【合理的な前進と攻撃】Premier League 24 チェルシーvs ニューカッスル

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トゥヘルがチェルシーにきてからというもの。クラブの空気感もよくなったように感じ、それに影響していか、試合の内容も格段とよくなった。整理され、タスクが明確になった中、ホームでのニューカッスル戦も勝利し、トップ4に食い込んだ。彼らが見せた内容は、しっかりと空いている場所から攻撃を仕掛けるという、基本中の基本。その攻撃の質が限りなく高い。では今回は、チェルシーがどのように空いてる場所から攻撃を仕掛けたのか。これを解説していこう。

 

スターティングメンバー

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スタジアム:スタンフォード・ブリッジ

結果:2−0

【チェルシー】

20’エイブラハム⇆ジルー

31’ ジルー⚽️

39’ ヴェルナー⚽️

70’ マウント⇆カンテ

78’ オドイ⇆ジェームズ

 

【ニューカッスル】

64’ゲイル⇆ジョエリントン

72’サン=マクシマン⇆フレーザー

79’ウィロック⇆キャロル

 

ニューカッスルの守備について

まずはこの試合のニューカッスルの守備について触れていきたい。彼らはチェルシーを食い止めるために、以下のような守備戦術を採用していた。

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ニューカッスルは基本的にミドルブロック・ミドルプレスを採用。これで守備を行うために、立ち位置としては4-2-4のブロックを形成。機動力のあるアルミロンとウィロックがCHを捕まえ、SHのゲイルとサン=マクシマンが外のCBを牽制できる立ち位置を取る。これで、満足にバックラインでパスをまわさせない意図が見えた。さらに、セカンドラインでは、STへの縦パスを消す立ち位置をCHが取り、CFには2CB、SBはSTを意識するポジショニングを取っていた。これで徹底的に中央を消すことで、ゴールから遠ざけて守備を行おうという意図が見えた。

 

これに対してチェルシーは次のように攻撃を仕掛けていた。

 

合理的な前進と攻撃

チェルシーはすぐに空いている場所を見つけ、攻撃を仕掛けていく。ではどのように攻撃を仕掛けていたのだろうか。

パターン①

まず1つ目のパターンはシンプルに幅を作るWBを使う前進だ。

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これができるのも、STでCHとSBをピン止めしているから。さらに、ニューカッスルの守備戦術に関係して、CBクリステンセンが存分に時間を持つことができ、簡単に持ち出すことができたから、可能になった攻撃だ。

 

パターン②

パターン②はジルーとマウントが入れ替わる方法だ。

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このパターンもクリステンセンが持ち運ぶことが起点になる。この持ち運んでいる時間に、マウントとジルーが入れ替わることでマーカーを一瞬混乱に陥れることが可能になる。これでジルーがボールを引き出し、次のように攻撃を仕掛けていく。

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このように、マウントとのフリック+ワンツーでジルーがフリーになることが散見された。この時にフリックの時点でCBを釣り出せるので、その背後のスペースにヴェルナーが抜け出す。ヴェルナーが抜け出して引っ張ることで、大外のアロンソがどフリーになることが多くなっていた。

このようにして、チャンスを作り出していた。

 

 

パターン③

3つ目はヴェルナーとアロンソの入れ替わりだ。この試合では、この攻撃を多く見受けることができた。

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例外なくここでも、クリステンセンが持ち運ぶことから始まる。この持ち運びの時間でアロンソとヴェルナーが入れ替わる。こうすることで、ボールの気になるCHは、背後で消したはずSTへのパスコースが消せなくなる。

これで大外に広がったヴェルナーへパスを届けることで、攻撃を仕掛けていく。

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このように、ヴェルナーが縦に仕掛けることでSBを釣り出す。この時にアロンソが中にいることで(インナーラップをすること)2vs1の状況を作り出せる。現にこの形で先制点を奪っているし、嬉しいヴェルナーのゴールに繋がるCKも逆サイドで似たような形からCKを奪っている。

 

補足:使うのはCHの脇

後半からプレスに出てきたニューカッスル。プレスの修正としてクリステンセンへのプレスとWBを消しながらの外切りプレスを行うようになっていた。

これに対して、チェルシーが行ったプレス回避。それは『STがCHの脇のスペースを使う』ことでプレスを回避していく。

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このように、クリステンセンにもプレスを行うようになったニューカッスル。だから、セカンドラインの捕まえ方(CHの捕まえ方)が変わり、ヘイデンを中央に残してウィロックとシェルヴィでCHを捕まえるようになっていた。これで、逆STへのパスでチェルシーはプレスを回避することが多くなっていた。

もちろん、この時にコバチッチとジョルジーニョにボールを入れながら、相手を動かして、パスコースを作り出すことで、このパスを打ち込むことができていた。これで一気にスピードを上げて攻撃を仕掛けるようになっていた。

だから後半はオープンな展開が散見されたのではないだろうか。

 

「アロンソで広げる」から考える

「アロンソで広げる」と表現したが、大枠は「幅を作り出す選手で広げる」ことに注目して考えてみたい。

トゥヘル・チェルシーになって大きく変わったことに1つ。それが「必ず幅を作る選手を配置する」ことだ。

これを行うことで、ろくに左サイドではヴェルナーが水を得て、気持ちよく自由に泳いでいるし、右サイドではオドイが覚醒し、1つ上のステージへ突入した。

ではなぜ、幅を作ると良いのだろうか。今回はヴェルナーとアロンソに焦点を当てて考えてみたい。

題材として挙げたいのが25:00~くらいからの攻撃。この攻撃は先に説明したパターン②の方法でヴェルナーのフィニッシュまで持っていった。これが決まっていれば、選手監督共々、かなり気持ちよかっただろう。

ではこの攻撃から考えていきたい。

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この広げることに必要なこと。それは中に引っ張ることだ。トゥヘルになってからというもの、中に引っ張ることと外に広げることがきちんとセットで行われるようになっている。だからこそ、上の図で示したようにバックスの視野を変え、動かすことができる。

そして幅を作り出すアロンソがどフリーになれることが多くなっているのだ。

(逆はハーフスペースをマウントやアスピリクエタが抜け出し、引っ張ることでオドイが前向きでボールを受けられることができている)

 

ここでフリーになると、もちろん相手も対応を行う。

この対応の瞬間こそ、ヴェルナーがフリーになり、シュートチャンスを得られる仕組みになっていると個人的には考えている。(もっというと、これは全ての選手に当てはまると思う)

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このように、ボールが大外に出たことで、バックス特にボールサイドのSBとCBの目線の振り幅は大きくなる。(上の図の波線のyような動きになる)これで、ヴェルナーはバックスの視界の外に動き直すことで、隠れることができる。

ここからアロンソのクロスを待つことで、一瞬フリーになれてシュートまで持っていくことができるということだ。

 

トゥヘルはヴェルナーを生かすために、「ヴェルナーに抜け出させること」と「アロンソに幅を作らせること」をセットで組み込んだ。

もちろん、ヴェルナーが抜け出した際に、そこへボールを届けることも可能だし、使わず、外に広げることも可能だ。

外に広げた場合は、ヴェルナーが動き直して次の攻撃に絡むことができる。これで、ヴェルナーは生き生きとプレーできるようになっているのではないだろうか。(もちろん、他の要因もあるが…)

そして、広げることの意味は「ギャップを作り出す」ことも含め、重要なのは「目線を変えて、ターゲットを視野外に移す」ことなのだと考えることもできる。

それに気づくことにできる、チェルシーの攻撃だった。

 

 

 

 

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