はじめに
首位との差を縮めるために、一方は迫ってくる下位チームを引き離すために。お互いに勝利が必要な試合となった。フロンターレはホームで勝ちきれない試合が続きフラストレーションが溜まっている。そして今節、上位2チームが引き分けたのでどのような形でも勝利が欲しかっただろう。一方でエスパルスは前節の札幌戦、8失点と大敗を喫し、J王者のホームに乗り込むという難しい試合に臨むこととなる。だが蓋を開けてみると2-2のドローゲーム。またしても複数失点を喫してしまったが、明確な戦い方と守備戦術をもち挑んだ中での引き分け。しかも王者とのアウェイゲームだったので、ある程度の評価はできるのではないだろうか。では今回はエスパルスのこの試合の狙いについて紹介していこう。
前半に守備が上手く嵌らなかった理由
まず狙いを紹介する前に、前半の守備について解説しておこう。
正直、前半の守備、もっと具体的にいうと40分あたりまでの守備は嵌っていなかったのではないだろうか。その理由がこちら。
フロンターレのCH(主に6番)がDFラインに降りることで、CBを広げる。そしてそこにボールが出ると、SHがプレスに出ることがほとんどだった。そうするとSHの背後にスペースが生まれる。これは名古屋グランパスと同じような状況だ。これがSHが出た時のデメリットの詳細。
さらにフロンターレの狙いとして、SBが幅を取ることでSHが絞り、OMFとSHがDMFの脇にポジションを取ることで、局所的に2v1の状況を作り出していた。そうすると、エスパルスSHがCBにプレスに行く際、CBの選択肢はSHへの縦パス、OMFへの縦パス、SBへの幅を持たせるパスの3つ。そしてここで選択していたパスはSBへのパスが多かった。SBがフリーなので、時間とスペースがあり、持ち上がることが容易になる。
これでSBが遅れてプレスに行くことが多くなり後手の対応を踏んでいたのでフロンターレの時間が多く続いていた。
40分あたりからの守備
このあたりからエスパルスの守備が少し変わる。
SHがプレスに行かずに我慢することにより、SBに出た時にSHが対応できるようになる。そうすると絞ったSHはSBが対応、OMFはDMFが対応できるようになる。これで外回しにボールを回させ、そして前進させない守備をある程度形成することに成功。そしてハーフタイムを挟み、後半にもう少し修正を加える。
HTでの修正と後半の戦い方
HTでの修正で後半から守備がもう少し変わる。
プレスラインが低くなったことで、コンパクトに保つことができるようになる。そうすることで最終ラインとセカンドラインが狭くなり、ライン間にスペースが極端に無くなった。さらにSHがボールを持った時にSB、SH、DMFでサイドを圧縮する事でボールを奪う、前進させないことを目的とした。
シンプルな攻撃
さらに後半に入り、ドウグラスへのロングボールが増え、そこからフリックして抜け出す、またはセカンドボールを拾って虹攻撃を繰り出すというよりシンプルな攻撃が多くなった。これはラインを少し下げたことと、前半に何度か敵陣で縦パスを引っ掛けられてカウンターを食らうことが多かったので、修正を加えたのではないだろうか。
エスパルスの狙い
ではこれを踏まえてのエスパルスの狙いを紹介していこう。
中央ボール奪取⇨カウンター
狙いがでたゴールシーン(サンプル動画)
個人的にカウンターは凄く好き。粘って一撃必殺を繰り出す攻撃。その中で整理された守備があり、準備があり、狙いがある。本日の17時にこの試合の詳細をブログで解説します。ぜひ一度、ご覧になって下さい!#Jリーグ #川崎フロンターレ #清水エスパルス #フロンターレ #エスパルス pic.twitter.com/5Nr5AGZXrI
— サッカー戦術分析 ~Football LAB~ (@jHgW2UrDVwTxdFs) August 29, 2019
これがこの試合の狙いだ。ではどのようにしてボールを奪い、攻撃に転じようとしていたか。ではわかりやすく、エスパルスの2点目を題材にして解説していこう。
まずスローインの流れからだったが、左サイドで前進させないことに成功。そうすることでバックパスを選択させ、守備の陣形を整える。
そしてボールを奪える陣形を整える。ボールを奪う場所としてはハーフスペースに入ってくるCH(もしくは引いてきたOMF、SH)への縦パス。この縦パスを奪うためにSHはSBを牽制しながらどちらにもプレスに行けるポジションをとる。
ここでボールを奪えるので、フロンターレの2列目、3列目は一気に置き去りにされる。そして一気にカウンター。この狙いは前半1分でも見えたもので、そして後半になり修正を加えながら、ようやく身を結んだという形だ。ここでボールを奪うために中央を締め、ブロックの外を回させる守備戦術を採用した。
まとめ
このようにカウンターを繰り出すために守備を整理し、上手く行かないところは修正を加えながら試合を進め、一時は逆転し勝利に近づいた。リーグ王者の意地を見せられ、結局はドローゲーム。だがアウェイでしっかり勝ち点を持ち帰れたことは大きいだろう。複数失点をまたしても喫してしまったが、札幌戦よりは断然に良くなっている。ドウグラス、ヘナトの怪物を生かしつつ、さらに勝ち点を稼ぎ、トップハーフに食い込むことはできるのか。残留争い、優勝争いに今シーズンのJリーグも目が離せない。
終わりに
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最後までご朗読ありがとうございます
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では次回もお楽しみに!バイバイ!