Football Base 〜サッカー戦術分析〜

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【分岐点となり得るか?】Premier League 15節 アーセナル vs チェルシー

 

 

【Premier League 15節】

アーセナルvsチェルシー

『ビッグロンドンダービー』

エミレーツ・スタジアム

 

結果:3−1

 

【アーセナル】

35’ ラカゼット(PK)

44’ ジャカ (FK)

56' サカ

 

【チェルシー】

85’ エイブラハム

 

ビッグロンドンダービー。ロンドンのビッグクラブが激突する一戦。

赤いチームは不信を極め、青いチームは大型補強を行いその道を邁進する。

だがリーグテーブルでお互いにどの位置に付けていようと関係ない。
流れなど関係ない。あるのは意地と誇り。

この一戦で何が起きていたのか。これを解説していこう。

スターティングメンバー

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前半

改善か?アーセナルの意識と守備

試合開始。それと同時に確認できたのは、アーセナルの気合。何が足りないのか。何がいけないのか。今までの試合からは、明確に指し示す事ができなかったが、この試合ではっきりした。それが『気合』だ。漠然とこの言葉で、収めるのには少し抵抗があるが、それ以上のものが、現状の自分の能力からは見つからない。

実際に、球際、プレスの勢いと気迫。こぼれ球の反応。全てにおいてチェルシーを上回った。だからこそ、この試合で準備してきたプランを遂行する事が可能になった。

ではアルテタ監督はどのようなプランを選手に授けたのだろうか。

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まずこの配置が守備の開始の基本的な陣形となる。CFラカゼットのところは数的不利を許容し、2CBのところは必ず数的優位を保つ。そして中盤ではそれぞれマンマークを意識する事で、チェルシーの肝の1つであるIHとDMFを消す事をまずは行っていく。とりわけ、この試合のOMFスミスロウの守備はかなり上手く、効いていた。

この配置から、以下のようにエリアを圧縮していく。

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アーセナルはCBにボールを持たせると、SHが外を切りながらプレスを行う。この時にOMFスミスロウもプレスに行く素振りを見せるのだが、ここのDMFの「ぼかし方」がかなりうまかった。このレビューを読み、見返そう!と思った方は、彼の守備に注目して見て頂きたい。

脱線した話しをアーセナルの守備に戻すと、ボールを受けるIHに対しては、もちろんCHがマークを行い、WGはSBが捕まえる。そして赤のエリアでボールを奪えれば御の字で、狙いは「満足に前進させない事」と「GKへのバックパスを選択させ、ロングパスを蹴らせる事」だった。

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このように、ロングパスを蹴らせる事で数的優位を保っているCBのところで競り勝ち、2ndボールを作り出してそれを回収する。ここで回収できるのは、チェルシーIHが下がってボールを引き出しに行っているので、白のエリアで先に残ったCHが位置取りできるからだ。さらにここでの反応の早さと球際で少しづつチェルシーを上回っていた事も大きく関係している。

もちろん、このロングパスを蹴らせて背後に落とす事でGKまで下げてボールを回収する方法もあった。

 

このようにしてアーセナルはアルテタ監督が準備したプランに一種の「意志の強さ」を上乗せする事で、チェルシーを少しづつ追い詰めていく。

 

  • 逃げ道を見出したチェルシー

ではチェルシーはずっと押し込まれていたのかというとそうではない。夏の補強で手にした戦力が遺憾無くその能力を発揮してアーセナルの守備の穴を突いていく。

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まず1つ目がGKメンディからSBへのミドルパスだ。今となってはトップGKに必須の能力となったキック精度。チェルシーの新守護神メンディにも例外なくこの能力は備わっている。だからこそ、CBにプレスを行ったSHの頭上を越してSBにボールを届ける事ができていた。さらに、WGがSBをピン止めする事でSBに時間を与えていた。

そしてもう1つがこちら。

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IHマウントが降りて組み立てに参加する事がよく見受けられるチェルシー。彼のキック精度と展開力を存分に使うためにチェルシーはここに彼を降ろす。もちろん、この試合でもこの方法を使う。

だが、ここに降りると必ずと言っていいほどCHが着いてくるので前を向く事が難しい状況になっていた。だからこそ、IHは逆CBにボールを届ける事でSHのプレスを呼び込む。これでCBがワンタッチでSBに逃げる事ができればSBで大きな時間ができる。

 

これらの方法で、SBに時間を与え、そこから攻撃のスピードが上がって完結を目指していた。特に右サイドからの攻撃を多く見受ける事ができていた。

 

『間』を作り動き出す攻撃

もちろん、変わったのは守備の局面だけではない。ビルドアップの方法も変更。これにより、動きが加わり、ネガティヴ・トランジションの向上も見られた。

ではどのようなビルドアップの方法に変わっていたのか。

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上の図のように、CH(特にエルネニー)が3バックの位置に入り、DHジャカが中央でボールを受ける立ち位置をとる。こうする事で両SBを押し上げ、SHを中に押し込む。これはどのチームでもよく見受ける事ができるパターン。だがここで意識的に作り出されていたスペースがある。それが『CHとOMFのライン間』だ。(上の図で白のエリア)

ここにスペースを作り出す事が前進する仕組みがある。

それが、チェルシーIHの「視界の外」からCFやOMF、SHがパスを受けに降りる事ができるからだ。

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そしてCHがボールを持つと3つの選択肢を持つ事ができる。先ほども触れたように、主にCFとOMFがボールを引き出す動きを加える事でCHに選択肢を作り出す。そしてチェルシーの動きを見てより良い判断を下す。

  • 3つの主な攻撃パターン

1つ目はこのようになっていた。

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1つ目はSBで時間ができる時。CHがSBにパスを出すと、中に入ったSHが外に抜け出す。これを行う事でチェルシーCBを釣り出す事ができ、中央に広大なスペースを創出。これで攻撃を完結させる狙いが見えた。

そして2つ目。

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この場合はCFラカゼットがボールを受ける事でCBを釣り出し、それと同時にフリック気味にSHへのパス、またはSBへパスを供給する。これで縦に早く攻撃を仕掛ける事に成功していた。

そして最後に3つ目。

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このパターンは数少なかったが、それでも効果的なものになっていた。チェルシーはかなりサイドに人を集めて守備を行う。そのため、逆サイドに大きなスペースが残されている。アーセナルは狭いが、スペースを見つけることの上手なOMFスミスロウがボールを受けると逆サイドへ展開。これを行うことでチェルシーにスライドを促して、目線を変えることで優位に攻撃を仕掛けることができていた。

 

そしてこの試合で大きく向上していたことが、攻撃の連動性だ。これまでの試合は背後に走る選手がほぼおらず、ドリブル・またはキープで時間を作りサポートを「待つ」しか選択肢がなかった。だが、この試合では能動的にサポートを行うことで「その先」のサポートをすることができていた。だからこそ、ボールと人が動き、効果的な攻撃を仕掛けることができていた。

 

後半

すぐさま手を打つチェルシー

ハーフタイムを挟み、ランパード監督はすぐに手を打つ。それがより攻撃的に振舞うことだ。だからこそ、ジョルジーニョとオドイを投入。

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これを行うことでサイドから入り込むことを促す。

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前半から右サイドを中心に攻撃を仕掛けれていたチェルシー。それに拍車をかけるために「幅を作り、クロスを供給できる」WGプレーヤーのオドイを投入。これを行うことでSBを釣り出し、ポケットにスペースを作ることを狙う。仮にプレスにこないのならば、高精度のクロスを供給することで攻撃を仕掛けていく。

また右サイドが詰まれば、DMFジョルジーニョやCBから逆SBチルウェルへのサイドチェンジで攻撃の目線を変える。

このようにして攻撃の圧を強め、逆転を狙ったが、一歩届かなかった。

 

守備の方法を変えたアーセナル

動いたのはチェルシーだけではない。アルテタ監督も守備の方法を変えることで、攻撃の圧を強めるであろうチェルシーを迎え撃った。

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その変更が守備時の4-4-2の人選を変更。後半から守備の時だけ左SHの位置にスミスロウを配置。これでマルティネッリを中央に残して守備を行っていた。

だから、IHに入ったカンテの近くにスミスロウが引き続き立つことになった。

さらにこのような意図も隠されていたのではないだろうか。

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それがこの図のように攻撃に移る際にマルティネッリが外に広がり場所を開け、スミスロウが斜めにそのスペースに入り、ボールを引き出すことだ。これを行うことでDMFジョルジーニョの混乱を誘うと同時に、降りるCFラカゼットと一緒に数的優位を作り出すことができる。これでラカゼットまたはスミスロウからSHへのスルーパスを期待できる。このようにカウンターを打つことを密かに狙っていたので、守備の人の位置が変わっていたのではないだろうか。

 

やはり希望は4-2-3-1だった!

前回のエバートン戦。この試合の後半から見せた4-2-3-1。この試合のレビューで4-2-3-1が希望になるのでは?と触れさせてもらった。やはりこの布陣がこれまでの試合の中で最も流動性があり、期待感を持てた。だがこれには必須の条件としてOMFにスペースを見つける能力が必要になる。そしてこの試合で抜擢されたスミスロウにはその能力が備わっていた。だからこそ、この布陣が機能し、チェルシーを苦しめることができた。とは言ってもPK、FK、サカのクロスかシュートか分からないゴールの3つだ。ここまでの流れは良いのだが、やはり欲しいのはきちんとした流れからのゴール。前節後半とこの試合を見る限り、これが生まれるのが時間の問題だろう。果たしてこれが分岐点となり得るのか。超過密日程の中、どれだけ自信を取り戻すことができるのだろうか。

 

一方のチェルシー。ここに来て失速気味。昨季もこの時期に苦しんだ。過密日程もあるだろうが、気になるのがSBの背後を使われてCBが釣り出されてしまうことが多くなってしまっていること。疲労からか、この展開の一歩前で潰し切れる場面が少なくなった。果たしてここで踏ん張ることができるのか。まだまだ優勝争いにしがみついている。ここからの彼らの巻き返しにも期待したい。

 

 

 

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