2022ー23 プレミアリーグ 第7節 マンチェスターシティvsトッテナム マッチレビュー~見逃してはくれない相手~


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マンチェスターシティ4-2トッテナム

得点者(TOT)
44' 21デヤン クルゼフスキ
45+2' 12エメルソン ロイヤル

得点者(MCI)
51' 19フリアン アルバレス
53' 9アーリング ハーランド
63' 26リヤド マフレズ
90' 26リヤド マフレズ

両チームのフォーメーション

前書き

 エリザベス女王崩御を受け延期となっていたこの試合。両チーム共に直近の試合で大事なダービーマッチを落としているため、この試合で嫌な流れを払拭したいところ。

 トッテナムは前節のアーセナル戦から4人スタメンを入れ替えて臨んだ。怪我でワールドカップ明けから離脱が続いていたベンタンクールは、この試合から復帰を果たした。

 対するシティは前節のユナイテッド戦から、5人のスタメン変更。ストーンズがこの試合から復帰し、右SBには18歳のリコ ルイスがスタメンを飾った。

効果的なプレスだったのは?

 両チーム共にハイプレスで試合に入る。シティは4-1-4-1の陣形を作りつつ、IHかWGがスイッチ役となってボールホルダーにアタックする入りを見せた。

 対するトッテナムは、ケインがGKのエデルソンまでスプリントをかけながら出て行くシーンが多め。前から追いかけつつサイドに誘導したい狙いがあったと思われる。

 開始早々にエデルソンからアケと繋いでグリーリッシュにボールが入った際に、ロメロとエメルソンがサンドして奪ったシーンは、1つの理想だったと思う。

 以前までのトッテナムvsシティの試合と言えば、トッテナムがローラインで5-4-1を作って構えつつ、カウンターで一気にひっくり返す形が多め。昨シーズン、エディハドで劇的勝利を収めた際も、ブロックを組んで速攻への好機を伺い続けていた。

 それでも今シーズンはハイプレスに行く傾向が強めなトッテナムは、この試合でもその流れを踏襲。そこが、直近の対戦カードと比べての変化であろう。

 しかし相手はシティである。プレス回避で言えば相手の方が何枚も上手である。開始早々にアケからグリーリッシュに当てて、レイオフからボールを受けたロドリから、2CHの裏で構えたギュンドアンという形でボールを動かされ、前進を許してしまっている。こうなるとトッテナムはミドルブロックに移行。5-2-3っぽい形で守りを固める策に出る。

 シティの保持はリコルイスを内側のレーンに入れた3-2-4-1っぽい形。トッテナムの2CH+3トップの五角形で守りつつ中央を封鎖するのに対し、五角形の中にロドリとリコルイスを入れる。そこからケインの脇でボールを受けつつ、シャドーが絞って来たら外に張るCBに届ける形で前進を試みていた。

 一方でトッテナムの保持で言えばベンタンクールの復帰が大きかった。中盤でボールをキープすることで、相手のプレスを無効化しつつ左右に振り分けられることが出来るので、保持の場面でチームに落ち着きをもたらしていた。

 特に5:26~5:30までの、プレスに行って陣形の乱れたシティの間を取るポジショニンが素晴らしかったので皆さん見て欲しいところ。

 それでも試合はシティペースで進む。トッテナムが前から行くことによって、縦が間延びするケースが多め。その際、間で浮くギュンドアンの存在がとても厄介であった。

9分のシーン

 8分のシーンではトッテナムのCH前に顔を出してレイオフをしたり、9分の場面では逆にCHの裏で受けたしていた。そこからアルバレスを使った加速するのが主な流れである。

 コンパクトなスリーラインを維持出来るミドルブロックであれば、常に人を捕まえることが出来るため間延びすることは無い。そのためそんなに怖くは無かった。しかし、前から行くことで選手間が開いてしまい間が空いてしまう。そことのリスクは、常に隣合わせの中で試合は続いていた。

 よってトッテナムのハイプレスが効果的だったかと言われれば何とも言えない入りであった。

適応からの2得点

 基本的に敵陣に押し込む時間が長かったのはアウェイのシティである。押し込んだ所で前線で幅を取る両WGにボールを届けつつ、WGの単騎突破orサポートを使ってファーサイド目がけたクロスという感じである。

 そこの匙加減はシティWGに対しトッテナムのDFが何枚で対応して来るかで決めていた風に思える。1vs1なら単騎で剥がしに行くし、ダブルチームで対応に来るならバックパスでサポート役の選手を使うという感じである。

 ただ残り30メートルでの攻撃には苦労をしていた印象だ。特にグリーリッシュに対してはエメルソンが奮闘を見せていたように思える。

 この試合のエメルソンは良かったと個人的には思う。裏抜けの回数も増えたし、落ちて受けた際は斜めは横にボールを刺せるようになるなど、ビルドアップや保持での欠点が改善されつつあった。

 話は再び試合の方へ。試合の半ばに差し掛かると、トッテナムが守備で人を捕まえられるようになる。前からのプレスに行く際の着いて行き方は間違っていない!と思える時間帯が前半の中盤以降から増えて行った。特に前から追った際に、捕まえた受け手へと誘導できるようになったのは序盤からの変化だと取れる。

 しかし、ボールを奪える訳では無いのが痛かった。クリーンにボールを奪ってマイボールに出来れば良いが、シティの選手にボールを隠されたりしてファウルになることが多め。リコルイスとベンタンクールの所はそれが顕著であった。よって、流れは止めれられるけど保持は出来ないジレンマに襲われていた。

 それでも人を捕まえる形は時間が進むごとに適応は出来ていったように感じる。自陣からのビルドアップが上手く行かなくなった事により、降りてくる回数が増えたマフレズに対してはペリシッチが後ろから対応。前を向かせない守備を続けていたし、32分の場面ではホイビュアとサンドでボールを奪い切っている。

 これは右サイドでも同様。降りてくるグリーリッシュにエメルソンが対応してボールを奪うシーンも見られた。

 ハイプレスというよりも、マンツー気味で捕まえに行く守備で試合の主導権を握り始めたトッテナム。このあたりから、何度かシティゴールに迫ることが出来ていた。

 一方でトッテナムがプレスの手を緩めればシティの攻撃が牙を剥く。長いボールからハーランドを使ってひっくり返したりと脅威となった時間帯はあったが、そこを何とか凌いでいた。

 ハーランドに訪れた2つの決定機を凌いだ直後。前線からプレスをかけに行くと、エデルソンのパスを受けたロドリからベンタンクールが高い位置でボールを奪い最後はクルゼフスキが決めてトッテナムが先制に成功した。ようやくハイプレスが結実した瞬間であった。

 更にその直後にはカウンターアタックが発動。右の外に開いたクルゼフスキから、エリア内のケインにボールが入ると、驚異的な粘りからシュートを放ちGKが弾いたボールをエメルソンが頭で押し込んでネットを揺らした。

 何と前半の終盤立て続けに2点を奪ったトッテナムが前半をリードして折り返した。

隙は見逃してくれない

 ここまでリーグ戦で先制した試合は6勝1分と負けが無いトッテナム。このまま勝ちパターンへとシティを引きずり込めるかと思ったが、そう甘くは無かった。

 シティはGKエデルソンがシンプルに前に蹴り出すことが増えた印象。降りるリコルイスとロドリに対し、トッテナムのホイビュアとベンタンクールが着いて来るため、中盤に大きな空洞が生まれる。そこを利用したかったのだろう。

 また非保持も積極的に前から出て行く。降りるクルゼフスキに対してはアケがタイトに対応をする。そこで1つ起点を作れなくなったのも大きかった。

 そんな中で迎えた51分。ケインがエデルソンまでプレスに出るも、後ろが着いて来ずにアカンジがフリーになっていた。そこから前進を許すと、フリーになっていたリコルイスで加速を許す。そのまま、右サイドで受けたマフレズに対しペリシッチが軽い対応を見せてクロスを入れられると、ゴール前の混戦をアルバレスに押し込まれ1点を返された。

1つ目の原因

 ここの原因は3つ。1つはケインのプレスに対して後ろが合わせて着いて来なかったこと。ここの押し上げは遅かったように感じる。

2つ目の原因への解答

 2つ目は浮いたリコルイスのところ。アカンジが出し所を探していた際に、上記の画像のようにソンが戻れば防げていたように思える。3つ目はペリシッチの対応。あそこで縦に行かれるのは少々厳しい気がする。

 色々な要因が合わさって見事に押し切られたトッテナム。更にその1分後には、自陣でのビルドアップミスからシティに押し込まれると、ロドリとのワンツーに抜け出したマフレズに折り返され、最後はハーランドに決められてしまう。わずか1分間で同点に追いつかれた。

 こうなるとトッテナムは苦しい。折角の2点リードが無に帰した瞬間だった。

 両サイドから前進に関しては、相手がしっかり捕まえに来るので中々難しい時間が多かった。それでも、クルゼフスキがアケを剥がす、もしくはここの対応が緩ければ前進出来るシーンは続いていた。しかし、こかは五分五分の勝負。確実に勝てる算段では無かった。

 それでも60分。クルゼフスキに対しアケが緩い対応を見せると、そこからクルゼフスキの落としを受けたダイアーが楔を入れる。ボールを受けたケインが落としたボールに走り込んできたクルゼフスキが運んでマイナスに折り返し、最後はペリシッチがシュートを放つがリコルイスに防がれてしまう。

 後半最大の決定機を逃したトッテナム。再びシティに押し返される時間が続くも、そこをカウンターで応戦する形に出る。

 だが、迎えた63分。シティに左右に揺さぶられると、ロドリのサイドチェンジをインターセプトしようとしたペリシッチがミス。ボールを拾ったマフレズに縦突破から右足で二アサイドを撃ち抜かれ逆転を許してしまった。

 完全に試合を主導権を持って行かれたトッテナムはメンバー交代で流れを変えようとするが、ここでゲームチェンジ出来る選手が不在であることが響いてしまう。セセニョンが投入された直後は左サイドからプレスを剥がせるようになったものの、逆転までの一押しが足りない。

 対するシティは前からのプレッシングを更に強める。これによってトッテナムのビルドアップ隊がバタつきを起こしてしまっていたし、シティにボールを握られる時間帯も増えて行った。

 何とかして同点に追いつきたいトッテナムはボールを奪い返すために前からの圧力を強めるが、エデルソンのキックによってプレッシングが引っくり返されるようになる。キックの先がトッテナムのDF3枚に対し、シティの攻撃陣4枚という地獄絵図が起ったりしていた。

 その結果90分にエデルソンのロングキックの処理を誤ったラングレからボールをかっ攫ったマフレズに再びをネットを揺らされ万事休す。試合は4-2で今シーズン初の逆転負けを喫した。

雑感

 前半の中盤から終盤にかけて流れを掴んだあの時間帯はとても良かったように思える。そこで2点も奪えたし、非常に良い前半の終わり方が出来たと評価しても良いだろう。

 ただ、後半クローズに持ち込めなかった。特に色々な要因が重なって喫した1失点目でバタつきが生じ、その流れのまま同点に追いつかれたのが痛かったように感じる。やはりシティレベルになると、ああいうミスは見逃してくれない。それに加え、ホームの声援という追い風も彼らにはあっただろう。

 これで1週目のビッグ6との対戦は1分4敗。それだけで勝ち点を14も落としてしまっている。

 今のトッテナムには、ビッグ6相手に真っ向から戦える力があるかと言われれば疑問符が付いてしまう。ビッグ6との対戦は残り4試合。そこでこれまでのハイプレスを続けるのか、違う形で戦うのかは気になるところだ。

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今回はおやすみ。

 

(編集者:川崎人)

 

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