EL オリンピアコス vs アーセナル ~狙われたソクラテス~

 

はじめに

CLの影に隠れているかもしれないが、この大会、ELも相当面白いチームが出揃っている。もちろん、CL程の『メガクラブ』といわれる存在は少ないかもしれない。それでも各国の『曲者』と称されるクラブが参加していて、来季のCL出場のため、そして栄冠を掴むためにしのぎを削っている。そして今回、レビューを行う対戦カードはオリンピアコス vs アーセナル。言わずと知れた、ギリシャとイギリスのビッグクラブだ。この試合はアウェイのアーセナルが勝利を収めたが、しっかりとオリンピアコスアーセナルに対してのゲームプランを練って試合に臨んでいた。では今回はオリンピアコスのゲームプランに触れながら、この試合を振り返ってみよう。

スターティングメンバー

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お互いに直近の試合から5枚、メンバーを入れ替えて試合に臨むことを選択。アウェイのアーセナルはベジェリンとエジルをこの遠征に帯同させなかった。さらに直近のリーグ戦で大活躍を果たしたセバージョスもベンチからのスタート。代わりに、ヤングスターのマルティネッリ、ウィロック、ゲンドゥージ、右SBにソクラテスが先発に入った。では早速、この試合のレビューを行っていこう。

アーセナル、右サイドでのエラー

まずはアーセナルの前進方法から探っていきたい。この試合、いつもと違うのは右サイド。ここで少しばかりエラーが起きていたのではないだろうか。

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アーセナルはこのようにCHが1枚、組み立てに参加、もう1枚がIHの位置まで上がる。さらに、左SBが高い位置で幅を作り、WGがハーフスペースに入る。このようにする事で、OMFが右サイドに流れる事ができる状況を作り出す。そして次のような形を作り出す。

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このようにOMFが流れてボールを受けれる状況を作り出すために、WGがもう1列前でSBをピン留めし、スペースを作り出す。これでOMFが流れて、SBのサポートをするという算段だ。そしてこれの目的として、赤丸のエリアにスペースを作り出すことが狙いとしてあったのではないだろうか。ここにボールを送ることで、一気にこのような展開に持って行く事が予想できる。

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このように一気にスピードを上げれ、そして広いエリアで勝負する事が可能だ。この狙いがあっただろうが、SBからここにボールを入れ込めなかったので、この攻撃を仕掛ける事は出来なかった。
そして右サイドでエラーを起こして行く。

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このように、中央に差し込めないので、SBのパスコースはOMFかWGになる。この状況下ではオリンピアコスの守備陣に読まれやすく、そして彼らはとても守りやすい。赤丸のエリアでボールを奪われるか、WG(白丸のエリア)が孤立してしまうかのどちらかになってしまう。はたまた、オリンピアコスのWGにプレスをかけられ、SBは捨て球を蹴る羽目になってしまっていた。このような状況下に陥ったので、右サイドで上手く前進する事ができなくなっていた。

オーバメヤンの機能不全

さらに攻撃面。エース、オーバメヤンが機能不全に陥っていた。これはいつもと違う役割を与えられ、そしてサポートがなかったので、機能不全になったのではないだろうか。ではなぜ、75分に左サイドにポジションを移すまで目立った活躍ができなかったのか。

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このように左サイドで詰まり、サイドを変えた時。ここでオーバメヤンは孤立する事が多かった。もちろん、単独での打開も可能な選手だが、サポートがあってこそより脅威になれる選手の1人。ここでSBがオーバーラップなり、インナーラップなりををする事で、数的同数になるのだが、SBは後ろのみのサポートしかしなかった。さらにOMFのサポートの距離も遠く、だからWGが孤立した状況に陥り、機能不全となった。いつもならペペが個人での打開、ベジェリンのサポート、またはエジルの絶妙なサポートで切り抜けるのだが、この試合に至っては、それができなかった。
現にこの試合の決勝点はSBのインナーラップから生まれている。それだけWGに位置するオーバメヤンはDFを引きつけ、他の選手のスペースを作ることができる。ここを使う選手が左には存在し、そして右には存在しなかった。
(補足:ほとんど右SBのソクラテスが攻撃のサポートをしなかったので、もしかしたらアルテタ監督の指示なのかもしれない。この選択肢も念頭に置いてもらいたい)

オリンピアコスの狙い:プレスのスイッチ

格上とのホームゲーム。格上といえど、ホームで負けるわけにはいかない。そして何としても次のラウンドへ進むために、アウェイでの試合を優位に進めるため、勝利が必要だった。そしてそれを感じさせるだけの準備をオリンピアコスはしてきていた。その狙いについて解説していこう。

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結論から述べると、狙ったのは右SBに入ったソクラテス。彼にボールが入ると、オリンピアコスはプレスをかけ始める。敵陣深くでのプレスについては、CFがCBを牽制、ボールサイドのIHが1列前に出てCH(主にゲンドゥージ)を牽制する。WGが中央へのパスコースを消しながら、CHの脇辺りにポジションを取る事で、CHにパスが出ると、IHと一緒にボールを刈り取る。そしてSBがボールを持つと、WGがプレスを開始。これがプレスにスイッチとなる。そして次のようにボールを奪いに行く。

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WGがSBにやや外を切りながらプレスをかける事で、OMFへのパスを誘発させる。このパスが狙いで、DMFがしっかりとパスカット、またはOMFから強奪する事でショートカウンターを仕掛けるというスタンスだ。このときにDMFが中央を開けるので、IHがスライドして中央(白丸のエリア)をカバー、さらに逆WGが中に入りCHを牽制する形を取る事でリスクを軽減する。この中盤3枚のフィジカル的な強さがあるので、例えパスカットができなくとも、フィジカルを生かして対人を制し、ボールを回収する事に成功していた。

オリンピアコスの狙い:プレスのスイッチを入れるために

右SBにボールが入ると、プレスのスイッチが入ることは理解してもらったのではないだろうか。ではオリンピアコスがプレスのスイッチを入れるために、ソクラテスにボールを回させるために、どのような守備を行っていたのかを解説していこう。

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このように左サイドではそれぞれが人を捕まえる守備を敢行。幅を取っているSBにはボールを持たせても良いが、絶対に前進させない、絶妙な距離感を保ちながらWGが牽制。さらにCHに対してはIHが捕まえる事で、中央へのパスコースをなくす。もちろん、ハーフスペースに入っているWGに対してもSBがマンマーク。CBのD・ルイスはここに何度か縦パスを打ったが、全て奪われてしまっている。またOMFに対してはきちんとDMFが牽制を行っているので、ここのパスコースももちろんない。(もしもここが相手を動かす事、味方のスペースをつくる事に長けたエジルだったら、戦況はかわっていたかも知れない。)
これで左サイドを「詰めさせる」ことで、アーセナルは右サイドにボールを送る事になる。これで先述したように、オリンピアコスはプレスのスイッチを入れる事でボールを回収していた。

2ndの回収方法と前進方法

このようにしてオリンピアコスは守備を展開し、ボールを持たない時も試合をコントロールしていく。そしてボールを保持している時はこのように前進し、また2ndボールを回収する事で、攻撃に厚みを加える。

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このようにアーセナルは守備時4-4-2の形になる。一方のオリンピアコスはDMFがバックライン付近に降りることで、数的優位を作り出す。これで安全にボールを回す。そして上の図のようにWGが下がる事で、SBを釣り出し、その背後に絵スペースを作り出す。そこにIHがCHの間を通って飛び出す事で、CH2枚の注意を引く。そうすると、もう1枚のCHに少し時間ができる。ここで時間ができたCHは逆のWGにボールを渡す事で、一気にスピードをあげて攻撃を展開。このようにしてクロスから際どいチャンスをいくつも作り出すことに成功した。
そしてもう1つ。この前進方法がとめられた時に繰り出していたのがCFへのミドルパス。これで収まればよし、収まらずとも、2ndボールを回収できればよしというものだ。そしてその2nd回収の方法がとても理に適っていた。

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このように、WGが下がるまでは同じだが、ここでIHが飛び出さない。そうすることにより四角のエリアで数的優位、もっというと、2CHに対してWG +2IHで数的優位を作り出すことができる。ここに人数をかけることで、CB、ないしはSBからのミドルパスを送ることができ、2nd ボールを回収できる確率が上がると言うことだ。現に、ここの2ndボール、特にジャカの付近ではこのような状況が多く見受けることができた。

まとめ

このようにしてオリンピアコスアーセナルと対等の戦いを演じたが、アルテタ監督の交代策により、失点し、そしてホームで痛い敗戦を喫することとなった。どれか一つでも決定機を沈めることができていたら、勝利は限りなく近いものになっていたのではないだろうか。一方のアーセナル。アウェイで貴重な勝ち点3。だが課題が浮き彫りとなってしまった。エジルとベジェリンの存在の大きさ、さらには右でオーバメヤンを使った時の物足りなさがこの試合ででた課題だろう。さらには人を捕まえられると、まだ若干、あたふたするところも見受けられた。ここの改善も継続して必要だろう。だが裏を返せば、ベストメンバーだと、かなり良いサッカー、ニューカッスル戦のような戦い方が可能と言うことだ。はたしてアルテタ監督はチームを底上げする事はできるのだろうか。これからの指揮にも注目だ。

お知らせ

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終わりに

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CL ラウンド16 アトレティコ vs リバプール ~アトレティコの守備の美学~

前置き

『サッカーへの恩返し』をしたく、この度『Football Base』という会社を立ち上げました。

「サッカーと共に。サッカーを人生の一部に」これをモットーに、

サッカー好きが楽しめる、これからサッカーを好きになってもらう場所を提供します。

少しでも気になる方は、下記のリンクから記事を読んでみて下さい。

皆さんの人生の一部に『サッカー』があれば僕は幸せです。

 

下記の記事で会社についてと戦術塾の詳細を書いてるので覗いてみてください!

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では早速、解説に入っていきましょう!

最後までお付き合いください!

はじめに

とうとう再開した、世界最高のコンペティション、チャンピオンズリーグ。この世界最高の舞台に立つため、世界中のフットボーラーがしのぎを削り、チャンスを得ようと必死で戦っている。そしてその中から選び抜かれたフットボーラーがプレーをするのだから、面白くないわけがない。そして今回はラウンド16で当たるには勿体無い、アトレティコとリバプールの一戦。世界最高の矛を持つリバプールと、世界最高の盾を持つアトレティコ。最強の矛をもつリバプールは現在、世界最高のチームとも称され、プレミアリーグで無敗を継続中。そんなチームをホームに迎え入れたアトレティコ。そしてこのホームチームは自分たちのサッカーを貫き通し、勝利を収める事に成功。では今回はアトレティコがどのようにリバプールを完璧に押さえ込んだのか。シメオネ監督の『美学』とも言える、守備戦術を中心に解説いていこう。

開始10分でゴールを奪う覚悟

この注目の一戦はアトレティコが試合開始直後の4分にリバプールからゴールを奪い、試合が始まった。「試合開始早々にゴールを奪えて運が良かった」という意見もあるだろうが、果たして本当にそうなのだろうか。これがもしもシメオネ監督のゲームプランだったとしたら、この後の戦い方(もちろん、結果論でhがあるが)にも合点がいく。だからアトレティコは試合開始の約10分間、攻撃に比重を置き、際どいチャンスをいくつか作り出し、そして攻撃を仕掛けたことで得たCKで先制点を見事に奪って見せた。現に10分以降の戦い方は前に出る事は少なく、自陣に引いて守備を固める戦い方にシフトしていた。
そしてこのリバプールの枠内シュートを0に抑える見事な守備戦術で試合を締め括ることに成功。では守備戦術について噛み砕いていこう。

速攻を打たせない守備

リバプールの十八番の攻撃。速攻。これがとても厄介だ。しかもCBからの一本のパスで一気にゴール前まで持っていかれる。そしてシメオネ監督が1番恐れたであろう攻撃がこの速攻こと、ロングカウンターだろう。だからまずはここの守備を徹底して「詰めて」きたのではないだろうか。

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シメオネかんとくが恐れた速攻を封じるため、このように守備を行う。CFが1枚、CBを牽制すると、もう1枚のCFがDMFを消すポジションを取る。この時にCBに牽制をかけているCFは、もちろんロングボールを蹴らせないように牽制。さらにSBへのパスコースを消しながら牽制を行う。またIHに対してCHが牽制を行う事で、「CBにボールを持たせる」。これでCBはボールを動かすので、パートナーのCBにパスを出す。こうすると、アトレティコのこのゾーンでの守備は成功となる。ではなぜこの守備が成功といえるのか。

プレスラインと守備ブロックの形成

CB⇨CBのパスを出させる事がなぜ成功なのか。これには2つの意図がある。それが「守備ブロックの形成」と「プレスライン」の設定だ。

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このようにCB⇨CBのパスの間に4-4 +CF1枚(ないしは2枚)が下がることで、背後のスペースを完全に消し、バックラインからのロングパスを完全に消す。この「下がる時間」を稼ぐためにCB⇨CBのパスが必要だった。そしてこのブロックを形成した事により、プレスラインを明確に設定できる。この「背後を消す」⇨「プレスラインの設定」をするために「速攻を打たせない守備」が重要になっていた。(特に速攻を打たれる、攻め終わりを警戒していた印象)そしてここから、シメオネ監督のアトレティコは圧巻の守備を披露する。

サイドでの数的優位

ブロックを低い位置に設定し、完全に中央に差し込ませない守備。リバプールはリーグ戦でいくつもこのような展開を経験している。だから決して焦っておらず、「いつも通り」にボールを動かし、綻びを見つける作業に徹する。だが、今回の相手はいつもと違った。ではアトレティコはここからどのように守備を行ったのか。

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このようにブロックを下げている事で、リバプールのCBはボールを持てるが、中央に差し込めない、背後にボールを送れないので、ハーフウェイラインを越えた辺りにポジションを取っているSBにパスを出す。ここにボールが出ると、アトレティコはプレスを開始。まずボールサイドのCFが近くに立ち、サイドチェンジをさせないようなポジションを取る。そうすると、SBは良くも悪くも「前」しかパスコースがなくなる。ここでSHが中央を完全に消しながらSBに牽制を行う事で、SBはWGへのパスを選択せざるを得ない状況に陥る。ここでいつもならSBからSBへのサイドチェンジ、またはCBに戻して逆へ展開できるのだが、先述したCFの立ち位置が巧妙なのでそれができない。またIHにはCHがマークしているので、ここにもパスが出せない状況だ。そしてWGにパスが出るとSBとSHでプレスをかける。

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そしてこのようにSHとSBで数的優位を作り出す事でボールを奪い切る。またSBがプレスに出るので、SBとCBの間にスペースができてしまい、ここをIHが使う事が多い。ここでCBが出て対応するチームが多く、これで崩されるシーンをよく見る。だがアトレティコはCHがついていく事で対応。これで完全にWGでボールを奪う事に成功する。

IHが下がる⇨SBが幅を取った時の守備

もちろんこれだけで終わらないリバプール。いつものようにIHが下がる事で、SBに幅を取らせ、WGがハーフスペースにポジションを取るように配置を変える。これに対してもしっかりと守備を構築していたアトレティコ。

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このようにIHが下がって組み立てに参加する場合はCFが牽制を行う。この時の決まりが「決してCHがIHについていかない」こと。リバプールはCHを釣り出す事を狙いとしているので、決してCHがここに出て行くことはなかった。そのかわり、CHはSHとCFのカバーができるポジションを取る。IHが下がった事で高い位置をとったSBに対してはSBがマークを行う。またハーフスペースに入っているWGに対してはSHがマークを実施。これでSB vs SBの構図を作り出す。そしてこの構図こそが、リバプールSBの『クロス』を封じる戦術だ。

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それぞれ、利き足と同サイドのポジションにいるリバプールのSB。完全な1 vs 1の状況になっているので、利き足の前に立つ事でいつものようなクロスを上げさせなかった。だからこの試合は「マイナスのクロス」が多かったのではないだろうか。

アトレティコのカウンター

では少しだけ、アトレティコの攻撃について触れておきたい。アトレティコはWGでボールを奪った時にロングカウンターを仕掛けていた。その方法がこちら。

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このようにボールをWGで奪った場合のみ、CFへのパスコースが空いてくる。ここに1度楔を打ち、その間にもう一枚のCFがSBの背後を取る事で、一気にスピードを上げてロングカウンターを発動する。これで何度かリバプールのゴール前まで迫る事ができていた。

クロスの対応

そして最後がファイナルサードでの守備。試合を通してどのゾーンでも「中央」を完全に締め、外にボールを送らせるアトレティコの守備。これはもちろん、ファイナルサードでも同様だ。そして先程触れたように、最後はクロスを上げさせる事で、ボールを跳ね返す作業に徹する。

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このように基本的にボックスの中には7人のプレーヤーがいるので、クロスからのチャンスは限りなく0に近くなる。さらに、先程触れたように、SBのクロスも赤の四角のエリア辺りになってしまうので、チャンスになる事は少ない。このようにして徹底的に中央を分厚くし、そしてクロスを跳ね返す事で、アトレティコはリバプールに枠内シュートを打たせなかった。

結局アトレティコが封じたのは?

では結局、アトレティコが封じたのは何だったのか。それは「速攻」と「CBからのロングボール」と「SBのサイドチェンジ」の3つ。これらは全てリバプールの最大の強み。ここを消すために、しっかりと準備し、そしてこの良さを潰す事にせ成功した。現にCBからの最初の有効なロングボールがあったのは、30分辺り。(見逃していたらすいません)さらには36分あたりで初めて有効なSBからSBへのサイドチェンジを繰り出す事ができていた。これまでのリバプールの試合観てきた方ならわかるかもしれないが、圧倒的にこの長いボールが少ない。それだけアトレティコの守備が機能していたということだろう。さらには3トップが抜け出してシュートを打つシーンは1つもなかった。(これも見逃していたらすいません)この試合で準備してきたアトレティコの守備がいかに凄かったかがわかるものではないだろうか。

まとめ

アトレティコ、シメオネ監督が準備してきたこの守備戦術。この守備こそがリバプールを止めるための術なのではないだろうか。もちろん、絶対に立ち上がりで先制点を奪うんだ!という意気込みとゲームプランが実ったからこそ遂行できたものだと思うが、それでもこの試合のアトレティコの守備には感動を覚えた。「これぞまさにアトレティコ」という試合だったのではないだろうか。だがそうとはいってもホームで、しかもリードは1点。次はアウェイ、アンフィールドでの戦いだ。バルセロナがここで劇的な逆転負けを喫したのも記憶に新しい。アンフィールドでは全てが可能になるかのような、異様な雰囲気がある。ここで戦うリバプールはまさに無敵。このリバプールを相手に、アトレティコはどのように戦うのか。2nd legがとても楽しみになる、良い一戦だった。そしてシメオネの、アトレティコの守備の美学を見れ、一種の感動すら覚える試合だった。ぜひ皆さんももう1度観直してみてはどうだろうか?

終わりに

最後までお付き合い頂きありがとうございます!

ではこの場を借りまして、5つの事について紹介させて下さい。簡潔にまとめているので、この4つの事も覗いて頂けると幸いです!

 

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改めまして最後までお付き合い頂き、ありがとうございます!また次回の記事でお会い出来る事を楽しみにしています!

これからも『Football Base』を宜しくお願いします!

 

PL チェルシーvsマンU 〜サイドでの攻守の駆け引き〜

 

はじめに

CL出場圏内を争うプレミアリーグのビッグクラブ。クラブの威信を保つため、CL参加は必須条件だ。そして現在、リーグテーブル4位に位置するチェルシー。この座を死守するために今節、ホームで叩き落とさないといけないのはリーグテーブル7位に位置するマンチェスター・ユナイテッドマンUはここでチェルシーを叩く事ができれば、勝ち点差は『3』に縮める事ができる。両者、喉から手が出るほど欲しい勝ち点3。そんな状況で迎えたビッグゲーム。とてもインテンシティが高く、面白い試合だった。そしてマンUが得意とする、「対ビッグ6」との試合。この試合も「お得意様」のビッグ6から勝ち点3を持ち帰った。では今回はこのビッグゲームいついて、特にサイドでの攻守の駆け引きにとても見応えのあるものだったので、これを噛み砕いていこう。

スターティングメンバー

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ホームのチェルシーは若きエース、エイブラハム、至宝、ハドソン=オドイを怪我で欠き、その代わりにバチュアイとペドロが先発に。中盤にはサッリ監督時代から重宝されている、ジョルジーニョ、カンテ、コバチッチの3CH。これで「レッド・デビルズ」を迎え撃つ。一方のアウェイ、マンU。例に倣い、この試合も「対ビッグ6シフト」で試合に望む。いつもと違うのは、この冬に獲得したB・フェルナンデス。彼のプレーメイクでより幅のある攻撃が可能になった。では早速、この試合について解説していこう。

チェルシーの守備①とマンUの対抗①

まずは守備面から考えていきたい。チェルシーはPL第1節で4-0のショッキングな敗戦を払拭するかのように、ハイプレスを仕掛け、ショートカウンターマンUを苦しめた。ではこのハイプレスの仕組みから紹介していこう。

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このようにOMFに対してはDMFが、CHに対してはIHがマークを行う。さらに3CBに対しては3トップで牽制を行う。この時に、CFはCHを1枚、背後で消しながらボールホルダーのCBに圧をかける。こうする事で、中央へのパスを消すことができる。さらに、WGが1枚、プレスをかけ、サイドのCBにパスを出させる。ここでボールサイドのWGが「外を切る」プレスを行う。そして奪い所に設定している、CHにボールを預けさせる。ここでIH2枚が奪いに行き、ここで奪い切る事でショートカウンターを仕掛ける。これである程度チェルシーマンUのビルドアップに制限をかけることに成功した。

カンテの負傷交代と懸念材料のWB

チェルシーはこの守備戦術で、ある程度守れ、そして早い攻撃を仕掛けることで、マンUを押し込んでいく。だが、アクシデントが発生。それがこの試合のキーマンだったであろう、そしてチェルシーの守備戦術を支えているカンテが負傷交代。思わぬ形でランパード監督はキーマンを失うことになる。そして、この交代から、WBを使われるようになってしまう。

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このようにWGの頭上を越されるパスが多くなり、WBで時間を作られるようになる。しかいまだここでSBとWGの2度追いで対応できていた。だから辛うじて守ることができていた。だがこの守備もそう長くは続かない。

マンUチェルシーの守備に対し、このように対応していく。まず、チェルシーの守備①に対してはこのように対抗。

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このようにCFがサイドに流れた事で、SBがWBに対してプレスに行けないように対抗。これにより、WGの2度追いの対応になるが、WGは自陣方向に戻りながらの守備なので、もちろん圧倒的不利な状態。これでマンUチェルシーの守備①を剥がしていく。

チェルシーの守備②とマンUの対抗②

チェルシーマンUのこの組み立てに対して、次の守備を用意する。それがこのような対応だった。

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このようにまずはWGが1列下がり、WBを捕まえる。元々WGが行なっていたCBへのプレスはIHが行うように。そしてIHが行なっていたCHのマークをDMFが1列前に出て行う。これで当面は守れるようになったが、この守備をそう長くは続かない。それは、マンUが獲得したB・フェルナンデスによってチェルシーの守備は破られる事となる。

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本来、DMFがOMFを消しているはずなのだが、DMFがCHまで出ているので、このように白の四角のエリアでOMFのB・フェルナンデスがフリーになっている。ここに中盤を飛ばして縦パスを送ることで、何度かチャンスになりかけた。(もちろん、中盤を経由する場合もあり)これでマンUはまたしてもチェルシーの守備を破る。

チェルシーの守備③とマンUの対抗③

これでもか!という程、チェルシーマンUの対抗に対して尽く対応策を打って出る。次に用意したのはこのような守備。

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この守備でチェルシーは守れるように。WBに対してはSBが、流れるCFに対してはCBがついていくことで、パスコースを完全に無くして捨て球を蹴らせる、または迷わせて、そこで一気に嵌めてボールを奪う事に成功する。このようにしてマンUの攻撃をシャットアウトする事に成功した。
いつものマンUならば、ここで完全に「落ちる」のだが、この試合、唯一違うのが、B・フェルナンデス。彼のおかげでまたしてもこの守備を打破する事に成功。さらに、この動きにより、先制点も生まれる事となる。ではどのように対応したのか。

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上の図のようにOMFとCFが入れ替わり、OMFがサイドに流れるようになる。こうすると何が良いのか、それはマークについていたDMFが中央を開けてまでついていくかどうか迷う事、そしてSBの背後でボールを受けれる事だ。ここでフリーでボールを受けることで、WBのオーバーラップを促す事も可能で、さらにはCFへのラストパスを選択する事もできる。B・フェルナンデスのこのファインプレーにより、マンUは先制点を奪うことができた。

補足:チェルシーの攻撃

ではこの試合のチェルシーは全く持って攻撃を仕掛けられていなかったのかというと、そうではない。むしろチェルシーの方がマンUのゴールに迫ることがおおかった。2回のVARの介入でゴールを取り消される不運にもあった。ではチェルシーはどのように攻撃を仕掛けていたのか。

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マンUチェルシーのCBに対してCFが、DMFに対してはOMFがマークを行う。そして後ろは5-2のブロックで守っていた。こうなると、空いてくるのがSBとCHの脇のスペース。ここを有効に使うことで、チェルシーはゴールに迫る。特に、チャンスが生まれていた攻撃は上の図のような形。SBがボールを受け、ドリブルでボールを運ぶ。これでWBを釣り出し、さらにWGがCHの脇でボールを受けることでCBも誘き出す。この時にIHが外を回る事で、簡単に背後を取ることができていた。これで果敢にゴールに迫ったのだが、決定力不足と不運に見舞われ、最後までマンUのゴールネットを揺らすことができなかった。

まとめ

この勝利でマンUチェルシーとの勝ち点差が3まで迫る事に。勝ち点差が10もあり、CL出場圏内まで背中が遠かったが、とうとう手を伸ばせば掴める位置まで這い上がってきた。低調なマンUに活気を加えたのは間違いなく、B・フェルナンデスだろう。彼の加入がいかに大きかったかが一瞬で理解できる一戦だった。一方のチェルシーマンUにシーズンダブルを喰らい、勝ち点を得られなかった。CL出場圏内陥落もすぐそこまで迫っている。そんな中での負傷者の続出。来週にはCLのバイエル戦も控えている。果たしてこのままズルズルと落ちていってしまうのか。明るい材料はあまり見当たらないが、ランパード監督が選手を奮起させ、シーズン序盤のような勢いをもう一度呼び起こすのか。圧倒的なリーダーがいないチェルシー。少し苦しいかもしれないが、どうにか踏ん張って、残りのシーズンを過ごしてもらいたい。

 

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PL アーセナル vs ニューカッスル ~ロマンが詰まった中盤〜

 

はじめに

今シーズンから導入されたウィンターブレイク。その間にアルテタ監督はしっかりチーム作りに取り組んだ。その成果がでた試合と言ってよいだろう。アルテタ就任後、最高のサッカーを展開し、そして大量得点。そしていつもと変わったのが中盤の構成。それがジャカ、エジル、そしてセバージョス。スペインの若き天才の先発出場と、この試合の結果は大きな因果関係があるのではないだろうか。では今回はいかにしてアーセナルが最高の内容の試合を演じたのか。これを解説していこう。

スターティングメンバー

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アーセナルはラカゼットに変わってヌケティアが先発。さらに、トレイラに変わり、セバージョスが先発に名を連ねる。このセバージョスの存在がこの試合に大きな影響を与えた。一方のニューカッスル。冬に獲得した新戦力をビッグ6相手にいきなり起用。5-4-1のソリッドな守備で、この試合も粘り、勝ち点を持ち帰る試合を演じる意図が明確に見えた。では早速、解説に移っていこう。

「後ろを重く」・「スペースを消す」ニューカッスル

まずはニューカッスルの守備から触れていこう。この試合も勝ち点を粘り強く奪ってきた試合と同様に、後ろを5-4のブロックを敷き、後ろを重く、そしてライン間と背後のスペースを消すことで、『バスを置く』守備を展開。そしてこのように守備を行う。

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まず基準となる守備の配置は、全体はペナルティエリアの幅の距離を意識し、プレスラインはミドルゾーンの終わり辺り。さらにSHの立ち位置がハーフスペースになり、これで中央を完全に締め出す事でボールを外回りにさせる。そして次のようにボールを奪う事でロングカウンターを仕掛け、ゴールまで迫る。

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このように、幅を取った選手にボールを出させる事で、「中⇨外」でプレスをかける事ができる。これでSBのサカのところで数的優位を作り出し、ボールを奪う。このときに、もちろん中盤はスライドしすることで、CHへのリターンパスを送られた時の対処ができるように。(これをする事で中央へのパスが入らなくなる)さらに、中のポジションをとっている、WGに対してはCBがマンマークを行う事で、パスコースを封じる。これで、ニューカッスルは失点するまで、特に前半はアーセナルの攻撃を封じる事に成功した。

ライン間とセバージョス①

ではアーセナルはどのようにしてライン間を使い、そしてボールを前進させていったのか。これを為し得るために、中心にいた人物。それがセバージョスだった。ではどのように前進をし、スペースがない中、エジルにライン間のスペースを創り出していたのか。

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まずはビルドアップの場面から。この試合、ニューカッスルの守備の陣形を見て、CHはCFの脇にポジションを取る事が多かった。これで、CB、またはCHのどちらかがフリーでボールを持つ事ができる。またこのような形も見受ける事が出来た。

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このようにCHのセバージョスが受けに降りることで、SBベジェリンの立ち位置を変える事ができる。いつならこれを左で行うのだが、この試合は展開力があり、ゲームメイクできるセバージョスがいる事で、CHのジャカが降りる回数が少なかった。ではこれの何が良かったのか。

ライン間とセバージョス②-1

セバージョスがバックライン付近までおりてボールを受ける事でSBのポジションを変えることができていた事は先程紹介したので、把握していると思う。ここからがセバージョスの良いところ。ではどのようにライン間にスペースを作っていったのか。

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まずは1つ目のパターン。バックライン付近(もちろんもっと高い位置でも同じようにプレーする事があった)でボールを受けると、中に入ったSBにボールを付けるのではなく、大外のWGへパスを送る。こうすることで、ニューカッスルの守備で説明したように、SHとWBがプレスを行う。そうすると、ニューカッスルのブロックが動くので、ライン間に差し込む事ができるスペースが生まれる。この時にWGがワンタッチでOMFに通すか、サポートに入ったSBにセットすることで、SBから縦パスを通すことで、OMFがライン間でボールを受け、そしてチャンスメイクを行う、展開を変えることができる。これがまず1つ目のパターンだ。

ライン間とセバージョス②-2

そしてもう1つのパターンがこちら。

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このようにSBにボールを当てることで、SHを動かし、SBからすぐにリターンパスを受けて縦パスを差し込むというパターンだ。ニューカッスルのSHとCHのギャップを通す技術があるからこそ、この試合、エジルが外に流れる事がすくなく、ライン間でボールを受けることが多かったのではないだろうか。補足だが、縦パスを通せない状況だと、このように展開を行う。

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このように狭くて通せない場合はニューカッスルCHがしっかりとスライドしている場合。この相手の状況をしっかりと把握した上で、幅を取った選手にボールを送る。これでニューカッスルを動かし、攻撃を展開していった。

ライン間とセバージョス③

そして最後。彼がいる事で、エジルは攻撃のタスクに集中、ジャカは2ndの回収とバランスを取る事に集中できるようになる。

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このようにセバージョスがここでボールを受けることができるので、エジルとジャカはそれぞれ他のタスクに集中することができていた。今までの試合は、ここでボールを受けるのはジャカかエジルエジルがここで展開する役割を担う事で、攻撃の創造力が半減する。とくにこの試合の様に引いてくる相手だと尚更エジルの力が高い位置、危険なエリアで必要だ。だがこの試合はセバージョスがいる事で、エジルがライン間で仕事をすることができた。またジャカの場合。ここでジャカが仕事を担う場合は、ここでパスが引っかかってしまう、奪われてしまうと後ろの人数が手薄なので、カウンターを防ぐことが困難になる。だからアーセナルはカウンターを受け、フィニッシュまで持っていかれることが多かったのではないだろうか。ここでセバージョスが展開する役割を担う事で、エジルとジャカの他のタスクに集中することが出来ていた。

セバージョスとトレイラの違い

ではセバージョスとトレイラ。この2人は何が違うのか。

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まず先述したこの場面。この場面では、セバージョスはこのように「展開する役割」を担う。ではトレイラの場合はどうなのか。

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トレイラの場合はより「飛び出す」事が多い印象だ。ライン間に入り、ボールを引き出す。だからエジルと入れ替わることが多い。入れ替わり、相手を混乱に陥れるプレーが多いのではないだろうか。そしてもう1つ。ここが決定的に違う。

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セバージョスの場合はこのようにしっかりとCFの脇にポジションを取る。このようにする事で、サイドに寄りすぎず、バランスを取ることができる。だから空いたスペースにエジルが降りてくることも少ない。一方のトレイラの場合。

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このようにトレイラの場合はCHがボールを持った時に『寄る』事が多く、開けたスペースにエジル(CFラカゼットの場合もあり)がおりて組み立てに参加する事が多かった。トレイラが寄ることによって相手はボールサイドを圧縮しやすくなるデメリットがある。メリットとしてはここを突破できると一気にスピードを上げれること。今までの試合は何度もここを突破し、チャンスを作る反面、ここで引っかかり、カウンターを喰らうことも多かった。ここの『ポジショニング』と『飛び出すか否か』の違いがセバージョスとトレイラの大きな違いだ。一概にはどちらが良いとは言えないが、この試合を見る限り、アルテタ監督のアーセナルにはセバージョスが合っているのでは?と感じるニューカッスル戦の試合内容だった。

まとめ

アルテタ監督就任後、いや、今季最高の内容と言っても過言ではなかったニューカッスル戦。しかも、オーバメヤン、ペペ、エジル、ラカゼットとサポーターが決めて欲しい選手がゴールを奪ったのも良かったのではないだろうか。ローンバックをしたヌケティアも良い動きで、アピールするには十分だった。そしてこの試合の中心にいたのは、紛れもなく、若きスペイン人、セバージョスだった。彼のスタッツを見れば一目瞭然の活躍。これに呼応するようにエジルも良スタッツを叩き出している。引いて守るニューカッスルを相手に4ゴールを挙げ、弾みをつけたアーセナル。これでヨーロッパリーグオリンピアコス戦に心置きなく望む事ができるだろう。CLへ舞い戻るため、これから連勝が必須のアーセナル。この試合のような戦いを続ける事ができるのならば、CL復帰も達成できるだろう。これからの残りのシーズンに引き続き、注目していきたい。

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PL ノリッジ・シティ vs リバプール 〜焦らし、焦らされ、走らされ〜

 

はじめに

ジャイアントキリングを起こすイメージの強いノリッジ・シティ。シーズン序盤にはホームでマンCを破っている。その戦いかたは圧巻のものだった。そして今節、ホームに迎えいるのは現在リーグ戦無敗で圧倒的な強さを誇っているリバプール。彼らの無敗街道を止めようと、ノリッジ・シティは奮闘した。その戦いぶりはリーグテーブル、最下位の戦いではなく、最下位にいる事が不思議なものだった。そして悲願の優勝を成し遂げるため、リーグをひた走るリバプール。この試合も強さを見せつけ、「勝って」しまった。何故か勝てるリバプール。優勝も時間の問題だろう。では今回はこの試合について紐解いていこう。

スターティングメンバー

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これがお互いのスターティングメンバー。注目の南野は初のベンチ外に。その代わりに怪我が癒えたマネがベンチに復帰。ファビーニョもベンチからのスタートとなった。ホームのノリッジはプッキを中心に、速い攻撃でリバプールゴールを襲うことができるか。彼の活躍に勝敗がかかっていた。

やはり守備から入るホームチーム

かつてのマンC戦と同様に、やはり守備から試合に入った。その守備戦術がこのようになっていた。

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この試合におけるノリッジの守備は基本的に「ゾーンディフェンス」だった。(一部はマンマークを使用)まずはCFとOMFでDMFを消して外周りにさせる。その時にCBの4番、ファンダイクがボールを持つと、CFが牽制を行う。これはファンダイクからのロングフィードを警戒しての対応だろう。そしてDMFを消すことを完成させると、ボールと同サイドのSHが一列前に出ることで、IHとSBを牽制できるポジションを取る。これでIHを使って前進することを困難にさせる。さらに逆のSHがCHと同じラインに入ることで、3CHに。これでより中央を強固にする事で、中央に差し込ませないように守備を行った。これでリバプールにボールを持たせる事で、決定機を作らせず、ボールを持つだけの時間を長くし、焦らす事に成功した。

走らせるリバプール

リバプールはボールを明確な決定機を作れず、ボールを持つ時間が多くなる。ノリッジはこれでリバプールに「ゴールを取れない」という焦りを与え、攻め急がせて、カウンターで仕留めるゲームプランだったのではないだろうか。だが、「持たされても」焦らないのが現在のリバプール。持たされているからこそできる、方法でノリッジを走らせ、疲弊させていく。

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先述したようにノリッジはゾーンディフェンスで守備を行う。もっと言うと、『ボール中心に』ゾーンディフェンスを行っていた。そこで上の図のように、ファンダイクにボールが出ると、CFが例に倣って牽制を行う。ここで運べるのが、ファンダイク。少し運ぶ事でCFのプッキを外し、逆のCB、またはSBへパスを送る。この時にDMFが白丸のエリアで留まることでCFとOMFのギャップを広げる事がポイント。こうすると、ファンダイクにボールが入った時にSHとCHはスライドを行い、上の図のようなポジションをとる。そしてサイドを変えられる事でまたスライドし、ブロックの作り直し。これが一つ目のリバプールの走らせる方法。そしてもう一つ。

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これがもう一つの方法だ。上の図のようにDMFがバックラインに入る事でOMFを2トップの位置まで引き上げさせる。さらにIHがボールを受けに降りる事でCHが1枚釣られて前にでる。これらが「縦のスライド」で走らせる方法。そしてここから幅を取っているWGへボールを出し、サイドを変える事で「横のスライド」をさせてノリッジをひたすら走らせることに成功した。

ロングフィードと2nd回収

ノリッジを走らせる事ができるようになったリバプール。これで徐々に中盤を使えるようになり、効果的にボールを回せるように。だがこの「中盤を経由」だけで攻撃を仕掛けないのが強さの秘訣の1つだろう。バックライン、もしくはDMFから高精度のロングフィードを背後へ送る事も多用するので、対戦相手」は守りにくい。そしてたとえロングフィードが跳ね返されも直ぐに回収できるので、リバプールは『安心』してロングフィードを送ることが可能になっている。ではどのようにこの試合は回収をしていたのか。

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まずはリバプールが背後へのロングフィードを送る大まかなパターン。その決まりがまず、CFがボールを受けに中盤まで下りて行く事がある。これで中央のスペースをあける。次にWG(主にサラー。マネがいればマネも)が斜めにSBとCBの間をとり、抜け出す。その時に同サイドのSBが必ずと言っていいほど着いていっている。これがリバプールロングフィードを送る時の大まかな決まりだ。
そしてここからどのようにして2nd を回収しているのか。

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背後に出すボールなので、CBは後ろに下がりながらの対応になる。このクリアに飛距離が出ないため、中盤のあたりにボールが落ちることになるのは明らかだ。そして待ってましたと言わんばかりにプレスをかける。ここで上の図のように、5角形を作り出せており、一気にボールサイドを圧縮する。2〜3人でプレスをかけ、残りはカバーとパスコースを消す役割を担う。このように高い位置でボールを回収できるので、安心してロングフィードを送ることができ、カウンタープレスを能動的に仕掛けることができる。この攻撃に加え、遅行もできるので、リバプールはゴールを奪い続けることができ、負けないのだろう。

疲弊し、守備戦術の変更へ

走らされて疲弊していくノリッジ。それでも0-0の時間を長くし、リバプールを叙々に焦らせていく。だが、ノリッジも走れなくなていくので、守備戦術の変更を行っていた。それがこちら。

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ノリッジはゾーンディフェンスからマンマークに変更を行う。SBに対してSH、WGに対してSBがマークをつく事で、横のスライドの動きを無くすことに成功する。表すならば、6-3-1の形。これで背後のスペースを消し、背後へのボールも消すことに成功。本格的に守備に力を入れて勝ち点1を狙いにいったと思ったがそれは違った。何とかしてボールをひっかけると、SH、CF、OMFでカウンターを仕掛ける。その時にCFがSBの背後に流れることで、若干の時間を作り出し、SHが上がる時間を作り出した。だがこの攻撃も両CB、GKのアリソンに阻まれ、ゴールを奪う事が出来なかった。あと一歩のところだったので、相当悔しかっただろう。

まとめ

焦らされる事になった前半のリバプール。それでも自分たちに出来る事をしっかりと行い、そしてそれを続ける事でまたしても勝利を手にした。理に適った動かし方で、これをピッチ上の選手が能動的に行えるので、リバプールは圧倒的な強さを誇っている。さらに、それを実行できるだけの身体能力もあるので、負けないのだろう。個人の上にしっかりと戦術を上乗せできているリバプール。欧州最強にふさわしいのではないだろうか。一方のノリッジ・シティ。この試合の戦いぶりを見る限り、最下位にいてはいけないチームだと感じるものだった。しっかりとゲームプランがあり、そして要所に良い選手が揃っている。勝ち点18と苦しんでいるが、ここからの巻き返しに期待し、ぜひともプレミア残留を決めてもらいたい。

 

終わりに

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コッパ・イタリア インテル vs ナポリ 〜闘犬ガットゥーゾが授けた策とは?〜

 

 

はじめに

ミラノダービーから中2日。又してもビッグゲームを戦うことになったインテルミランとの一戦で消耗も激しいだろうが、タイトル獲得のために、そして真の意味で復活を果たすために、何としても勝利が必要だ。そして下さなければいけない相手が難敵のナポリ。今シーズンは調子を落としてしまっているが、それでもタレントは揃っている。コッパイタリアでのビッグゲーム。現役時代、闘犬の異名を持ったガットゥーゾによるゲームプランでナポリが勝利を収めた。ではどのようなゲームプランで、どのような狙いがあったのか。こちらを紹介していこう。

 

スターティングメンバー

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 インテルは直近の試合から5枚を変更。中でもラウタロマルティネスが先発で出られるのはインテルにとって大きな朗報だろう。一方のナポリ。リーグ戦でまさかのレッチェに敗戦。今シーズンの不調を表すような試合だった。主力と見受ける事のできる選手はベンチに控え、ベストメンバーとは言えないメンバーでインテルとのビッグゲームを戦う。

では早速、ガットゥーゾ監督が授けたゲームプランを解説していこう。

 

ガットゥーゾが授けた策とは?

徹底的な守備

まず紹介しなければいけないのはナポリの守備戦術。これにより、インテルを封じ込め、そしてこの試合の決勝点を奪うカウンターを打てるようになる。ではどのように守備を展開していたのか。

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この試合のインテルはいつものように3バック+DMFでビルドアップを始める。WBが幅を取り、CHがハーフスペースにポジションを取ることで、SBのポジショニングを難しくさせ、そこのズレをついて攻撃を仕掛ける。この試合もその狙いが、特に前半は

この傾向が強かった。先日のミラノダービーでのミラン、特に後半に於いては幅を取るWBに起点を作られてしまい、逆転を許してしまった。そこでこの試合のナポリ

上の図のようにDMFのブロゾビッチに対してCFのメルテンスがマークを行う事で中央を経由させないようにする。そしてナポリの守備にはここからの過程に工夫があった。

4-5-1のブロックを敷いているナポリインテルのWBのポジションを取る高さによってWGがポジションを変える。これが極端で6-3-1のような形になる事も多々あった。こうすると何が良いのか。まず、IHがCHを背後で消す事でボールホルダーのCBにプレスに行くことができる。さらにWBに対しては、WGがマークを行なっているので、SBがハーフスペースにポジションを取るCHを牽制する事ができる。さらにはDMFが2トップの縦パスを消しているので、もちろん中央に差し込むことは困難だ。これでサイドでの前進を防ぐことに成功。

この守備に対してもちろん、インテルは解決策をもっている。それはサイドを変えること。これで、インテルは活路を見出そうとするが、これもガットゥーゾ監督が用意した守備戦術に捕まってしまう。

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このように同サイド(白の四角のエリア)が詰まるので、CBからサイドを変えるボールを供給する。この時に、先述したWGのポジショニング。これでナポリはサイドチェンジのボールをパスカットし、インテルの活路を完全に潰す事に成功した。そしてこの守備を中心に前半を過ごす事でインテルを動かす事に成功。この動きこそ、ガットゥーゾ監督が待っていたものだったのではないだろうか。

ではインテルはどのようにハーフタイムで修正をかけてきたのか。

インテルの修正

後半になり、インテルはこのような修正を施す。

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このようにCBが『一列前』にポジションをとるようになる。こうするとどのようになるのか。まずWBが押し出され、より高い位置にポジションをとることが可能になる。こうするとWGがバックラインに入るようになり、ナポリは『後ろが重く』なる。さらにCBが持ち運ぶことでIHを動かし、CHがボールを引き出す事ができる。これが主なインテルの修正。さらにもう1つ。それがCFルカクへの長いボール。サイドは詰まり、局面を変えるサイドチェンジも封じられたので、シンプルなルカクへのボールで無理矢理前進を試みた。これがもう1つのインテルの修正。これで流れを掴みにかかったように思われた。

狙っていたインテルの修正

この修正こそ、ガットゥーゾ監督が狙っていたもの。現にナポリはこれで決勝点を奪い、敵地で1st legの勝利を手にした。ではこの修正の何を狙っていたのか。

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ナポリはCBがボールを運んできてもさほど関係なく、CBに対しては必ずIHがプレスを行う。これこそがガットゥーゾ監督の狙い。前半から何度かIHがCBにプレスをかけることがあり、ここでその意図が明確になった。IHが前に出る事で、CBはパスを強制的に選択させられる。ここでCBが中央(白の四角のエリア)に出すパスをナポリは徹底的に狙っていた。白の四角のエリアでボールを奪うと、前に出たIHがCBの背後を突くことでロングカウンターを仕掛ける。何度か仕掛けたこのロングカウンターの内の1本

を決め切り、勝利をてにした。先制点を奪ってからはこの試合のために準備してきた守備戦術を徹底して行う事でインテルを完全にシャットアウトした。

 

まとめ

インテルミラノダービーの直後とは言え、動きは悪くなかった。それだけにこの敗北はショックの大きなものだったのではないだろうか。もちろん、まだ敗退が決まったわけではないが、次は敵地でのアウェイゲーム。難しいゲームになることは明らかだ。さらには週末にラツィオとの一戦も控えている。ここへの弾みにもなる、勝利でラツィオとのゲームに向かいたかっただろう。はたして週末のラツィオ戦ではどのようなパフォーマンスを発揮するのか。この一戦は必見だ。一方のナポリ。本来ならば優勝争いに絡むべきなのだが、今シーズンは苦しんでいる。そのなかで最もタイトルに近づいているのがこのコンペティションだ。そしてインテルのホームで勝利をもぎ取ってみせた。しっかりと監督の用意したものをこなし手にした勝利。流れに乗るには十分過ぎる結果とできだっただろう。ここから巻き返すことはできるか。ナポリにも注目だ。

 

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セリエA インテル vs ミラン 〜帰ってきたミラノダービー〜

 

 

はじめに

172回目のミラのダービー。数々の歴史を作ってきた両クラブによる、情熱的なダービー。そんな両クラブが繰り広げる試合。世界中で注目度が高い事など、当たり前のことだった。だがここ数年間。共に低迷を極め、クラブの価値、魅力が下がっていく一方だった。そんな中で迎えたこのミラノダービー。この試合を観戦した方なら感じたかもしれないが、白熱した、そして戦術的な、何よりも熱い試合、ミラノダービーが帰ってきた。今シーズン、見返すべき試合の1つに入るのではないだろうか。では今回はそんな白熱したミラノダービーを噛み砕いていこう。

 

スターティングメンバー 

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 これがお互いのスターティングメンバー。インテルラウタロ・マルティネスが警告の関係で欠場。ルカクの相棒はこの試合、サンチェスとなる。またRWBには今冬に加入したモーゼスではなく、カンドレーバを起用。さらにCBでも経験豊富なゴディンが先発に名を連ねた。一方のミランミランはインフルエンザ明けの救世主、イブラヒモビッチが戦列に復帰。彼の復帰がミランに良い雰囲気をもたらし、イブラ復帰後の試合は負けなし。この試合でもイブラ中心に攻撃を仕掛けることが予想された。

では早速、この試合を噛み砕いていこう。

 

完璧な前半を過ごしたミラン

完璧な前半を過ごしたと言い切って良いほど、自分たちのペースで試合を進めたミラン。好調をそのままに、同じ街のライバル、インテルを圧倒し、そしてリードを奪って前半を折り返すことに成功した。ではなぜ、ミランインテルを圧倒できたのか。

 

ビルドアップとインテルの守備

まず1つ目の要因がビルドアップの局面にある。インテルの守備を上手く剥がすことでミランは効率よく前進することに成功。ではどのように前進を行なっていたのか。

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まずはインテルの守備について少し触れていきたい。インテルはハイプレスを仕掛けるため、2トップで2CBを牽制。そしてDMFのブロゾビッチが少し低い位置に降りて組み立てに参加するべナセルまでプレスに出る。SBに対してはWBが、CHに対してはCHがプレスを行い、人を捕まえながら味方の多いところに追い込み、高い位置でボールを奪うことでショートカウンターを仕掛けてゴールに迫るようにデザインされている。だが、この試合はこの守備が上手く嵌らず、ミランはこの守備を交わしていた。

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これがミランの躱し方。インテルDMFがミランのCHをマークするので、中央へのパスコースは塞がれてしまう。そしてSBへ一度パスを送る。ここでインテルの守備のエラーを突くことができる。上の図のようにWBがプレスに来ると空いているのがCHのケシエ。(白の四角のエリア)ここにSBからパスを差し込むことで一気にスピードを上げることができる。ではなぜここのスペースが空いてしまっているのか。それはDMFが開けた中央のスペースを埋めるためにCHが少し後ろめのポジションを取っているから。インテルはCBからSTまたはCFへの縦パスを入れられること(赤の四角のエリア)を嫌い、DMFが開けたスペースを2CHでカバーしているので、ミランのCH(主にケシエ)がフリーでボールを受けることができていた。また、CB(状況によりCH)から一気にSHまでボールを届けることで、ミランインテルのプレスを躱し、試合のペースを握ることに成功した。

 

STの抜け出しとCFの溜め

これもミランインテルを圧倒した大きな要因。ではどのようにしてCFで溜めを作っていたのか。

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SBで時間がある、またはできた場合はこのように攻撃を仕掛ける。インテルのCHがミランSTをマークしているので、上の図のように抜け出すことでCHを引き連れる。そうするとCFへのロングパスを送れるコースが空いてくる。ここにロングパスを送ることで溜めを作り、右のSHとSBが上がれる時間を作り、全体を押し上げることで、攻撃に厚みを加えることに成功した。この『溜め』を作ることができるイブラヒモビッチの加入。これこそがミランが息を吹き返した大きな理由ではないだろうか。

CHの脇と左サイドでの優位性

CFで溜めを作れるようになり、全体を押し上げたミラン。そしてさらにインテルの守備のエラーを突いていく。ではどのような場面でエラーが起き、そしてどのようにそれを突いていったのか。

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このようにCFで時間を作ると全体を押し上げることができる。もちろんCFがボールを持つと、CBがプレッシャーをかけにくる。その空いたスペースにSTが飛び出すことで、右SHがフリーな状態に。ここでWBが戻りきれないので、ミランは白の四角のスペースを使うことで優位に立つことができる。そして多く攻撃を仕掛けていたのが左サイド。SHがハーフスペースに入り込むことでWBを中に引きつける。そうすると大外のSBがフリーでボールを受けることが可能に。両サイドで白の四角のエリア、CHの脇に選手を配置することで、大外にフリーな選手を作り出すことができる。このエリアを埋めれない、カバーできないことこそがインテルの守備のエラーだ。そしてこのように攻撃を仕掛けていく。

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このようにSBで幅を作ると、ハーフスペースに位置するSHがWBの背後に飛び出す。これでCBを釣り出し、そしてSBは中に入り込み、ハーフスペースで再びボールを受け直すことで左サイドで優位に立つ。またこちらが詰まると上の図のようにCH経由でサイドを変える。その時にCHのケシエが白丸のエリア、CHの脇にポジションをとり、ボールを受けることでチャンスをうかがった。このようにサイドを変え、そして目線を変え続けることで、クロスからの攻撃に活路を見出した。

ハイプレス⇨回収

そして最後。攻撃を仕掛け続けるために、ミランは高い位置からプレスをかけ、そしてロングボールを蹴らせることで、ボールを回収していた。この守備戦術も実に理に適ったものだった。

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白のエリアで回収するために、ハイプレスを敢行。3バックに対してまずはCFがプレスをかける。その時にボールと逆のSHが同サイドのCBを牽制。またDMFをSTがマークすることで中のパスコースを消す。さらにCHを背後で消しながらボールを持ったCBにプレスをかける。ここでロングボールをCFに蹴りこむと、白のエリアでCHが回収できる。それともう1つの選択肢をCBは持っている。それがWBへのパスだ。このようにプレスをかけていることで、WBを敵陣深くまで押し込むことに成功。これでSBがプレスをかけることで、CFへの長いボールを蹴らせて、CHが回収を行う。インテルの2トップが下りずに張っていたことも関係しているが、WBを押し込み、ボールを回収し続けることで、インテルにカウンターを打たせず、試合の流れを掴んで、2点のリードを奪って前半を折り返した。

ミランにとってまさに完璧な前半だった。

 

後半のインテルの修正

そして後半。打って変わって、後半はインテルのペースになる。コンテ監督がハーフタイムで加えたいくつかの修正により、インテルは前半と全く違ったチームになり、逆転勝利をもぎ取った。ではどのような修正を加えたのか。

前半の課題

修正を解説する前に、前半の課題に軽く触れておこう。

  • 守備(プレスをかけた時)
  • イブラの対応
  • 2トップと中盤の距離間
  • WBが押し込まれること
  • 幅を使えない状況に陥っていること

ざっと挙げるとこれらが前半の課題点だった。ではこれらをどのように修正したのかを解説していこう。

 

守備の修正

まずは守備の修正から。これでインテルは自陣に押し込まれることが少なくなり、ミドルゾーンでボールを奪えるようになる。

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前からプレスをかけた時に、前半は2トップで2CBを見ていたが、後半からCF1枚(主にルカク)でCBを牽制し、下がって組み立てに参加するCHをもう1枚のCF(主にサンチェス)が牽制することで、DMFが中央を捨ててまで前にプレスを行かないように修正。こうすることで前半、フリーでボールを持たれて厄介だったCHのケシエをインテルCHのバレーラが牽制できる。さらに、STのチャノハノールをDMFのブロゾビッチがマークにつけるようになる。こうすると何が良いのか。ミランCBまたはSBからのCFへのロングパスに対して、白のエリアで数的優位を作りだせ、挟み込むことができる。これでCFに起点を作らせないことで、中盤でボールを奪い、得意のショートカウンターに持っていけるようになる。

中央の守備、具体的にはDMFのタスクの変更により、捕まえるべき人を明確にしたことがコンテ監督のハーフタイムでの1つ目の修正だろう。これで起点を作られるイブラへの対応もこなしていた。

 

CFと中盤の距離間

高い位置でボールを奪えるようになったインテル。だがこの守備だけで完全に流れを掴んだかというと、そうではない。まだ押し込まれる状況を作られることは多かった。そこで、押し込まれた状況から、ミランの守備網をかいくぐるために、CFに具体的な指示を送っていた。それがこちら。

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先述したように、これがミランの守備戦術。これにより、ボールを蹴らされ、距離が遠いCFへのパスは届かず、その前でボールをカットされてしまう。中盤とCFの距離が遠いため、インテルは前半、全くもって効果的な攻撃を仕掛けることができなかった。これを改善するために、コンテ監督はこのような指示を出したと思われる。

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CFの一角に入っていたサンチェスがSTの役割を果たすようになったことで、ミランCHがフリーでボールを拾えないように、そして攻守のリンクマンの役割を果たす。ボールがここで収まらなくてもこぼれ球を作ることで、インテルは「前向き」にこぼれ球に反応できる。これで中盤とCFの距離間、ビルドアップの問題を解決した。


幅を使うための修正

そして最後の修正。これでインテルミランをどんどん押し込んでいく。そのために、2つの局面でインテルは修正を施した。

WBのポジショニング

まず1つ目。それがWBのポジショニング。具体的にいうと『高さ』の問題だ。ミランのハイプレスで自陣深くにポジションを取っていたWBだったが、このような形になることで、WBが幅を作れるようになる。

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簡単にいうと、バックラインを4バックのような形にすることで、ボールサイドとは逆のWBが一列前にポジションを取れるようになる。ではなぜこれができるようになっていたのか。それはSTを作り、攻守のリンクマンの役割を担わせることで、上の図の白丸のエリアをミランSBが気にするようになったから。ここを気にするようになったSBは本来ならば間に合うはずのWBへのプレスが間に合わなくなり、ここから一気にサイドを変えることで幅を作り出す。サイドを圧縮しているミランにとっては苦しい展開に陥ることになる。これが1つ目の幅の作り方。

CFがサイドに流れる

そしてもう1つがCFがサイドに流れる、抜け出すことで幅を作り出した。

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WBで幅を作れるようになったインテル。そうすることにより、徐々に高い位置でこのような形でボールが持てるようになる。こうなった時のミランの守備は、CHに対してSHが、WBに対してSBが牽制を行うような守備だった。この守備で開くスペースがSBの背後のスペース。(白丸のエリア)ここをCFが使うことで、CBを釣り出し、クロスからの攻撃を仕掛けられるようになっていった。

 

補足:幅をとったことで起きた現象

これらの修正を加え、そして幅を取れるようになったことで、CH(DMF)がフリーでボールを受けれる回数が増え、左右にボールを散らし、縦パスを送ることができるようになった。

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ミランは起点になっているWBを潰しに行くために、SHがプレスに行くようになる。こうすると、本来パスコースを消せていたCHがフリーになる。そして白丸のエリアに入ることで、CHはフリーでボールを受けることができる。後半になり、このような攻撃の形が見えるようになったので、インテルはここぞと言わんばかりに、ライン間でプレーすることが得意で、展開力のあるエリクセンを投入。一気に流れをつかみ、そして逆転勝利を掴み取ることに成功した。

 

まとめ

前半はミランのゲーム。後半はインテルのゲーム。なぜ、このような試合展開になったのか、はっきりと見えた良いゲームだった。イブラの加入後、初の黒星を喫したミランだが、前半のような戦い方を続ければ、自ずと結果はついてくるだろう。大型補強ではなく、未来への投資、さらには監督交代で戦術を十分に落とし込めていない状況を考慮すれば、及第点以上は与えられるパフォーマンスだったのではないだろうか。明らかにイブラの加入で、雰囲気が変わっているミラン。ここから勝ち点を伸ばし、ヨーロッパの舞台に戻ることはできるのだろうか。そして威厳を取り戻すことはできるのだろうか。一方のインテル。前半の内容は目を当てれないものだった。だが、さすがのコンテ監督。ハーフタイムで多くの課題を修正し、見事にライバルから逆転勝利をもぎ取った。この勝利でリーグテーブル1位に躍り出ることに成功。(勝ち点はユベントスと同じ)ダービーでの勝利で1位に立つのは、これからの戦いに良い影響を与えてくれるものだろう。冬に補強、特にエリクセンの獲得で新たなオプションを加えれそうなコンテのインテル。例年とは違う雰囲気のセリエAにしているのは確実にインテルだろう。果たして絶対王者ユベントスからタイトルを奪還することはできるのか。残りのシーズン、セリエAにも注目してほしい。

 

終わりに

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