サッカー戦術分析ブログ〜Football Base〜

Jリーグ・プレミアリーグ・セリエAを中心に解説をしていきます。

セリエA ヴェローナ vs ユベントス 〜なぜヴェローナは勝利を掴んだのか〜

 

 

はじめに

エレベータークラブ」とよく言われるヴェローナ。昨季はセリエBで戦い、今季からセリエAに復帰。そして今節、ホームに迎えたのは、セリエA8連覇を成し遂げている、絶対王者ユベントス。堅守はそのままに、前線に昨季からロナウドというメガスターが加わったことで、得点力もさらにアップ。隙がないこの王者にヴェローナは勇敢に戦い、そして逆転勝利をもぎ取った。では今回、なぜヴェローナが王者を相手に逆転劇を演じることができたのか。今回はその理由を解説していこう。

 

ヴェローナが勝利した理由

ヴェローナが勝利した理由を考察して行く前に、こちらがスターティングメンバーだ。

スターティングメンバー

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引用:https://www.whoscored.com

では早速、この試合について、ヴェローナが勝利した理由について、これを解説していこう。

①:配置の優位性で殴り続けるヴェローナ

まづ1つ目はポジション、配置の並びでの優位性だ。ヴェローナの配置はご覧の通り、3-4-1-2。一方のユベントスは4-3-3。この並びから解るように、ヴェローナはWBで優位に立つことが可能だ。ここの優位性を存分に生かして、ユベントスの守備を翻弄し続け、そしてリーグナンバーワンの堅守を誇るユベントスを殴り続けることでヴェローナは勝利を手にすることができた。

 

②:縦パスを入れる方法

ではどのようにヴェローナは『配置の優位性』を生かしてユベントスを破るに至ったのか。ここから具体的に解説していこう。まず、ユベントスを混乱に陥れるために、『縦パス』を連発。ここを最後まで封じられることがなく、ゲームを進めることができたので、勝利を手にすることができた。ではどのように縦パスを差し込んでいたのか。

(黒⇨ヴェローナ 白⇨ユベントス

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このように、ユベントスの守備は4-3-3ないしは4-4-2の形で守備をする。その時にやはり「浮く」のがWB。ここをうまく使うこと、そしてユベントスの2トップのプレスの緩さを利用してCBが持ち上がることで、ボールサイドで優位に立つことができる。CBが持ち上がることで、幅をとったWBにパスを出すことでSBを釣り出すことができる。ここでタイミングよく、STがハーフスペースに流れることで、WBから斜めのパスを呼び込む。ユベントスのCHはヴェローナのCHと背後のSTを同時に見ることになるので、対応が困難になる。(なぜユベントスCHがヴェローナCHを気にするのかは後ほど解説)またヴェローナの2トップに対しては2CBがマークを行い、逆のWBが中に入りこむことでSBをそれぞれピン留め。これで流れたSTに対してCBが「出ていけない」状況を作り出していた。これが1つ目の縦パスを引き出すパターン。そしてもう1つがCBから縦パスを差し込むパターン。これはシンプルにSTがハーフスペースに流れたタイミングでCBから速い縦パスを入れ込むことで成立する。これもヴェローナのCHにユベントスCHの意識が引き寄せられる時に縦パスを差し込むことができる。このようにWB、またはCBを起点にビルドアップ、アタッキングサードの攻撃も構築していた。これが1つ目のユベントスを混乱に陥れた理由。

 

③:CFまたはSTの抜け出し

次に縦パスを引き出してから、または引き出すタイミングでの話。この動きを加えていたので、縦パスを差し込める状況を作り出していたと言っても良いだろう。ではどのように抜け出していたのか。

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このようにまずCBがWBにパスを出す事で一度広げ、そしてSBのプレスを呼び込む。そうすると空いてくるのがSBの背後のスペース。ここをCFないしはSTがつくことでCBを釣り出し、クロスからの攻撃の糸口を見出していた。ここに抜け出すので、縦パスを入れれるようになり、縦パスを入れるので、SBの背後のスペースを突くことができていた。さらにここに抜け出し、クロスのターゲットマンを揃えていることもしっかりと準備している証拠ではないだろうか。

 

④:CHからのサイドチェンジ

そしてもう1つ。それがCHからのサイドチェンジ。縦パスを差し込めない、またはSBの背後をつけないとなると、サイドチェンジを実行する。ユベントスの守備はボールサイドに人を集め、そして圧縮することでボールを奪い、ショートパスで狭い局面を突破して、広い方に運ぶことで攻撃を完結させる。しかしこの試合はそれができず、ユベントスは後手の守備になってしまった。反対に、ヴェローナは圧縮される前にしっかりと局面を変える決断ができていたので、うまく攻撃を仕掛けることができていた。ではどのようにサイドチェンジを行なっていたのか。

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このように縦パスを入れる準備と抜け出す準備を行うことで、ユベントスの守備を上の図のように動かすことができる。これでユベントスはボールサイドに寄り、空いてくるのが逆サイドの黒の四角のエリア。ここにボールを送り、目線を変え、再びスライドさせることでマークをずらし、そして広い方からクロスを上げるために、縦パスを立ち上がりから頻繁に差し込んでいたのではないだろうか。縦パスをユベントスのCHが消すポジションを取るので、ヴェローナCHはWBからパスを受けた時に、ある程度の時間を確保することができる。ここからサイドを変えることで、広い方から効果的に攻撃することができていた。

このように配置の優位性を存分に生かすことでユベントスの守備の時間を長引かせ、試合を優位に進めることに成功した。

 

⑤:勇気あるハイプレス

ヴェローナはホームゲームと言うこともあってか、かなり前からプレスを敢行。これが功を奏し、ボールを回収することにつながった。ではどのようにはプレスを行なっていたのか。

奪い所①

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ヴェローナには奪い所が3つあった。まずこれが1つ目の奪い所。バックラインから丁寧に繋ぎ、相手を動かしてラインを突破していくユベントス。それに対して、ヴェローナマンマークを決行。例に倣って、CBに対してはCFが、DMFに対してはSTがマンマークを行うことで中央へのパスコースを消す。そうすると、CBはSBへ一度パスを送る。ここがヴェローナのプレスのスイッチの入れどころ。SBにボールが出ると、WBがプレス。そしてSBからのCHへのパスを奪い所として、ボールを奪うことでショートカウンターを仕掛けいた。これが1つ目の奪い所。

奪い所②

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2つ目の奪い所がOMF。プレスをかけることで、ミドルパスを蹴らせることを選択させて、競り合いで勝利することでボールを回収する。CHへのパスを狙われているユベントスはOMFへのミドルパスが多くなり、跳ね返され、セカンドボールを拾われるので、いまいちテンポが出なかった。逆にヴェローナはこの方法でボールを奪うことを得意としているので、上手くユベントスを自分たちの土俵に引き込んだと言って良いだろう。

奪い所③

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3つ目の奪い所がCFだ。これも奪い所②と同様に、バックラインからCFへのロングパスを蹴らせることで、CBで競り勝ってセカンドボールを回収すると言う方法だ。勝つ可能性の高いバックラインでの空中戦に持ち込むことで、ヴェローナはボールを回収することに成功していた。

WBの献身性

そしてこれら3つに共通して重要な役割を果たしているのが、ボールと逆サイドのWBのカバーリング。プレスをかけたタイミングで、牽制しているSBを捨ててバックラインまで下がることで攻撃の人数+1を作り出せ、数的優位を作りことができる。このリスク管理があるからこそ、CBはCFとOMFへしっかりとアプローチを行うことができる。このWBの献身性がなければこのマンマークのハイプレスは成り立たなかっただろう。

 

まとめ

ヴェローナは個々で負けている分、チームとして結束し、そして絶対王者を打ち負かすことに成功した。しかもラツィオミランと消耗の激しい試合をこなした後での勝利だ。理に適った攻撃と、緻密に練られた守備戦術。圧倒とまではいかないが、内容もユベントスより良かった。この勝利でEL圏内まで5ポイント、CL圏内まで9ポイントまで迫った。何よりもユベントスに逆転勝利をいう結果を残したことがこれからの残りのシーズンを戦い抜く上でとても自信になるのではないだろうか。

一方のユベントス。完全にヴェローナにペースを握られて先制しながらも敗戦。流れも関係なく、一発のカウンターで先制点を奪った時は、「これがユベントスか」と感じたが、今回の相手は一味違った。失点しても崩れることなく、自分たちに課されたタスクを徹底的にこなされたことで、2失点。(VAR介入のPKもあったが)ここにきて若干、負けが目立つようになったユベントスミラノダービーでんてるが勝利したため、得失点差で首位を明け渡してしまった。ここからCLも始まり、過密日程が待っている。いつもと違う雰囲気が漂うセリエA。果たして絶対王者はリーグタイトルを死守することはできるのか。そして悲願のCLも手にすることができるのか。残りのシーズンが楽しみだ。

 

終わりに

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