Football Base 〜サッカー戦術分析〜

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PL トッテナム vs マンC 〜名将による、名選手のための、好ゲーム〜

 

はじめに

これまで幾度となく対戦してきたモウリーニョ監督とグアルディオラ監督。かつて、バルセロナで同僚だったこの2人は、不思議なことに全くもって正反対の戦術を使用する。これに相まって、2人のライバル関係はよく報道されるようになった。かつてのバルセロナレアル・マドリード、マンCとマンUのように。そして再び相見えたは、トッテナムとマンC。この両クラブにさほどのライバルかんけはないが、それでもマンCは昨シーズンに、CL決勝への切符をこのクラブに断たれている。リベンジを果たしたいマンC、そしてCL出場圏内に入り込むため、不調を断つためにグアルディオラ率いる王者を叩きたいモウリーニョトッテナム。矛と盾。興味深いビッグマッチはトッテナムの勝利、モウリーニョ監督の勝利で幕を閉じた。では今回はこの試合について解説していこう。

 

スターティングメンバー

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引用:https://www.whoscored.com

トッテナムは引き続き、エースケインを欠く状況。さらにはゲームメーカーのエリクセンインテルに放出し、2人のエースを欠く、難しい状況に陥っていた。その代わりにベルフワインという23歳のPSVのエースを獲得。早速モウリーニョ監督は彼を先発で起用。また、ローズをニューカッスルにローンで放出し、その代わりに信頼を得たタンガンガが先発出場。一方のマンC。この試合はベルナルドシウバではなく、マフレズが先発。誰が出てもクオリティの落ちないマンC。唯一の懸念はラポルトがいない事だろう。では早速、この試合について解説していこう。

 

モウリーニョが授けた戦術

まずはモウリーニョ監督がこの試合に対して準備していた戦術から。クオリティのある選手たちがこの戦術をきちんとこなしたからこそ、トッテナムの勝利があったのだろう。では早速、その戦術について紐解いていこう。

 

守備戦術

モウリーニョ監督と言えば『守備』。このようなイメージが皆さんにもあるだろう。まさにその通りで、この試合もまずは「守備」から試合に入った。

(白⇨トッテナム 黒⇨マンC)

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トッテナムは守備時の並びが4-4-2に変形する。CFとOMFでDMFを消しながら、2CBに牽制をかける。ここで重要なのがSHの立ち位置。マンCの攻撃時、ビルドアップの形は2-3-5のようになる。ここでSHの立ち位置により、大外へのパスコースを消す事で、中央へのパスを選択させるように仕向ける。ここでIHに対してはCHが、WGに対してはSBがマンマークを確実に実行する事で、前進させない、ボールを回収することを達成しようとしていた。

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そしてこのように赤丸のエリアにボールが入ると一気にプレスのスイッチを入れる。SHがヘルプに行くことで数的優位を作り出してボールを奪い切る。もちろん、きちんとリスクカバーもしている。ボールサイドのCHがプレスに出るので、そこのスペースを逆のCHとSHがスライドすることで埋める。逆サイドは捨てることになるが、これでサイドを圧縮してボールを回収することを試みた。

自陣ディフェンディングサードでブロックを作った時はペナ幅で4-5-1の形になるの事で、中央を固め、マンCのクロスを跳ね返す、中央に差し込ませないことで失点しないように粘った。これがトッテナムの基本的な守備戦術。

 

攻撃戦術

モウリーニョ監督がこの試合で大切にしていたこと。それは「失点しないこと」。そしてもっと大事にしていたことが『守備時のポジショニング』だ。これにより、トッテナムは何度かチャンスになりかけるカウンターを仕掛けることができ、そしてカウンターとCKで2ゴールを奪い、勝利を手にした。では攻撃はどのように仕掛けていたのか。

パターン①:SHの飛び出し

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まずはSHの飛び出し。これが守備時のポジショニングに口うるさいモウリーニョ監督の1つ目の狙いだ。例えば上の図のようにボールを奪うと「立ち位置」でSBを消すポジションを取っていたSHが「内⇨外」で黒丸のスペース、SBの背後に飛び出すことができる。これにより、中央でDMFを消していたSCとOMFがクロスのターゲットマンになることができる。さらにマンCのCBを釣り出すことができるので、ここを剥がせば大きなチャンスに繋がる。これが1つ目のトッテナムのカウンターのパターンだ。

パターン②:CFが飛び出す

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もう1つのパターンが自陣深くからのロングカウンター。これはCFとOMF(状況によりSH)で攻撃を完結させようとするものだ。少し触れたがマンCの攻撃時のポジショニングは大体2-3-5の形になることが多い、だからSBの背後を突くことでここでも優位に立とうとした。上の図のようにCFが抜け出す事で黒のエリアで数的同数になる。これでOMF(アリ)のポジショニングのセンスを生かしてクロスのターゲットマンになる事で、ゴールに迫ろうと試みた。

 

これらの早い攻撃でトッテナムは攻撃に活路を見出していた。

 

マンCの対応の早さ

トッテナムの守備の陣形、やり方にそのまま付き合うのではなく、即時に対応していく。これこそが継続的に勝つことができる、マンCの強さ、グアルディオラ監督の地0無の強さだ。ではどのように対応をしていったのか。

CFの中盤へのヘルプ

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まず1つ目がCFが中盤に降りてヘルプを行なったこと。ではこれの何が良かったのか。それは黒の四角のエリアでCHに対して数的優位を作り出すことができること。これでCHはどちらのマークをつけばいいのかの判断が難しくなり、その一瞬の迷いを突いてCBから縦パスを差し込むことで中央を突破できるようになっていく。さらに、赤線のように四角形を作り出すことができるので、圧倒的にポジショニングで優位に立つことができ、トッテナムを混乱に陥れることに成功した。

トッテナムの対応

もちろん、モウリーニョ監督、トッテナムも負けじと対応を施す。

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このようにOMFがIHへの牽制を実行する事で縦パスのコースを消す。これで先程のエリアは守れるようになったのだが、この守備はその場凌ぎのものだった。相手の動きを見てサッカーをすることができるマンC。「そこが消されるならば」と言わんばかりに次の一手を施す。

WG(マフレズ)とハーフスペースでの勝負

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このようにOMFがDMFのマークを緩くするので、DMFがボールを受けれる回数が増える。これでDMFは逆サイドのSB、IH、WGへのパスコースを持つことができる。この時にCHがCFへ意識が寄っているため、IHにもスペースと時間がある格好だ。そして困ったのがSH。SBとWGへのパスコースを切っていれば良いのだが、IHも加わるので、立ち位置が曖昧になる。これでSB経由、IH経由、DMFから直接WGへボールを届ける事でCBとの純粋な1vs1を作り出すことに成功。そしてこのように攻撃を仕掛ける。

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WGが幅を取り、SBを突き出したところで機をうかがうIHがここぞと言わんばかりにIHを攻略。そしてここからクロスを入れることで何度もチャンスを創出したが、決め切ることができなかった。

トッテナムの対応

もちろんこれにもトッテナムは対応を施す。

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降りてくるCFにボールを受けさせるのを許容し、その時に逆に変えさせないようにプレスをかける。これでIH、WGのどちらかにパスを出させる。ここのCHのプレスのかけ方が上手なのでこのようなことが実行できたのだろう。そしてWGにパスが出ると、IHに対してHが2度追いを仕掛けることで、ハーフスペースをフリーで使わせないことに成功した。

SBのCHロール

後半からマンCはSBが「CHロール」を行うことで活路を見出そうと試みた。

ではなぜこのように変更したのか。

攻撃時の修正

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このようにSBがCHロールを実行する事でSBがインナーラップをすることができるようになる。今まではIHが使っていたハーフスペースをSBが使うことで、IHがフリーで受けれる場面を間接的に作ることに成功していた。

守備時の修正

さらには守備時の修正もこれにより施す。それはカウンター時に釣り出されるCBのカバーだ。

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このようにSBがCHロールを行なった事でプレスバックの距離が短くなるので、物理的にカバーができるようになる。これでカウンター対策もバッチリといったところだった。

 

だが攻撃をさらに強め、ゴールをこじ開ける準備が整ったところで退場者を出し、失点してしまった。これで万事休すのマンC。最後までボールを握ったが、ゴールを奪うまでにはいかなかった。

 

まとめ

マンCは流れがあるうちにゴールを奪うことができなかったが、この試合で敗因した大きな理由だろう。最大のチャンスのPKを決め切ることができなかったマンC。とても悔やまれる結果で、あのPKが決まっていたら、一方的な試合になっていたのは容易に想像がつく。一方のトッテナム。まさにモウリーニョらしい勝ち方で、この試合のためのゲームプラン、そしてこのビッグゲームにかける思いが伝わってきた。運も味方につけ、まさに勝つべくして勝ったといっても良いのではないだろうか。守備的なモウリーニョvs攻撃的なグアルディオラ。この2人の名将の戦いはモウリーニョに軍杯が上がった。

そしてこの試合、この名将2人が大事にしているもの、『トランジション』の部分、モウリーニョは「ポジティブトランジション」、グアルディオラは「ネガティヴトランジション」、もっと言うとモウリーニョは「守備時のポジショニング」、グアルディオラは「攻撃時のポジショニング」を大事にしていることがよくわかる良い試合だった。

もう一度、この記事を一読し、この試合を見返してもらったら幸いだ。

 

終わりに

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