Bundesliga [Match Review]ドルトムント×バイエルンミュンヘン ~最適解を見つけ出すバイエルン~

 

 

はじめに

デアクラシカー。今シーズンのブンデスリーガの行方を決めるであろう一戦。だからこそ、超満員のジグナル・イドゥナ・パルクでの試合を観たかった。だがこんな状況だから致し方ないが、ドルトムントにとって、ホームスタジアムのサポーターの後押しがない事はかなりの不利な要素となったことだろう。

このような状況なので無観客で行われたビッグマッチ。試合内容は静かなスタジアムとは対照的に熱く、戦術的な展開となった。ドルトムントの流動的な攻撃に対し、王者のバイエルンはしっかりと準備を施し、圧倒的な攻撃力を誇るドルトムントをほぼ完璧に押さえ込んだ。

さらには攻撃。いくつかの攻撃戦術で最適解を導き出し、見事にドルトムントの守備を掻い潜っていった。今回はこの試合巧者の王者がどのように守備を行い、攻撃の最適解を見出していったのか。これを中心にマッチレビューをしていこう。

 

スターティングメンバー

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バイエルンの守備戦術

まずはバイエルンの守備戦術から紹介していこう。

マッチプレビューでも書いたように、バイエルンが懸念すべきはドルトムントの流動的な攻撃によるSBの背後のスペースを使われること。そして4-4-2で守備をするときの配置での噛み合わせだ。バイエルンはしっかりとここの対策を行い、見事ドルトムントを押さえ込んだ。

ではバイエルンはどのように守備を行っていたのか。

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バイエルンが用意してきた守備戦術は3バック化だ。

これにより、割と高い位置からプレスを掛けることでドルトムント3バックを潰しにかかった。その方法が上の図に示したものだ。

ドルトムントCBがボールを持つと、OMFまたはCFがプレスを行う。そしてOMF、CF、ボールサイドのSHが3バックを捕まえる。そうすることで、3バックの時間をスペースを奪う。

これに連動して、SBがWBを捕まえれるポジションをとり、同様にボールサイドのCHがドルトムントCHを捕まえれるポジションを取る。そして逆サイドのSHが思いっきり横スライドを行い、逆のCHを捕まえる。

このようにする事でバックラインは3バック化し、CHが中央に1枚残る。これでドルトムント3トップに対してバイエルンは2CB +SB +CHで数的優位を作り出す事ができる。そしてSTに対しては残ったCH、またはCBが入ってくる縦パスに対して対処を行う。

バイエルンはこのようにしてボールサイドを圧縮し、逆サイドを捨てる事で守備を行っていた。

この守備が終始、嵌りに嵌り切り、ドルトムントは数回のチャンスしか得る事ができなかった。

ドルトムントがチャンスになる場合

ではドルトムントは全くもってバイエルンの守備を突破できなかったのかというとそうではない。もちろん、特に前半は突破できる事が何度かあった。ではどのような場合になるとドルトムントはバイエルンの守備を掻い潜る事ができていたのか。

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まず1つ目が上の図のような状況を作り出した時。それがST、WB、CHのローリングだ。

このローリングにより、STのブラントがフリーになってボールを受ける事が多くなっていた。ここでふりーになれるのはCBのボアテングと残ったCHがSTのブラントに対しての距離が長くなるので、プレスが遅れるから。そしてここからブラントが逆サイドのWBへサイドを変える長いパスを送る事で早い攻撃が仕掛けれるようになっていた。

 

そしてもう1つがこちら。

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バックラインでのパス交換でバイエルンSHのスライドが間に合わなかった時。これにより、出てくるのが中央に残るはずのCHだ。ここで前に出る事によって、ドルトムントはSTがライン間でフリーになれる。そしてそこへ縦パスを打ち込む事で早い攻撃を仕掛ける事ができていた。

これら2つの方法でドルトムントはバイエルンの守備を掻い潜る事ができていた。

 

注目すべきバイエルンの意識

ここで少し補足を加えておく。バイエルンは何度か守備を剥がされた事で意識が変わった。それがCHの意識だ。CHが前に出る事で、ライン間を使われるのならば、『あえて前に出ない』という意識に変わっていた。こうすることで、ドルトムントの良さが発揮される「CHが引き付けて、ライン間でポジションを取るSTへの縦パス」をある程度封じる事に成功していた。

監督からの指示があったのか、選手個人の判断だったのか。ここは定かではないが、このちょっとした意識の修正により、バイエルンの守備は安定へ向かっていった。

 

最適解を見つけるまでのバイエルン

ではバイエルンがいかにして最適解を見つけていったのか。特に前半はこの作業に時間を費やしていた。ではこの最適解を見つけるまでにバイエルンがどのようにプレーをしていたのかを紹介していこう。

2つのビルドアップのパターン

前半の30分辺りまで2つのビルドアップを試していた。そしてこの後からしっかりと最適解を見つけ出し、攻撃を組み立ててキミッヒの決勝点を生み出している。

ではこの最適解を見つけるまでどのようなパターンを試していたのか。

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まず1つ目が上の図のような形。CHが横並びになる事で3トップに対して数的優位を作り出し、SBを押し上げ、CFとOMF降りてきてが主に中央の受け手を担う。そしてCFとOMFが中央を開けるので、そこへ必要があればSHが入り込むという方法だ。

そしてもう1つがこちら。

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このように3バック化しCHが縦の関係性になる。こうすることにより、左SBと右SHが幅を作り、CH(主にゴレツカ)とOMFが縦パスの受け手を担う。これでCFのレヴァンドフスキはバックラインと駆け引きしながらゴールを虎視眈々と狙う事が可能になる。

さらに左SHが自由に動けるようになるので、中央に入ってきてボールを引き出す事も多くなっていた。

 

これら2つのパターンを試しながら、バイエルンは最適解を見つけ出した。そしてバイエルンが選んだのは2つ目のビルドアップ。3バック化のものだ。ではなぜ、3バック化の方が良かったのか。

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まず1つ目にSTの横、WBの前で時間が作れるから。これは3トップに対して3バック化した事で得られたスペースだ。ここのスペースを使えるので、3バック化を採用。ではCHが並ぶとなぜここが使えなかったのか。

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このようにCFとOMFが下がって組み立てに参加するので、バックラインの背後を使う選手がいなくなる。だからドルトムントCBが躊躇なく前に出て対応が可能になる。

さらに幅を取るSBに対してはWBが対応できる。それはSHに対してCbがマークを行えるから。だから時間ができる場所がこの場合だとなかった。

そして2つ目がこちら。

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このような互換性も保つことができる。ドルトムントCHが出てくればSHがその背後のスペースに入り、ボールを受ける。この時にCBが出てくるならば、CFまたはOMFがその背後を突くことでゴールに迫る。

 

このように常に先手を打つことができるので、こちらのビルドアップを採用したのではないだろうか。

 

生命線であるCHのライン

そして生命線であるCHのライン。ここを最大限に活かすことができるのも3バック化だった。ここのCHと絞るSBが2nd回収とカウンターの芽を摘む事でバイエルンは常に攻撃を仕掛けることができる。ではなぜ3バック化が良かったのか。それが下の図のような理由がある。

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このようにボールが敵陣に入ると、逆SBが中央に入り、CHと同じ高さのラインを取る。

こうすることでカウンターの対処を行う。そして3バックだと中央に入るまでの距離が極端に短くなる。(黒線)

もしもSBが幅を作る場合だと、サイドから長い距離を移動しなければならない。仮にこの移動中にボールを奪われるようなことがあれば、バランスが崩れているのでピンチに繋がってしまう。さらにSBが絞るまでCHが攻撃に参加できないので、攻撃の厚みがなくなる。

だが3バックだとSBは1列前に出るだけでよく、さらにCHが縦関係なので常時攻撃に参加する事ができる。そしてこのようにした事により、高い位置でカウンターの芽を摘み、ゴレツカの美しいゴールが生まれる事となった。

 

このようにして試合を進めながら最適解を見つけ、その理由がはっきりとわかるバイエルンミュンヘン。強さを継続して発揮できる理由の1つがわかる一戦だったのではないだろうか。

 

後半のドルトムントの意図

ドルトムントは前半にゴールを奪わたので、同点、そして逆転まで持っていかないと優勝は限りなく難しいものになってしまう。だからこそ、ハーフタイムで2枚のカードを切ってきた。

それがブラントに変えてサンチョ、ディレイニーに変えてジャンという選択だ。

サンチョ投入の意図はシンプルに単独で運ぶためのものだろう。この交代により、攻守のリンクマンの役割を担っていたブラントがいなくなる。だからその役割を担わせるため、ダフートが上がれるように、CHにジャンを投入したのだろう。

ではどのようにしてこれを遂行しようとしていたのか。

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ドルトムントは後半から左サイドを中心に攻めるようになっていた。その理由がWBのゲレイロがSTの位置に入り、STのアザールが幅を作るようになったから。この入れ替わりにより、アザールがフリーでボールを受けれるようになる。

そしてアザールがボールを受けると、SBの背後にゲレイロが抜け出す事で、ダフートが遅れてハーフスペースでボールを受けれるようになっていた。だから後半はダフートがゴール前でプレーする姿が多く見受けれた。もちろんゲレイロが前に出ると、空いてしまう背後のスペース。ここをジャンがカバーする事で、リスク管理を行う。だからこそ、ジャンの投入があったのだろう。

そしてもう1つが守備戦術の変更だ。ドルトムントは後半からこのように守備を行う。

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このように縦関係になったCHを高い位置から捕まえる事を選択。キミッヒに対してダフートがマークを行う事が多く、ジャンがその後ろの広大なスペースのカバー役を担った。

このようにしてリスクを冒して逆転勝利を窺ったが、この修正は上手くいかず、ストライカーを怪我で失い、悔しい敗戦を喫してしまった。

 

バイエルンの後半

一方のバイエルン。ドルトムントが前に出てくるので、後方でボールを回しながら、カウンターの機を伺った。さらにドルトムントCHが1枚前に出てくるので、その背後のライン間のスペースをCBのボアテングの縦パスで効果的に使った。

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このようにサンチョの守備が緩いので、アラバは簡単に縦パスを打ち込む事ができるようになっていた。さらにCHジャンしかライン間のスペースにいないので、SH、CF、CH、OMFとフリーになれる選手が多く存在した。だからこそ、バイエルンは攻撃を簡単に仕掛け、完結する事ができていた。

さらに守備に至っては、前半と同様にCHのラインで徹底的にカウンターの芽を摘む事でドルトムントに早い攻撃を仕掛けさせず、80分辺りから徹底して背後のスペースを消す事でキミッヒのゴールを守り切り、この天王山を勝利で締め括った。

 

まとめ

深夜のビッグゲームだったが、試合内容がとても色濃く、激しい試合だったので、目が冴えに冴えまくった。そしてその要因がバイエルンの適応能力だ。試合を進めながら最適解を見つけ出すその様は王者の風格が漂い、強い理由が簡単に理解できるものだった。

もちろんドルトムントもあらゆる事を試し、なんとかライバルに追いつこうと試みていたが、その上を行かれてしまった。ドルトムントが悔しいのは、後半頭から入ったサンチョがトップフォームではなかったことだろう。中断前と比べると明確にキレがなく、身体が重そうだった。攻守共にもう少し彼の貢献があれば、もしかしたら試合の顔は変わっていたかもしれない。(だがこれもサッカーの一部なので仕方ないが)

このデアクラシカーはゴール数こそ少なかったが、内容が詰まった良い試合だった。

時間が許すのなら、皆さんもこの試合を見返してみてはどうだろうか。

YouTubeの方でも解説を加えていこうと考えているので、チャンネル登録をして待って頂けると幸いだ。

 

終わりに

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では次回の記事でお会いしましょう!

 

 

Bundesliga マッチプレビュー バイエルン・ミュンヘン vs ドルトムント

 

 

はじめに

天王山。この表現がしっくりくる。コロナウイルスの影響でこの試合を観戦するフットボールファンは多い事だろう。だからこそだ。この試合をより面白く観るために、自分の考えを整理する事にした。そしてこの整理した自分の考えを皆さんにも共有しようと思い、このマッチプレビューを作成した。このプレビューを読んでいただき、デア・クラシカーを観てもらえたら光栄だ。では早速プレビューに入っていこう。 

 

予想スタメン

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これが予想のスターティングメンバー。

バイエルンは前節のフランクフルトと同じと予想。

一方のドルトムント。ドルトムントは前節のヴォルフスブルク戦から1枚を変えると予想。その1枚が今冬リバプールから加わったファイターのエムレ・ジャン。彼をCHで起用するのではないだろうか。

では早速、マッチプレビューをしていこう。

 

ドルトムントの戦い方は?

ドルトムントはアウェイ戦となり、そしてこの一戦に勝利すれば首位に躍り出る事ができる。

だからこそ、そしてフランクフルト戦を観戦したからこそ、自分は『カウンター』中心で戦うと思っている。このカウンターを打つために、ドルトムントはこのように守備をするのではないだろうか。

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形としては5-2-3のような形を取る。そうする事で幅を作るバイエルンSHに対応。フランクフルト戦でバイエルンはほぼSHを張り出し、ボールと逆サイドのSHをアイソレーションさせる事で、攻撃の幅を広げていた。そこでこの試合のドルトムントはWBを完全にバックラインまで下げる事で、逆のSHにアイソレイトさせないように対応。

さらにバイエルンはボールサイドに人数をかける事で下の図のようにスクエアを作り出す事で、優位に立ち、崩してゴールに迫っていた。(フランクフルト戦)

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このようにSHが幅を作っているので、OMFのミュラーが自由に動く事で、ライン間でスクエアの一角を担う。だから守備側はボールサイドに人数が足りなくなり、混乱に陥る。ここで人数をかけると、先程少し紹介したアイソレイトしたSHへの展開で苦しくなる。

そこでドルトムンは最初に紹介した図(下の図)のように守るのではないだろうか。

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このように幅を取ったSHに対してはWB、流れるOMFに対しては外側のCBが対応、CHに対してはSTがそれぞれマーク。そしてSBが中央に差し込むボールを奪う事で、カウンターを仕掛けるというスタンスで戦うと思っている。そしてここでエムレ・ジャンが起用される理由がある。それがレヴァンドフスキをフンメルスと挟み込むことだ。世界屈指のストライカーのレヴァンドフスキはクロスを点で合わせる事を得意としている。だからここを封じるためにCHとCBで挟み込む。その役割をより闘えるジャンに任すのではないだろうか。

そしてもう1つ。それがこのような展開になった時のためにジャンを起用すると考える。

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フランクフルト戦で見せたバイエルンの攻撃。SHが内側に入り、OMFのミュラーが抜け出すというものだ。このような状況に陥った場合、必ずCBのフンメルスが対応を行うだろう。そうすると真ん中に選手がいなくなってしまう。そこで中央を埋めるためにジャンがバックラインに降りる事でそのスペースを埋める。このようにする事で守るのではないだろうか。

だからヴォルフスブルク戦、後半の頭からジャンをCBで起用したと勝手に考えている。(もちろん、フンメルスを温存、さらに怪我明けのジャンの調整も兼ねている事は理解している)

 

そしてこのようにして守り、SBからの中央に差し込むボールを奪うと、ここ(下の図)を狙い、カウンターを完結させる。

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バイエルンは逆のSBがCHと同じラインに入る事でサイドチェンジの経由役とサイドチェンジのボールを受けたSHのサポート(インナーラップ)の役を担っている。だから上の図のようなポジションをとっている事が多い。

だがSBの背後、CBの脇にスペースができてしまうという弱点がある。

実際に前節のフランクフルト戦の2失点目のコーナーキックに繋がるプレー。ここのスペースをフランクフルトCFに使われ、コーナーキックをもぎ取られていた。さらに何度かここのスペースを使われてピンチになりかけていた。

だからドルトムントはここのスペースをCF、またはSTが使い、カウンターで射抜く可能性が高いと考えている。ドルトムントはカウンターを完結させる事も得意としており、さらに前線の流動性は非常に高い。だからここのスペースを使って攻撃を仕掛ける事は容易いのではないだろうか。

これらの理由により、ドルトムントは5-2-3のような形で守備を行い、カウンター中心で戦うと予想している。

 

補足:ジャンの他の役割

ジャンのもう1つの役割が、アタッキングサード〜ミドルサードでOMFのミュラーを捕まえる事にあると考えている。バイエルンと戦う時に1番厄介なのがミュラーの神出鬼没のポジショニングだ。ここをビルドアップの時点から消す事で、優位に立とうとするのではないだろうか。

 

観るべきポイント

・ドルトムントの守備

・SBの背後を使うための攻撃の組み立てと流動性

・3列目(CHのライン)の突破の仕方

(バイエルンはネガトラの時点で3列目を突破されるとピンチになる。ここで3列目の2CHと絞ったSBでボールを回収する事を目的しているから)

 

バイエルンの戦い方は?

バイエルンの戦い方はフランクフルト戦と大きく変わらないだろう。

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このようにSHが張り出し、ボールサイドに人数をかけて攻撃を仕掛け、厳しいようならアイソレイトしたSHへのサイドチェンジ。そこのサポート役としてSBが中にポジションをとる。さらに中央のCHと中にポジションを取ったSBでネガトラ時の回収役を担う。

これで攻撃を完結させようとするはずだ。

そしてバイエルンが懸念するべきポイントはドルトムントのビルドアップに対してだ。

フランクフルト戦は4-4-2の形で守備に入っていたが、これでは噛み合わせが最悪になってしまう。(ヴォルフスブルク×ドルトムントのレビューで解説。以下のリンクからご覧いただきたい)

www.soccer-bunseki.com

 

 

だからバイエルンはこのように守備を行うのではないだろうか?

 

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3バックに対し、CFとSHがプレスを行い、WBに対してはSBが前に出て対応。CHに対してはOMFとCHが1枚前に出て対応する。ボールサイドのSTに対しては残ったCHがマーク。

逆のSBが大きくスライドして3バック化する事でCF +ST vs 2CB +SHの数的優位を作り出してリスク管理。これで逆サイドに展開させないようにする事でボールを奪い切る。だから逆サイドのWBは捨てもよい守備を採用すると予想している。

このゆに考えたのも、ドルトムントの過去2試合を観戦し、CBからの組み立てが肝となっていたからだ。そしてこれを考慮しながら、いろいろ考えてみたが、自分的に1番このシュミレーションが頭の中でしっくりきた。こうすることで、ドルトムントの流動的な攻撃を封じる事に徹するのではないだろうか。

 

観るべきポイント

・どのように守備を行っているか

・3バックを潰すのか否か

・弱点であるSBの背後はどうしているのか

・攻撃時の全体のポジショニングと入れ替わり

 

まとめ

もちろん、他の多くの意見があると理解している。これはあくまでも自分の頭の中で行ったゲームだから、予想の範疇を出ない。だがこのマッチプレビューを読んで、試合を読み解く1つのヒントになっていたらとても幸いだ。

そして何よりもこのようなビッグゲームを今、この時期に観れる事に感謝したい。

深夜のビッグマッチ。目が覚めるような興奮と早く誰かと語りたくなるような、そんな試合になる事を期待している。そしてこの試合を存分に楽しみたい。

皆さんも観戦してみてはいかがだろうか?

 

終わりに

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③:ディベート
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  • 最後までご朗読ありがとうございました

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では次回の記事でお会いしましょう!

 

Bundesliga ヴォルフスブルク×ドルトムント ~ドルトムントが配置で優位に立てた理由~

 

はじめに

サッカーが戻ってきて早1週間。先週はサッカーの有り難みを感じた期間となった。そして今週。今週もサッカーの有り難みを感じながらも、しっかりと分析し、サッカーを読み解いていこう。

そこで今回、ピックアップさせていただいた試合。それがヴォルフスブルク×ドルトムントの一戦だ。この一戦をピックアップした理由は2つある。まず1つ目が、先週観戦したドルトムントのサッカーに衝撃を受けたこと、2つ目がミッドウィークに開催されるデア・クラシカー、バイエルンミュンヘン×ドルトムントをより面白く観戦するため。

そしてこの試合。ドルトムントはしっかりと選手の調整をしながら勝利を掴む事ができた。

勝利を掴んだ大きな要因はフォーメーションの噛み合わせがあった。では早速、配置で優位に立つためにどのようにプレーをしていたのか。これを紹介していこう。

 

スターティングメンバー

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では早速、配置で優位に立つ方法を紹介していこう。

 

ヴォルフスブルクの4-4-2守備戦術

ドルトムントが配置で優位に立てた理由はヴォルフスブルクの守備戦術に起因しているところが大きい。だからまずはヴォルフスブルクの守備戦術から解説していこう。

アタッキングサード〜ミドルサード

ヴォルフスブルクの4-4-2守備戦術は大きく分けて2つのエリアでその方法が異なっていた。

まずはアタッキングサード〜ミドルサードの守備戦術から紹介していこう。

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これが基本配置。基本的にはゾーンディフェンスを敢行。2トップはCHへの中央のパスを消すためにかなり近い距離感を保ちながら、3バックを牽制。2CHには2CHがマークを行う。そしてアタッキングサード〜ミドルサードでは、大外のポジションを取っているWBに対してはSHがマークを行い、ハーフスペースに位置することの多いSTに対してはSBがマークするような決まりがあった。

これでボールを外回りにしてSTへの縦パスを奪う事を狙っていたが、ドルトムントの噛み合わせで負けていまい、上手く機能しなかった。これは後に「ドルトムントが配置で優位に立つ方法」についてで解説していこう。

 

ディフェンディングサード

ではディフェンディングサードではどのように守備を行っていたのか。

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アタッキングサード〜ミドルサードとは一転して、どちらかというとマンマーク気味の守備を行なっていた。幅を作るWBに対してはSBがマークを行い、CFに対しては2CB。STに対してはCHがマークを行う。SHだけはゾーンディフェンスを継続し、持ち上がるCBと流れてサポートを行うCHを見るタスクが課されていたのではないだろうか。

そしてWBにボールが渡るとこのように守備を行う。

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SBがWBに対応するので、SBとCBの間にスペースができる。ここをCHが縦スライドで場所を埋める事でバランスを保つ。さらに逆のCHが中央に横スライドしてここでも中央のスペースを埋める。このようにしてヴォルフスブルクはディフェンディングサードでの守備を行なっていた。これである程度上手く守れていたのだが、2失点を喫し、この守備は破られた。その1つの要因として、2トップの守備の不参加があっただろう。もしも2トップがもう少し守備へ貢献していれば、違った結果になっていたのかもしれない。

 

ではこの守備を念頭に置いた上で、ドルトムントが行った配置で優位に立つためのプレーを解説していこう。

 

ドルトムントが配置で優位に立つために

ではいかにしてドルトムントは優位に立ち、ヴォルフスブルクの守備網を突破していったのか。それには何度も触れている、『配置での優位性』が大きく関係していた。

配置での優位性①:CBでの持ち上がり

まずはビルドアップの局面。ここで優位に立つ事ができた。優位に立てた理由は2トップに対して3バックで数的優位に立つ事ができたから。

ここで時間とスペースを持てる事でボールを持ち出す事ができた。

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上の図のように四角のエリアで余裕を持ってボールを持てたドルトムント。

そして次のようにボールを持ち出す事でヴォルフスブルクに後手の守備を行わせる事に成功した。

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CBが持ち出した事で、まず対応に追われるのがSHだ。SHがCBにプレスに行けば、本来SHがマークするはずだったWBがふりーになるので、CBはWBにパスを供給。(この試合はこのパターンがほとんどだった。)そうするとWBがフリーになるので、ここにSBhが対応に出る事になる。だが、STが気になるので、思い切って対応に行けない状況に陥っている。

そしてドルトムントは次のいくつかのパターンで更なる前進を試みる。

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このようにSBの出方によってWBは次のプレーを選択。1番わかりやすいのは、SBがプレスに出ると、その背後をSTが突くパターン。この試合はこの局面をよく見受ける事ができた。

そして次に多かったのが逆のWBへのサイドチェンジ。ここでも配置による優位性を存分に生かす事ができていた。そして3つ目のパターンがCFへの背後へのボールだ。

主にこれら3つのパターンで前進し、ゴールに迫っていた。これができたのも、攻撃の1番最初である、バックラインで優位に立つ事ができたからだ。そしてそれができたのが配置の関係があり、それに起因して相手を能動的に動かす事ができたからだ。

 

補足:前節と違うCBフンメルスの役割

前節のフンメルスの役割はDMFのポジションまで上がり、CHを動かし、パスコースを作る事だった。これが必要だった理由はシャルケが3トップで、数的同数だったから。だからフンメルスは1列前にポジションを取る事が多くなっていた。

では今節はどうだったのか。今節の役割は外のCBにサポートとそのカバーだ。ヴォルフスブルクは2トップなので、ポジションを変えずとも数的優位に立つ事ができている。だからリスクをかけて中央を開け、1列前にポジションを取る必要がない。

このようにシンプルだが相手が2トップか3トップかでフンメルスの役割は少しずつ変わるのではないだろうか。

まだ2試合しかきちんと観れていないので明確ではないが、この2試合を見る限りではこのような決まり事があるように思えた。

 

ちなみにこれが前節のマッチレビューだ。興味がある方はぜひご覧になってもらいたい。

www.soccer-bunseki.com

 

配置での優位性②:CHの関係性(ビルドアップ)

次の配置で優位性を取れた理由。それがCHのところだ。もちろん、わかりやすくWBが浮く事でCHが優位に立てていたことも忘れてはいならない。

ではどようにしてビルドアップの局面においてCHが優位に立て、どのような影響を与えていたのか。

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まずはポジショニング。上の図のようにボールサイドのCHが2トップの脇にポジションを取り、逆のCHは2トップの間にポジションを取る。こうする事で何が良かったのか。

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このようにCFをピン留めする事により、CBが持ちだせるスペースと時間を作り出す。さらに、CFがCBに対して守備がしにくくなったので、SHに対して2vs1を作り出す事ができる。だからCBは安心してボールを持ち出す事ができていた。

さらに、このような影響も与えていた。

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このようにCFがプレスを行うとCBは中央にパスを送る。元々、ヴォルフスブルクは外側のボール回しをさせたかったのだが、CFがプレスを行った事により、中央にパスを打つこまれてしまう。そしてボールをうけたCHはフリックしてライン間のSTへボールを預ける。これで一気にスピードを上げて攻撃を仕掛ける事ができていた。

これができる場合はヴォルフスブルクCHが前に出てきた場合。もしもヴォルフスブルクCHが前に出てこない場合はターンする事で多くの選択肢を持つ事ができていた。

このようにWBが大外にいる事でCHが周りに与える影響が顕著に観られていた。

 

配置での優位性③:CHの飛び出し

そして最後は崩しの局面だ。先程紹介したディフェンディングサードでのヴォルフスブルクの守備。この守備を破るためにCHの飛び出しが必要だった。現にこの試合の先制点はCHの飛び出しから生まれたものとなった。ではなぜ、CHが飛び出す事で優位に立つ事ができたのか。

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まず先程も説明したように、ヴォルフスブルクの守備はこのようになっていた。この局面での守備の人数は『同数』となっている。

だがここにCHが加わる事で、ドルトムントは『数的優位』に立つ事ができる。

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このようにWBがボールを持った時点でSTが外に流れて場所を空ける。そしてそこにCHが入る事でこの局面で数的優位を作り出す。

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このようにこの局面で数的優位を作り出せる理由は先程も少しふれたヴォルフスブルクのCFの守備の不参加があったから。配置の噛み合わせが最悪とも言える4-4-2と3-4-3。ここを埋める仕事は少なくともCFが行わなければならない。ヴォルフスブルクはこれを行わなかったので、ドルトムントにこのような状況を作られてしまっていた。

そしてドルトムントは空いたスペースに入ってきたCHにパスをする事でバイタルエリアで時間を持って前を向く事ができ、チャンスを作り出す事ができいた。

 

これらのように主に3つの優位性を保つためにドルトムントはプレーをしていた。

前節もそうだったが、相手をしっかりと観て、動かす事でこの試合も勝利できていた。

 

まとめ

ミッドウィーク開催のデア・クラシカーに向けて勢いのつく2連勝。内容ともに充実したものになったのではないだろうか。

そしてこの試合で、改めて気付けた4-4-2と3-4-3の噛み合わせの関係。「4-4-2はバランスの取れた守備を行う事ができる」とよく耳にするが、その絶対条件として『CFの守備参加』が絶対条件にある。圧倒的な堅守を誇るシメオネ率いるアトレティコマドリード。誰も予想していなかった優勝を果たしたミラクルレスター。ともに4-4-2を採用するチーム。そして共通点として、『CFの守備』が義務付けられている。だからどんなチームが相手でも守備が機能していた。

だがこの試合のヴォルフスブルクは2トップの守備参加が義務付けられていないように見えた。だから局所、局所で数的不利に陥り、後手の対応に追われていたのではないだろうか。

改めてフォーメーションの噛み合わせと4-4-2の守備の必須条件に気付く事ができた良い試合だった。

 

終わりに

最後までお付き合い頂きありがとうございます。この場を借りまして、SNSなどの紹介をさせて頂きます。

 

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③:ディベート
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  • 最後までご朗読ありがとうございました

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では次回の記事でお会いしましょう!

ブンデスリーガ ドルトムント vs シャルケ ~レフィア・ダービー。ドルトムントの流動性~

皆さん、ご機嫌よう!

一番初めに自己紹介から。気になる方は下記のリンクからご覧ください!

 

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では早速、分析レビューを行っていきましょう!

 

 

 

はじめに

サッカーを日常から取り上げられて約2ヶ月。やっとサッカーが帰ってきた。厳しい制約の下ではあるが、これほど待ちわびた事は今まで他に経験した事がない。故にサッカーとの再会を喜んだ事はなく、初めて駆られる感情も感じる事ができた。

そしてこの再開の興奮と喜びをさらに強めるかのように、準備されていた試合。それがドルトムント vs シャルケのレフィア・ダービーだ。『無観客』という寂しい試合だが、それは致し方ない。今はサッカーを観れるという幸せを噛み締めていきたい。

肝心の試合内容というと、「ドルトムント面白い」という試合内容だった。攻撃時の流動性はシャルケを翻弄し、そして4発ゴールに叩き込み、ライバルを粉砕した。

今回はこの試合で見せたドルトムントの攻撃について解説を加えていこう。

 

スターティング・メンバー

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シャルケの守備

ドルトムントの攻撃を紹介していく前に、この試合のシャルケの守備戦術を解説していこう。

ハイプレス時

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まずはハイプレス時。試合開始から失点する辺りまで、シャルケはハイプレスで守備を

行う。中央のCBに対してはCFがプレスを行い、STがそれぞれ前のCBを牽制する形。ドルトムントCHに対してはCHが前に出て捕まえる。もちろんWBに対してはWBが牽制する形。

ここまではゾーンディフェンスのような形を取っていたのだが、バックラインは徹底してマンマーク。3トップに対して3バックという構図になっていた。

そしてCFがプレスをかけると、このように動いていく。

 

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このようにCBにプレスをかけるとボールホルダーの選択肢は外のCBにパスを選択をする事が多くなる。そして外のCBにパスがで出ると、STが必ずプレスを行う。だからシャルケの守備は5-3-2のような形に見えた。(ライブ観戦中にシャルケの守備は5-3-2と指摘した。詳しくは5-4-1からCBにパスが出ると5-3-2のような形に変形)

そして引き続きCH、WBはそれぞれのマーカーを捕まえ、CBは必ずマンマークを行う。

このようにしてボールの奪い所をここ(下の図)に設定する。

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ボールホルダーに対して赤のエリアにパスを出す事を選択させる事でボールを奪い、ショートカウンターを仕掛ける狙いがあった。何度かこの守備でボールを奪うことに成功していたが、ボールを奪ってからの攻撃に関してアイディアが無く(ボールの預け所がなかった)ボールを奪うまでに止まってしまっていた。

 

構える時

構えて守備を行う時は3バックの基本形、5-4-1で守備を行う。

これで各レーンを埋め、中央に入らせない教科書通りの守備を行なっていた。

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このようにして構えた時は守備を行なっていた。この時の守備に関してはある程度機能していたのではないだろうか。

シャルケの守備の弱点

シャルケの守備はハイプレスを行うことで敵陣深い位置、特に中央でボールを奪い切ることを目的としていたが、間延びが生じ、ライン間に大きなスペースができてしまっていた。

これがこの試合の守備の弱点になっていた。

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上の図の赤のエリア。ここに広大なスペースが生じ、ここを埋める作業を放棄していたように見えた。さらにはここ(下の図)のスペースだ。

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WBが前に出ていくので、その背後のスペース、3バックの脇のスペースだ。3バックなのでここのスペースが空くことは仕方ないのだが、それでもここのスペースのリスク管理も疎かった。だから今から紹介する『ドルトムントの流動性の高い攻撃』により、4発粉砕されてしまう。

 

ドルトムントの流動性の高い攻撃

ではいかにしてドルトムントはシャルケの守備を掻い潜り、そして粉砕まで持っていったのか。その方法、ドルトムントの流動的な攻撃についてを順に解説していこう。

 

ビルドアップ

まずはビルドアップの局面から。

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先述したようにシャルケはまずCBのフンメルスにプレスを行う。そしてフンメルスは外のCBピシュチェクにパスを出すと中盤の底。DMFのポジションを取ることが多くなっていた。

こうすることによるメリットがある。まず1つ目がGKを含んだスクエアの形成だ。

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これをする事でシャル3トップに対して4人で対応する事ができ、数的優位に立つ事ができる。

そしてさらにこのようなメリットも出てくる。

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中央にCBが上がった事でボールサイドのCBは極端にサイドに流れ、サポートを行う事が可能になる。さらに逆サイドのCHもポジションを変える事ができるようになり、1列前にポジションを取る。このようにすると何が良いのか。

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このように丸で囲った選手の判断が難しくなる。CFはCBとGKのどちらを消すか迷うことになる。CBを消せばGK経由でサイドを変えられ、GKを消せばCB経由で1st ラインを突破される。またCHのゼルダーのタスクだ。CBを消せばCHのディレイニーへの縦パス、ディレイニーを消せばCBフンメルスへのパス。さらにはCFとマークが被る可能性も出てくる。

このようにしてCHとCFの判断を一瞬遅らせる事でラインを突破する事ができる。

また極端に流れたCHのサポートにより、このようなライン突破の方法も生まれる。

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上の図のようにボールサイドでもスクエアを作り出せるので、優位に立つ事が可能になる。

そしてSTへの縦パスを打ち込む事も簡単になる。

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だからドルトムントは四角のスペースを簡単に使う事で前進をし、攻撃のスピードを上げる事ができていた。

 

このようにCBがポジションを上げる⇨CHが流れる / 1列前に出るとポジションチェンジを行う事で、スクエアを作り出し、シャルケ選手の判断を一瞬迷わせ、簡単にラインを突破する事に成功していた。

 

STとCFの動き

ライン間を使う準備ができたドルトムント。さらにここから効率よく、効果的にスペースを使うため、速い攻撃を仕掛けるために、STとCFの動きの工夫があった。

流動的な動き①

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これがこの試合でよく観られた動きだ。シャルケDFはマンマークで守備を行なっていたので、STのブラントがボールを受けに下がる。こうする事でシャルケCBナスタシッチの背後にスペースができるので、そこをCFのハーランドが抜け出す。そうすると中央にできたスペースに逆STのアザールが入ってくる。

このようにしてボールホルダーは前線だけで少なくとも3つの選択肢を持つ事ができる。

これはこの試合で起こりえた1つの例を挙げてみよう。

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このようにハーランドが流れた事で青のエリアでCHが時間とスペースを持ってボールを受ける事ができる。

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そうすると一気に数的優位を作り出すことができ、シャルケの選手はボールとマーカーを同時に観る事が難しくなる。

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そうするとCHはボールをはこびながら様々な選択肢を持つ事ができ、フィニッシュまで持っていける可能性はグンと上がる。

もちろん、CHではなく、STがボールを受けるパターンも見受ける事ができた。

 

流動的な動き②

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このようにCFが降りてきてスクエアの選手を入れ替えるパターンも存在した。

その時はSTのブラントが背後へ抜け出す動きを加える事でCBナスタシッチの対応を難解にさせる。そしてもちろん、中央の空いたスペースには逆STのアザールがが入り込む事で補完性を保つ。

 

このようにして3トップが流動的に動く事でシャルケ3バックのマンマークの守備を翻弄し、ほぼ無力化する事ができていた。そして極め付けはWBの動きだ。

WBの動き

先程解説したようにドルトムントはシャルケの1st プレスを躱し、中盤と最終ラインのライン間のスペースを使って攻撃のスピードを上げる事に成功していた。

そして3トップの流動的な動きにさらにアクセントを加えるべく、WBも効果的な動きをしていた。

ボールサイドのWB

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まずはボールサイドのWBはスクエアに参加し、自分を捕まえるWBを釣り出す。さらにSTが降りる動きに釣られてCBが前に出てきた時に動き出す。それがWBの背後、CBの脇のスペースだ。ここに抜け出すことで一気にチャンスを作り出す。

このようにSTとの互換性を保つことでまたしてもボールホルダーに選択肢を与え、シャルケの選手を簡単にひっくり返すことができていた。

ボールと逆サイドのWB

そしてボールと逆サイドのWBの動き。これがとても面白いものになっていた。

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先程解説したこの局面。CFが流れ、STが中央に入る。これでも十分な流動性、連動性なのだが、さらにWBがここに加わる。ではどのように加わっていたのか。

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このようにWBがSTの位置に入り込む事で中央で受けた時のSTのサポートをする事ができる。だから、ライン間にボールが入った時に数的優位を作り出して攻撃に移る事ができる。

さらに、ここにポジションを取る事で仮に中央でボールを失ったとしても、すぐにボールサイドに人数をかける事が可能になる。

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このように中央に人数をかけれるので、すぐに攻撃に移る事も可能になる。守備面でもWBが中に絞る事で貢献をしていた。

 

もちろん、WBが中に絞る例外もある。それがこの試合の1点目のような状況だ。

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このようにCFが中央に留まる場合。この場合はWBは中に入らない。この理由はST、ないしはWBが抜け出した時に大外からクロスに合わせるため。この役割を担うためにこのような例外も存在していた。

 

まとめ

このようにしてドルトムントは危なげなく、そしてファンが楽しめるようなサッカーを展開し、ライバルであるシャルケを粉砕してダービーを勝利で飾る事に成功した。

今まではブンデスリーガを観る機会は少なかったが、この一戦を観てスカパー!を契約した。それぐらいの衝撃を受ける試合で、これからもドルトムントの試合を観てみたいとしっかりと感じる事ができる内容だった。

そしてなによりもサッカーが日常にある幸せを噛み締めることのできる、とても重要な、そして感謝しても仕切れない一戦だった。

これからもサッカーがある日常に感謝しながら、日々の生活を送っていこうと強く心に誓う事ができる、良ゲームだった。

 

終わりに

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次回も皆さんとお会いできることを楽しみにしています!ではまた次回の記事でお会いしましょう!

Jリーグ 柏レイソル vs コンサドーレ札幌 マッチレビュー ~後の先をとるレイソル~

 

はじめに

コロナウイルスの騒動がまだ落ち着かない中、DAZNでJリーグの開幕戦をゆっくり、そしてしっかり見る事ができる。これほどありがたい事があるだろうか。逆に通常通り、リーグ戦が進んでいたのならば、全チームを網羅することはできなかっただろう。裏を返せば、ゆっくりとサッカーを見る時間があるということになる。(それでもサッカーがない日常は虚無感がとてもあるが…)

そして今回、観戦させて頂いた試合は、J2で圧倒的な強さを誇り、J1の舞台に舞い戻ってきた柏レイソルと、ミシャの下、攻撃的で魅力的なチームに激変したコンサドーレ札幌の開幕戦。

スコアだけ見ても、スリリングでエキサイティンがな試合を演じたことが容易に理解できる。

そして期待をして蓋を開けてみると、予想通りの内容の詰まった良い試合だった。

特に柏レイソル。昨シーズン、J2で圧倒的な強さを誇った理由がわかる試合内容だった。では今回は柏レイソルがどのようにして難敵のコンサドーレ札幌を粉砕したのか。

これを解説していこう。

 

スターティングメンバー

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 これがスターティングイレブン。

ではいかにして柏レイソルがどのようにコンサドーレ札幌を動かし、そして攻撃に移り、完結させていたのか。これを解説していこう。

 

柏レイソルが時間を作り、起点を作る場所

ゴールを奪うためには前進が必要なスポーツ。その攻撃を組み立てるために必要なのが時間とスペース。いわゆる起点だ。

この試合の柏レイソルはどこにその起点を作り、そしてどのようにスペースと時間を確保していたのか。

まずは下の図をご覧いただきたい。

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柏レイソルにスペースができていたのは上の図の白のスペースだ。ホームチームはこの試合、ここのスペースで主導権を握る事で、コンサドーレ札幌を動かし、後手の守備をさせることに成功した。

ではなぜ、ここのスペースを使う事ができたのか。その要因を解説していこう。

 

  • 先手を取るコンサドーレの守備

この試合のコンサドーレ札幌の守備戦術。確実に柏レイソルとの噛み合わせは「悪かった」と言っていいだろう。だからスペースが生まれ、そしてそこを起点に攻撃を構築された。

ではコンサドーレ札幌の守備について紹介していこう。

下の図がセットされた時の守備。

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コンサドーレ札幌は基本的にハイプレスを仕掛け続けていた。そのため、上の図のように5-2-3のような形でハイプレスを仕掛ける。プレス開始のスイッチはCFのジェイがCBにプレスを仕掛けた時。これに連動してSTがプレスを仕掛ける。そしてボールを外回りにさせる、または外回りになる事を嫌った柏レイソルが中央に入れる縦パスを奪う事でショートカウンターを仕掛ける。

ではここで少しハイプレスを仕掛けた時、後ろの選手がどのように連動していたのかに触れていこう。

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このようにSBにパスを出させ、そこにSTがプレスをかける。そうするとボールを受けに降りてきているIHに対してCHが前に出て捕まえる。この時にDMF(三原)に対してCH(荒野)はプレスに出ない。ここでCH(荒野)が前に出てDMFを捕まえないのはライン間にIH(江坂)を捕まえる事、そしてオルンガへのロングパスの2ndボールを回収するためだ。

このように中央の選手を捕まえる事でSBはSHへのパスの選択をする可能性が高くなる。

だからここも捕まえるために、WBがバックラインから出てきて捕まえる事でSTと挟み込み、ボールを奪取する。

このようにする事でこのエリアでボールを奪う事を目的としていた。

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サイドを徐々に圧縮する事で四角のエリアでボールを奪う事を目的としていた。

 

だがこの守備に対して柏レイソルのビルドアップが最初に紹介したスペースを作り出す布石となる。

ではどのように柏レイソルはコンサドーレ札幌のハイプレスを掻い潜っていたのか。

 

  • 後の先を取るレイソル

コンサドーレのハイプレスで先手を取られるレイソルだが、その「先手」を待っていたかのように、「後の先」をとり、相手を混乱に陥れる。それがビルドアップの局面で現れていた。

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例えば先ほど解説したコンサドーレの守備。

このようになってしまうと、嵌められてしまいボールをを失うリスクは高くなる。

このプレスにホームチームは前半の15分あたりまでは嵌められていたが、ここから徐々にポジションを修正しつつ、後の先を取れるようになっていく。

そのポジション修正を下の図に表してみた。

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このようにCBが広がり、SBを一列前に押し出しすようにポジションを修正。そうすると押し出されたSBと場所が被るので、SHは中(ハーフスペース)にポジションを取り直す。

さらにDMFがコンサドーレCH(宮澤)の脇に降りる事で局所で数的優位を作り出す。このようにポジションを修正した事で、コンサドーレのST(チャナティップ)とCH(宮澤)の対応が難しくなる。

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この図のように幅を持ってボールを受けたCBの選択肢はこのようになる。もしもSTがプレスに来なければSBにパスを送り、プレスに来た場合はDMFかCHへの縦パス、GKまたはCB経由のサイドチェンジを行う事で、プレスを回避する。

ここで中央のCHまたはDMFに縦パスを打てる理由は、四角のエリアで数的優位を作り出しているから。

だからコンサドーレはもう一枚のCHを前に上げて対応を行う。だがこれを見てCBは次のように選択肢を変える事が可能になる。

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このように中央で数的同数を作られた場合はCFへのミドルパスを選択。ここに迷いなくパスを打ち込める理由は2つある。

 

まず1つ目がオルンガが基準点型CFという事。彼が中央でボールを収められる、またはルーズボールを作り出す事ができるので、迷いなくボールを送る事ができる。

 

2つ目がコンサドーレCHが前に出たことによる間延び。このように若干の間延びをさせることで白の四角のエリア、ライン間にスペースができる。ここに位置しているのがIHの江坂。

ライン間でフリーな状態になっているIHがいることでCFへのロングパスで作った2ndボールを圧倒的に優位に拾う事ができる。またCFがボールを収めた場合はすぐに前向きのサポートを行える。

 

この2つが選択肢を変えてCFへのロングパスを打てる2つの理由だ。

 

またこのようにIHへの縦パスも打てる。

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IHへの縦パスを打てる場合はSTチャナティップがSB側による事が条件として入る。だがここでも相手の動きを見てCBは選択肢を変更できるため、優位に立っている事がわかる。

 

さらにこのような状況も見受ける事ができた。

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コンサドーレ札幌はCBを敵陣深くまで追いやると、STが中央を消しながら、SBを捕まえるポジションを取る。ここまで完成すると、初めてWBがSHのところまで出てきて嵌め込む。

こうすると柏レイソルは中央にも、SBにも、CFへのミドルパスを出すことも難しくなる。

だがここで空いてくるスペースができる。それがWBの背後、3バックの脇のスペースだ。

ここのスペースへCFが抜け出し、CBがボールを送ることで押し込まれた状態から一気に戦況を変える事ができる。

実際に先制点はこのような形からコンサドーレ札幌をひっくり返し、IHがライン間でボールを受けてゴールが生まれている。

 

このような数多の選択肢でコンサドーレ札幌の守備を掻い潜ったことにより、相手選手の判断を難しくさせ、先手を取る事を機能不全にさせた。

だからレイソルは先述したエリアでスペースと時間を得る事ができたのだ。

 

 

スペースと時間を得てからのレイソルの攻撃

先ほど解説したような方法で試合を進める事で丸のエリアで時間とスペースができる事を先ほど解説した。

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ではこのエリアでボールを持つと、どのように攻撃を仕掛けていたのか。

次はこれについて解説を加えていこう。

 

①:SB起点のシンプルな背後

まずはこの試合で1番多く見受ける事ができた攻撃。それが相手バックラインへの背後へのボール。

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このようにシンプルにバックラインの背後へロングパスを送り込む。この攻撃ができるのはCFオルンガの圧倒的な身体能力と抜け出す動きが上手だからだ。

この攻撃が柏レイソルの最大限の強みで、そして様々な攻撃のバリエーションを生み出す事になっている。

 

②:IH江坂への縦パス

攻撃時第一優先事項である、「オルンガを走らせる背後へのパス」がある事で生きてくるのがIH江坂への縦パスだ。この攻撃を構築できるのはライン間でのプレーに長けている江坂がいるから可能になっているのだろう。ではなぜライン間にスペースができ、そのスペースでボールを受ける事ができるのか。

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このようにCFがCBを引っ張る事で、ライン間のスペース(丸のエリア)が空いてくる。

ここが空く理由は、先ほども少し触れたようにCH(宮澤)が前に出てIHを捕まえるから。

だからこそ、CH(荒野)の脇のスペース、大きく括るとライン間にスペースができる。ここへIHの江坂が入る事でIHとCF、SHの4人で攻撃を完結する事ができる。

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4人で攻撃を完結できる理由はWBがボールホルダーよりも後ろにいて自陣ゴールに向かってプレーをすることになる。そしてSHは前向きにプレーができる。だから白の四角のエリアで実質4vs3の状況になる。このような状況に持ち込む事ができたので4人で攻撃を完結する事ができていた。

 

  • CFの背後 / IHにパスを打ち込めない場合

この2つを打ち込めない場合ももちろん存在する。事の全てがうまく進むほど、サッカーというスポーツは甘くない。だが、柏レイソルはこの2つを封じられた時の対処方法を持っていた。それがこちら。

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このように中央を使わせまいとコンサドーレ札幌はポジションの修正を加える。

そうすると柏レイソルはCB経由でサイドを変える。これで逆サイドのSBがフリーでボールを受ける事ができる。ここでSBがフリーになる理由はコンサドーレ札幌が中央を締めるためにボールサイドにスライドしていて、逆のWBはSHをマークするためにピン留めされているから。

 

このように逆のSBにボールが渡ると再び①〜②を繰り返し、そしてこれらが封じられると③に戻る。これを順にプレーする事で柏レイソルはコンサドーレ札幌を粉砕し、敗戦に追いやることに成功した。

 

まとめ

正直なところ、コンサドーレ札幌が圧勝すると予想をしていたこの試合。だが蓋を開ければ強かった柏レイソル。現メンバーでの戦いの最適解を導き出しているのではないだろうか。

少なくともこの開幕戦を観戦する限りはこのように感じる事ができた。

しっかりとゲームモデルとゲームプランを立てられ、それを実行できる選手が揃っている。

だからこそ、難敵のコンサドーレ札幌を退けることに成功したのではないだろうか。

これからコロナが収束に向かい、Jリーグが再開した時に注目してほしいチームの1つだ。

時間がある方はぜひこの試合を見返してみてほしい。

 

Re-live 18-19 PL チェルシー vs マンチェスター・シティ 〜チェルシーのゲームプランを読み解いてみる〜

 

 

はじめに

昨シーズンのビッグマッチ。この試合を記憶している人は多くいるのではないだろうか。

智将サッリ監督とグアルディオラ監督の意地のぶつかり合い。そしてこのビッグマッチを制したのは当時チェルシーを率いていたサッリ監督。この試合で感じた事は「やはりサッリ監督はイタリアの監督なのだな」という事。

攻撃的なサッカー、ボールを握ることを好むサッリ監督だが、この試合のために準備してきていたものは、守備から試合に入ること。この緻密な守備戦術こそがサッリ監督がイタリアの監督だということをし認識させた。

ではこの試合、どのようにしてチェルシーは圧倒的な強さを誇っていたペップ・シティを完封し、勝利を収めたのか。今回はこの方法を紐解いていこう。

 

スターティングメンバー

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これがこのシーズンの両チームのスターティングメンバー。

ほとんど両チームともほとんどのメンバーが変わってないが、このシーズンはお互いにCFに悩まされていたシーズンだった。そのためCFにはチェルシーはアザール、シティはスターリンングが入ることになった。

この採用にも意図が隠されていたので、後に解説をしていこう。

ではこの試合のレビューをしながらサッリ監督が準備をしてきたゲームプランについて紹介していこう。

 

勝負に勝ち、試合に負けた前半

前半はほとんど牙を剥くことができなかったチェルシー。

ほとんどの時間帯で防戦を強いられ、前半唯一のシュートがゴールに繋がった。

だがこのゴールを奪うためにチェルシーは守備的な戦い方で試合に入った。

ではどのような守備戦術、守備的なゲームプランを用いていたのか。

チェルシーがやりたかった守備戦術

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これがチェルシーが用意してきた基本的な守備の入り方だ。

まず1番の特徴。それが白の四角のエリアだ。ほとんどペナルティエリアの幅で構える事で中央へのパスコースを徹底して消す。こうする事でIH、D・シルバとB・シウバへの縦パスを入れさせないようにする。特にこのシーズンのこの2人。ライン間でボールを引き出す動きとそのポジショニングでライン間でボールを受けてチャンスを多く創出していた。

だからサッリ監督はレーン2〜3を徹底的に消す守備戦術を採用。

そしてさらにはDMFのフェルナンジーニョに対してDMFのジョルジーニョが牽制を行う事で組み立てを参加させない事とここを奪い所に設定していた。

 

そして中央を締めた事でボールを外回りにさせる事に成功。このようにする事で奪い所を青のエリアに設定。

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SBにパスを出させ、それと同時にWGが牽制。さらにボールサイドのIH(ここではコバチッチ)はシティのIHへのパスを消す。これでSBにパスを出させてボールを奪う。

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このようにWGにパスが出ると同時にSBがプレスを行いボールを奪う。この時にもちろんバックラインが横スライドを行う事で互換性を保つ。

さらにIHとDMFが縦スライドを行う事で中央のスペースを埋める。これでボールを奪うと、カウンターを仕掛けることができる算段だったのだがそうはいかなかった。ではなぜうまくいかなかったのか。

 

チェルシーが上手くいかなかった理由

チェルシーの前半はシティの前進方法とその剥がし方によりかなりの苦戦を強いられた。

ではどのようにしてシティは守備網を掻い潜っていたのか。なぜチェルシーは上手く嵌めて奪うことができなかったのか。

 

1:CBvsCFの数的不利

まず1つ目に挙げられるのがCB vs CF の場面。チェルシーサイドだと数的不利、シティサイドだと数的優位になる状況だ。

シティは必ずバックラインで数的優位を作り出すのでサッリ監督はここの対応を「ある程度放棄」していた。だが前半はここを放棄した故にうまく守れなかった。

それがCBラポルテの存在だ。

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左利きのCBのラポルテの存在。上の図のようにSBとパス交換を行うことでチェルシーはノールサイドに若干寄ることになる。そして一気にラポルテから逆サイドへの対角線のパス。

左利きなので身体を開いた状態でボールを受けることが可能になるから視野を確保しやすく、右利きよりもワンテンポ速くボールを供給できる。だからバックラインのエリアで数的不利に陥っていたチェルシーはラポルテを消すことができずに幅を効果的に使われて後手の守備に追われていた。

 

2:CFスターリングの動き

次にチェルシーが上手く守れなかったのはCFのスターリングの存在だ。

ではなぜ彼の存在が上手くいかない原因となっていたのか。

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この上の図のようにスターリングがCBからボールを引き出すために降りてくる動きを入れる。これができるのはDMFのジョルジーニョがDMFのフェルナンジーニョを牽制するために前めのポジションを取っているから。

これでスペースができるのは赤丸のエリア。ここに逆のIHがポジションを取るので、コバチッチはスターリングをマークすることができない。だからシティは白の四角のエリアで数的優位を作り出すことに成功。そして相手を見てプレーを変える。

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このようにCBラポルテは多くの選択肢を持てる。

CFへの縦パス、IHへの縦パスに加えてチェルシーCBがCFスターリングを捕まえるために前へ出てくるようであればWGのサネへの背後へのパス。

このようにしてチェルシーは守備が嵌まらず、シティはゲームを支配した。

 

3:シティのIHへのボールの届け方①

チェルシーはCBを自由にさせていることで上手く嵌っていなかったのでCBを牽制するように戦い方を少し変更する。

だがこうなると、シティIHへのパスコースができてしまう。このボールの届け方はシンプルだがとても効果的なものだった。ではシティはどのようにしてボールをIHのD・シルバまたはB・シルバに届けていたのか。

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まずチェルシー。IHがCBにプレスに行くと、もちろん中央を消すためにWGが若干中のポジションをとり、ライン間にポジションを取るIHを消す。これでCBからの縦パスは消せるのだが、空いてくるのがSB。そしてシティはそのSBにパスを出す。

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このようにIHが前に出たことでその背後には広大なスペースが生まれることになる。ここを使うのが上手なシティ。SBにパスを出すことでIHについていたWGを引き出す。これでIHがライン間でボールを受けることができる。

さらにWGが追り出されなかった場合はSB⇨WGの順にパスを回すことでチェルシーWGを敗走させ、シティIHはすぐに内側にサポートを行うことでSBの対応を難しくさせる。

これがシティの低い位置からIHを使う方法。

 

4:シティのIHへの届け方②

そしてもう一つがアタッキングサード付近でのIHへのボールの届け方。

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特に前半はチェルシーの守備の穴を突くことでIHが効果的にボールを受けることができていた。それが上の図だ。先述したようにチェルシーはWGにボールが入った所をボールの奪い所としていた。

だからIHはWGへプレスを行うことで数的優位を作り出し、ボールを奪うことを試みた。

さらにDMFのジョルジーニョは中央(逆のIHのD・シルバを消すため)のスペースを埋めた。

そうすると空いてくるのがボールサイドのIH。シティの選手はプレスを受けても確かな能力を発揮できる選手が揃っている。だからこそ、WGからシンプルに中にパスを出すことでIHがフリーでボールを受けることができた。

 

この4つがチェルシーが前半、上手くいっていなかった理由だ。

 

戦況を大きく変えた対角線のパスと先制点

ここまで紹介したようにチェルシーはシュートを打てず、さらにはCKも得ることがないまま、前半を防戦一方で終えるかと思われた。だが戦況を大きく変えたのはCBのD・ルイスからの一本の対角線のロングパス。

シティに何度も打たれたこの対角線のパスでチェルシーは一気に後半からの流れを掴む。

この一本のパスがあり、そして先制点を奪ったからこそ、後半のシティの守備の対応を変えさせ、綻びを生じさせた。

 

シティにはラポルテ、チェルシーにはD・ルイス。「司令塔」の役割をこなす選手が徐々にポジションを落としていることの答えが容易に理解できる良い試合だった。

 

勝負にも試合にも勝った後半

前半終了間際の先制点により、チェルシーは後半から試合を優位に進めることができるようになる。ではなぜ試合を優位に進めることができ、そして用意していたゲームプランをほぼ完璧に遂行することができるようになったのか。

その理由について触れていこう。

 

1:シティの守備戦術の変更

シティは後半から明確な守備の変更を行った。では前半と後半の守備の配置の違いを比べ、確認してもらいたい。

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これが前半の守備。基本的に前から圧をかけサイドを圧縮して高い位置でボールを回収する。その時にIHのB・シウバが前に出てCBにプレスを行い、CFのスターリング、(30分あたりからマフレズがCF)がGKと逆のCBにプレスに行ける場所を取る。IHが前に出たのでWGがIHを牽制。また逆のIHが横スライドを行い、DMFを牽制。これでSBにパスを出させる。

SBにパスが出ると、特にRSBのウォーカーはLSBのアロンソまでプレスに出ることが多かった。そしてバックラインも極端にスライドを行う事で、ボールサイドを狭くし、高い位置でボールを奪い切る守備を行なっていた。

だがこの守備の弱点として、「対角線のロングパス」に極端に弱い。だから前半の終了間際、CBからのロングパスで広い方に展開され、後手の守備になり失点をしてしまった。

それに伴い、後半からこのように配置を変える。

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後半からCF(もしくはIH)が逆のCB、特にD・ルイスに対してマンマークを行うことで対角線のロングパスを防いだ。

だがこうするとサイドを圧縮する強度下がってしまうのでSBがSBに対してプレスに行く頻度が減った。これは万が一の場合を備えてのことだろう。

だがこの守備の変更により、チェルシーは時間を持てるようになり、簡単に(このレベルの選手だから)前進できるようになった。

ではどのように前進をするようになったのか。

 

2:WGが下がってボールを受けるようになる

前半はボールを受けることが厳しかった両WG。それはシティの守備に関連していたのは言うまでもない。だが先に述べたようにシティの守備の変更により、WGがボールを受けれるようになった。これによってチェルシーは早い攻撃を仕掛けれるようになる。ではどのようにボールを受け、そしてどのように攻撃を完結させていたのか。

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シティはSBにボールが入るとIHをマークしていたWGがプレスを開始。

そうすると空いてくるのが白丸のスペース。前半はここにIHが流れることが多くなっていたのだが、シティSBがチェルシーSBまでプレスに行かなくなったので、ここにスペースが空いていた。このスペースにWGが降りることで何が良かったのか。

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このようにWGが降りる事でシティSBの判断を難しくさせる。

もしもここでプレスに行けば走力のあるIHが抜け出すことができ、来なければWGがそのまま運ぶことができる。

これに似た攻撃を前半から仕掛けようと試みていたが、前半はIHがサイドに流れるので後ろから飛び出す選手がいないこと、さらにシティの守備が高い位置からのハイプレス(特にSBの位置)だったので、このような攻撃を仕掛けることができなかった。

だが後半から明らかにWGが降りてボールを捌くことが多くなっていたので、ハーフタイムに指示があったのではないだろうか。

 

3:見えてきたCFアザール起用の意図

WGがサイドでボールを引き出すことで前進できるようになったチェルシー。この現象が生まれたことで、CFで起用されたアザールの意図がここで見えた。

前半はアザールの頭上を超えるボールが多くなっていたが、後半からしっかりと足元へのパスが入るようになっていた。

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ちょうどこの図のようにWGからアザールへのパスが多くなっていた。

そしてCFでアザールが起用された理由は状況判断能力とボールの扱い(キープ力、ドリブル、フリック)に長けた彼をCFで使うことにより、中央で時間を作ることができるからだ。時間を作るだけならジルーで良いのではないのかと思うかもしれないが、この試合は守備から試合に入るプランだったので、必然的にカウンターが多くなる。そこでよりスプリント力のあるアザールの起用だったのだろう。

またシティSBを釣り出すことができた場合に、アザールならサイドに流れてゴールへ向かって仕掛けることが可能だ。だからアザールをCFで起用したのではないだろうか。

 

仮に前半同様、アザールの頭上を超えるボールが引き続き多くなっていたのなら、70分あたりでジルーを投入していたはずだ。

 

4:守備戦術の修正

後半から攻撃を仕掛けれるようになったのは守備での修正が入ったから。

前半は明らかな後手の守備だったが、後半からはほぼ完璧に嵌めて奪うことができていた。

ではどのように修正を行なったのか。

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まず1つ目の修正がこうなっていた。

CBに対してCFとIHが牽制を行う。このようにしたことで、CB(特にラポルテ)からの展開w防ぐ。そしてもう1つの懸念材料がIHへボールが入ること。これを前半は許していたから本来奪うたいWGでボールを奪えなくなっていた。だから逆のIHが中に絞り、逆のWGが少し下がったポジションを取る。これでボールサイドのWGは存分にSBにプレスに行けるようになる。

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そしてこのようにWGにSBがプレスを行えるようになったので、ボールを奪えるようになっていた。

 

そしてもう1つの修正。それがディフェンディングサード付近での修正だ。

前半はこのようにIHを使われていた。(下の図)

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これはジョルジーニョが中央のスペースを優先的に埋めていたので、このような状況が生まれていた。だが後半からはこのように修正を施した。

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このように中央を埋めるのではなく、しっかりとIHを捕まえるようになっていた。こうすることでボールを持ったWGはパスコースがなくなり、数的不利の状態でドリブル突破、またはキープをしなければいけなくなる。

 

この2つのちょっとした守備の修正により、守備が嵌るようになる。いかに速くちょっとした修正を施すこと、そして細部までこだわる事が重要かが理解できるものだった。

 

まとめ

サッリ監督は後半に起こり得た事を前半から実行しようとしていたのではないだろうか。

だが前半はシティの準備とそれを実行する強度が高かったので思い描いたゲームプランを実家応する事ができなかった。

だが一本のロングパスとそれによる先制点、そしてハーフタイムでの的確な修正により、再びゲームプランを立て直すことに成功した。

さすがはサッリ監督。しっかりと的確な指示を送っていた。

個人的にはこの試合を見返せば見返すほど、『チェルシーが先制点を奪えなかった状況でどのような修正を施すのか』という世界線も同時に見てみたかった。

お互いにゲームプランを構築するアイディアを多く持っている監督だからこそ、このような目を奪われる試合を行えたのだろう。

やはりサッカーは複雑で面白いと感じることのできる、好ゲームだった。

皆さんももう一度この一戦を見返してみてはどうだろうか?

 

終わりに

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  • 最後までご朗読ありがとうございました

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皆さんに分かりやすく伝えていけるように精進して行きますので、これからもよろしくお願いします!

では次回の記事でお会いしましょう!

 

 

 

 

サッカー観戦のknow-how 〜『前進』の注目し見極めるポイント〜

 

 

はじめに

サッカーを勉強し、分析したい。サッカーをより詳しくなりたい。より面白くサッカーを観戦したい。サッカーIQがかなり低かった僕は、まず『前進の方法』に注目し、そしてここまで試合を読み解き、分析できるようになった。

 

そこで皆さんはサッカーを観戦する上で、まず何に注意をするだろうか。

僕はこの『前進』の方法に焦点を置く。それはなぜか。

サッカーとはゴールを奪わないと勝てないスポーツだからだ。そしてそのゴールを奪うためには『前進する事』が必要だからだ。

この理由があるから僕はまず、『前進方法』に注目する。

 

今回は『前進』の局面でどこに注目すべきなのかを紹介していこう。

 

①:前進の種類

まずは前進の種類がどのようなものがあるのか。これを紹介していこう。

  • ロングパス

まずはロングパス。

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1番簡単に、そして嵌れば一気にゴールチャンスを生み出す事ができる前進方法だ。

多くの場合は最前線に基準点型CF、または後列にキック精度が高い選手が必要になる。

ロングパスで越したラインの選手を背走させる事ができるメリットもある。

だが相手がプレスに来ない場合、セットされた守備の場合はその効果は薄いものとなる。

また自分たちの陣形も崩れやすいデメリットもある。

 

  • ショートパス

次にショートパス。

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ポジショニングでスペースを作りながら、相手のラインを丁寧に一つずつ突破していく。

ポジションを入れ替えたり、陣形を変更しながら前進していくので、相手を混乱に陥れつつ、自分たちのバランスを保ったままプレーをする事が可能になる。

だが低い位置で奪われる可能性が高くなり、仮に奪われてしまうと一気にピンチになってしまうと言うデメリットもある。

 

  • ドリブル

シンプルに相手を剥がして前進していく方法。

ドリブルで相手を剥がし、前進する事ができれば数的優位を作り出す事が可能になり、優位に立つ事ができる。

これも1つの前進方法だ。しかしボールを奪われると奪われた選手は無力化されるデメリットがある。

 

  • キック&ラッシュ

キック&ラッシュ。プレミアリーグの伝統的な戦い方だ。この前進方法はオールドスタイルt言われる事が多くなってきたが、ここ最近、整理されたキック&ラッシュを採用するチームが多くなってきている。

典型的なチームがリバプール。簡単に言うとロングパスを送り込み、その2nd ボールを回収することで物理的に前進する。

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このように背後にボールを送り(キック)、全体を素早く押し上げる(ラッシュ)する事でコンパクトに保ち守備に入り、ボールを奪う事で結果的に相手陣内まで押し込んでいる状態を作り出す。

 

この主な4つの前進方法を見極めよう

まずはこの4つの前進方法を見極めよう。まだまだ多くの前進方法はあるが、主に使われるのが上記で紹介した方法だ。

自分がサポートしているチーム、なんとなく観戦している試合、がっつり勉強するために観戦している試合。どの試合でもサッカーは必ず『前進』を行っている。

だからこそ、どのように前進しているのかを気にかける事でまた違った角度から試合をみる事ができるのではないだろうか。

 

②:どこを経由しているのかを見極める

主な4つの前進方法を確認したら、次に確認する事が『どこを経由して前進をしていいる』のかという事。

例えば中央を経由しているのか、サイドから前進しているのか。はたまたロングパスを送る際、センターなのか、サイドなのか、相手DFの背後のスペースなのか…

多くの経由場所があるはずだ。初めは難しいのなら、「中央」か「サイド」で考えてみても良いかもしれない。慣れてきたらどのレーンをよく経由するのか、というのを意識すれば良い。

ちなみに僕も初めは「中央orサイド」から入った。個人的にはこれがおすすめだ。

 

そしてもう1つ。それが『よく触る選手は誰か』という事。

ボールを中心にプレーが行われるサッカー。ボールを保持している選手が「主役」となり、判断を下す。だからこそボールをよく触る選手を見つけて頂きたい。

 

これを見極める意図

①:キーマンとそのチームの方針のヒントを得る事ができる

ボールをよく触る選手を見つける事で誰がキーマンであるかという事を見つける事ができる。

だからこそ、その選手を生かすために周りの選手がどのように動いているのかというチームの方針のヒントを得る事ができる。

さらに外経由なのか中央経由なのか。これに気付くだけでもチームのその後の攻撃のヒントを得る事ができる。

 

②:後の自分たちの修正に気付ける

例えば前半に中央経由で前進をしていたとする。だがこの中央経由の前進方法が上手くいかなかった場合、必ず何かの修正を加えるはずだ。そこで「どこを経由を経由しているのか」というのを見極めていると修正にすぐに気付く事ができる。

 

Progression:相手の守備の対応がどうなのかが分かる

キーマンと前進の際に経由するところ。これを見極める事ができれば次に見れるのが相手がどのように守備をしてきているのか。中央を経由するチームにはどのように守備を行っているのか、外を経由するチームに対してはどのように守備を行うのか。この見極めができるようになる。

 

 

③:出発点とスペースの運用の見極め

最後に見極めて欲しい事。それが出発点とスペース運用の見極めだ。

ではまず出発点とはなんなのか。

それは『前進するためのプレーを行う最初の選手』のことを僕は表している。この選手は例えばSBであったり、CBであったり、DMFであったり、SHであったり、GKかもしれない。

「この選手にボールが渡り、そしてこのプレーをした時によく前進している」というのを見つけてもらいたい。

 

そしてもう1つがスペースの運用だ。

これは「どこに」そして「どのように」スペースを作っているのかを見極めて頂きたい。

サッカーには大きく4つの観るべきものがあり、それが「ボール」、「味方」、「相手」、そして「スペース」だ。

そして攻撃の際はスペースを作り、守備の際はスペースを埋める。

これは基本的なことなので、前進する際にどこに、どのようにスペースを作っているのかを見極めて頂きたい。

 

これを見極める意図

規則性のものと突発性のものを見極める事ができる。サッカーは複雑で意図して作り上げた状況と、意図せず作り出した状況が生まれる事があり、そしてそれが混雑しているので難解になっている。

だからこの複雑で難解tなっているものを見極め、規則性を見つけるためにこれが必要だ。

さらに先述したものと被ってしまうが、後の自分たちの修正と相手の守備に気付く事ができる。

 

Progression:スペースを使った・使わなかった意図

スペースを必ず使うかと聞かれればそれはNoになる。

そこでなぜこの前進するタイミングでスペースを使ったのか、使わなかったのかを考える事でより深く踏み込んだ観戦をできるのではないだろうか。

 

まとめ

ここで紹介したのが僕が実際に、勉強するにあたって最初に勉強した方法だ。

サッカーというスポーツは勝利をするためにゴールが必要なスポーツで、そのゴールを奪うために『前進』が必要なスポーツとなっている。

だから1番最初に取り組んだのは『前進』に注目し、プレーを見極めれるように努めた。

そのために3つの観戦ポイントを意識し、そしてそこから枝分かれのように詳細を詰めていった。(もちろんまだまだ勉強が必要)

サッカーIQが低かった僕でもここまで来れたのだから、皆さんもまだまだIQをあげられると僕は信じている。その皆さんのIQ向上や勉強、そして観戦をより楽しくなる手助けになっていれば幸いだ。

 

終わりに

 

最後までお付き合い頂きありがとうございます。この場を借りまして、SNSなどの紹介をさせて頂きます。

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  • 最後までご朗読ありがとうございました

最後までご朗読、ありがとうございました。

皆さんに分かりやすく伝えていけるように精進して行きますので、これからもよろしくお願いします!

では次回の記事でお会いしましょう!