Football Base 〜サッカー戦術分析〜

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J1リーグ 柏レイソル×セレッソ大阪 〜相手の武器を壊すために。準備した戦術と要塞〜

 

 

はじめに

今節注目の対戦カードの1つ。それがこの試合、柏レイソル×セレッソ大阪だろう。怪物ぶりを発揮し、5試合連続ゴール(この試合で6試合連続ゴール)を記録しているオルンガを中心に、カウンターで相手を射止めるレイソルに対し、『できる限りトランジションを少なくする』戦い方で、攻守ともに圧倒的な安定感を礎に、堅守を誇るセレッソがどのように戦うのか注目が集まった。そしてこの試合、セレッソが超効率的なサッカーを展開し、ミスからオルンガにゴールを奪われたものの、今シーズン、初の3ゴールでレイソルを粉砕した。そしてこのオルンガを止めるため、もっというと、レイソルにカウンターを打たせないために、逆算して立てたであろうセレッソのゲームプランが秀逸だった。では今回は対レイソルのために用意してきたであろう、セレッソのゲームプランについて考えてみよう。

 

スターティングメンバー

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前半の頭で先制点を奪うプラン

まずセレッソ大阪は、この試合「前半の頭(たぶん〜15分辺りまで)で先制点を奪う」というプランがあったはずだ。そのためにセレッソは試合開始直後から攻撃に出る。そしてこのプランが怖いほど上手く進んだ。ではセレッソは先制点を奪うため、どのように攻撃を仕掛けたのか。

 

ではまず、セレッソの攻撃を解説していく前に、少しレイソルの守備戦術について触れていきたい。

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これがレイソルの守備戦術。セレッソCBに対してはオルンガ1枚で、それより後ろはマンマークを実施。ボールサイドにSBに対しては早めにSHがマークを行い、CH藤田に対しては江坂、デサバトに対してはCHのヒシャルジソンが1列前に出てマークを行う。さらに中に入ってトップ下のような役割を果たすSH清武に対しては、ポジションを崩してでもSBがついていき、組み立てに参加するために降りてくるCF奥埜に対しては残ったCH大谷がマークを行う。これでセレッソから見ると、ボールサイドはかなり狭く見えていたはずだ。

もちろん、ボールと逆サイドのSHとSBもボールサイドのSHとSBと同様のタスクがあった。基本的にレイソルはこれでハイプレスを仕掛け、セレッソにボールを満足に持たせないように守備を行っていた。

 

この守備に対してセレッソは異常なまでの速さで対応をする。いや、もしかするとスカウティングをしていたので、すぐにこの守備の弱点を突き、そして幸先よく先制点を奪う事に成功した。ではどのようにこのプレスの弱点を突いたのか。

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まずはこのプレスの弱点から紹介していこう。レイソルの守備の弱点となっていたのは、SBの背後、CBの横のスペースだ。ではセレッソはどのようにこのスペースを使っていたのか。

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セレッソはがレイソルSBを使うために行った事。それを上の図に整理した。まずは右サイドのパターン。右サイドではSBの松田がSHと距離を稼ぐために、少し低めの位置を取る。これでボールを受けた時に、少しだが時間とスペースを持つ事ができる。さらにここからの展開を広げるために、CHのデサバトが少し下がる事でヒシャルジソンを誘い出して中盤に段差を作り出す。そしてこれに呼応してCFの奥埜がボールを受ける動きをする事で、中央に残っているCH大谷を中央から外す。もちろん、SH坂元もボールを足元で受けようとするので、SB三丸はここを厳重警戒して、早めに坂元とも距離を詰めにいく。このようにしてSBの背後にスペースを作り出し、そしてそこを使う準備をした。

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そしてそのスペースにSBがボールを落とし込む。(CBからの場合もあり)これでCFのメンデスが抜け出し、CBを1枚釣り出す事で、バイタルエリアと逆のハーフスペース付近にスペースを作り出す。バイタルには遅れて組み立てに参加していた奥埜が入り込み、逆のハーフスペースには逆SHの清武が入り込む。これで攻撃を完結させる事でゴールに迫った。実際に早い時間の先制点はこのような形から奪った。

では左サイドではどのような形でSBの背後を狙う準備をしていたのか。

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左サイドは割とシンプルで、SBが幅を作る事でSHに敢えて捕まりにいき、これで中央のパスコースを広げる。そしてここのパスコースにSH清武が下がってボールを受けにくる事でSBを釣り出す。これで左サイドと同様にCFのメンデスが抜け出し、遅れてCF奥埜とSH坂元が入っていく事で攻撃を完結させようとしていた。実際にこの攻撃を前半の~15分辺りまで続け、それ以降、ぱったりとこの攻撃をやめてしまった。予想の域を抜け出せないが、『試合開始〜15分までで先制点を奪い、前に出る時間を少なくしてレイソルにカウンターを打たせない』というプランがあったのではなだろうか。

  • 背後を狙わなくなってからの組み立ては?

少し補足としてこちらに触れておきたい。セレッソが背後を狙わなくなった理由は、間延びができる事を防ぐため、そして全体を押し上げた事で生じる「背後のスペース」を無くため。だからSBの背後を狙うためのロングパスを使わなくなった。ではセレッソは背後を狙わなくなって、どこを中心に前進をしようとしていたのか。

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このように狙ったのは中央に残るCH大谷の所。そのためにCH藤田がCBの間ぐらいに降りて、江坂を動かし、さらにCHデサバトでヒシャルジソンを動かす。ここで重要なのがSH清武が「降りる」場所だ。清武はSBの背後を狙う攻撃を仕掛ける場合、ほとんど縦に降りる事でSBのプレスを呼び込んだ。だがこの場合はCH大谷の脇に「斜め」に降りる事でCF奥埜と数的優位を作り出し、レイソルSBのプレスを止める事をしていた。このように中盤に段差を作り、CH大谷の所で数的優位を作った事で、ロングパスに頼らず、丁寧に攻撃を組み立てる事でカウンターを打つスペースを与えなかった。だが、カウンターを警戒して、この試合はSBが上がる事が少なかったため、「この先の展開」が望めず、ボールを奪われてしまう回数が多く感じた。

 

ボールを渡して場所を埋める守備

先制点を奪ったことでこの守備より顕著に現れた。ではどのように場所を埋め、そしてどのように守備を行っていたのか。

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基本的な守備の形はこのようになる。ブロックを形成する時は必ずペナルティエリアの幅でセット。これはセレッソのいつもの試合より確実に2~3m中にセットされていた。この狙いとしては、まず怪物オルンガを完全に消すため。だから中央を狭くして、必ずCBヨニッチか瀬古がマークを行える状況を作り出した。そしてもう1つがレイソルのもう1人のキーマン、江坂を消すためだ。ここでもCHの藤田とデサバトのどちらかがマークを行えるようにするために、中央に全体を寄せた。だからある程度幅を作るレイソルSBは捨てるような形を取る。もちろん、SBにパスが出るとそこにしっかりと対応にいく。

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このようにSBがプレスに出ると、その空いたスペースを埋めるのがSH。いつもならここを埋める作業を行うのがCHなのだが、この試合はSHが務める事が多かった。(もちろんCHが埋める事もあり)そしてこれでCHが一気にスライドを行って、レイソルSHを捕まえる。もちろん、江坂を捕まえるのも逆のCHで、一気にボールサイドを狭くする。これで中央が空いてしまうのだが、ここも逆のSHが埋める事で互換性を保った。この試合はこの守備を繰り返し行う事で、中央に極力侵入させず、入ってきたらそのボールを奪う事で、2トップでカウンターを狙っていた。そしてこの守備で1番優先されていた事は確実に、「後ろ(バックパス)に下げさせる」事だった。ボールを奪いにいかずに、下げさせる事を第一優先事項にした事で、レイソルにボールを明け渡し、ボールを握らせた。これこそがセレッソのこの試合の狙いでボールを持たせる事でカウンターを封じ、そしてレイソルの攻撃の最大の武器でもある、「ポジティブトランジションによるカウンター」を封じた。

 

ハーフタイムで大谷を下げた理由

補足になってしまうが、ここにも触れておきたい。レイソルは前半、狙われてしまっていた中央に残るCH大谷をハーフタイムで下げた。この意図は2つあった。

 

まず1つ目が、CHがリシャルジソンが釣り出される動きをなくすためだ。前半はここを動かされた事で、若干の遅れと、その遅れによる段差が生じて、縦パスを打たれる事が多かった。そして清武がCH大谷の近くに降りる事で、SBのタスクを難しくさせた。だが、CH大谷を下げて攻撃的な選手の神谷を入れる事で、2OMFのような形に変更し、この2枚でCHを予め捕まえれるように仕向け、1DMFに入ったリシャルジソンが降りてくるCF奥埜を捕まえるタスクを担い、その脇に降りるSH清武に対してSBがプレスに行けるようにタスクをはっきりとさせるものだった。

 

2つ目の意図が中央に人数をかける事。これはシンプルにクロスの人数を揃える事に狙いがあった。先ほども触れたように、セレッソは中央を固め、幅を作る選手をある程度捨てる守備を行う。だから、幅を取る選手が時間を持てる事は必然で、そこからクロスを送る事でゴールを奪う事を狙った。もちろん中央にはオルンガというターゲットがおり、狙うのはその大外の逆のSH。この攻撃で何度かチャンスを作り出したが、セレッソの守護神、キムジンヒョンの牙城を崩すまでには至らなかった。

 

この2つがCH大谷をハーフタイムで下げた理由だろう。

 

まとめ

セレッソ大阪はレイソルの武器を最大限に抑え、そしてそこから逆算して立てたであろう超効率的ゲームプランで難敵を下して勝利を手にした。特に守備の局面。「レイソルポジティブトランジションを限りなくなくす」ためにボールを渡し、奪うのではなく、遠ざける守備は圧巻のものだった。キムジンヒョンのミスでまたしてもオルンガがゴールを決めたが、流れのなかでは1、2本しか危ない場面を作らせなかった。それ以外は難なく跳ね返し、さらにはカウンターとセットプレーでゴールを奪って見せた。レイソルの良さを消す戦いは圧巻のものだった。一方のレイソル。この試合で取り組むべき課題が見えたのではないだろうか。カウンターが打てない時、そしてボールを握った時の攻撃の局面、もっというならば、遅攻をどのように組み立てるのか。この試合を見て、セレッソのような対策を練ってくるチームも増えるだろう。守備も激しく、堅いだけに、この遅攻をどうにかしたら、本当に手のつけれないチームに進化するかもしれない。これからの両チームの動向に注目だ。時間があるのならば、この超効率的ゲームプランを実行したレイソル×セレッソの試合を見返して見て欲しい。

 

 

終わりに

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