はじめに
FAカップ優勝により、今季のマンCは国内三冠を達成。これはイングランド史上初の快挙らしい。マンUのファーガソン監督はCLを併せて三冠だったが、国内ではなかった。
そんな快挙を成したのは言うまでもなくグアルディオラ監督だ。
そしてこの決勝での6得点目。これはマンCの全てが詰まっているものだった。これこそがグアルディオラ監督が表現したいものが現れているものだった。
今回はこのゴールについて解説をしていこう。
ゴールシーン(動画)
まずはゴールシーンを動画で観て頂きたい。
FAカップ決勝でのマンCの全てが詰まったゴール。
— サッカー解説と分析 ~違った視点からの観戦~ (@jHgW2UrDVwTxdFs) May 21, 2019
このゴールの解説を明日に更新します。
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これがこのシーンだ。一見するとよくあるゴールに見えるかもしれないが、これは監督にとっての嬉しいゴールだろう。
では三つのキーパスとともに早速このゴールについて解説をしていこう。
ゴールシーンの解説
まずここでウォーカーはストーンズにパスをする。一見無駄なパスと思えるがこれが相手のプレスのスイッチを入れるパスとなる。これがもし逆サイドにパスをしていたら、相手のプレスのスイッチは入っていなかっただろう。
マンCは76分08秒からの攻撃もこのような展開を作り出した。プレスのスイッチを入れさせていた。引いた相手から先制点をとり、このあたりでボールを回すことで前からのプレスのスイッチを入れさせることをシーズンを通してやっていた。
だからマンCは格下相手に取りこぼしが少ないのだ。
『引いた相手に対してのプレスのスイッチを入れさせる』この狙いがしっかり出た一つ目のキーパスだ。
では次のシーン。
ここでCBのプレーヤーのストーンズは体を開いて受ける。こうするとベクトルは攻撃方向になる。これもグアルディオラ監督の指導の下、身につけたことだろう。
だがCBであるストーンズが果たしてプレスにくる相手が見えていたかは定かではないが、ここでウォーカーにリターンパス。ここがもしDMFのフェルナンジーニョや交代したギュンドアンだったら危なげなくリターンパスができていただろう。
ここではまだ前の選手はアクションは起こさない。その理由が完全にプレスを剥がしていないこと、ボールホルダーの体勢が良くないこと、自分が受けるスペースを埋めてしまうからだ。
では次のシーン。
この場面はプレスを剥がすためウォーカーがコンパニにバックパスをしている場面。
このバックパスは『自分が前を向くためのバックパス』
マンCの選手はこの使い方もとても上手だ。そしてウォーカーは前を向くためにポジションを取り直す。
ここでもまだ前の選手はアクションを起こさない。
では次。
ここでリターンパスを受けるが、コンパニのパスが少し雑になる。本当はウォーカーはあと一歩外にポジションをとることが理想的だと考えていたから、このようなトラップになってしまったのだろう。この状況を見て、相手は連動してさらに追い込んでいく。
①の選手がストーンズをマークする。言うまでもなく、ウォーカーの近くの選手はボールを奪うプレスを行う。
では次のシーン。
ここで青①と②がボールを受けに来ることで、黒①と②がもちろん付いてくる。
そうすると空くのが②の背後のスペース。ここのスペースを作るために②はボールを受けにくる。また、そこで前向きで受けるためでもある。いわゆるレイオフと言うプレーだ。そしてウォーカーはギャップにパスを通し、スターリングへパス。このパスでファーストプレスのラインを突破した。これが二つ目のキーパスだ。
では次の場面。
黒①と②を置き去りにし、青①と②のベクトルはゴール方向に向く。
ここでは青②のB・シウバが前向きでスターリングからボールを受ける。
このプレーも簡単にやっているが、ピッチ上でやれと言われたら意外と難しいプレーだろう。だがグアルディオラ監督のチームはこれを難なくこなす。しかも普段はCBであるストーンズもこなすのだから驚きだ。
では次の場面。
ここで注目して欲しいのがストーンズが足を止めずに①を引っ張ることで、スターリングは挟み込まれずに済んだ。これもナイスプレーだ。
そしてここから一気にスピードが上がる。幅をとるためにレーン1にいたデ・ブライネはそのままサイドを駆け上がる。CFのジェズスはスターリングとポジションが被らないようにレーン3へ移動。そしてあいたレーン2にスターリングがフリーランニング。
この相互のバランスがかなり良いのと、レーン間の移動でDFは混乱する。
これもグアルディオラ監督の狙いだ。
では次のシーン。
スターリングが中に引っ張ることで、黒丸のところで2v1を作ろ出すことに成功。
さらにシウバはゴールに向かってドリブルをする。これには大きな意味がある。
今、SBの体の向きは大外のデ・ブライネの方を向いている。これは外にボールが出ればすぐに寄せることができ、純粋な1v1を作り出すための守備だ。
だからまだここでシウバはパスを出さない。だからシウバはゴールに向かってドリブルをする。一概には言えないが、これもグアルディオラ監督の指導があってのことかもしれない。
では次のシーン。
ここでSBはズルズル下がらないために、ステイする。そして中に身体が向く。ここで初めてシウバはデ・ブライネへのパスを選択。これが最後のキーパス。デ・ブライネもしっかりラインをみて抜け出す準備もできている。シウバの身体の向きも中を向いているのでSBは何をしてくるのか読みにくい。しかもワトフォードDFの身体の向きは全てひっくり返っている。
これではDFの方が不利になる。さらに、レーン3、4、5にきちんとポジションを取っていたので、中に2人、レーン5から遅れて入ってくるプレーヤーが1人。これもグアルディオラの狙いだ。
では次のシーン。
デ・ブライネがここでフリーでクロスを上げればかなりの精度で味方が合わせれる。
これはデ・ブライネの一つの特徴だ。さらにマイナスのクロスを上げることで、もし①がスルーをしてもレーン5からサネが走りこんでフィニッシュできる。
だがここではしっかりと①が合わせることでゴールを決めた。
これがこのゴールの解説だ。ではもう一度ご覧になって頂きたい。
FAカップ決勝でのマンCの全てが詰まったゴール。
— サッカー解説と分析 ~違った視点からの観戦~ (@jHgW2UrDVwTxdFs) May 21, 2019
このゴールの解説を明日に更新します。
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これがグアルディオラ監督が表現したいサッカーがほとんど詰まったゴールだっただろう。
まとめ
これぞまさにグアルディオラ監督のサッカーと言えるだろう。能動的にプレスのスイッチを入れ、そのプレスをポジショニング、パス、タイミング、レイオフで剥がしていく。そのために各レーンに人を配置し、バランスを保ち、幅をとる。そうすることで各局面で数的優位が作れる。さらにはレーン間を移動することで人が動くのでDFをズラすことができ、混乱とスペースを生む。そして各局面で自分の体の向きと相手の体の向きを気にしながらプレーをする。
グアルディオラ監督の指導の下、マンCの選手たちはよりサッカーというものを理解し、自分で解釈していき、さらに上手くなっていくのだろう。
グアルディオラ監督のおかげで自分もサッカーの解釈が少なからず変わった。
観ているだけで考えさせられる彼のサッカー。そんな指導を直に受けているプレーヤーは幸せだろう。
まだまだ学ぶことが沢山あるので、これからもグアルディオラ監督とこのチームを追っていきたい。
終わりに
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