理不尽の権化に挑んだモロッコの軌跡【カタールW杯 準決勝 フランス×モロッコのハナシ】

 

 

前置き

「激闘だった」

これが僕の感想だ。モロッコがここまできた理由を世界に示し、同時にフランスが再び決勝の地へ進む理由も分かる一戦だった。

ここまで大物を食い散らしながら進んできたモロッコ。堅守を武器にフランスに打ち勝ち、決勝に進むことを強く望んだが、フランスは苦しみながらもその上を行っていた。

個人的には大会ベスト5には入る一戦だったと思っている。

ではこの試合がどのような試合だったのかを振り返ってみよう!

 

(全文4,229文字です。YouTubeだとラジオ感覚で聴けます!)

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試合の振り返り

「もちろん見たよな?フランス×モロッコ!」

 

「すまん、起きれんかったんだわ」

 

「ばかじゃん!くっそおもろかったのに!」

 

「まじか、もったいないことしたわ。ちなみにどんな内容だったん?」

 

「フランスを追い込んだモロッコって感じだったけど、フランスが強すぎた。理不尽の権化」

 

「でた、個人能力で圧倒するやつね。ちなみにモロッコはどうやってフランスを追い込んだんや?」

 

「やっぱ守備からやな。この試合はいつもの4−3−3じゃなくて3−4−2−1だった」

 

「なんで3−4−2−1だったん?」

 

「これはね、サイドの圧倒的な質的優位の対策だと思う。ちょいこの図を見てみて!」

 

 

「5−4−1にすることで、予めWGとの距離を詰めておく。まずはそれを優先して考えたんだと思う。当たり前なんじゃけど最終ラインを5枚にすれば、4枚のときよりもWGとの距離を詰めれる。」

 

「ほうほう。なんで距離を詰めたら質的優位性を潰せるん?」

 

「完全に潰せるってわけじゃないんじゃけど、近くに立つことでまずは出し手に影響を与えれる。これは狙われとるかも?っていう心理が出し手の方に働く」

 

「なるほど、出し手への影響か」

 

「そう。そんでもちろん受け手にも影響を与えれる。いわゆる優位な状況で守備に入りやすい」

 

「というと?」

 

「予め近くにおるけん、前を向きにくいってのが大きいかな。DFを背負う形を作り出せる。これはドリブラーにとってストレスになる。仕掛けれる状況下でボールを受けれんけんね。それでもエンバペもデンベレも前を向いて仕掛けれるけ理不尽」

 

「特にエンバペはやばいよな、爆速じゃし、タッチも柔らかいし、凄いを通り越してムカつくわ笑」

 

「いや、ほんまに。じゃけんWBのカバーをCBが行えるようになっとった」

 

 

「CBはサイドに追い込んだときに間接的な2vs1を作れる立ち位置を常に意識しとった印象かな。当然、WGのサポートのために1つ内側にくるジルーだったりグリーズマンの対応もしとった」

 

「守備って大忙し。見るものだったり、対応するものをなるべく少なくしてあげたいよね」

 

「まじでそれ。プラスで優位な状況下で守備に入らせたい。狙いをつけれるとか、場所を狭くするとか」

 

「モロッコはその設計はなかったん?」

 

「いや、しっかりその設計があるんよ!じゃけんこの堅守だと思っとんよね」

 

「ほう、教えてくれい」

 

「使い回しになるけど、この図を見てくれ」

 

 

「大切なのはやっぱり2列目の横の繋がり。門を閉じて中央を封鎖。この横の距離とボールホルダーへの絶妙な制限の掛け方が良かったと思う。さらにね、仮に縦パスを通されたとしても3CBと2CHでしっかり狙いを持って対応できる状況下を作れとった。ライン間の選手を閉じ込めれとるんよね」

 

「なるほどね、じゃけん中央を通されても囲い込みが早くて奪えることが多いと」

 

「そう。それで忘れちゃいけんのが強度や。モロッコの個々人の守備の強度はものすごい。その中でもアムラバトは予測も良くて、寄せも素早い。奪い切る能力もモロッコの中では抜きん出とったな。いや、今大会でもトップクラスだと俺は思っとるで」

 

「フィオレンティーナの選手よね?ステップアップするじゃろうな、きっと」

 

「だと思うけどね、移籍についてはどうなるかは正味わからん!」

 

「まあな。これだけ聞いとったらモロッコは失点しなさそうじゃけど。なんでフランスは先制できたんじゃ?」

 

「じゃあこっからはフランスの攻撃について話していこうか」

 

「おう、頼むぞ」

 

「任せろ。俺の見解になるけ他のレビュワーさん達の記事も読めよ!」

 

「おうよ」

 

「よし、じゃあこの図を見てくれ。フランスが行った前進の形をとりあえず確認してみた」

 

「フランスはクンデが下がって3CBみたいになることが多かった印象かな。これをすることで左サイドはテオが上がってエンバペが1つ内側に立つことが多くなっとった。右はグリーズマンがハーフスペースを彷徨うことが多かったかな」

 

「ほうほう。そんでこれはどんなメリットがあるん?」

 

「まず前提にあるのがモロッコがCBをある程度放置すること。これを念頭に置いといてくれ」

 

「おけ、進めてくれ」

 

「よし。じゃあ右サイドから話していこうか。この図を見てくれ」

 

 

「モロッコはCBを放置するけどSBには割と牽制をかけることが多かったけ、クンデのところでブファルを引っ張り出せることが多かった。この時にクンデのパスコースを作るためにデンベレが下がって角度を作りよった。」

 

「デンベレ下がらん方がよくね?マズラウィのプレスを呼び込んでしまいそうじゃけど」

 

「もちろんマズラウィを呼び込んでしまうんじゃけど、それがそうでもないんよ」

 

「なんでね?」

 

「WBのカバーをCBが行うけ、グリーズマンが受ける空間が広がるんよ。なんならデンベレもマズラウィと距離ができるけ前を向ける状況になれる。前を向けんでも、並行でグリーズマンのサポートがある。ここのリンクプレーが半端なかった、グリーズマン。あ、チュアメニ経由も当然あったよ」

 

「なるほどな、じゃけんグリーズマンがライン間で受けることが多くなっとたわけか」

 

「だと思う。CB放置があることとクンデがマーカーと距離があることが良かった。彼らの差し込める能力は非凡や」

 

「モロッコは放置した時のデメリットを食らったわけね」

 

「うん、俺はここが1つのポイントだったかなと思っとるんよね。先制点は対応ミスとは言えど、あの場面はグリーズマンが手前でも背後で受けれる状況下だったし、空間がかなりあった。背後に抜けれたのは運要素もあったかもじゃけど、それを引き起こしたフランスはさすがだと思ったわ」

 

「さすがだな、フランス。じゃあ左サイドのことも教えてくれ」

 

「おうよ。じゃあこの図を見てくれ」

 

 

「右サイドはテオとフォファナとエンバペのトライアングルを作る。これでまずはエンバペのマーカーのズレを生む。マークがハキミ⇨ダリになる感じね」

 

「マークの受け渡しの強要か」

 

「そう!そんでテオとハキミの距離が若干ある分、その分だけ時間ができるわな。ツィエクが対応するならフォファナが受けれる。フォファナに対してウナイが出てくるなら、ジルーかエンバペが縦パスを引き取れる」

 

「ほうほう、常に先手を取れるわけか。じゃけんコナテのスタッツがえぐいことになっとたワケね!」

 

「俺はそうだと思うけどね。しかもテオの対応にハキミが出たらその背後をエンバペが使えるし、1vs2になるところを1vs1に持って行った印象。個人能力で優位性を作るために」

 

「その設計というか、対応することができるんか、フランス。そりゃ強え」

 

「な、そりゃ強えんよ」

 

「それでもモロッコは追いつきそうな雰囲気あったけどね」

 

「大健闘だったらしいな」

 

「そや、フランスと勝負するときは共通認識なっとるぽいけど、モロッコもそこを突いて攻撃を仕掛けよったな」

 

「その共通認識とは?」

 

「エンバペの背後やな」

 

「イングランドもそこを執拗に使いよったもんね。ヘンダーソンが内側とか外側を上手く取りながら。じゃあさ、モロッコがどうやってエンバペの背後を使って攻撃を仕掛けよったか教えてや」

 

「うい。じゃあこれ見て」

 

 

「モロッコの攻撃のポイントはエンバペを守備で晒すこととフォファナに対しての数的優位。これがフランスを攻略するためにモロッコが準備してきたことだと思う」

 

「なるほど。なんでわざわざエンバペを晒す必要があるん?そもそも守備免除がされとるくね?」

 

「結論からいうとパスコースを作り出すためやね。もっというとそのパスコースの安全性を高めるためじゃね」

 

「なんでそれが必要なん?」

 

「もしも前進のところでパスが引っ掛かっかったら守備免除で前に残っとるエンバペのカウンターでやられてしまうけんね」

 

「なるほどね、そりゃ必要じゃわ。じゃあどうやってエンバペを晒しとったん?」

 

「フランスの守備を利用した感じかな。アムラバトのマーク担当がジルーになっとったけん、アムラバトが離れていけばエンバペとジルーの門が広がる。これで安全に内側と外側にパスコースを作り出すことが出来とったんよ、まずはこれがめちゃくちゃ効いとった」

 

「なるほど!じゃけどさ、フランスはエンバペの背後は許容しとるじゃろ?じゃけんここは折り込み済みじゃね?」

 

「そう、そうなんよ。ということはフォファナは入ってくる縦パスと外側のパスを狙い撃つことができるようになるんじゃけど、モロッコはここも利用していくんよね、恐ろしや」

 

「もったいぶんな、どうやって利用するんや?」

 

「もう一回この画像を見てくれ」

 

 

「左のブファルがかなり寄ってきてプレーすることが多くなっとたんよ。これはフランス戦だけ見られた現象で、確実にエンバペの背後を使っていこうぜ!っていう意思表示だと思う」

 

「なるほどな。んでよ、数的優位を作るだけじゃ意味ないやろ?」

 

「その通りなんよ。これはね数的優位の作り方が重要で、ウナイが手前でブファルがライン間に潜ることが重要になってくる。これをすればフォファナが下がるか前に出るかの判断を迫らせることができるんよね。そんでハキミ、ツィエク、ウナイを回転させながらもっと混乱させていく。これでエンバペの背後で起点を作れるようになって、数的優位を作る意味が生まれてくると思った」

 

「ほうほう、じゃあどこを狙っとったん?」

 

「これは確実にハーフスペースじゃね。チャンネルランからのクロスと、チャンネルランを囮に大外からのクロスでフィニッシュを考えとったと思う。じゃけん、ポルトガル戦で流れて起点を作りよったエンネシリが中央で待つことが多かった印象を受けたんよね。これはきっとクロスからのフィニッシュワークに集中するためだと思うわ」

 

「なるほどね。このエンバペの背後をケアするために後半でジルーを変えてテュラムを投入したんやな」

 

「そうじゃね、確実にその狙いだったね。この交代でモロッコの勢いを止めることができとったし、デシャン監督さすがだわ。モロッコがこの対応の答えを出せればもしかしたらあったかもね。ほんま惜しかったよ、モロッコ」

 

「保持も非保持もしっかり戦えるモロッコは本物だな。そしてそれを上回るフランスは恐ろしいわ」

 

「ほんまに。モロッコがここまで辿り着いたのは奇跡なんかじゃないよ、実力や」

 

「いやー、おもろそうな試合だな。見返してみるわ」

 

「おう、見返してみてくれ!」

 

まとめ

ほんまエンバペの個人技はえぐかったわ、、、ペナ内で6人もおるのに強引にシュートまで持って行けるのは恐ろしいとしか、、、。

これで再び決勝の地に戻ってきたフランス。アルゼンチン×フランスで、めちゃくちゃ楽しみや!

ここまできたらメッシがW杯を手に入れて欲しいなと思っとるのは俺だけじゃないはず。どのみちこの大会が終わったら、新時代の幕開けじゃな!

W杯も残り2試合。長いようで短かった。フィナーレもしっかり見届けようぜ!!!

 

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次回もお楽しみに!!!