PL リバプール vs アーセナル 〜アーセナルの戦い方と失点の原因〜

 

はじめに

開幕から毎週のように行われるビッグゲーム。今節のビッグゲームはリバプールvsアーセナル。欧州王者のホームにアーセナルは乗り込む形での試合で、とても難しいものになることはエメリ監督もわかっていただろう。そしてエメリ監督はリバプールをリスペクトした上で、『奇策』とも言える戦術でこの試合に望んだ。結果は欧州王者に粉砕されることになったが、それでも内容は悲観するものではなかったのではないだろうか。では今回はエメリ監督が採用したこの試合の戦術について紹介していこう。

 

スタッツとスタメン

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https://www.whoscored.com 

WhoScored.comより引用

 

これがお互いのスタメンと最終スタッツ。リバプールはいつも通りの4-3-3。アーセナルは4-3-1-2で試合に臨んだ。カウンターを狙うために足の速いオーバメヤンとぺぺを2トップに並べる布陣だ。では詳細を解説していこう。

 

アーセナルの奇策

なぜこの並びだったのか

ではなぜこの並びだったのか。それはこのようにそれぞれがマークをはっきりさせるためだったのではないだろうか。

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このようにそれぞれのマークがはっきりする。「SBはどうするの?」と言う意見に対しては後ほど説明する。4-3のブロックを作り出すことで中央を固め、カウンターを狙った。そしてリバプールのキーマン、フィルミーノに対しては中央のジャカとCB2枚で挟み込むような形で封じ込んだ。これでしっかしと守れていたのだが、OMFのセバージョスに関してはDMFをマークするのではなく、割と自由に動いていた。これは指示があったのか独断だったのか定かではないが、攻守のリンクマンとの役割を果たすためにマークを捨てて動いていたのだはないかと考える。ではSBのマークをなぜ捨てていたのか、それは守備の決まりとその目的に起因しているので早速解説しよう。

守備の決まりとカウンター

ベンゲル体制時には考えられなかったまさかの『守備的』な戦術。エメリ監督はしっかりと勝ち点を稼ぐために現実的な戦術を使用した。そこで守備の決まりがこのようなものだった。

ペナ前まで吸収

ボールを失うとアーセナルはボールを奪いに行くのではなく、2トップがホルダーにプレスをかけながら、ペナ前(赤いライン)までリバプールを吸収。

(白⇨アーセナル 黒⇨リバプール

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この目的は背後にスペースを与えなことで、リバプールに3トップの一番脅威的な『スピード』を消すことに成功。これが第一の決まり事としてあった。

 

ペナ幅で守る

これが第二の決まり事。上の図でも示しているように、リバプールのSBには広大なスペースがあった。ではなぜペナ幅で守り、サイドを捨てたのか。それには2つの理由がある。まず一つ目はリバプールの3トップに「高さ」がないこと。だからクロスを上げられても跳ね返せるとエメリ監督は考えたのだろう。そして二つ目が2トップのカウンターを生かすため。これはSBに攻撃参加をさせ、その空いたスペースにボールを落とし、そこからロングカウンターを仕掛けることを目的としていた。

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この攻撃を仕掛けるためにペナ幅で守る選択をし、そしてSBを誘き出す方法をとった。このカウンターを成功させるためにオーバメヤンが少し下がり、「浮く」ポジションを取ることで、CBが出るのか出ないのかの選択を迫らせ優位に立った。さらにシンプルに前にボールを送ることでリバプールのハイプレスをかいくぐる目的もあっただろう。この攻撃で何度かチャンスを作ったが、決めきれなかった。もしも一つでも決まっていれば試合内容、結果は変わっていただろう。

ペナのラインを越えられた時

そうとはいっても欧州王者のリバプール。ゴールに迫る迫力はものすごいものがあった。もちろんそうすると、ゴール前に人数をかけられる。その時の守備の決まりがこれ。

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このようにラインをゴールエリアに設定。そしてSBもしくはWGが深い位置まで侵入すると、ここでもペナルティエリアまで吸収。ボックス内に侵入されそうになると対応に行くということを徹底した。これはマイナスのクロスを警戒しているので、ボックス内には侵入させなかったのだろう。

 

リバプールのビルドアップ時の守備

ビルドアップ時の守備はこのようになっていた。

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このように2CBに対してCFがプレスに行き、ロングボールを蹴らせないようなアプローチをとる。そして中央のDMFに対してはOMFがしっかりと牽制。そうすることでボールを外に追いやり、2、3列目が自陣に戻る時間を作る。このようにしてしっかりとブロックを作り、試合を進めていた。

 

お互いのヒートマップ

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https://www.whoscored.com 

WhoScored.comより引用

 ここから分かるようにリバプールはブロックの前でボールを回していたことが分かる。そしてその起点となっていたのがSB。ここからクロスを上げて、跳ね返されていたのでアーセナルはボックス内でのプレーが多くなっていた。これはエメリ監督が狙っていた状況を作り出せたのではないだろうか。

なぜ負けてしまったのか

リバプールの変化

エメリ監督の中では1失点まではプランの中に入っていただろう。前半、1-0で折り返したこと、そして自分達の戦い方に確かな手応えをアーセナルは感じていたはずだ。後半に入ると、リバプールの戦い方が少し変わり、失点してしまった。

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このように3トップの距離感がかなり近くなり、ダイレクトプレーが多くなった。そすするとブロックを敷いていても何度か突破されるようになる。また簡単にクロスを放り込むことも少なくなり、SBから3トップへの斜めの楔が増えたことで、アーセナルはこの攻撃に対応しきる前に失点。ここからアーセナルはゴールが必要になり、前に重心を置くようになる。そうするとDFラインの背後にスペースができ、3トップの破壊力が牙を剥く。そしてサラーにカウンターを食らい万事休す。これでプランが完全に崩れ、欧州王者に敗戦した。

3失点目の原因

3失点目の原因は多くあると考える。

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これ3点目の全貌。上の図の赤丸の所が失点シーンの原因だと考える。

  1. SBへのCFのプレス
  2. DMFへのCHのプレス
  3. 開いたCHの所へSBが出たこと
  4. CHとOMFがサボっていたこと
  5. WGに入った時のCBの対応

これらが失点の原因ではないだろうか、では一つずつ紐解いて行こう。

 

1に関しては前半同様の戦い方だと、SBに対してのプレスは極力行わないことになっていた。ゴールを奪うために、ボールを奪わなければならないので、SBにプレッシングに行ったのだが、これがアーセナル側のハイプレスのスイッチを入れることになって胃s待ったのではないだろうか。そしてこれが2と3に関係してくる。

 

2に関して、1で説明したようにプレスのスイッチが入ったので、DMFの所までプレッシングに行ってしまった。距離があったので、無謀なものだと個人的には感じた。そしてCHが出たことにより、中央に広大なスペースを空けてしまい、簡単に縦パスを入れられてしまうことになる。

 

3に関して、CHが開いたことにより、そこのパスコースを潰すために一列前にポジションを取っていた。そこで自分の背後にスペースができ、そこをWGに使われてしまうことになる。

 

4に関してはただ単純にサボっていたのではないだろうか。プレスのスイッチが入り、全てが連動していたのなら、どちらかが絞って中央のスペースを埋めているはずだと考える。

 

5に関してはダビド・ルイスの悪癖が出てしまった。飛び込むのではなく、遅らせる守備ができればまた状況は変わっていたかもしれない。だがサラーのボールの呼び込み方と晒し方、一気にスピードに乗るアジリティーは見事なものだった。

 

これら5つが失点の原因ではないだろうか。ここまで良い守備をしていただけに、悔しい失点だっただろう。

失点後のプランの少なさ

これはシンプルに攻撃に転じるためのプランがなかった。ラカゼットを入れ流のも少し遅く感じた。彼が入り、ためを前線で作れるようになってゴールが生まれている。もしもこれをもう少し早く、いや試合開始からしていたらどのようなゲーム内容になっていたのか、こちらの展開も見てみたかった。

 

まとめ

守備に重きを置き、そしてカウンターで仕留める。この戦術はかなり個人的にはかなり現実的な戦い方だと感じた。この戦術に賛否両論はあると思うが、一つの戦い方として、持っていても良いのではないだろうか。負けはしたがある程度通用するものだと感じた。それでもゴールをこじ開ける力のあるリバプール。焦らず、きちんと相手の戦い方を整理して勝ちきる。さすがの対応力だった。まだ3節と始まったばかりだが、今シーズンもリバプールは全てのコンペティションで優勝に絡んできそうな強さだった。これからのシーズン、とても楽しみだ。

 

終わりに

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Jリーグ 名古屋グランパス vs 横浜FM 〜グランパスが大敗した理由〜 

 

 

はじめに

まさかの大量失点での敗北。ここまで大差がつく結果になるとは思っていなかった。正直、驚きを隠せない結果だったが、試合内容を覗いてみると大量失点してもおかしくない内容だったのではないだろうか。なぜ大量失点をし、大敗を喫してしまったのか。その要因を解説していこう。

 

名古屋グランパスが大敗した理由

右サイドの守備

ここの守備が大敗を喫した1番の要因といっても過言ではないと個人的には思った。マリノスの攻撃、およびチャンスが生まれる場面はほとんどグランパスの右サイドから生まれていた。では何が、どのようにいけなかったのか。それを解説していこう。

SHのはっきりしない守備と背後のスペース

これは何度も紹介していること。25番が簡単に背後のスペースを使われるのでファーストプレスラインを面白いようにマリノスに突破されていた。

(黒⇨マリノス 白⇨グランパス

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 まずグランパスの守備についてはハイプレスを仕掛けることですぐボールを奪い、攻撃に移ることを目的としている。そこでSHがCBへのプレスに出ることがほとんど。そうするとその背後のスペースが空いてしまう。さらにはマリノスはビルドアップがかなりうまく、そしてこれを利用されてプレスラインを突破されていた。

そしてここでSHの曖昧な守備でこのように突破される。

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SHがCBへプレスに行った時に外を切るのか、中を切るのか、はっきりしないのでCBはどちらへもパスを出せる状況を作り出すことができる。そしてSBとDMFが入れ替わることで中央のグランパスDMFを釣り出すことができる。そうすると空いてくるのがここのスペース。

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マリノスのDMFが幅をもち、ボールを受けることで、中に入ったSBがフリーで前を向くことができる。そして前方の広大なスペースを使うことができ、一気に攻撃のスピードが上がる。この状況に陥ると、SBは数的不利の状況で対応をしなければ行けなくなるので、守れる確率は0に等しくなりピンチに陥る。

この状況に陥る原因がプレスに行った時のSHの対応に問題があるのではないだろうか。最初のプレッシング時にパスコースを限定することができれば簡単に突破れずに済むと感じた。

プレスバックの遅さ

これも右サイドを中心に攻撃される要因に含まれている。この状況はブロックを構えた時に見受けられる。

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どのような状況でこの問題が起こるのか。まず左サイドでボールを持たれた時にしっかり守備をし前進させないことに成功。そうすると当然、目線を変えるため、スライドさせるためにマリノスはサイドを変える。ここで右SHはセカンドラインに戻らずに曖昧なポジションをとる。こうなるとどうなるか。

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まずこの局面で1v3の状況を作り出される。もしもここでSHが下がっているのならばブロックの手前でボールを持たせているので何も問題はない。(上の図の赤の状態)

そして後ろの状況も数的不利になってしまう。

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SHの背後のSHとST vs SBという1v2の形になってしまうのでここにボールが入るとピンチになる。ここのプレスバックをしないことでブロックが崩れ、簡単に右サイドから前進されてしまう状況に陥っていた。

 

もちろん、25番の前田は攻撃において非凡な技術を持っているので名古屋グランパスのサッカーにおいて不可欠な存在だろう。だがこのように守備のタスクをこなせないので右サイドを狙われ続けると大量失点してしまう。ここがもどかしいところではないだろうか。

 

マリノス6番のスペースへの進出とギャップを閉めれない状況

このマリノスの攻撃についての詳細はこちらで紹介しているので気になる方は是非ご覧になって頂きたい。

www.soccer-bunseki.com

ではどのようになってギャップが閉めれないのか。

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これも主に右サイドで起こっていることなのだが、簡単にいうとマリノスのDMF6番がハーフスペースに進出することで、SHとDMFのギャップを作り、STやSB、自らがボールを受けるという攻撃を仕掛けられていた。マリノスDMFに対し、グランパスDMFがマンマーク気味にマークをつくことで、中央へボールを入れさせないようにしていたが、これをうまく使われた。上の図のように動かされたことにより、ここにギャップができる。

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ここの赤いラインのギャップが開くので、簡単に縦パスを入れられてライン間でボールを受けられることが多くなっていた。ここでマークの受け渡しギャップを締めるのか、それとももう片方のDMFが思いっきりスライドをするのか、はたまた他の方法を見出すのか、ここの修正も次節までに必要だろう。

 

攻撃時の後ろの人数(被カウンターのリスク管理

被カウンターを受けて失点をすること、特に攻撃参加をしたSBの背後を突かれてカウンターを食らうことの多いグランパス。今回はそのSBの背後ではなく、DMFの横のスペースを使われ、カウンターを仕掛けられた。

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このようにボールを奪われた時に使われたのがDMFの横のスペース。グランパスと対戦するチームの多くは黒色のスペースを使うことが多いが、マリノスは赤色のスペースを使うことが多かった。ここを一度経由することでこのようなメリットがある。

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中央に一度ボールを集めることで視線がそこに集まり、SHやSTのマークを剥がすことができる。この攻撃を仕掛けられ、何度もカウンターを食らっていた。攻撃時の人数の掛け方と、そのリスク管理がうまくいっていなかったので大量失点を喫してしまった。

 

決定力

これは幾度となく同点にするチャンスがあったが、ゴールを決めきることができなかったので、結果的に自分たちの首を締めることになってしまった。攻撃に関していえば、やはりJ屈指のものだ。何度も決定機を作り出し、そしてマリノスのゴールを脅かした。ここで一つでも決まっていたら結果はもっと違ったものになっていたかもしれない。

 

まとめ

SBが退場になり、3ゴールが決まったことで完璧にこの試合は終わってしまった。だがこの退場がなくても、もしかしたら同じような結果になっていたかもしれない。そのぐらいこの試合の守備は悲惨なものだった。確実に右サイドを狙われ続け、ピンチを招き、攻撃に転じると奪われてカウンター。マリノス陣営にしっかりとスカウティングされて大敗を喫してしまった。攻撃力は申し分ないだけに、見ていてもどかしい気分になった。守備の改善がされればもっと上の順位、はたまた優勝を狙えるのではないだろうか。ショックの大きい敗戦を喫してしまった名古屋グランパス。次節はホームで首位FC東京との試合だ。果たしてどのように修正し、どのような戦い方を見せてくれるのか。とても面白い試合になりそうだ。

 

終わりに

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Jリーグ 名古屋グランパス vs 横浜FM 〜マリノスが大勝した理由〜 

 

はじめに

J屈指の攻撃力を誇る両チーム。そして確固たるスタイルを持っているところも似ているところだろう。そんな攻撃的なサッカーを展開する両チームの試合が面白くないわけがない。実際にこの試合はとても面白いものだった。では今回は3連敗を喫していたマリノスが難敵、名古屋グランパスに大勝した理由を解説して見ようと思う。

 

マリノスが大勝した理由

新システム4-4-2(0トップ?)とその布石

エジガルジュニオが怪我で離脱してから、試行錯誤を繰り返してポステゴグルー監督が見出した新システムが4-4-2。前節でもこの形を採用していたが、今節はまた違った形になっていた。

(左⇨前節 右⇨今節)

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前節は完全な4-4-2でエリきとマルコスジュニオールが下がってくるので中央に人がいないという課題が残り、敗戦を喫してしまった。前節の課題点を詳しく知りたい方はこちらのブログをご覧になって頂きたい。

www.soccer-bunseki.com

 

迎えた今節は上の図をご覧になってもらうとわかるように、エリキが右サイド、仲川がCF、そして左サイドに遠藤、ボランチに扇原が入る4-4-2(0トップ)とも言える、または4-2-3-1とも言える布陣だった。前節の課題を修正し、そしてその課題が今節の名古屋グランパス戦で勝利を収めるための「布石」のように見えた。だからこそこの布陣、このメンバーを選出した狙いがよく見え、大勝に繋がった。

 

左の攻撃と右のフィニッシュ

この形を出すためにストライカーのエリキを右サイドに配置した。そして遠藤を左サイドに張らせ、ドリブルで仕掛け仕掛けさすことを目的としていた。ではどのように攻撃していたのか。

(黒⇨マリノス 白⇨グランパス

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この戦術をとった理由がグランパスの守備戦術も関係している。上の図のように左サイドで起点を作った時にグランパスの守備は一気にサイドを圧縮するので右サイドにかなりのスペースができる。そしてそこを狙うためにエリキを右サイドで起用。これで左サイドの崩し⇨クロス⇨右サイドでフィニッシュという形を作った。仲川を中央で起用した理由も左サイドを崩すためのものだった。もともと右サイドを主戦場としているので、右サイドに流れることが多くある。そこで一度左サイドにスペースを作り、サイドを変えることで目線を変え、スライドさせ、左サイドを崩すという形を何度か作っていた。実際に2ゴール目のエリキのスーパーゴールは左サイドの遠藤の仕掛けにより生まれたものだった。

この攻撃は前節の『中央に人がいない』という課題を克服するのに十分な戦術だった。だからこそ名古屋グランパスを苦しめ、そして大勝できた。この攻撃戦術が大勝の理由の一つだ。

エリキのゴール(動画)

 

カウンター

もともとチャンスがあれば縦に迫力の出せるのがマリノスというチーム。そして今節はこのカウンターを意図的に多く使用していた感じがした。これも名古屋グランパスの攻撃時のポジショニングによるものに起因している。

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このようにグランパスのSBは攻撃参加をするので、その背後のスペースがかなり開く。だからマリノスは中央へ入ってくるボールを確実に奪い、そしてSBの背後へボールを供給。ここでCFで起用された仲川がサイドに流れることで単独での突破、または時間を作るドリブルで味方の上がりを待つことができる。(この試合は単独突破を仕掛けることが多かった)そしてこのカウンターでかける人数はマルコスジュニオール、エリキ、仲川、遠藤の4人。この4人で攻撃することで、グランパスの守備、2DMFと2CBと数的同数になる。こうなると圧倒的に攻撃側が優位に立てる。この攻撃を仕掛けるため、CFで仲川を起用したのではないだろうか。この仲川の抜け出しが何度も見られ、そしてPKを獲得し、ゴールを決めている。

この攻撃も少なからず、名古屋グランパスに脅威を与えていた。

 

SHの背後とDMFの脇のスペースの活用

これもグランパスの守備を翻弄した大きな要因だ。

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まずCFが右サイドに流れることで、DMFの意識を少し外に向けることができる。そうすると逆のDMFはスライドすることを選択するが、ここでマリノスのDMFの扇原がハーフスペースに進出することでスライドを選択させない。そうすると中央にスペースができるのでここでマルコスジュニオールがボールを受けることができる。

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黒丸のスペースに流れることでDMFを広げ、STのマルコスジュニオールへのパスコースを生み出す。もしもここでDMFを釣り出すことができなければシンプルに黒丸のスペースを使って攻撃を仕掛ければ良い。このように先手の攻撃、そしてどこにスペースがあるかをしっかりと認識しているからこそ、主導権を握れたのではないだろうか。

これも大勝の大きな要因だ。

 

まとめ

この試合も両チームから多くのことを学ぶことができ、とても良い試合だった。前節からの修正の仕方、カウンター時の決まり、スペースの見つけ方とその進出の仕方、そしてWGの選手をCFで起用する理由。この「奇策」が名古屋グランパスを苦しめ混乱に陥れることができ、3連敗の鬱憤を晴らす5ゴールを奪っての大勝。まさに見事なものだった。新しい戦い方を見出したマリノス。ここからさらに勝利を重ね、首位を追走することはできるのか。最後まで目が離せない展開。次節もとても楽しみだ。

 

終わりに

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Goodbye Fernando Torres 〜トーレスの栄光のキャリア〜

はじめに

個人的にも思入れが強いこの選手。長髪をなびかせながら、力強く、そして華麗にゴールを奪い続けるその姿に魅了された。その世界中に愛された偉大なフットボール選手もとうとう引退。その選手こそ『エルニーニョ』ことフェルナンド・トーレス。強く、速く、そして上手い。そして数々のタイトルと栄光を勝ち取った男。その輝かしいキャリアを振り返ってみよう。

 

フェルナンドトーレスのキャリア

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アトレティコ・マドリード(初期)

トーレスの心のクラブ。1999年、彼が15歳の時にこの心のクラブとプロとしてのキャリアを始める。そして16歳にトップチームに昇格した。そして迎えたプロデビュー戦。それは2001年、レネガス戦。そしてこの試合で早速ゴールを奪う。ここから彼の伝説は始まった。迎えた01-02シーズンは自身は6ゴールに止まったが、チームは一部に昇格。そして翌シーズンの02-03シーズン。初のトップリーグでのプレートなり29試合13ゴールを決めその名を世界に轟かせた。03-04シーズンでは19歳にしてキャプテンを務め、35試合で19ゴールという結果を残した。ここから結果を残し続け、そして圧倒的なキャリアを歩んでいく。

 

リバプール

2007年にレッズことリバプールに移籍。自分も彼のプレーをここでじっくり見始めて彼に魅了された1人だ。ここでも彼のプレーに魅了された方は多いんではないだろうか。そしてリバプールでのデビュー戦は07-08シーズン、8月11日のアウェイのアストン・ヴィラ戦。この試合こそゴールはなかったが、次節のホームデビュー戦のチェルシー戦。彼はアンフィールドで移籍後初ゴール決める。ホームデビュー戦、そして相手はビッグクラブチェルシー。彼の勝利のメンタリティーを十二分に再認識できる試合だった。

そしてキャリア初のハットトリックカップ戦のレディングとの試合。後半だけで3ゴールを記録し、チームも4-1で勝利した。そして07-08シーズン、得点を積み重ね続け、リーグ戦で24ゴールに到達、さらにはすべての大会を通して29ゴールを決め、オーウェンが持っていた1シーズン最高得点記録を凌いだ。このシーズン、PFA年間ベストイレブンに選出され、そしてイングランド挑戦1年目の外国人選手最多得点記録を更新。一気にスターダムにのし上がった。

 

迎えた翌シーズンの08-09シーズン。このシーズンは怪我に悩まされることが多いシーズンになった。復帰しては離脱の繰り返しだったがそれでも大きなインパクトを残す。9月27日のマージーサイドダービーで2ゴールを決め、2-0の勝利に貢献。翌週のマンC戦では1-2で負けている状況から2ゴールを決め逆転勝利をもぎ取った。そして彼が決めたこのゴールのうちの一つはリバプールプレミアリーグで決めた1000ゴール目というメモリアルゴールだった。まさに持っている男。そしてまた負傷し、試合から離れることとなる。ここから復帰し、また離脱の繰り返しになるがFIFA最優秀選手賞候補に選ばれ、ロナウド、メッシに次ぐ3位に入賞。人間の世界にいない彼らがいなければトーレスバロンドールを取っていた。ロナウド、メッシと肩を並べることができるトーレス。彼はそのぐらいすごい選手だったのだ。そして復帰し初めてのリーグ戦。それがチェルシー戦だった。トーレスは試合終盤に2ゴールを決めまたも勝利に貢献。エースとしての役割と責任をしっかりと全うし、リバプールサポーターを熱狂させた。そして加入わずか1年半で「リバプール歴代最優秀選手50人」に選ばれ、トーレスが短期間で見せつけたインパクトがいかにすごいものかを世界に見せつけた。このシーズンはリーグ戦24試合で14ゴールを挙げ得点ランク4位チーム内では2位の記録を残した。

 

そして09-10シーズン。ここで突然リバプールでの物語が終わってしまう。このシーズンも調子よくゴールを積み重ね、リーグ戦22試合で18ゴールを決め、すべてのコンペティションで32試合出場22ゴールを決めチーム内得点王に輝いた。

 

トーレスゴール集(リバプール

 

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リバプールでのトーレスの活躍。そしてジェラードの存在。この2人のサッカーを見るだけで心が躍った。ジェラードが持つと必ずトーレスはアクションを起こす。性格無比のロングフィードからトーレスの速く力強い突破。そしてゴール。この2人の連携からのゴールに何度も熱狂させてもらった。表す言葉がないほどの良いコンビで、思い出すだけで心が躍る。そんなトーレスも数年遅れてケラー度に続き引退。リバプールでの奥の感動をありがとう!

 

チェルシー

2011年1月31日。チェルシーと5年半に及ぶ長期契約を結び、ブルーズに加わった。だが待っていたのは苦難の日々。膝の怪我の影響もあるのか、なかなかゴールが奪えず、自信をなくしていた。リバプールで見せた圧巻のパフォーマンスは鳴りを潜め、決定機を決められない日々を送っていた。デビューから移籍後初ゴールを決めるまでに903分もの時間を費やし、クラブワースト記録を更新してしまう。だが迎えた2年目。FAカップとCLを制す重要な役割を果たした。特にCL準決勝バルセロナ戦2leg。試合終了間際のバルセロナを敗退に追いやるゴール。これも彼が持っている男ということを証明した。このゴールを奪う直前のプレー。自陣ゴール前から無謀とも言えるドリブルを仕掛け奪われてしまうが、そのまま前に残っていたことでこのゴールが生まれた。あのドリブルがなかったらこのゴールは埋めれたいなかった。最悪ゴールを決められ息の根を止められる可能性もあったが、なぜか彼の元にボールが届いていた。これはトーレス。まさに勝者。そしてCL決勝で生まれた起死回生の同点ゴール。この試合初めて得たCKを獲得したのもトーレス。もちろんドログバの無類の勝負強さも関係しているが、ここでトーレスがいなかったらCKも生まれていない。ドログバに勝らずとも劣らない勝負強さを持っていた。

 

トーレスゴール集(チェルシー

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ACミラン

2014年8月29日にバロテッリリバプールに移籍したことでトーレスは2年間のレンタルでミランに加わる。だがここではインパクトを残すことができなかった。

2014年12月27日、2015年1月5日付けでミランに完全移籍することが発表。

 

アトレティコ・マドリード(復帰)

ACミランで失意のシーズンを過ごしていたが、ここで心のクラブへ復帰することが決まる。2014年12月29日。アトレティコ・マドリードへの復帰が発表。1月5日からの1年半のレンタルという形で復帰が決まった。そしてここから徐々に調子を取り戻していく。1月15日のコパデルレイ5回戦2nd legのレアルマドリード戦。ここで2ゴールを決め、準々決勝進出に貢献。そして15-16シーズンから慣れ親しんだ9番に背番号を変更した。

前半戦はリーグ2ゴールと苦戦したが、24節のエイバル戦でゴールを決めアトレティコ・マドリード通算100ゴールを決めた。後半戦に入り一気に調子を上げ、CL準決勝のバルセロナ戦2nd legで貴重なアウェイゴールを沈めるなど好調を維持し、リバプール在籍時以来となるリーグ戦2桁ゴールを記録。そして所属先のミランからフリーで心のクラブへの完全移籍を勝ち取った。

そして始まった心のクラブとの物語も終わりに近づいていた。2018年4月9日に17-18シーズンでの退団が発表。最終節のエイバル戦で2ゴールを決め、そしてヨーロッパリーグ優勝を成し遂げ、優秀の美を飾った。

 

トーレスゴール集(アトレティコ

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サガン鳥栖

そしてまさかまさかの次なる挑戦が極東の地、日本。Jリーグトーレスが来るという噂を耳にした時はとても興奮した。幼い頃からのアイドルが自国のリーグでプレーするとういだけで感動した。もちろんキャリア終盤、全盛期のようなプレーは見ることはできなかったが、それでも随所で高次元のプレーを見られたことに感動を覚えた。サガン鳥栖をJ1残留に導くゴール。やはり彼は何か持っている。そして昨日行われたトーレス現役ラストマッチ。ヴィッセル神戸に大敗を喫する形になってしまったが、どことなくやりきった顔立ちだったように思えた。できれば最後にゴールを決めて引退して欲しかったが、そう人生はうまくいかないみたいだ。

 

代表歴

トーレスのスペイン代表デビュー戦は2003年9月6日ポルトガルとの親善試合。初ゴールは2004年4月28日のイタリア戦だった。ここからトーレスはすべてのタイトルを獲得していく。ビジャとの圧倒的なコンビは各国を震撼させた。UEFA欧州選手権(ユーロ2008)のドイツとの決勝戦。彼はこの試合の決勝点を決め、見事優勝を果たす。そして2010年南アフリカW杯。ここでも決勝ゴールに絡むプレーを見せ見事優勝。これで代表での大きなタイトルを2つ獲得。そして2012ユーロでも優勝を果たしすべてを手に入れた。

 

獲得タイトル

UEFAヨーロッパリーグ2回(アトレティコチェルシー

UEFAチャンピオンリーグ1回(チェルシー

FAカップチェルシー

UEFA欧州選手権(2008、2012)

FIFAワールドカップ(2010)

 

トーレスゴール集(まとめ)

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まとめ

とうとう引退したフェルナンド・トーレス。すべてを獲得したトーレス。常に謙虚でそして常に努力をする。どんな状況に置かれても黙々と準備をし試合に備える。彼の人間性がこの栄光のキャリアをもたらしたのだろう。世界中の人々から愛されそして惜しまれながら、スパイクをおいたトーレス。様々な興奮と感動をありがとう。これからの新たな人生の成功をお祈りします!

 

終わりに

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  • 最後までご朗読ありがとうございます

 

個人的にも入れのある選手。長々と書くことになりましたが最後まで読んでいただきありがとうございます。本当にかっこいい選手でした。これからの成功を祈っています!

改めて最後までご朗読ありがとうございます!次回も引き続きよろしくお願いします!

 

 

Jリーグ FC東京 vs サンフレッチェ広島 〜サンフレッチェ広島が勝てた理由〜

 

はじめに

アウェイの連戦が待っている首位のFC東京。だからこそホームゲームで勝ち点を失いたくなかったが、昨季2位のチームに敗れてしまった。だがその理由は明白だった。サンフレッチェのとった戦術はとても理に適っていて、見事に堅守FC東京の牙城を打ち破った。ではそのサンフレッチェ広島が勝てた理由を紹介していこう。

 

サンフレッチェ広島が勝てた理由

サンフレが勝てた理由は主に3つではないだろうか。それがこの3つ。

  1. WBで広げてギャップを作る
  2. そのためのビルドアップ
  3. FC東京がプレスラインが低かったこと
  4. 試合のペースを握る

この3つが大きな要因だった。では早速、WBで幅を作るためのビルドアップの方法を紹介していこう。

 

  • ビルドアップの方法

3-4-2-1の布陣を敷くサンフレ。このビルドアップの方法がこのような形になっていた。

(黒⇨サンフレ 白⇨FC東京

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この試合、サンフレは「可変4バックシステム」をとっていた。その内容が、CHがDFラインに降りることで、CBを押し上げることができる。CBがSBの役割をすることで、相手SHのマークを引きつける。ここで必ずCBはハーフスペースにポジションをとることが決まりとしてあった。そうすることで、WBがフリーになることができる。そしてこれが上手く嵌った理由が、FC東京が自陣に引いて前からプレッシングを行わなかったことも要因としてあるだろう。

ではなぜこれでボールを回すことができたのかを具体的に紹介していこう。

f:id:football-analyst:20190823102232j:plain

このようにSHのポジショニングを見て主に二つのパターンでパスを回すことができる。縦パスを入れるにせよ、直でWBにパスを出すにせよ、WBは必ずフリーでボールを受けることができる。(ポジションの噛み合わせもある)これを繰り返す事でSBを釣り出し、ギャップとスペースを生む事で攻撃を仕掛ける。

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このように左右に揺さぶりをかけながら、そしてSBを釣り出す事でSTが抜け出し、CBを中央から引きずり出すことができる。そうすると中央にスペースができるのでそこを使えばチャンスが生まれる。このような形で決勝点を奪っている。

後半での変化

後半で少し変化が起こっていた。実際に奪ったゴールはこの形が元になっている。この変化がおきあ理由がFC東京のプレスの変化に基づいたものだ。

後半からFC東京は3バックに対し、2CFとボールサイドのSHが出ることで対応していた。

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このようにWBがSBの役割をすることでDFラインでの数的優位と幅を確保。FC東京はSHが前に出ているため、逆のSHが内側までしっかりとスライドをする。ここで開くのがサイドのスペース。ここを使うためにCHが流れてもう1人のCHがそこでボールを受けサイドに展開する。

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スライドを利用し、このように逆でフリーな状態でボールを受ける状況を作り出していた。

これがWBが幅を作るためのビルドアップの方法だ。

 

  • ゲームの流れを握る

これは最終スタッツからわかること。シュート数がFC東京6本、サンフレ5本、それぞれ枠内シュートは3本と2本という数字になっている。これが何を意味しているのか。それはサンフレがボールを握り、ゴールまで迫らず回していたということ。チャンスとみればゴール前まで攻め込むが、そのほかは無理に崩そうとせず、ギャップをついてはやり直しという形でボールを回していた。これの狙いが守備でFC東京を疲弊させること、そして夏場を乗り切るため自分たちは体力を温存することが目的だったのではないだろうか。さらにはFC東京のプレスラインも低く、自陣に籠ることが多かった印象を受けた、だからこそサンフレはストレスなくボールを保持でき、そして取るべきゴールをとり勝利をもぎ取った。

 

まとめ

ボールを握り、なるべく体力を使わずに試合を決める。ビルドアップが巧みなのでボールを奪われることも少ない。このようにいわゆる『省エネ』の戦い方で勝利を収めている。そしてサンフレは9戦負けなし。確実にこの戦い方が生きている証拠ではないだろうか。そして今回はアウェイで首位を破る大金星。そのための準備がしっかり見えた良い試合だった。この勝利で4位に浮上したサンフレッチェ広島。昨季悔しい2位フィニッシュだっただけにここからさらに順位を上げ優勝にたどり着きリベンジを果たすことはできるのか。まだまだ優勝争いは終わっていない。どこが優勝するのか、とても楽しみだ。

 

終わりに

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では次回もお楽しみに!バイバイ!

Jリーグ 横浜FM vs セレッソ大阪 〜マリノスの攻撃とセレッソの狙い〜

 

はじめに

リーグ3連敗。今が確実に正念場だろう。しっかりと良い攻撃を仕掛けることができているので、このまま続ければ勝利を取り戻すことは間違えない。だが優勝戦線に残り、そしてリーグ制覇を成し遂げるにはもう敗北は許されず、そして一刻も早く勝利を取り戻さなければいけない。そして今回のホームゲームの相手が難敵のセレッソ大阪。彼らの堅く、粘り強い守備に苦しめられた。そして速い攻撃とセットプレーで失点し敗北。だがその中で前半と後半のポジションの修正が入りゴールを奪うことができている。では今回のこの試合、セレッソ大阪の狙いに少し触れつつ、マリノス攻撃と後半に修正した点を紹介していこう。

 

セレッソ大阪の狙い

まずはこれを紹介する。これを頭に入れた上でマリノスの攻撃の修正についてご覧になって頂きたい。ではセレッソ大阪の狙いは主にこのようなものだった。

 

守備⇨4-4-2のブロックを作り外を回させる

攻撃⇨SBの背後をシンプルに突く

 

これが大まかなセレッソ大阪の狙いだ。ではどのように守っていたのかを紹介していこう。

(黒⇨マリノス 白⇨セレッソ

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このように絞ってくるSBをSHがマークし、SHに幅をとらせそこへボールを供給させる。そのためにCFは中央へのパスコースを消すのと同時にCHへのパスも牽制。そしてSHにパスが出るとこのようにシフトしボールを奪う、または前進させない守備をする。

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SHにパスが出るとセレッソのSHはSBのマークを捨ててSHにプレス。もちろんSBもプレスに行き2v1を作り出す。SBのマークはCFがスライドして行う。さらにCHとCBもスライドしサイドを圧縮することで黒丸の局面でも数的優位を作り出しボールを奪う。そしてCFがスライドしてきていることがこの試合重要になっていた。

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このようにサイドでボールを奪うことができると、SBの背後のスペースが空いている。ここを使うためにCFがスライドしSBとCHを牽制する。マリノスの弱点をしっかりつく良い準備だった。

 

マリノスの攻撃

この試合、マリノスは4-4-2という布陣で試合に臨んだ。新たなオプションを試し、エジガルジュニオの穴を埋めるため、そしてエリキを生かすため。これらの狙いがあったのではないだろうか、では前半と後半の攻撃について解説していこう。

  • 前半の攻撃

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前半の攻撃はこのようになっていた。名古屋グランパスと似ていてCBとCHが後ろに4枚でボールを供給する。そして2トップの動きがこのようになっていた。CFが中央からSHとCHの間、CHの間に降りることでボールを引き出す。これはセレッソ大阪が中央を締めにかかっていたので人数を増やすことでそこから突破を試みた。そしてSHが中に入り込むことでバランスを保とうとした。

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だがこのようにボールを引き出しにかかることで中央に人がいなくなり、ここからボールを前進させることが難しくなっていた。だからファイナルサードの場面で人数をいつもよりかけれない状況に陥っていた。

 

  • 後半の攻撃

後半になりこのように修正された。

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このように中央にCFが残る事でファイナルサードで人数をかけることができる。さらに中央でDFラインを引っ張り深さを作ることでライン間でボールを受けることが簡単になる。だからこそCF、特にマルコスジュニオールはボールを引き出しリズムを作ることができた。さらにCFが中央にいることでSHが中に入り込まないので幅をとることができる。だからこそクロスからの攻撃も増えた。さらにこのような決まりも見受けることができた。

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これは同点ゴールのシーンだ。一枚のCFが中央からボールを受けに入ると、必ずもう1人は中央にポジションをとる。この決まり事を徹底したことが同点ゴールを生んだ一つの要因ではないだろうか。

 

  • 守備について

マリノスの守備についても少し触れておこう。マリノスの守備はこのような形をとっていた。

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形を表現するなら4-2-4の形。この形にすることで絞ってくるSHを習い目にすることができた。CFがCBを牽制しながらCHをカバーシャドウ、SHがBを牽制、そしてSBがSHを見る形。SHはSBへのパスコースを切る事でSHにパスを出させてボールを奪っていた。だがここでキープされてしまうとピンチになるので嵌っていたとは言いにくい守備だったのではないだろうか。

 

まとめ

このようにセレッソの守備、マリノスの攻撃とかなり戦術的にも面白い試合だった。何よりも両チームが質の高いサッカーを展開することができるのでこのような試合内容になったのだろう。マリノスはこの配線で5位に転落してしまったが、まだ優勝の可能性はわずかに残っている。エジガルジュニオの離脱が響いている中でどのような攻撃的な戦い方を見いだすのか。とても楽しみだ。

 

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PL アーセナル vs バーンリー 〜セバージョスがもたらしたもの〜

 

 

はじめに

この試合を見た方ならわかるかもしれないが、今夏にローンでアーセナルに加わったセバージョス。この試合、彼の独壇場だった。どの場面にも顔を出し、ボールを持てば華麗なターンとテンポの良いパスでリズムを作る。さらには相手の懐を抉る縦パス。この試合の主役となり、アーセナルサポーターの心を掴んだ。この試合で気づいた、カソルララムジーを足して二で割ったようなスーパープレーヤーのセバージョスがアーセナルにもたらしたものを今回は紹介していこう。

 

セバージョスがアーセナルにもたらしたもの

ボールを引き出す動き

この試合でよく動き、そしてボールを引き出していたのはセバージョスではないだろうか。そして彼のボールの引き出す場所もとても良いものだ。

f:id:football-analyst:20190819143721j:plain

引用:WhoScored.com 

https://www.whoscored.com

 

 

これが彼のヒートマップ。ここからわかることは『必ずライン間でボールを受けよう』としていること。

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この二つのライン間で受ける事で相手のファーストプレスを剥がす手助けをしていた。また攻撃時はこの夏に加わったダビド・ルイスからの縦パスをライン間で受けることでチャンスを広げた。このように彼が加わることにより、ジャカやトレイラ、ゲンドゥージ。ウィロックなどのサポートができ、ビルドアップもスムーズにできるようになった。

 

スペースを空ける動き

これも彼がもたらしたものではないだろうか。もっと具体的に示すと9番ラカゼットへの縦パス。ラカゼットのボールの収まりの良さを最大限に使えるようになったのではないだろうか。

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このように一度ボールを引き出す事で全体をボールサイドに寄せ、リターンパス。そこから逆サイドへ展開し、CFが縦パスを受ける。この組み立てが見受けれるようになった。そして一気にカウンターを仕掛ける。これはバーンリーが割と前からプレスを仕掛けてきたのでより効果的だった。

 

時間を作る

これはセバージョスの大きな特徴だ。細かいタッチで時間を作り、味方の上がりを待つ。さらには早いターンから一枚DFを剥がし、そこから展開できる。この異常なまでのキープ力があるので、見方も安心してボールを預けることができる。そして前に行くことができる。これはアーセナルに来て、無駄なキープや無茶なターンがなくなったように感じる。かなりの成長ではないだろうか。

 

守備の強度

このように紹介したら語弊が生まれるかもしれない。これはエジルが先発している場合と比べたらの話。このエジルにはないネガトラの速さと強度。そしてしっかりとしたプレスバック。これがあることににより、後ろの選手は予測がつきやすく、陣形を整えることができる。実際にこの試合の2ゴール目はセバージョスのネガトラで引っ掛けたところからゴールが生まれている。エジルはこのようなプレッシングが少ない。だからエジルを使う場合はこの守備面での不安が付きまとう。(それでも攻撃センスは驚異的)この守備面での不安を解消でき、なおかつクリエイティブなプレーができるのがこのセバージョスではないだろうか。彼の加入により、エジルの立ち位置は少し危うくなっているかもしれない。

改善点

多くをもたらす選手だが、やはり守備に関してはもう少し改善する必要があるのではないだろうか。この試合の同点ゴールを決められた場面は彼の対人能力の弱さが出てしまった。ここでもう少し粘ることができていたら変わった結果になったかもしれない。1v1のスペシャリストではなくとも、遅らせる守備ができるようになるともっと安定するだろう。

 

まとめ

セバージョスの真価をこの試合で目の当たりにし、次世代のスーパースターになることを確信した。イニエスタやダビドシルバの域に達するだろう。それぐらい技術が高く、そしてインテリジェンス溢れるプレーを見してくれた。そしてこの試合をきっかけにスタメンに定着し、アーセナルを救い、あるべきレベルに戻すことができるのか。1人のプレミアファンとしてセバージョスを観れることがとても嬉しい。これからもとても楽しみだ。

 

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