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セリエA インテル vs ミラン 〜帰ってきたミラノダービー〜

 

 

はじめに

172回目のミラのダービー。数々の歴史を作ってきた両クラブによる、情熱的なダービー。そんな両クラブが繰り広げる試合。世界中で注目度が高い事など、当たり前のことだった。だがここ数年間。共に低迷を極め、クラブの価値、魅力が下がっていく一方だった。そんな中で迎えたこのミラノダービー。この試合を観戦した方なら感じたかもしれないが、白熱した、そして戦術的な、何よりも熱い試合、ミラノダービーが帰ってきた。今シーズン、見返すべき試合の1つに入るのではないだろうか。では今回はそんな白熱したミラノダービーを噛み砕いていこう。

 

スターティングメンバー 

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 これがお互いのスターティングメンバー。インテルラウタロ・マルティネスが警告の関係で欠場。ルカクの相棒はこの試合、サンチェスとなる。またRWBには今冬に加入したモーゼスではなく、カンドレーバを起用。さらにCBでも経験豊富なゴディンが先発に名を連ねた。一方のミランミランはインフルエンザ明けの救世主、イブラヒモビッチが戦列に復帰。彼の復帰がミランに良い雰囲気をもたらし、イブラ復帰後の試合は負けなし。この試合でもイブラ中心に攻撃を仕掛けることが予想された。

では早速、この試合を噛み砕いていこう。

 

完璧な前半を過ごしたミラン

完璧な前半を過ごしたと言い切って良いほど、自分たちのペースで試合を進めたミラン。好調をそのままに、同じ街のライバル、インテルを圧倒し、そしてリードを奪って前半を折り返すことに成功した。ではなぜ、ミランインテルを圧倒できたのか。

 

ビルドアップとインテルの守備

まず1つ目の要因がビルドアップの局面にある。インテルの守備を上手く剥がすことでミランは効率よく前進することに成功。ではどのように前進を行なっていたのか。

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まずはインテルの守備について少し触れていきたい。インテルはハイプレスを仕掛けるため、2トップで2CBを牽制。そしてDMFのブロゾビッチが少し低い位置に降りて組み立てに参加するべナセルまでプレスに出る。SBに対してはWBが、CHに対してはCHがプレスを行い、人を捕まえながら味方の多いところに追い込み、高い位置でボールを奪うことでショートカウンターを仕掛けてゴールに迫るようにデザインされている。だが、この試合はこの守備が上手く嵌らず、ミランはこの守備を交わしていた。

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これがミランの躱し方。インテルDMFがミランのCHをマークするので、中央へのパスコースは塞がれてしまう。そしてSBへ一度パスを送る。ここでインテルの守備のエラーを突くことができる。上の図のようにWBがプレスに来ると空いているのがCHのケシエ。(白の四角のエリア)ここにSBからパスを差し込むことで一気にスピードを上げることができる。ではなぜここのスペースが空いてしまっているのか。それはDMFが開けた中央のスペースを埋めるためにCHが少し後ろめのポジションを取っているから。インテルはCBからSTまたはCFへの縦パスを入れられること(赤の四角のエリア)を嫌い、DMFが開けたスペースを2CHでカバーしているので、ミランのCH(主にケシエ)がフリーでボールを受けることができていた。また、CB(状況によりCH)から一気にSHまでボールを届けることで、ミランインテルのプレスを躱し、試合のペースを握ることに成功した。

 

STの抜け出しとCFの溜め

これもミランインテルを圧倒した大きな要因。ではどのようにしてCFで溜めを作っていたのか。

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SBで時間がある、またはできた場合はこのように攻撃を仕掛ける。インテルのCHがミランSTをマークしているので、上の図のように抜け出すことでCHを引き連れる。そうするとCFへのロングパスを送れるコースが空いてくる。ここにロングパスを送ることで溜めを作り、右のSHとSBが上がれる時間を作り、全体を押し上げることで、攻撃に厚みを加えることに成功した。この『溜め』を作ることができるイブラヒモビッチの加入。これこそがミランが息を吹き返した大きな理由ではないだろうか。

CHの脇と左サイドでの優位性

CFで溜めを作れるようになり、全体を押し上げたミラン。そしてさらにインテルの守備のエラーを突いていく。ではどのような場面でエラーが起き、そしてどのようにそれを突いていったのか。

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このようにCFで時間を作ると全体を押し上げることができる。もちろんCFがボールを持つと、CBがプレッシャーをかけにくる。その空いたスペースにSTが飛び出すことで、右SHがフリーな状態に。ここでWBが戻りきれないので、ミランは白の四角のスペースを使うことで優位に立つことができる。そして多く攻撃を仕掛けていたのが左サイド。SHがハーフスペースに入り込むことでWBを中に引きつける。そうすると大外のSBがフリーでボールを受けることが可能に。両サイドで白の四角のエリア、CHの脇に選手を配置することで、大外にフリーな選手を作り出すことができる。このエリアを埋めれない、カバーできないことこそがインテルの守備のエラーだ。そしてこのように攻撃を仕掛けていく。

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このようにSBで幅を作ると、ハーフスペースに位置するSHがWBの背後に飛び出す。これでCBを釣り出し、そしてSBは中に入り込み、ハーフスペースで再びボールを受け直すことで左サイドで優位に立つ。またこちらが詰まると上の図のようにCH経由でサイドを変える。その時にCHのケシエが白丸のエリア、CHの脇にポジションをとり、ボールを受けることでチャンスをうかがった。このようにサイドを変え、そして目線を変え続けることで、クロスからの攻撃に活路を見出した。

ハイプレス⇨回収

そして最後。攻撃を仕掛け続けるために、ミランは高い位置からプレスをかけ、そしてロングボールを蹴らせることで、ボールを回収していた。この守備戦術も実に理に適ったものだった。

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白のエリアで回収するために、ハイプレスを敢行。3バックに対してまずはCFがプレスをかける。その時にボールと逆のSHが同サイドのCBを牽制。またDMFをSTがマークすることで中のパスコースを消す。さらにCHを背後で消しながらボールを持ったCBにプレスをかける。ここでロングボールをCFに蹴りこむと、白のエリアでCHが回収できる。それともう1つの選択肢をCBは持っている。それがWBへのパスだ。このようにプレスをかけていることで、WBを敵陣深くまで押し込むことに成功。これでSBがプレスをかけることで、CFへの長いボールを蹴らせて、CHが回収を行う。インテルの2トップが下りずに張っていたことも関係しているが、WBを押し込み、ボールを回収し続けることで、インテルにカウンターを打たせず、試合の流れを掴んで、2点のリードを奪って前半を折り返した。

ミランにとってまさに完璧な前半だった。

 

後半のインテルの修正

そして後半。打って変わって、後半はインテルのペースになる。コンテ監督がハーフタイムで加えたいくつかの修正により、インテルは前半と全く違ったチームになり、逆転勝利をもぎ取った。ではどのような修正を加えたのか。

前半の課題

修正を解説する前に、前半の課題に軽く触れておこう。

  • 守備(プレスをかけた時)
  • イブラの対応
  • 2トップと中盤の距離間
  • WBが押し込まれること
  • 幅を使えない状況に陥っていること

ざっと挙げるとこれらが前半の課題点だった。ではこれらをどのように修正したのかを解説していこう。

 

守備の修正

まずは守備の修正から。これでインテルは自陣に押し込まれることが少なくなり、ミドルゾーンでボールを奪えるようになる。

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前からプレスをかけた時に、前半は2トップで2CBを見ていたが、後半からCF1枚(主にルカク)でCBを牽制し、下がって組み立てに参加するCHをもう1枚のCF(主にサンチェス)が牽制することで、DMFが中央を捨ててまで前にプレスを行かないように修正。こうすることで前半、フリーでボールを持たれて厄介だったCHのケシエをインテルCHのバレーラが牽制できる。さらに、STのチャノハノールをDMFのブロゾビッチがマークにつけるようになる。こうすると何が良いのか。ミランCBまたはSBからのCFへのロングパスに対して、白のエリアで数的優位を作りだせ、挟み込むことができる。これでCFに起点を作らせないことで、中盤でボールを奪い、得意のショートカウンターに持っていけるようになる。

中央の守備、具体的にはDMFのタスクの変更により、捕まえるべき人を明確にしたことがコンテ監督のハーフタイムでの1つ目の修正だろう。これで起点を作られるイブラへの対応もこなしていた。

 

CFと中盤の距離間

高い位置でボールを奪えるようになったインテル。だがこの守備だけで完全に流れを掴んだかというと、そうではない。まだ押し込まれる状況を作られることは多かった。そこで、押し込まれた状況から、ミランの守備網をかいくぐるために、CFに具体的な指示を送っていた。それがこちら。

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先述したように、これがミランの守備戦術。これにより、ボールを蹴らされ、距離が遠いCFへのパスは届かず、その前でボールをカットされてしまう。中盤とCFの距離が遠いため、インテルは前半、全くもって効果的な攻撃を仕掛けることができなかった。これを改善するために、コンテ監督はこのような指示を出したと思われる。

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CFの一角に入っていたサンチェスがSTの役割を果たすようになったことで、ミランCHがフリーでボールを拾えないように、そして攻守のリンクマンの役割を果たす。ボールがここで収まらなくてもこぼれ球を作ることで、インテルは「前向き」にこぼれ球に反応できる。これで中盤とCFの距離間、ビルドアップの問題を解決した。


幅を使うための修正

そして最後の修正。これでインテルミランをどんどん押し込んでいく。そのために、2つの局面でインテルは修正を施した。

WBのポジショニング

まず1つ目。それがWBのポジショニング。具体的にいうと『高さ』の問題だ。ミランのハイプレスで自陣深くにポジションを取っていたWBだったが、このような形になることで、WBが幅を作れるようになる。

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簡単にいうと、バックラインを4バックのような形にすることで、ボールサイドとは逆のWBが一列前にポジションを取れるようになる。ではなぜこれができるようになっていたのか。それはSTを作り、攻守のリンクマンの役割を担わせることで、上の図の白丸のエリアをミランSBが気にするようになったから。ここを気にするようになったSBは本来ならば間に合うはずのWBへのプレスが間に合わなくなり、ここから一気にサイドを変えることで幅を作り出す。サイドを圧縮しているミランにとっては苦しい展開に陥ることになる。これが1つ目の幅の作り方。

CFがサイドに流れる

そしてもう1つがCFがサイドに流れる、抜け出すことで幅を作り出した。

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WBで幅を作れるようになったインテル。そうすることにより、徐々に高い位置でこのような形でボールが持てるようになる。こうなった時のミランの守備は、CHに対してSHが、WBに対してSBが牽制を行うような守備だった。この守備で開くスペースがSBの背後のスペース。(白丸のエリア)ここをCFが使うことで、CBを釣り出し、クロスからの攻撃を仕掛けられるようになっていった。

 

補足:幅をとったことで起きた現象

これらの修正を加え、そして幅を取れるようになったことで、CH(DMF)がフリーでボールを受けれる回数が増え、左右にボールを散らし、縦パスを送ることができるようになった。

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ミランは起点になっているWBを潰しに行くために、SHがプレスに行くようになる。こうすると、本来パスコースを消せていたCHがフリーになる。そして白丸のエリアに入ることで、CHはフリーでボールを受けることができる。後半になり、このような攻撃の形が見えるようになったので、インテルはここぞと言わんばかりに、ライン間でプレーすることが得意で、展開力のあるエリクセンを投入。一気に流れをつかみ、そして逆転勝利を掴み取ることに成功した。

 

まとめ

前半はミランのゲーム。後半はインテルのゲーム。なぜ、このような試合展開になったのか、はっきりと見えた良いゲームだった。イブラの加入後、初の黒星を喫したミランだが、前半のような戦い方を続ければ、自ずと結果はついてくるだろう。大型補強ではなく、未来への投資、さらには監督交代で戦術を十分に落とし込めていない状況を考慮すれば、及第点以上は与えられるパフォーマンスだったのではないだろうか。明らかにイブラの加入で、雰囲気が変わっているミラン。ここから勝ち点を伸ばし、ヨーロッパの舞台に戻ることはできるのだろうか。そして威厳を取り戻すことはできるのだろうか。一方のインテル。前半の内容は目を当てれないものだった。だが、さすがのコンテ監督。ハーフタイムで多くの課題を修正し、見事にライバルから逆転勝利をもぎ取った。この勝利でリーグテーブル1位に躍り出ることに成功。(勝ち点はユベントスと同じ)ダービーでの勝利で1位に立つのは、これからの戦いに良い影響を与えてくれるものだろう。冬に補強、特にエリクセンの獲得で新たなオプションを加えれそうなコンテのインテル。例年とは違う雰囲気のセリエAにしているのは確実にインテルだろう。果たして絶対王者ユベントスからタイトルを奪還することはできるのか。残りのシーズン、セリエAにも注目してほしい。

 

終わりに

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