【サカはなぜ有利な状況でボールを引き取れるのか?】アルテタが仕込んだサカの引き取り方!

リーグ首位を直向きに走り続けるアーセナル。アルテタが仕込み、落とし込んだことは確実にチームに行き渡り、そして確かな幹となった。そしてその太く強く育った幹の周りを彩るのは若き選手たち。

ウーデゴール、マルティネッリ、サカ、エンケティア、サリバ、ホワイト。ジンチェンコ、トーマスの安定感。そしてジャカの新境地。その他にも貢献している選手が多くいるのもアーセナルの好調を支えているのは確かだ。

 

そしてアーセナルの右サイドで異彩を放っているのがサカだ。アルテタの下で確かなスターに成長しているサカ。彼のボールの引き取り方はアルテタから学んだことではないだろう。

ボールを受けた時点でマーカーよりも優位な状況でドリブルに入ることができるようになっていて、さらに周囲に多大な影響を与えることができている。

では今回は「アルテタが仕込んだサカの引き取り方」についてを考えていこう。

動きながら受けるサカ

ここから文章で考察を行っていくが、YouTubeショートでサラッと解説した動画をアップさせて頂いている。

こちらでも確認してみてほしい。

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では本題に戻って早速、サカのボールの引き取り方についてを考えていこう。

『その場』で引き取る場合

動きながら引き取る場合を考察していく前に、まずは「その場」で引き取る場合についてを説明していこう。

その場で引き取るはこのような状況のことを僕は指している。以下の図をご覧になってほしい。

例えばこのようにSBからボールを引き取るときに、レーン移動をせずに縦に降りてボールを受ける場合だ。そうするとSBを動かすことができなくなる。もちろん大胆に降りるとマーカーを縦に動かすことができるが、これでは出し手と近い状況になってしまうので引き連れたマーカーがそのまま出し手までアタックすることが可能になる。

だからこそ、あまり降りずにボールを引き取ることが多くなる。(当然、数多の状況があるので状況によりけりだが。)

そしてその場でボールを引き取ると「相手を動かせない」と同時に自分は「背負った状態」で1vs1に入らなければならない。相手を背負う(=後ろ向きのプレー)と前を向く労力が必要になり、何よりも不利な状況から1vs1に入らなければならないのでドリブラーにとってはかなりのストレスにもなるだろう。

さらに周囲のサポートにも影響を与えてくる。以下の図をご覧になってほしい。

このように引き取った状況が不利(後ろ向き+マーカーを動かせてない)ので周囲のサポートも後ろになる。こうなるとサポートの選手たちも近くの相手選手やマーカーを動かすことが難しくなる。

このようにサポートが後ろになるので、引き取った選手と同様に相手を動かすことが難しくなる。だからこそ、サイドで圧縮されやすくなってボールを失いやすい。さらにこの状況でボールを失ってしまうと「相手が整った状況」でボールを奪われてしまうので、被カウンターになってしまうことが多くなる。

また、ボールを失わずともサポートが後ろになるので「やり直し」を行わなければならない。この「やり直し」は能動的(ポジティブな)なものではなく受動的(ネガティブな)なものになるので、再び崩しに入るための更なる労力が必要になる。これを繰り返してしまうと、やはりストレスが溜まり相対的にミスは多くなってしまう。

 

ただ捕まった状況でも3人目や4人目の関わりがあった場合には細かいパスワークで崩すことも可能だし、ワンタッチでボールを回す技術とサポートの的確性があれば一気にフィニッシュワークまで持っていくこともできる。何度も触れるが、やはりサッカーは数多な状況があり、絶対的なものはない。だからこそその状況でもっとも良いとされるプレーを選択して実行する必要がある。

そしてアルテタがサカに教授した動きながらボールを引き取るプレーはサカの特徴を存分に生かし、周囲にも良い影響を与えている。ではどのようにしてサカがボールを引き取っているのかを説明してこう。

「動きながら」引き取る場合

これは何度も行っていることで、確実にアルテタが落とし込んだことだ。ではそれがどのようなものなのか。こちらの図をご覧になってもらいたい。

このようにホワイトからボールを引き取るときに、サカは内側に入りながらボールを引き取る。これを行うポイントがあって、それが「マーカーのベクトル」の作り方だ。守備のベクトルを前向きに作り出し、急に方向転換をすることで守備ベクトルを自分から逃す。こうすることでマーカーから離れた状態でボールを引き取ることが可能になっている。

そしてこのプレーの大きなメリットとして、有利な状況で1vs1に入れることだ。では有利な状況とはどのような状況なのか。それがマーカーを半分置き去りにした状況でボールを引き取れる状況だ。だからボールを引き取った時に、相手よりも体が半歩前に入っている。こうなるとボールを守れるし、最悪ファールをもらうことが可能になる。アルテタはサカのドリブル能力を生かすために、そしてよりゴールに向かうための無駄な労力を省くために、このような引き取り方をサカに教授した。

そしてこのプレーを継続して行っていくと、マーカーの立ち位置を内側に強制移行することができるので、「その場」でもボールを引き取れて対面で1vs1に入ることも可能になる。これでサカは常に複数の選択肢をマーカーに与えながら、ボールを引き取ることができるようになっている。

 

さらにサカがこの動きを加えることで相手を動かすことも可能になる。だから周囲のサポートの位置も当然変わってくる。この図をご覧になってもらいたい。

まずサカが内側に入りながらボールを引き取ると、マーカーを引き連れると同時に内側の選手(ここではCH)も誘き寄せることが可能になる。すると当然、大外(SBが動くので)が空き、誘き出したCHのマーカー、ここではIHがフリーになれる。

要するにこのような状況になる。ここからアーセナルは主に2つのパターンがある。

1つ目がSBがオーバーラップするパターン。

このようにサカがSBを動かすことでその外側をオーバーラップ。これでサカに対して更なる選択肢を与えてDFを混乱させる。当然ボールを失ったときのためにIHが後ろのサポートを行うと同時にネガトラ要員として機能する。これはポジティブなサポートで、前に出るため、もしくは新たなる展開を促すためのサポートになっていて、現にここでウーデゴール(トーマスのこともある)が受けると逆サイドまで展開、またはウーデゴールの異次元かつ糸を引くようなスルーパスで一気にフィニッシュまで持っていく。

このパターンは多く見受けることができ、ホワイトのオーバーラップするタイミングも絶妙だ。

そしてもう1つがこちらになる。

そんなに頻繁には見られないが、IHがサカの外側を回るパターン。これは試合に2、3回見られる程度のもの。この場合は後ろのサポートをSBが行うことが多くなる。だからサポートとネガトラ役をホワイトが担うパターンだ。

アーセナルはサカが内側に入ってボールを引き取ることで相手を動かし、そして周囲の選手もそれに合わせて動きを加えていく。全てはゴールに向かうためのものであり、そしてゴールに向かうための無駄な労力を省くためのものでもある。

 

先ほども触れたが、サカがこの内側の引き取りを行うことで「その場」で引き取ることも可能になる。そうすると、後ろのサポートを行いってリターンを受けるプレーもネガティブなものではなく、ポジティブなものになる。なぜならサカがその場で引き取ったときに、時間があり相手を誘き寄せることができるからだ。

このようにアルテタはサカの個人戦術を向上させたことで、サカをプレミア屈指のドリブラーに仕立て上げ、そしてチームに多くのものをもたらす選手に育てあげた。

 

アルテタが築き上げた土台の上に多くのものが積み重なっている。19年ぶりのプレミアリーグ制覇まで愚直に走り続ける若きアーセナル。残り半分ほどとなった今季をこのまま突っ走ることができるのか。優勝の行方は若きドリブラーの出来にかかっているかもしれない。

 

最後までご朗読ありがとうございます。これからは個人戦術に焦点を当てた記事も書いていこうと思いますので、どうぞお楽しみに!

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ではまた次回の記事もお楽しみに!