PL チェルシー vs ウェストハム 〜チェルシー敗戦の理由〜

 

 

はじめに

ロンドンダービー。だがこのダービーは圧倒的な力の差があり、チェルシーは17年もウェストハムに負けていない。さらに現在、ウェストハムは失点が多く、勝ち切れないゲームが続いていた。一方のチェルシーランパード監督になり、良い意味で驚きが隠せないチームに仕上がる。誰しも「この試合はチェルシーの勝利で終わるだろう」と思っていたはずだ。だが蓋を開けるとホームで0-1の敗戦。ではなぜチェルシーは負けてしまったのか。今回はチェルシーが負けてしまった理由を紹介しよう。

 

 

チェルシーの攻撃とウェストハムの守備

チェルシーの攻撃の仕組み①:ビルドアップ

縦に早く、リスクのあるパスを多く選択肢、常にゴールを目指すサッカーに生まれ変わったチェルシー。この攻撃的なサッカーで、今シーズン、ここまで魅力的な試合を展開してきた。だがこの試合に至ってはこの攻撃的なサッカーが裏目に出てしまうことになった。そこでまずチェルシーの攻撃の仕組みについて触れていきたい。

(白⇨チェルシー 黒⇨ウェストハム

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このようにチェルシーのビルドアップはWGが中に入る、SBがそのスペースを使えるポジションをとる、OMFが中盤のヘルプで人数を増やす、CHがずれることでWGへのパスを入れれる。という風にボールを前進させていく。さらにその方法が、CHのコバチッチ、またはWGのプリシッチ、ウィリアンのドリブルでの持ち運びが基本的なボールを運ぶ方法になっている。そして中央(WGやCH、OMF)にボールを配給できない場合はSBにボールを渡し、WGが流れることで一気にスピードを上げる。

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これがWGがサイドに流れてボールを受けるパターン。ここでボールを受けると一気にスピードが上がる。ほぼショートカウンターのような形に持っていく。

これに対してウェストハムはどのような守備戦術を用意してきていたか。それを紹介しよう。

ウェストハムのビルドアップに対しての守備

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このゲームの ウェストハムの守備はよくある、『中央にボールを入れさせない』守備だった。そのために、CFとOMFでチェルシーのCHを消しながらCBにボールを持たさせる。この時に上の図の赤のラインまでは比較的自由にボールを持たせていた。このラインを越えらそうになるとがっつりプレスをかける。これでCH、さらにはSHの立ち位置により、WGへの縦パスを消すことに成功。そうするとチェルシーのビルドアップで紹介したようにCBはSBにパスを出す。ここでSHが中を切りながらプレスをかけることでSBのパスコースを限定。さらにWGが流れてボールを受けることをスカウティングしていたのでウェストハムのSBはここへのボールを狙うことができていた。さらに、もう一つの狙うボールとして、『無理やり通す縦パス』。これを誘発させることで、中央でボールを奪い行きり、一気にカウンターを発動。これもこの試合で何度か観られたシーンだった。かなり準備された守備戦術だったと感じるものだった。

 

チェルシーの攻撃の仕組み②:アタキングサード

では押し込んだ時のチェルシーはどのような攻撃を行っていたか。

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基本的なアタッキングサード時のポジショニングはこのような形。ボールサイドのSBが幅を取り、逆のSBはCHのいちに入り込む。上の図の黒丸の選手がサポートし、サイドを崩してクロス、WGがカットインしてシュート、またはラストパス、これが大まかなチェルシーの押し込んだ時の攻撃戦術。クロスに対して赤丸の選手が中で合わせ、青丸の選手がセカンドボールの回収を行うという風に、割とはっきりと役割が決まっている印象だ。さらにボールサイドに人数を集めるので、頻繁にサイドチェンジも行う。

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サイドを変える経路としてはこの経路が多い。これで目線を変えて、マークをずらす、さらには大外からクロスに入ることで合わせる際に優位に立つ。これが基本的なチェルシーの攻撃の仕組み。だがこの攻撃もウェストハムに封じられる。

ウェストハムファイナルサードでの守備

ではこの攻撃に対してウェストハムはどのように対処したのか。

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まず、SBにボールが入った場合はこのようにSHが中を切り、縦に誘い込む守備。まさに守備の基本を体現したいる形だ。さらにWGに対してSBがほぼマンマークの形をとり、自由にさせない。また中のCFに対してもCBが必ずマークをつく。これでクロスに対しての対策をしっかりとる。CHがハーフスペースを埋めることでチェルシーのCHにそのスペースを使わせない。またOMFが中央の立ち位置をとることで、CHへのバックパスからドリブルで中に切れ込むことを牽制。これでチェルシーの攻め手を削っていく。さらにサイドチェンジに関してはこのような対応をする。

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サイドチェンジの対応策として一言でまとめると『ワンクッション入れさせる』。

CHにボールが出た場合はOMFがプレスを行うことでCBにパスをさせ、CFの立ち位置でCH(主にジョルジーニョ)のパスコースを消す。CBにパスが出た場合はCFがプレスをかけることでCHにパスを出させ、一つ無駄なパスを入れさせる。こうすることでスライドを行う時間を作り出し、陣形を整える。これでチェルシーに効果的なサイドチェンジを行わせなかった。これらの守備でウェストハムチェルシーに決定的なチャンスをほとんど作らせなかった。

やはり狙われたSBの背後

これもチェルシーが負けてしまった原因だ。両SBが攻撃に参加することがほとんどなチェルシー。ここを狙われるのは至極当然のことだ。ここを狙われることでカウンターをくらい、何度もピンチを迎えていた。これもウェストハムが狙っていた攻撃だろう。

 

SBの数的不利

これもチェルシーのビルドアップに関係すること。この試合ではよくSBが数的不利に陥っていた。

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ビルドアップ時にWGが中に入り込むチェルシー。CBからの縦パス、またはCHからの縦パス、WGが受けてからボールを奪われると、一気にピンチに陥る。その理由がWGが本来いるはずのポジションにいないのでスペースがそこに生まれてしまう。ここをSHがドリブルで時間を作り、SBのオーバーラップで数的優位を作り出す。実際にこの試合の決勝点もこのような形から奪っている。

 

まとめ

かなり攻撃的でリスクを取る事を厭わないのでスリリングな試合が多いチェルシー。観ている側もやっている側も面白いサッカーには間違いない。だが、この試合のように徹底的に準備されるとリスク管理ができていないところが浮き彫りになってしまう。まだランパード体制になり、日が浅いのでこれから改善されていくだろうが、この『リスク管理』ができないといつまでも撃ち合いの試合が多く続いてしまうのではないだろうか。さらにCFエイブラハムの不在も少なからず影響しただろう。来夏までストライカーの補強ができないチェルシー。ベストメンバーが揃った時の破壊力と勢いは申し分ないが、ベンチワーク、そしてリスク管理をどのようにとっていくのかが上位と離されないための鍵になるかもしれない。とはいえ、スリリングな試合が多く、面白いサッカーをするチェルシー。これからも注目してみようと感じるチームだ。

 

終わりに

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