PL アーセナル vs ニューカッスル ~ロマンが詰まった中盤〜

 

はじめに

今シーズンから導入されたウィンターブレイク。その間にアルテタ監督はしっかりチーム作りに取り組んだ。その成果がでた試合と言ってよいだろう。アルテタ就任後、最高のサッカーを展開し、そして大量得点。そしていつもと変わったのが中盤の構成。それがジャカ、エジル、そしてセバージョス。スペインの若き天才の先発出場と、この試合の結果は大きな因果関係があるのではないだろうか。では今回はいかにしてアーセナルが最高の内容の試合を演じたのか。これを解説していこう。

スターティングメンバー

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アーセナルはラカゼットに変わってヌケティアが先発。さらに、トレイラに変わり、セバージョスが先発に名を連ねる。このセバージョスの存在がこの試合に大きな影響を与えた。一方のニューカッスル。冬に獲得した新戦力をビッグ6相手にいきなり起用。5-4-1のソリッドな守備で、この試合も粘り、勝ち点を持ち帰る試合を演じる意図が明確に見えた。では早速、解説に移っていこう。

「後ろを重く」・「スペースを消す」ニューカッスル

まずはニューカッスルの守備から触れていこう。この試合も勝ち点を粘り強く奪ってきた試合と同様に、後ろを5-4のブロックを敷き、後ろを重く、そしてライン間と背後のスペースを消すことで、『バスを置く』守備を展開。そしてこのように守備を行う。

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まず基準となる守備の配置は、全体はペナルティエリアの幅の距離を意識し、プレスラインはミドルゾーンの終わり辺り。さらにSHの立ち位置がハーフスペースになり、これで中央を完全に締め出す事でボールを外回りにさせる。そして次のようにボールを奪う事でロングカウンターを仕掛け、ゴールまで迫る。

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このように、幅を取った選手にボールを出させる事で、「中⇨外」でプレスをかける事ができる。これでSBのサカのところで数的優位を作り出し、ボールを奪う。このときに、もちろん中盤はスライドしすることで、CHへのリターンパスを送られた時の対処ができるように。(これをする事で中央へのパスが入らなくなる)さらに、中のポジションをとっている、WGに対してはCBがマンマークを行う事で、パスコースを封じる。これで、ニューカッスルは失点するまで、特に前半はアーセナルの攻撃を封じる事に成功した。

ライン間とセバージョス①

ではアーセナルはどのようにしてライン間を使い、そしてボールを前進させていったのか。これを為し得るために、中心にいた人物。それがセバージョスだった。ではどのように前進をし、スペースがない中、エジルにライン間のスペースを創り出していたのか。

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まずはビルドアップの場面から。この試合、ニューカッスルの守備の陣形を見て、CHはCFの脇にポジションを取る事が多かった。これで、CB、またはCHのどちらかがフリーでボールを持つ事ができる。またこのような形も見受ける事が出来た。

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このようにCHのセバージョスが受けに降りることで、SBベジェリンの立ち位置を変える事ができる。いつならこれを左で行うのだが、この試合は展開力があり、ゲームメイクできるセバージョスがいる事で、CHのジャカが降りる回数が少なかった。ではこれの何が良かったのか。

ライン間とセバージョス②-1

セバージョスがバックライン付近までおりてボールを受ける事でSBのポジションを変えることができていた事は先程紹介したので、把握していると思う。ここからがセバージョスの良いところ。ではどのようにライン間にスペースを作っていったのか。

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まずは1つ目のパターン。バックライン付近(もちろんもっと高い位置でも同じようにプレーする事があった)でボールを受けると、中に入ったSBにボールを付けるのではなく、大外のWGへパスを送る。こうすることで、ニューカッスルの守備で説明したように、SHとWBがプレスを行う。そうすると、ニューカッスルのブロックが動くので、ライン間に差し込む事ができるスペースが生まれる。この時にWGがワンタッチでOMFに通すか、サポートに入ったSBにセットすることで、SBから縦パスを通すことで、OMFがライン間でボールを受け、そしてチャンスメイクを行う、展開を変えることができる。これがまず1つ目のパターンだ。

ライン間とセバージョス②-2

そしてもう1つのパターンがこちら。

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このようにSBにボールを当てることで、SHを動かし、SBからすぐにリターンパスを受けて縦パスを差し込むというパターンだ。ニューカッスルのSHとCHのギャップを通す技術があるからこそ、この試合、エジルが外に流れる事がすくなく、ライン間でボールを受けることが多かったのではないだろうか。補足だが、縦パスを通せない状況だと、このように展開を行う。

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このように狭くて通せない場合はニューカッスルCHがしっかりとスライドしている場合。この相手の状況をしっかりと把握した上で、幅を取った選手にボールを送る。これでニューカッスルを動かし、攻撃を展開していった。

ライン間とセバージョス③

そして最後。彼がいる事で、エジルは攻撃のタスクに集中、ジャカは2ndの回収とバランスを取る事に集中できるようになる。

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このようにセバージョスがここでボールを受けることができるので、エジルとジャカはそれぞれ他のタスクに集中することができていた。今までの試合は、ここでボールを受けるのはジャカかエジルエジルがここで展開する役割を担う事で、攻撃の創造力が半減する。とくにこの試合の様に引いてくる相手だと尚更エジルの力が高い位置、危険なエリアで必要だ。だがこの試合はセバージョスがいる事で、エジルがライン間で仕事をすることができた。またジャカの場合。ここでジャカが仕事を担う場合は、ここでパスが引っかかってしまう、奪われてしまうと後ろの人数が手薄なので、カウンターを防ぐことが困難になる。だからアーセナルはカウンターを受け、フィニッシュまで持っていかれることが多かったのではないだろうか。ここでセバージョスが展開する役割を担う事で、エジルとジャカの他のタスクに集中することが出来ていた。

セバージョスとトレイラの違い

ではセバージョスとトレイラ。この2人は何が違うのか。

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まず先述したこの場面。この場面では、セバージョスはこのように「展開する役割」を担う。ではトレイラの場合はどうなのか。

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トレイラの場合はより「飛び出す」事が多い印象だ。ライン間に入り、ボールを引き出す。だからエジルと入れ替わることが多い。入れ替わり、相手を混乱に陥れるプレーが多いのではないだろうか。そしてもう1つ。ここが決定的に違う。

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セバージョスの場合はこのようにしっかりとCFの脇にポジションを取る。このようにする事で、サイドに寄りすぎず、バランスを取ることができる。だから空いたスペースにエジルが降りてくることも少ない。一方のトレイラの場合。

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このようにトレイラの場合はCHがボールを持った時に『寄る』事が多く、開けたスペースにエジル(CFラカゼットの場合もあり)がおりて組み立てに参加する事が多かった。トレイラが寄ることによって相手はボールサイドを圧縮しやすくなるデメリットがある。メリットとしてはここを突破できると一気にスピードを上げれること。今までの試合は何度もここを突破し、チャンスを作る反面、ここで引っかかり、カウンターを喰らうことも多かった。ここの『ポジショニング』と『飛び出すか否か』の違いがセバージョスとトレイラの大きな違いだ。一概にはどちらが良いとは言えないが、この試合を見る限り、アルテタ監督のアーセナルにはセバージョスが合っているのでは?と感じるニューカッスル戦の試合内容だった。

まとめ

アルテタ監督就任後、いや、今季最高の内容と言っても過言ではなかったニューカッスル戦。しかも、オーバメヤン、ペペ、エジル、ラカゼットとサポーターが決めて欲しい選手がゴールを奪ったのも良かったのではないだろうか。ローンバックをしたヌケティアも良い動きで、アピールするには十分だった。そしてこの試合の中心にいたのは、紛れもなく、若きスペイン人、セバージョスだった。彼のスタッツを見れば一目瞭然の活躍。これに呼応するようにエジルも良スタッツを叩き出している。引いて守るニューカッスルを相手に4ゴールを挙げ、弾みをつけたアーセナル。これでヨーロッパリーグオリンピアコス戦に心置きなく望む事ができるだろう。CLへ舞い戻るため、これから連勝が必須のアーセナル。この試合のような戦いを続ける事ができるのならば、CL復帰も達成できるだろう。これからの残りのシーズンに引き続き、注目していきたい。

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