はじめに
直近のコパアメリカ、これから始まるW杯予選に向けての大事なテストマッチ。
注目の代表初招集の久保建英はベンチ外でデビューはお預けとなったこの一戦。
ここで初めて森保監督は3バックを採用してきた。サンフレッチェ広島で3度の優勝を果たしたこのシステム。代表で果たして機能するのかと個人的に胸を躍らせながら観戦した。個人的な観点からいうと、機能していたのではないだろうか。だが機能した中でもいくつかの改善点は確実に見受けることができた。ではその修正点を紹介していこう。
3バック時の戦い方(決まり事)
- WBが高いポジションで5レーンに人を配置、幅を持たせる
- クロスからの攻撃が中心
- DMFが縦関係になり、起点とボールの回収の役割が明確
- 両DMFが上がると、ボールと逆サイドのWBが下がる。
- 後ろは確実に4人で守る
基本的に大事なことはザッと紹介するとこの5つだろう。
では早速修正点を紹介していこう。
修正点
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修正点①:WBの裏抜け
これは3バックを採用するチームに当たって必ず必要なことではないだろうか。単純にオーバーラップするのではなく、『斜め』に抜け出すこと。大外から斜めに中に抜け出すことにより、WBの良さを最大限生かすことができる。ではなぜこれが必要なのか。
WBにボールを渡し、リターンパスをもらい、堂安や中島はハーフスペースで前を向くことが多くあった。ここでの両WBの動き出しは『その場に留まる』か『縦に抜ける』こと。もちろんこれが有効なことは多くある。だがこれではクロス中心の攻撃になり、体格の大きな相手だと簡単に弾かれてしまう。そこでWBがCBとSBの間のスペース、いわゆるポケットと言うところをついたとしよう。
そうするとDFラインは少し押し下げられ、中に絞る。そして空いてくるのは逆サイドのSBの裏、ハーフスペースが空いてくる。ここをWBが『斜めの抜け出し』で抜け出すことができればチャンスになる。実際に61分の攻撃でビッグチャンスを作ったが決め切ることができなかった。
これを時折織り交ぜることで、長友、酒井の縦に抜け出る良さが生きてくるのではないだろうか。
ハーフスペースを斜めの動き、または斜めのボールでついていくこの攻撃の仕方は圧倒的な強さで優勝を果たしたマンCのサッカーと似ている。これが状況に応じて使いこなせるようになると、引いてブロックを作っている相手でも崩せるようになるだろう。
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修正点②:サイドでの孤立
中島、堂安がサイドで孤立することが多かった。もしかしたら指示があるのかもしれないが、後ろのサポートではなく、横のサポートがもう少しあってもいいのではないかと個人的には感じた。ではどこでどのように孤立していたのか。
ここでこのように孤立していた。WBの後ろのサポートはあるが、横のサポートがあれば個人でも打開できたのではないだろうか。特に堂安はここで1v2の状況を作られて苦戦を強いられていた。(逆サイドの中島は突破できていた)
もしここで酒井がこのように動いていればもう少しサイドの攻略もできたかもしれない。
インナーラップならCMFを引きつけ、オーバーラップならSBと2v1の状況を作り出すことができる。この動きを増やすことでサイド攻撃の厚みが増し、効果的なクロスがより入るようになるのではないだろうか。
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修正点③:攻め急ぎすぎ
ここは対戦相手にもよるが、今回の対戦相手のトリニダード・トバゴは珍しく4-3のブロックを引いて守っていた。だからスペースができるところは安易に理解できる。
当然ここのスペースが空くのだが、日本代表は無理に狭いスペースの中央に縦パスを通していた。これでは捕まることは必然だろう。
CMFの脇のスペースでボールを保持していれば、少しは中央のDFの距離感を広めることができ、ギャップを生むことができたのではないだろうか。
ここの空いているスペースの有効活用しペースダウンして落ち着いて攻撃しても面白かったと感じた。
まとめ
今回の試合は初めての3バック採用ということもあり、全体的にダイナミックさが足りないと感じたが、機能はしっかりしていたのではないだろうか。もともと守備的なこの3バックで格下とはいえ、最後まで押し込むことができていた。セカンドボールもしっかりと拾うことができていたし、いくつか効果的なクロスボールや斜めのボール、サイドチェンジも使えていた。あとは連携と、細かな修正で3バックもオプションの一つに加わるだろう。9日の代表戦はトリニダード・トバゴ戦とは違った顔ぶれになるだろう。どのような布陣、メンバーで臨み、どのようなサッカーを展開するのか楽しみだ。