サッカー戦術分析ブログ〜 Football LAB〜

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PL リバプール vs アーセナル 〜アーセナルの戦い方と失点の原因〜

 

はじめに

開幕から毎週のように行われるビッグゲーム。今節のビッグゲームはリバプールvsアーセナル。欧州王者のホームにアーセナルは乗り込む形での試合で、とても難しいものになることはエメリ監督もわかっていただろう。そしてエメリ監督はリバプールをリスペクトした上で、『奇策』とも言える戦術でこの試合に望んだ。結果は欧州王者に粉砕されることになったが、それでも内容は悲観するものではなかったのではないだろうか。では今回はエメリ監督が採用したこの試合の戦術について紹介していこう。

 

スタッツとスタメン

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https://www.whoscored.com 

WhoScored.comより引用

 

これがお互いのスタメンと最終スタッツ。リバプールはいつも通りの4-3-3。アーセナルは4-3-1-2で試合に臨んだ。カウンターを狙うために足の速いオーバメヤンとぺぺを2トップに並べる布陣だ。では詳細を解説していこう。

 

アーセナルの奇策

なぜこの並びだったのか

ではなぜこの並びだったのか。それはこのようにそれぞれがマークをはっきりさせるためだったのではないだろうか。

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このようにそれぞれのマークがはっきりする。「SBはどうするの?」と言う意見に対しては後ほど説明する。4-3のブロックを作り出すことで中央を固め、カウンターを狙った。そしてリバプールのキーマン、フィルミーノに対しては中央のジャカとCB2枚で挟み込むような形で封じ込んだ。これでしっかしと守れていたのだが、OMFのセバージョスに関してはDMFをマークするのではなく、割と自由に動いていた。これは指示があったのか独断だったのか定かではないが、攻守のリンクマンとの役割を果たすためにマークを捨てて動いていたのだはないかと考える。ではSBのマークをなぜ捨てていたのか、それは守備の決まりとその目的に起因しているので早速解説しよう。

守備の決まりとカウンター

ベンゲル体制時には考えられなかったまさかの『守備的』な戦術。エメリ監督はしっかりと勝ち点を稼ぐために現実的な戦術を使用した。そこで守備の決まりがこのようなものだった。

ペナ前まで吸収

ボールを失うとアーセナルはボールを奪いに行くのではなく、2トップがホルダーにプレスをかけながら、ペナ前(赤いライン)までリバプールを吸収。

(白⇨アーセナル 黒⇨リバプール

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この目的は背後にスペースを与えなことで、リバプールに3トップの一番脅威的な『スピード』を消すことに成功。これが第一の決まり事としてあった。

 

ペナ幅で守る

これが第二の決まり事。上の図でも示しているように、リバプールのSBには広大なスペースがあった。ではなぜペナ幅で守り、サイドを捨てたのか。それには2つの理由がある。まず一つ目はリバプールの3トップに「高さ」がないこと。だからクロスを上げられても跳ね返せるとエメリ監督は考えたのだろう。そして二つ目が2トップのカウンターを生かすため。これはSBに攻撃参加をさせ、その空いたスペースにボールを落とし、そこからロングカウンターを仕掛けることを目的としていた。

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この攻撃を仕掛けるためにペナ幅で守る選択をし、そしてSBを誘き出す方法をとった。このカウンターを成功させるためにオーバメヤンが少し下がり、「浮く」ポジションを取ることで、CBが出るのか出ないのかの選択を迫らせ優位に立った。さらにシンプルに前にボールを送ることでリバプールのハイプレスをかいくぐる目的もあっただろう。この攻撃で何度かチャンスを作ったが、決めきれなかった。もしも一つでも決まっていれば試合内容、結果は変わっていただろう。

ペナのラインを越えられた時

そうとはいっても欧州王者のリバプール。ゴールに迫る迫力はものすごいものがあった。もちろんそうすると、ゴール前に人数をかけられる。その時の守備の決まりがこれ。

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このようにラインをゴールエリアに設定。そしてSBもしくはWGが深い位置まで侵入すると、ここでもペナルティエリアまで吸収。ボックス内に侵入されそうになると対応に行くということを徹底した。これはマイナスのクロスを警戒しているので、ボックス内には侵入させなかったのだろう。

 

リバプールのビルドアップ時の守備

ビルドアップ時の守備はこのようになっていた。

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このように2CBに対してCFがプレスに行き、ロングボールを蹴らせないようなアプローチをとる。そして中央のDMFに対してはOMFがしっかりと牽制。そうすることでボールを外に追いやり、2、3列目が自陣に戻る時間を作る。このようにしてしっかりとブロックを作り、試合を進めていた。

 

お互いのヒートマップ

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https://www.whoscored.com 

WhoScored.comより引用

 ここから分かるようにリバプールはブロックの前でボールを回していたことが分かる。そしてその起点となっていたのがSB。ここからクロスを上げて、跳ね返されていたのでアーセナルはボックス内でのプレーが多くなっていた。これはエメリ監督が狙っていた状況を作り出せたのではないだろうか。

なぜ負けてしまったのか

リバプールの変化

エメリ監督の中では1失点まではプランの中に入っていただろう。前半、1-0で折り返したこと、そして自分達の戦い方に確かな手応えをアーセナルは感じていたはずだ。後半に入ると、リバプールの戦い方が少し変わり、失点してしまった。

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このように3トップの距離感がかなり近くなり、ダイレクトプレーが多くなった。そすするとブロックを敷いていても何度か突破されるようになる。また簡単にクロスを放り込むことも少なくなり、SBから3トップへの斜めの楔が増えたことで、アーセナルはこの攻撃に対応しきる前に失点。ここからアーセナルはゴールが必要になり、前に重心を置くようになる。そうするとDFラインの背後にスペースができ、3トップの破壊力が牙を剥く。そしてサラーにカウンターを食らい万事休す。これでプランが完全に崩れ、欧州王者に敗戦した。

3失点目の原因

3失点目の原因は多くあると考える。

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これ3点目の全貌。上の図の赤丸の所が失点シーンの原因だと考える。

  1. SBへのCFのプレス
  2. DMFへのCHのプレス
  3. 開いたCHの所へSBが出たこと
  4. CHとOMFがサボっていたこと
  5. WGに入った時のCBの対応

これらが失点の原因ではないだろうか、では一つずつ紐解いて行こう。

 

1に関しては前半同様の戦い方だと、SBに対してのプレスは極力行わないことになっていた。ゴールを奪うために、ボールを奪わなければならないので、SBにプレッシングに行ったのだが、これがアーセナル側のハイプレスのスイッチを入れることになって胃s待ったのではないだろうか。そしてこれが2と3に関係してくる。

 

2に関して、1で説明したようにプレスのスイッチが入ったので、DMFの所までプレッシングに行ってしまった。距離があったので、無謀なものだと個人的には感じた。そしてCHが出たことにより、中央に広大なスペースを空けてしまい、簡単に縦パスを入れられてしまうことになる。

 

3に関して、CHが開いたことにより、そこのパスコースを潰すために一列前にポジションを取っていた。そこで自分の背後にスペースができ、そこをWGに使われてしまうことになる。

 

4に関してはただ単純にサボっていたのではないだろうか。プレスのスイッチが入り、全てが連動していたのなら、どちらかが絞って中央のスペースを埋めているはずだと考える。

 

5に関してはダビド・ルイスの悪癖が出てしまった。飛び込むのではなく、遅らせる守備ができればまた状況は変わっていたかもしれない。だがサラーのボールの呼び込み方と晒し方、一気にスピードに乗るアジリティーは見事なものだった。

 

これら5つが失点の原因ではないだろうか。ここまで良い守備をしていただけに、悔しい失点だっただろう。

失点後のプランの少なさ

これはシンプルに攻撃に転じるためのプランがなかった。ラカゼットを入れ流のも少し遅く感じた。彼が入り、ためを前線で作れるようになってゴールが生まれている。もしもこれをもう少し早く、いや試合開始からしていたらどのようなゲーム内容になっていたのか、こちらの展開も見てみたかった。

 

まとめ

守備に重きを置き、そしてカウンターで仕留める。この戦術はかなり個人的にはかなり現実的な戦い方だと感じた。この戦術に賛否両論はあると思うが、一つの戦い方として、持っていても良いのではないだろうか。負けはしたがある程度通用するものだと感じた。それでもゴールをこじ開ける力のあるリバプール。焦らず、きちんと相手の戦い方を整理して勝ちきる。さすがの対応力だった。まだ3節と始まったばかりだが、今シーズンもリバプールは全てのコンペティションで優勝に絡んできそうな強さだった。これからのシーズン、とても楽しみだ。

 

終わりに

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