス vs FC東京 ~新しい両チーム~

 

 

J1 1節 清水エスパルスvs FC東京
スタジアム:IAIスタジアム
過去5試合対戦成績:清水エスパルス⇨1勝 FC東京⇨3勝 1分
試合結果結果:1-3
得点者
清水エスパルス:
47’ ティーラシン
FC東京:
77’ D・オリヴェイラ(PK)79’ アダイウトン ) 90+2’ レアンドロ(PK)

 

はじめに

リーグ戦の延期に伴い、リーグ戦を全て見返す事ができそうだ。そこで今回取り上げさせてもらう一戦は、清水エスパルス vs FC東京。昨季、熾烈な残留争いを繰り広げ、そして何とか残留をする事ができたエスパルス。シーズんの失点数を他をも凌ぐ、リーグワーストのものだった。そこで今季から新たに招聘したのがポステコグルー監督の右腕、クラモフスキー。彼を監督として連れてきた効果が十分にみれる一戦だった。

一方のFC東京。昨季の2位のこのチーム。堅守を売りとしてマリノスとは違った意味合いでJリーグ全体を驚かす事に成功。この堅守を中心に、鋭いカウンターを仕掛けるスタイルは昨季と変わらず。変わった所と言うと、フォーメーションだろう。4-4-2から4–3-3に変更する事で、攻撃にも力を入れる。この変更もあってか、開幕戦でも3ゴールを奪う逆転劇を見せつけた。

では今回は『新しい』両チームが演じた開幕戦について解説を加えていこう。

スターティングメンバーとスタッツ

・スターティングメンバー

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・チーム別スタッツ

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(Goal.com参照)

FC東京のハイプレスとブロック

昨季から続くFC東京の守備の堅さ。この試合もその堅さを見せつけた(先制点を奪われてしまったが)。だが今季から変わったシステム。4-4-2ではなく、4-3-3になり、FC東京はどのようにハイプレスを仕掛けていたのか。

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最初のセットポジションでWGがSBを消し、それぞれがマークを行う事でCBにパスを出させる。(これはエスパルスがバックパスで自陣深くから組み立て直す時も同様の方法を使用)

そしてCBにパスが出ると全体がスライドを行い、それぞれを捕まえていく。
CBに対してはWGが、バックラインに参加するCHに対してはCFが、逆のWGはCBとSBのケアを行う。そしてここでIHがSBにプレスに出て、SHに対してはSBがマークを行い、逆のIHがスライドして中央のCHのマークを行う。

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そしてIHがSBにプレスに出た事で赤丸のエリアでボールを狙って奪う事ができる。またSBの選択肢を消すことができるので、捨て球を蹴らせること、ミスを誘発することも可能だ。
それでもパスを繋ぐ事を選択するエスパルスは何度かビルドアップの局面で引っかかり、ショートカウンターを喰らうことになっていた。

このように昨季はハイプレス時は『サイドを圧縮』することが多かったが、今季はもちろんサイドを狭くするが、どちらかと言えば『中央で引っ掛ける』事が多くなりそうなハイプレスの仕掛け方だった。

ではブロックを形成する時はどのようになっていたのか。

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このように5-4-1のブロックを形成する事で中央を固めつつ、サイドにも人数をかけれるように。昨季は4-4-2のブロックを形成する事で、ある程度サイドを捨ててクロスを跳ね返す事が多かったが、今季はクロスにも対応するという意気込みが見えた。だからこそ、エスパルスのクロスは1度も成功しなかったのではないだろうか。ではなぜ人数をかけれるようになったのか。

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これが4-4-2のブロックと4–5-1のブロックの違い。決定的に違うのはサイドに人数をかけれるかどうか。4-4-2の場合は1枚しかプレス行けないが、4-5-1の場合は2枚でプレスに行く事ができる。
だからこそサイドチェンジをされた時の『走る距離』が変わってきて、終盤でもガス欠することなく、カウンターに出る事ができる。そしてサイドで人数をかけつつ、スライドで中央を締めれ、各レーンを埋める事ができているので、サイドチェンジをされる回数も減る。このようにしてブロックを形成し人数をかけて奪い、十八番のロングカウンターを繰り出す事で試合を仕留める事に成功した。

エスパルスの三角形+1

このように守られる事でエスパルスは為す術がなかったのかと言うとそうではない。相変わらず『中央』が堅いFC東京。だからエスパルスはサイドでしっかりと起点を作り、そして崩す事で中央への侵入の活路を見出していた。この『パス回し』と『その立ち位置』こそが監督交代意図、そしてこれからのサッカーの礎となるのではなだろうか。
ではエスパルスはどのようにしてサイドで起点を作っていたのか。

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エスパルスは基本的にSHが幅を作り、そして仕掛ける事でチャンスを見出す事が多かった。だからこそ、SHに突破力のある西澤と金子が抜擢されている。そしてこの突破力をより強いものにするために周りがこのようなポジションをとる。
まずSBはオーバーラップを仕掛けずに、ハーフスペースにポジションをとる。次にOMFが流れる事で三角形を形成。これでサポートが完成。
ではここからどのようにして中央に入っていったのか。

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このように三角形を崩し動く事で、相手を動かす。SBがインナーラップを仕掛け、DMFを一瞬引きつける。さらにOMFが抜け出す事でIHを引きつけ、SHの中央へのパスコースを作り出す。これでCHが中央でボールを持つ事ができ、サイドを変えて視線を変える事ができる。これを見せる事でさらにもう1つのパスコースを作り出すことにせ成功。

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このようにSBとCHがボールを受けに行く事でDMFとIHが若干前に出る。そこで開いた中央へのパスコースをつく事でビッグチャンスに繋げる。このようにしてサイドを起点に三角形+1(CHまたはCF)で中央に入っていった。

エスパルスのビルドアップの修正

エスパルスは前半、ある程度は試合を支配したが、唯一の懸念点。それがFC東京のハイプレスによる、ビルドアップの局面。ここで嵌められるのでショートカウンターを喰らっていた。だが後半からこのようにビルドアップの局面で修正を加える。

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このようにCHが横並びになる修正を加える。このようにすると何が良かったのか。
それはIHの判断を難しくする事。元々IHがSBにプレスをかける事でそれに呼応し、連動してボールを奪う事をしていたFC東京なのだが、エスパルスCHが横並びになってことで難しくなった。

これを狙ったエスパルス。もしもいIHがCHに出てくるのならばSHへのミドルパス、ボールサイドのIHが出てきて、逆のIHが出てこないのならば、空いいるCHへ。IHがどちらも出てくるのであれば、SHへのミドルパスを送ることができる。

このようにしたことでエスパルスはFC東京に『嵌めどころ』を喪失させ、押し込むことに成功し、先制点を奪うことに成功した。

勝負にでた4-2-4

失点した事で勝負にでたのはもちろんのことながら、FC東京。54‘に三田を下げ、アダイウトンを投入。彼を入れる事でほぼ4-2-4の形に変更。
そしてこの超攻撃的な布陣にする事で、半ば強引に流れを引き寄せ、逆転勝利を飾る事に成功。
この4-2-4の意図として、WGを高い位置に取らせる事でエスパルスSHを押し下げ、カウンターの脅威、高い位置での仕掛けの2つを封じる事に成功。さらにオープンな展開に持っていければ、『走力』で勝てると踏んだのであろう。現に、D・オリヴェイラ、アダイウトン、レアンドロ、田川、今野の推進力とそれを支える走力で打ち勝つ事に成功している。

この4-2-4の意図として、「SHを押し下げる」、「オープンな展開に持ち込む」、この2つの意図があったのではないだろうか。

まとめ

エスパルス、FC東京ともに新しい一面を見る事ができた。特に清水エスパルスに関しては能動的なサッカーを志向するようになり、そしてその方法がとても面白いものだと感じた。これから試合を重ねるに連れてどんどんよくなっていくのではないだろうか。マリノスとはまた違う、ボールの動かし方を披露してくれそうだ。
FC東京は中央を固め、守り抜く事ができる、相変わらず手堅い戦いができるチーム。この土台の上に、ブラジルトリオという、破壊力抜群のタレント、さらには新しいハイプレスを搭載し、今季こそリーグ優勝を狙う準備が整ったのではないだろうか。
まだリーグ戦が1試合しか行われてないが、この試合を見る限り、清水エスパルスもFC東京もこれからのシーズンにとても期待の持てる、良いサッカーを披露してくれた。ますますリーグ戦再開が楽しみになる、良い試合だった。

終わりに

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