Football Base 〜サッカー戦術分析〜

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UCL アタランタ×PSG 〜夢の続きへ。劇的な幕切れの裏にあったもの〜

 

 

はじめに

チャンピオンズリーグ初挑戦のアタランタ。グループリーグでは3連敗を喫し、苦しいスタートだったが、確固たる信念のもと、とうとう欧州ベスト8まで上り詰めた。そしてセミファイナルへ駒を進め、夢の続きを見るためにフランスの雄、PSGと一戦を交えた。一発勝負となった今季のチャンピオンズリーグ。決勝のように堅い試合になると予想したが、やはりアタランタとPSG。そのようなことは一切望まず、ゴールに迫り続ける迫力のある試合内容となった。そしてせんせいしたアタランタ。試合終盤まで、そのリードを守り抜いたが、夢から突如として引き戻されることとなった。PSGの絶対的な個の力により、劇的な幕切れで破れることとなった。これで悲願の初優勝を狙うPSGがまだ夢の続きを見ることになった。では今回は、このドラマが待っていたUCLクウォーターファイナルの分析レビューを行なっていこう。

 

スターティングメンバー

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らしさ全開のアタランタの守備

まず触れていきたいのがアタランタの守備の方法から。60分にPSGのムバッペが交代で入ってくるまで、このハイプレスを敢行。これにより、PSGを苦しめ、先制点を奪い、そして勝利目前まで迫ることができた。ではどのようにアタランタは守備を行なっていたのか。

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アタランタは「マンマークハイプレス」を敢行する。そのためにCBに対して2トップが、DMFマルキーニョスはOMFのゴメスがマーク。もちろんIHに対してはCHがマークを行い、中央に入り、自由に動くネイマールに対してはカルダーラが徹底して付いていくことで時間を与えなかった。もちろん、WBもSBにパスが出ると素早くプレスを行うことでここでも時間を持つことを許さなかった。

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だからPSGサイドはショートパスを繋ごうとしても窮屈で上手く前進できず、これによってロングパスを打ち込むことが多くなっていく。

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そしてアタランタはPSGにロングパスを選択させると、WG、または中央のネイマールの所で確実に、そして絶対に潰す。この『アバウトなロングパス』を蹴らせることにアタランタの狙いがあり、これこそがハイプレスを仕掛ける目的だ。そしてこのあとの回収方法も秀逸だ。

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まずWG側にロングパスが出た場合。この場合は先ほども触れたように、CBトロイが確実にそのロングパスを跳ね返す。その時にただ跳ね返すのではなく、「WB側」に2ndボールを作り出す。これを行う事でCHとWBがPSGの選手よりも距離が近いのでボールを先ひ回収する確率が高くなっている。だからこのエリア付近で2ndボールを回収する場面がよく見受けれて、そして攻撃に転じる事ができていた。では中央に出た場合はどうしていたのか。

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中央に出た場合もCBが確実に潰しにかかる。そして2ndボールを作り出す所は「中央」だ。ここにボールを落とす事でCFのどちらかが斜めに抜け出す事ができる。さらにDNFマルキーニョスの背後、または脇でボールを拾える確率が高くなる。これで回収を完了させ、ショートカウンターを打ち込み続けた。そしてPSGにテンポを作らせなかった。

 

CBの攻撃参加で手にした先制点

次はアタランタの攻撃に関して。アタランタは攻撃の局面、CBが上がっていく事でPSGに的を絞らせなかった。ではなぜこれができたのか。

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このようにアタランタはCHが下がる事でCBと入れ替わる動きを加える。この入れ替わりは近くの入れ替わりでPSGも対応しやすいかもしれない。だがここからさらにCFがブロックの外まで下がってきて、CFが空けたそのスペースにCBが上がっていく。さらに中央かつ前にもう一つパスコースを作るためにネイマールの背後へCBカルダーラがポジションを移す。これで攻撃を仕掛けていく。ではこの動きの何が効果的だったのか。

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まずは中央のパスコースから。中央のパスコースはOMFゴメス、またはCBカルダーラへの縦パスが多くなる。ここに打ち込める理由として、DMFマルキーニョスに対して「縦関係」で数的優位を保っているから。ゴメスに対してマルキーニョスがマークを行うのならば、カルダーラへ、カルダーラのところまでマルキーニョスが出てくるのならば、ゴメスへ縦パスを打つ事ができる。では次にサイド。サイドでは4-4-2のブロックを形成するために中盤まで戻るWGサラビアに対して降りてきたバシャリッチとWBハテブールで数的優位を作り出す。この関係で、サラビアはバシャリッチを消すのか、ハテブールを消すのか、この判断が難しくなる。この方法でアタランタは優位に立ち、前進を試みた。

そしてこの試合で多く仕掛けていたのは、右サイドの幅を使っての攻撃だ。

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このようにWB(幅を取る選手は常に変わっていたが)が幅を作りそこでボールを受けると、もちろんPSGのSBがプレスを行なってくる。それと同時にライン間に位置するCB(ここに位置する選手も常に変わる)が場所を開ける事で、ブロックのそとに降りたCF(ここからCBまたはCHが上がってくる場合もあり)が3列目から飛び出して入ってくる。これでライン間に差し込む事も可能になり、さらにサイドの奥深くを取る事も可能になる。このようにして攻撃を仕掛ける事で、アタランタはPSGを混乱に陥れていた。

 

実際にこハイプレスからボールを回収→攻撃の準備→CBの攻撃参加で、先制点を奪う事に成功した。先制点のタイミングも最高で、PSGの流れに傾きかけていたところでゴールを奪う事ができた。そしてこの攻撃と守備を60分辺りまで続ける事ができていた。

だが、ムバッペの登場と体力の消耗、そして怪我による欠員でアタランタはPSGに劇的な逆転負けを喫する事となる。

 

PSGの王様頼みの攻撃

この試合、PSGはアタランタのハイプレスに苦しみ、そして先制点を献上してしまった。だが、それでもアタランタに脅威を与え続ける事ができたのは、パリの王様、ネイマールのおかげだ。この試合のネイマールはまさに『トップオブトップ』。その価値を改めて世界に顕示した。ではPSGはどのようにネイマールがボールを持てると、このハイプレスを回避できていたのか。

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先ほども触れたようにこのハイプレスはPSGの選手にとってショートパスを繋ぐにはかなり『窮屈』なものだった。中盤とバックスは完全にマンマークされ、ネイマールに対してはアンチフットボール並みのマンマーク。だから後方からショートパスを繋ぐ事が困難になり、ロングパスを蹴る羽目になっていた。だがこの守備には針の穴ほどの解決の糸口があった。

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その糸口とはWBがSBにプレスに行った事によってできる、WBの背後のスペースだ。ここにロングパスを届ける事でPSGは何度かハイプレスを回避し、トゥヘル監督はハーフタイムで確実に修正を施し、後半からここを徹底して使えるように仕向けていた。

ではここをどのように使う事でPSGは攻撃、主にカウンターを仕掛けていたのか。

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このようにWBの背後にサラビアがポジションを取る事で、CBトロイを引き付ける。これで中央のスペースを開ける。さらにこれで2ndボールを作るはずのサイドにボールを落とせないように仕向ける。またロングパスを打つ際、IHがCBの近くに降りる事で、CHデローンを引き付けてライン間のスペースを作り出す。そしてロングパスを受けたWGサラビアがライン間になんとかボールをセットすると、そのパスをネイマールが拾う。ここで拾う事ができるのは、CBトロイをサイドに寄せた事により、中央を空けたから。ネイマールのマンマークを行うCBカルダーラは中央を埋めるか、タスクを敢行してネイマールについていくかの判断を一瞬の内に迫られる。(だがタスク通りにネイマールのマンマークを行う事が多かった)これでネイマールがボールを前向きに持つ事で、一気にスピードを上げてカウンターを仕掛ける。

さらにこの試合のネイマールはDF1枚はいてもいないような感じで、異次元の世界にいた。だから簡単にDFを剥がし、そして強引に、そして華麗に数的優位を作っていった。その価値を改めて知らしめたネイマールのプレーに、見惚れ、心躍らせるフットボールファンは多かったのではないだろうか。一方でアタランタのサポーターはネイマールがボールを触るたびに、ひやひやしたのではないだろうか。

 

PSGの後半の対応

後半のPSGの修正・対応についてはYouTubeでまとめてみた。ぜひこちらもご覧になって頂きたい。

 

youtu.be

 

チャンネル登録もしてもらえると嬉しい限りだ。

まとめ

劇的な幕切れだったこの一戦。やはり欧州最高峰の大会。劇的なドラマもあり、そして戦術面でもかなり詳細なものだった。アタランタにとっては初挑戦のこの大会で、ここまで勝ち進めた事は来季の大きな糧になるだろう。小さな町の小さなクラブが攻撃的なサッカーでメガクラブを叩きのめしていく。この絵面に興奮しないものはいないのではないだろうか。一フットボールファンとして、胸が熱くなるストーリーだった。もちろん、今季の夢は終わってしまったが、また来季、この夢の続きを見る事ができるだろう。

一方のPSG。こちらも意地の逆転で悲願の欧州王者の称号に一歩近づいた。いよいよ夢に見てきたもタイトルが現実味を帯びてきた。さらにこの一戦で見せた粘い強さと勝負強さ。これはタイトルを獲得するチーム特有のものだろう。そしてその権利とチャンスがまさに転がってきている。タイトルまで残り2戦。はたしてフランスのメガクラブはその夢を実現する事ができるのか。残りの試合に注目していきたい。

ぜひ機会があれば、このサッカーの良さが存分に詰まったこの試合を見直してみてほしい。

 

 

 

終わりに

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