PL チェルシー vs リバプール 〜嵌り切らなかったリバプールのプレス〜

 

 

はじめに

お互いにCL初戦で敗戦してから迎えたビッグマッチ。一方はより完成度が高く、そして突き入る隙のない、完成度が高いチーム、一方は補強禁止、経験の浅い監督を招いてまもない、粗削りだが若手中心の勢いのあるチーム。対照的なチーム同士の試合となり、この対決を制したのはリバプール。CLの疲れ、はたまた敗戦のショックが大きかったのか、お世辞にも良いサッカーではなく、「なんとか耐え切った」という試合内容だった。ナポリ戦、そしてこの試合で見えてきたリバプールの守備の綻び。チェルシー はしっかりとそこを突いて同点、はたまた逆転勝利まで限りなく近づいた。では今回はなぜリバプールのプレッシングが嵌らなかったのか紹介していこう。 

 

リバプールのプレスが嵌らなかった理由

SBの起点

チェルシーのビルドアップに対してのリバプールのプレッシングの噛み合わせは配置的に綺麗に嵌る予定だった。だがリバプールチェルシーのビルドアップに苦しんでいた。ではどのように苦しんでいたのか。

(白⇨チェルシー  黒⇨リバプール

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黒丸のところでは数的優位、黄丸のところでは数的同数、青丸のところでは数的優位の状況を作り出すことに成功。これは「外を切り中央に追い込む」というリバプールのプレッシング戦術なので至極当然、このような状況を生み出すことができる。だからほとんどのチームは黒丸のところにDMFを一枚下ろすか、SBが絞ってバックラインを3枚にして数的同数を作り出すことが多い。(先日のCL ナポリは3バックの形を取った)だがこの試合でチェルシーが行なったビルドアップはこのように後ろが2CBの形。こうすることで、中盤で数的同数を作り出すことができ、両SBが浮いた状況を作り出すことができる。実際に両SBのヒートマップもこのようになっている。タッチ数を見ても明らかにSBを起点としていることが容易に理解できるだろう。

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https://www.whoscored.com

 WhoScored.comから引用

 

 ビルドアップ時にSBが幅を取ることにどのようなメリットがあるのか。それは先日紹介したこの記事と同様だ。一度目を通してもらいたい。

www.soccer-bunseki.com

 

そしてこのような状況を作り出すことができる。

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このようにCBが深さを作りボールを持つことでWGはどこまでプレスをかけるか、誰をマークするか迷ってしまう。これでCB(またはGK)からSBへのボールを出す事でリバプールファーストプレスを剥がし、SBで時間を作った。これがチェルシーの用意してきたリバプールのプレッシングに対する策の礎。これでリバプールのプレスは嵌り切らなかった。

 

サイドチェンジ

確実にこれがリバプールの弱点。ナポリ戦でもチェルシー戦でもこの『サイドチェンジ』、イングランドでは『スイッチプレー』により、左右に振られ続ける事となった。

ではどのようにしてサイドを変えられていたのかを紹介しよう。

WGウィリアン経由のサイドチェンジ

まず一つ目にこの方法を紹介しよう。

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SBをフリーにするために内側に絞っていたWGが外に広がる事でDFライン全体をスライドさせる。参考までにこれがWGウィリアンのヒートマップ。

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https://www.whoscored.com

 WhoScored.comから引用

このようにサイドでボールを受けて、SBを剥がしてサイドチェンジ。

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このようにWGが外に開いて受けたことでDFをサイドに寄せることができる。そしてWGのウィリアンの個人能力でSBを剥がしてスペースのできた逆サイドへ展開。リバプールはこの方法でサイドを変えられることが多くあった。

 

CHの進出⇨サイドチェンジ

これもこの試合で多く見られた現象だ。その方法がこちら。

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CHがサイドに進出することで中央にスペースが生まれる。ここをDMFのジョルジーニョが使い、ボールを受けることでサイドを変えることに成功していた。もしもここでリバプールDMFのプレスが甘かったら自分でターンしてサイドを変え、プレスがきつかったらCB経由でサイドを変える。サイドを変え、広い方にボールを運ぶ事でリバプールの連動したプレスを無力化し、リバプールを自陣に押し込むことに成功した。これも先に紹介した『SBの起点』によりできる戦術だ。

 

狙われたサラーの背後

これもナポリ戦同様のものだった。ここを中心にビルドアップすることでファーストプレスを剥がし、そしてサイドを変えプレスを突破していった。

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よく使われるここのスペース。やはり右WGのマネと比べるとどうしても守備力が劣ってしまうのでよくここを使われるのだろう。 そしてここで良いはtらきをしていたのがCFのエイブラハム。彼が2CBとDMFを引き連れているのでチェルシーのDMFは時間を確保することができていた。リバプールは『サラーの背後』の修正が必要ではないだろうか。

 

まとめ

このようにしてチェルシーリバプールを圧倒したが(特に後半)又してもホームで勝つことができなかった。試合内容がとてつもなくよかっただけに、ランパード監督は悔しさを感じているだろう。敗戦した中でも若手のエイブラハム、トモリがビッグクラブ相手にも通用することがわかったことはとても明るい材料ではないだろうか。特にトモリに関してはサラーに勝るとも劣らない対応をし、ほとんど完璧に抑え込んでいた。とても楽しみなCBではないだろうか。そして一方、リバプールはなんとか勝ち切ったという印象が強く残った。この試合もナポリ戦同様に『サラーの背後』と『サイドチェンジ』によりリバプールの十八番、プレッシングが嵌り切らなかった。それでも勝ち切ることができるのだから本当に強いチームだ。そして今だリーグ戦無傷の唯一のチームだ。まだまだシーズンは長いが、悲願のプレミア制覇に向けてまた一歩近づいた。果たしてどのような閉幕になるのか、シー全序盤だがやはり興味深い試合の多いプレミアリーグ。今シーズンもとても楽しめそうだ。

 

終わりに

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