【矢印の共有】プレミアリーグ第32節 サウサンプトン×チェルシー

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皆さん、どうも。今回はプレミアリーグ第32節のサウサンプトン×チェルシーについてを考えていこうと思います。

CLレアル・マドリード戦の敗戦を受け、しっかりとリアクションを見せたかったチェルシー。正直試合前は少し不安がありましたが、蓋を開けてみれば6得点を叩き込む完勝でした。より縦の意識を強めたのか、サウサンプトンの矢印の向きを可視化していくことで攻撃を仕掛けていました。

では今回はチェルシーがどのタイミングで矢印を可視化し、そしてどのようにして攻撃を仕掛けていたのかを考えていきますので最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

 

 

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スターティングメンバー

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矢印の共有の上手さ

チェルシーの矢印の可視化を考えていく前に、少しだけサウサンプトンの守備に触れていきます。サウサンプトンは基本的にプレッシングをかけていくことを行います。

そこで2トップのプレッシングだとチェルシーの3バックに圧力がかかりにくくなります。だからこそ以下のような捕まえ方を行っていた印象です。

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3バックに圧力をかける
+
中央のラインを越えさせない

3バックには基本的に2トップとS=アームストロングが牽制をしていました。これで逆SHのエルユヌシが中盤に入り気味になっていました。この時に意識しているのが中央からラインを越えられないことです。これで外側に誘導して狙って奪う、もしくは中央に入ってくるパスを圧縮して回収という狙いがあったと思います。

この守備は基本的に前向きの守備になるので、チェルシーはそれを利用して攻撃を仕掛け、そして速い段階でその矢印をひっくり返し、引き伸ばすことを終始行っていました。

 

矢印共有のタイミング

ではどのタイミングでそれを行っていたのかをまずは考えていこうと思います。

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まずプレッシングを呼び込む、いわゆる矢印を決定付ける場所はCBになります。これはサウサンプトンの守備方法と大きく関係しています。

ここがチーム全体で矢印を可視化するタイミングになっていた印象を僕は受けました。

この方法は主に左サイドで行われており、上の図のようにリュディガーがボールを持つと、アロンソが高い位置を取ってSBをピン止め、コバチッチがウォード=プラウズのベクトルを呼び込むポジショニングをします。

これで個人・組織ともに前向きのベクトルの度合いを強くしていました。

チェルシーはこれを利用して、マウントが横に動くことでリュディガーからボールをピックアップします。当然、アロンソがSBを止めているのでマウントまでジャンプして出ていくことが難しくなっています。

だからこそ、マウントがCHの脇、もしくはその背後で時間を持てることが多くなっていたのではないでしょうか。

そしてここから逆サイドに展開する、アロンソもしくはヴェルナーを使ってさらに攻撃のスピードを上げていくか、ドリブルで持ち出すか、様々な選択肢の中からより良いものを選択してました。最も選択することが多かったのが縦に早くなるプレーです。これはもしかするとトゥヘル監督から指示があったのかもしれません。

より縦に早く攻撃を仕掛けることで、前向きのベクトルと後ろ向きのベクトルと作り出してサウサンプトン間延びさせることを考えていたように僕は感じました。

だからサウサンプトンは引き剥がされるなら、後ろを5枚にして構えて間延びを防ごうと考えたのだと思います。

 

ここまでが左サイドの話です。では右サイドはどのようになっていたのでしょうか。

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右サイドではWBにロフタス=チークが起用されていました。ここに彼が起用されることによって、まずが左サイドから右サイドへ展開するときの中継役として機能することが可能になります。さらにマウントの1点目のように抜け出して深さを作ることもできます。今触れたのは主に崩しとその一歩手前のことです。

個人的には組み立てのところでロフタス=チークをWBで起用した意図が見えたように感じました。

それが上の図のような局面です。このような局面がかなり多く見受けることができ、確実にトゥヘル監督が落とし込んでいることではないでしょうか。(アスピリクエタでもジェームズでも行いますが、ロフタス=チークの方がよりこの回数が多かったです)

まずクリステンセンがシウバとアダムスから距離を取ることから出発します。当然、ここでも矢印の共有が行われます。それが右サイドと同様にクリステンセンにパスが入った時です。

左サイドと少し違うのがクリステンセンが距離を取ったことで「パス到達する時間」があることです。これはプレスを引き込むことも考えられていますが、他の選手がポジションをとる時間を稼ぐことの方が比重が大きいように感じました。

だからこそハヴァーツ(ヴェルナーのこともあり)が幅を作り出してSBを止め、カンテがSHを止め、マウントがCHを止めることができていました。こうなると空いてくるのがロフタス=チークになります。

ここでロフタス=チークがボールを受けることができれば、彼の推進力を生かしながら、もしくは展開力を生かしながら崩しを考えていくことができます。さらにキープ力があるので、カンテの飛び出しも促すことも可能です。

 

当然、これが全てではなく状況によってプレーする人が変わることも前進方法が変わることがあります。これを行ってことで、中央からの前進も速い攻撃も効力を増していた印象です。

このようにして、チェルシーは矢印の共有を行ったことで簡単そうに前進をしていました。いざプレーしてみるとかなり複雑で難しいことを行っています。タイミング、見るものの多さ、繊細なポジショニングとその修正など、到底僕にはできない芸当です、ほんと凄い…。

 

矢印をひっくり返す

前進から崩しに移ると、矢印をひっくり返して攻撃を完結させます。これはアロンソのゴールシーンを見ていただけると分かりやすいと思います。

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前進の時点でフリーになれる場所がCHの脇となります。ここからどのように攻撃を考えていたかというと、まずはサウサンプトンのDF陣のベクトルを後ろ向きにすることです。だからこそヴェルナー(もしくはハヴァーツ)とマウントが背後のランニングを行っていきます。この時に「1人で2人に影響を与える」ためにDFの中間にランニングコースを取ります。これでどっちつかずの対応を強要させることで、2人が対応を行わないといけない状況を作り出していました。

当然、最優先は背後にランニングした選手です。この抜け出しが存外に上手いのがヴェルナーでありハヴァーツです。ハヴァーツが先発で起用される理由の1つはこのランニングの上手さにありますし、この試合でヴァルナーが幾度となく決定機を迎えられたのもこのランニングによる影響が大きく関係していると思います。

この最優先のパスを消された場合に、初めて逆サイドを選択します。ランニングで「背後に引っ張っている」状態を作り出せているので、間延びを作り出すことに成功していました。

ランニングのキャンセルとそれに伴うポジショニングのセンスが抜群なマウントがいることで、中央でボールを引き取ることができていましたし、マウントを経由していくことで逆サイドのアロンソにシュートチャンスを提供することができていました。

 

このように矢印の共有と引き伸ばしを繰り返し、そして試合を通して一貫して行ったことで大勝を収めることができたのではないでしょうか。

 

いざ、ベルナベウへ!

公式戦2連敗の中で迎えた難しい試合でしたが、大勝を収めたことで選手を休めることもできましたし、何よりも自信を取り戻せたのではないでしょうか。戦術やコンディショニンなど、多くの要素がサッカーにはありますが、やはり最も大切なのは気持ちだと思います。サッカーはより感情的なスポーツで、その選手の除熱や興奮がサポーターまで届き、熱狂を巻き起こします。だからこそ、この大勝を収めた試合はアウェイにも関わらず、チェルシーサポーターの声が響いていましたし、その情熱とチームの熱意が画面越しに伝わってきました。

難しい試合なのは重々承知の上ですが、彼らならやってくれると僕は信じています。逆境に強いのがチェルシーだと勝手に僕は思っています。いざ、ベルナベウで大逆転勝利を!!!

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

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【閉じ込めて単調に!】J1第7節 サンフレッチェ広島×横浜F・マリノス

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皆さん、どうも。

久しぶりのブログでのマッチレビューはJ1第7節のサンフレチェ広島×横浜F・マリノスについてを考えていこうと思います。

サンフレはスキッベ監督が就任して、ハイプレスを志向しながらよりダイレクトにゴールに向かっていくサッカーを行っています。当然、マリノスも似たように、アタッキングフットボールを展開して結果を残し続けています。

この両者がぶつかるとなれば、とてもスリリングな試合展開になることは間違いないだろうと試合前には思っていました。

ですが、いざ蓋を開けてみればサンフレがマリノスを自陣に閉じ込めることで勝利を掴んでみせました。「完勝」と表現しても良いのではないでしょうか。(サポーターの贔屓が入っているかも)

では今回はサンフレがどのようにしてマリノスを閉じ込めたのかを考えていきましょう!最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

 

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閉じ込めて攻撃を単調にさせるプレス

サンフレが行っているのはハイプレスです。シーズンを通してゲーゲンプレスを落とし込むのかと思っていましたが、スキッベ監督が落とし込めているのはハイプレスです。

このハイプレスがマリノスを自陣に閉じ込めることに成功しました。ではどのようにハイプレスを行っているのでしょうか。

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ハイプレスの担当。かなり人を意識する。

サンフレのハイプレスはかなり人を意識しているものとなっています。そしてアンカーを置くチーム(この試合のマリノスはアンカーを置いていた。普段は2CH。)に対してはCF永井がアンカー番を行います。これはベルマーレ戦、フロンターレ戦、FC東京戦でもCFがアンカーを見る形を取っていました。これは約束事になっていると思います。

こうすることでCBに対してはSTが真っ直ぐ出ていけるようになります。この真っ直ぐ出て行くことが1つのポイントで、真っ直ぐ出ていくことで「縦パスを消す」ことができ、外側に誘導することが可能になっていました。

そして外側のSBに誘導した時に出てくるのがWBです。サンフレは躊躇なくWBをSBに押し出すことを選択します。これができるのはCHより背後の選手が完全にマーカーを捕まえていて、さらに対人能力が存外に高いからです。(特に3CB)

WBとSTの走る距離とスプリントの回数は長く・多くなりますが、しっかりとこのプレスを遂行できる選手が今のチームにはしっかりと揃っています。

そして外側に誘導すると、次の局面でボールを回収することを試みます。

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サイドを圧縮。縦を見せ続けることで攻撃を単調にさせる。

このようにサイドに誘導した時に一気に圧縮をかけていきます。ここでSBに対してWBを押し出しているので、SBの判断の時間と視野を奪っていくことで、内側の選択肢を削っていきます。こうすることで、SB vs WBの場所でボールを回収できればベストとなっており、ここで奪えなくてもSBからの次のパスでボールを回収できる確率がかなり上がっています。

ここでWGにはCB、ヘルプを行うIHにはしっかりとCHが連動して着いているので、「敵陣」でボールを回収することが可能です。

「SBから蹴らせて3CBで回収」と表現すると低い位置でボールを回収しているように見えてしまうかもしれませんが、決してそうではなくて「WGがヘルプを行うために下がる」ようになり、そこに出ていくので「敵陣での対人対応」になっているのがほとんどです。

このようにしてボールの出どころをハイプレスで押し込んでいくことで、前の選手に下がってヘルプを行わせるように仕向けることに成功したので、マリノスを敵陣に押し込むことができました。

 

ボールを奪ってから

サンフレはボールを回収するとそのままゴールに向かっていくことを考えています。最もわかりやすいのは森島の2ゴール目でしょうか。ハイプレスをかけていく中で、CBの佐々木が敵陣でボールを回収し、そのままゴール方向へプレーをしていきます。ここでSTもCFもWBもプレスで前に出ているので、前に攻撃を行う人数が十分に揃っています。このハイプレス⇨ショートカウンターは今季のサンフレの十八番になっていきそうです。

 

サイド奥を取る下からの持ち出し

マリノスを押し込むことで、ハイプレスからのショートカウンターを中心に試合を進めることができていたサンフレ。当然、これだけで試合を終わらすことができるほどサッカーというスポーツは簡単ではありません。

そこでスキッベ監督は下から持ち出していく方法もしっかりと落とし込んでいます。スキッベ監督が来日するまでは、ロングボール⇨ゲーゲンプレスが中心になりそうな戦い方でしたが、彼が来日して指揮を執り始めると、そうでなくて下から持ち出しながらサイド奥を取っていく攻撃を行っています。

だからこそ、以下のような持ち出しの素地と立ち位置になることが多く見られます。

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このように基本的にビルドアップの土台は3CBと2CHになります。(GKを含むこともあり)

この試合ではあまり行いませんでしたが、CHが降りて4−1の形で組み立てを行うこともあります。その場合はSTのどちらかがヘルプをします。先ほども触れましたが、この試合では4−1のビルドアップは行わずに3−2の形で前進を考えていました。

これはマリノスの守備に大きく起因していて、3CBには3トップ、CHにはそのままIHを当て嵌める形を取っていたからです。こうなるとやはり空いてくるスペースはDMFの脇のスペースになってきます。ここのスペースを上手く使っていくことで攻撃を仕掛けていきます。

もっと触れるのならば、マリノスのセカンドラインを越えてSTにボールが入ると一気にスピードが上がっていました。

そこでSTにスペースを作るべく、CFは常に背後を狙う動きをしています。最近の試合でCFに永井が起用されるようになったのは背後へ動き出しがより秀逸だからではないでしょうか。彼は常にSBとCBに影響を与えれるような動き出しをしていたので、STの選手がボールを引き取る時間とスペースを作り出していました。

これでWBとSTのワンツーで背後を取っていくこと、さらにより直線的に中央への背後を加えていくことで、クロスからの攻撃を考えている印象です。

特に右サイドのWB藤井の突破力とそれを支える走力とスピードは目を見張るものがありますね!ここからさらに飛躍して、広島の矢として大成してもらいたいです。

 

クロスを狙う場所は?

ではクロスを狙う場所はどこだったのでしょうか。その前にサンフレはクロスを上げるためにペナ角の奥を取っていきます。そしてそこから3つのパターンのクロスを選択します。

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クロスのパターン

このように奥側を取る方法は主にWBの突破かCB(CH)が絡んだコンビネーションです。どちらにせよ、クロスを供給する選手はWBが常になっていました。

そしてここを取ると3つのクロスを選択します。

  1. ファー(逆サイド)へのクロス
  2. マイナスのクロス
  3. ニアの速いピンポイントクロス

この3つのクロスを使い分けることでサンフレは攻撃を完結まで持っていきます。だからサンフレはショートカウンターとクロス攻撃がゴールを奪うための方法となっています。

最も選択することが多いのがファーサイドへのクロスです。当然、ニアサイドとマイナスに人を用意しているからこそ、逆サイドから入ってくるWBがフリーもしくは有利な状態からクロスに合わせることができるようになっています。さらに奥を取ってクロスを上げるので、守備者の身体の向きはどうしてもボール方向になります。だからこそ、背後の選手を完全に捕まえることが難しくなるわけです。ここを利用してサンフレは逆サイドWBへクロスを供給することが多印象です。

ここに打ち込めないときにマイナスのクロスを選択します。ここも同様で奥をとることで、DFラインをかなり押し下げることができます。背後に下がるベクトルの反対のマイナスのクロスを送り込むことで、シュートチャンスを作り出します。だからこそここにはボールサイドのSTが入ってくることが多いです。

そして最後はニアのピンポイントクロスです。ここにはかなりのスピードクロスを送り込みます。ロークロス、ハイクロスの縛りは特にはなく、あるのはひたすら速いクロスです。誰か触れば入るというようなボールですね。

ここに入るのは基本的にCFになっている印象です。速いクロスなので、流れる可能性も考慮して逆のSTはセンターに残っていました。

このようにして3つのクロスを送り込みながらサンフレは攻撃を完結させていきます。そしてセンターへのクロスは極端に少なく、これは高さがないことも関係していると思いますが、先述したクロス攻撃を完結させるために、最も人が集まるセンターエリアには意図的にクロスを送り込まないようになっていると感じました。

 

いい感じだぞ、サンフレ!

ハイプレスからのショートカウンター。クロスからの攻撃。守備の強度と迫力もあり、かなり良いものになっていると思います。「内容は良いけど勝てない」はもう終わり、確実に自信も着いてきているはずです。マリノス相手にほとんど何もさせずに、苦しめ、そして勝利を手にしたことには大きな、大きな価値があると思います。かなりの強度と走力が必要なサッカーだとは思いますが、見ていてとても楽しいです。もっとクロスからの入り方などの詳細を詰めていければもっとゴールは生まれてくるのではないでしょうか。とにかく、これで2連勝。ここから勝利を積み重ね、上位戦線に食い込むと僕は思っています。ぜひとも今季のサンフレの試合もチェックしてみてください!とても面白いですよ!

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

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【修正力と対応力】UCL Round 16 2nd Leg リール vs チェルシー

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皆さんどうも。今回はチャンピオンズリーグラウンド16のセカンドレグ、リール×チェルシーのマッチレビューを行っていきます。

欧州王者のチェルシーは1stレグできっちり2−0の勝利を収め、この試合にはある程度の余裕がありました。しかし、1stレグでリールのプレッシングに多少なりとも苦しめられていたことには間違いありません。そしてリールのホームに乗り込んだこの試合。リールは突破のために勝利はおろか、3ゴールが必要なのでかなり前から圧力を加えていました。

このプレッシングを受け1stレグ同様に苦しむようになりましたが、それでも選手と監督の修正力と対応力で見事に逆転勝利を収めて、トータルで4−1で次のラウンドに進んでみせました。難しい相手、そして難しい状況にもかかわらず、しっかりとラウンド16を突破してみせたチェルシー。

今回は彼らがプレスを回避し、そして守備の修正を行っていたのかを中心に考えていきます。最後まで目を通していただけると嬉しいです!

 

 

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1stレグのマッチレビュー

 

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スターティングメンバー

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リールのプレスについて

まず触れていきたいのはリールのハイプレスについてだ。彼らがこのラウンドを突破するには3ゴールが必要なので、ハイプレスを仕掛けてボールをなるべく早く、できるなら敵陣ゴール近くで回収することを考えていた。これは必然の選択だろう。

だからこそ、以下のようにプレッシングを仕掛けて何度か際どいショートカウンターを生み出すことに成功していた。

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リールのハイプレス準備

リールは基本的に4−4−2でプレッシングを開始し、CBに対してSHを押し出すことで逆SHをスライドさせて圧縮していくことを行う。だがこの試合では、右SHのバンバがリュディガーの対応に出て、SBのチェリクが早めにWBアロンソまで出ていけるように設定されていた印象だ。だからこs、左SHに本来守備的なグドムンドソンを起用して守備の強度を上げていた。こう考えると、奪いたいサイドはバンバとチェリクがいるサイドで、こっちのサイドでボールを回収することができれば、バンバもチェリクも攻撃力が高いので、ショートカウンターの完結が期待できる。

だから左サイドではWBアスピリクエタにはグドムンドソンがマークを行い、ユルマズとデイビットはそれぞれシウバとクリステンセン(負傷交代でチャロバー)の担当になっていた。

個人での担当を明確にしつつ、チームとして上手くアンカーのジョルジーニョをぼかす・消すことを行う。これで以下の場所でボールを回収してショートカウンターに出たい算段が見えた。

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リールが奪いたい場所

リールが誘導して最も奪いたい場所というのが中央に差し込んでくるパスだ。カンテ、ジョルジーニョ、コバチッチの場所でボールを奪い切るために、ここにはCHを当て嵌めていた。だからこそ、ここで奪って良い形でショートカウンターに何度か出ることができていた。

当然、全てを中央に誘導することが難しいので外側に逃げられた時には対WBでボールを回収。できる限り近くに立つことでプレーに制限をかけてボールを回収、もしくは次のプレーで潰し切ることを考えていた。これを右サイドでできれば御の字と考えていたのではないだろうか。

だがこれはすぐにチェルシーに対応されてしまい、プレスを回避されてしまう。

ではチェルシーはどのようにプレスを回避していたのだろうか。

 

対応して剥がしたチェルシー

ハイプレスに少し出鼻を挫かれた感じのあったチェルシー。だがすぐに対応していくことで徐々にリールの門を広げてズレと遅れを作り出すことに成功していた。ではどのようにプレスを回避していたのだろうか。

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ハヴァーツが流れてポイントになる

まずはハヴァーツがサイドに流れてポイントになるパターンだ。動きながら収めることもできてしまうハヴァーツならではの方法で、しかも今季で強さも手にした若き皇帝は、前に出てくるリールをひっくり返すための基準点になることができていた。さらにここで収まらなくても、手前にセカンドボールを作り出すことでIHとWBの2ndボールにアタックする準備の時間を作り出すこともできる。これでチェルシーはミドルパスでリールをひっくり返すことができていた。

さらに上のプレス回避だけではなく、下からの出口も作り出していた。

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CHの門を広げて出口を作り出す

このようにリールCHの門を広げることで出口を作り出す方法だ。これはリールのCHがかなり人を意識して守備を行っていることを利用している。

ここの門を広げるために、ジョルジーニョが中央から少し移動して、IHコバチッチとカンテを「CHに捕まえさせる」ように仕向ける。これでIHのカンテとコバチッチはお互いに距離を作ることでリールCHの門を広げる。そしてその広げた門の先にハヴァーツが降りてきてボールをピックアップすることで、プレスを回避して攻撃に移っていく。

このようにしてチェルシーは中央を広げる、もしくは上のパスでシンプルにひっくり返していくことでプレッシングを回避していた。

この方法をすぐに見出して対応していくのだから末恐ろしい。

 

ミドルプレスと2つの修正

では守備はどうだったのだろうか。この試合のチェルシーはミドルプレスを選択することが多く、プレー速度を落とさせるような守備を行っていた。ハイプレスを行ってプレー速度を上げて消耗するよりも、2点持っていること、アウェイでの試合、そしてこれからの過密日程のことを考えれば当然の選択と言えるのではないだろうか。

だがこのミドルプレスは上手く嵌まり切らなかった。

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ミドルプレスの詳細

基本的にミドルプレスはこのような担当になる。2トップは門を通されないようにCBに牽制をかけ、中盤3枚は中央を消しながら外側に誘導する。この時にWBがSHまで下がっているので、プレー速度を落とさせることを選択しているんだなと僕は思った。

これを行っていくことで、お椀型にボールを回させることを選択させたかったのではないだろうか。

これを完結させるためにSBの前向きのプレーを防がなければならない。だからSBに対してはIHが内側から外側にプレッシングを行うように設定されていた。だがこれが守備が嵌まらない大きな要因になっていた。

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距離とピン止めでトライアングルを形成される

このようにSB⇆IHの距離が遠いため、少しの遅れが生じてしまう。この時間を利用されてCHがトライアングルに参加できるポジション移動。ここにジョルジーニョがスライドして対応すれば良いのだが、CFユルマズがジョルジーニョの近くに降りてくるため、出ていくことが難しくなる。さらにデイビットがリュディガーとシウバの間もランニングするので、背後に引っ張られて前に出ていくことが難しくなっていた。

だからここのトライアングルを利用されてミドルブロックを引き剥がされることが増えていく。

これを防ぐためにチェルシーはすぐに修正を加える。

1つ目の修正

まず1つ目の修正が左サイドはWBを早く押し出すことでSBのプレー時間を奪うこと修正を行った。(右サイドはカンテがいるのでIHをSBに押し出すことを継続。カンテは間に合ってしまうのでカンテは化け物)

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レシーバーを潰す

このようにお椀型でボールを回させている間にアロンソが早めに前に出てSBとの距離を潰しておく。これでSBに誘導したときにコバチッチではなく、アロンソが対応することで、トライアングル形成に参加するCHをコバチッチが捕まえることが可能になっていた。当然アロンソはSHバンバを捨てて出てきているので、ここにはリュディガーがスライドして対応。これでレシーバーを潰して前進を食い止めていた。ここから強引に入ってくるパスを潰すことでボールを回収して攻撃へ移っていた。

 

2つ目の修正

2つ目の修正はハーフタイムで行われた。コバチッチに変えてマウントを投入して配置を明確に3−4−2−1にすることで、以下のように守備が完結するようになる。

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グループで向かっていける

このようにSTができたことで、STが横スライドでSBに向かって行けるようになり、さらにCHにはCHを押し出すことも簡単になっていた。チャンスと見るとWBはSBまで出ていくようになっており、より守備のタスクをシンプルにしたことでよりシンプルにユニットを形成できるようになって、そのユニットごと向かっていけるようになっていた。これでチェルシーはボールを奪うとそのままそのユニットで攻撃を仕掛けることができていた。

このようにすぐさま修正を加えて適応していく。監督も選手もさすがとしか言いようがないと僕は感じたし、凄い!とひしひしと思った。

 

全てをこなすハヴァーツ

フィジカルが向上したハヴァーツ。プレミアの水にも慣れ、チームにも慣れ、待ちに待った本領を発揮している。本来ならルカクに託したかったポイントを作るプレーも彼は難なくこなす。さらにクロスのターゲットにもなり、よりプレッシングで動くこともできる。組み立て、崩し、ドリブル、ラストパス、そしてフィニッシャー。さらにはプレッシングでもチームを牽引することができる。何もかもをハイレベルでこなす万能なプレーヤーとして最前線に君臨しているハヴァーツ。ここから先の試合も彼が必須だ。残りのシーズンで覚醒しもっと上の選手に進化を遂げることに心を踊らせながらこれからもチェルシーを応援していこうと思う。

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

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【プレスとフリーラン】プレミアリーグ第27節 アーセナル vs リバプール

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皆さん、どうも。今回はプレミアリーグ延期分の27節、アーセナル×リバプールのマッチレビューを行っていきます。

アーセナルは調子を上げた状態で強敵リバプールに臨んだこの一戦。シーズン当初だったならばきっと蹂躙されていたであろう対決は、完成度を上げていきているアーセナルがリバプールにしっかりと立ち向かい、とても好ゲームとなりました。

リバプールに対して明確なプレッシングを用意し、そしてそれがかなり嵌っていた印象です。それでもリバプールはそのプレスを回避するための修正と対応の高さは見事の一言でした。

では今回はお互いのプレスと動きによってのプレス回避についてに触れていきますので、最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

 

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スターティングメンバー

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左誘導と大胆なスライド

まずはホームチームのプレッシングから考えていこう。アーセナルは一貫してハイプレスときは人を意識しながら、プレーエリアとプレー時間を削っていくことを考えている。そしてこの試合も根本は変わらずに、対リバプールのプレスを用意していた。とくにリバプールの左サイドに誘導することを狙い、SBから出てくるパスを潰し切るために大胆にスライドして守備を完結させていた。

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アーセナルが誘導したい場所

アーセナルがこのようにSBロバートソンにボールを誘導していくことを考える。チームとしてここに誘導していくために、選手個々人は以下のように振る舞う。

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個々人のタスク

アーセナルはアンカーのファビーニョに対してウーデゴールを着け、ラカゼットはマティプを意識する。こうなるとファンダイクが空いてくるのだが、ここは外側からサカがマークを行うようになっていた。

これを見てリバプールはマティプが広がって幅を作ることが多くなり、ラカゼットとの距離を作り、アーノルドを押し出してポイントを作ろうと試みていたのだが、アーセナルはアーノルドに対してしっかりとマルティネッリに対応させるようにタスクを課していた。

だからこそ、リバプールは右サイドから前進しようとしても捕まっている状態になっているので窮屈になっていた。これでリバプール右サイドから左サイドにボールを誘導することができるようになっていた。

そしてボールの移動の間にセドリックがあらかじめ高いポジションに移動することで、ロバートソンとの距離を詰める。当然、これに関与してフルバックはしっかりとスライドを行う。

ここが1つ、この試合のポイントになっていたことは間違いない。だからセドリックが高い位置までプレスに出れるようになっていたし、これが特に前半、リバプールを苦しめるに相当する守備にまで至っていた。

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大胆なスライドとレシーバー潰し

アーセナルはサカを1つ絞らせてファンダイクまで対応させることで、外側に逃げられることは許容していた。というよりも、SBに誘導するためにサカに絞らせてファンダイクの対応を行わせた。(これにはIHチアゴを背中で消すタスクがあった)

これでロバートソンにボールが入ると、あらかじめ高い位置を取っているセドリックが圧力をかけていく。ここでは奪い切ることはあまり考えずに「遠くにボールを蹴らせること」を行わせなければOKというプレスの立ち振る舞いに僕には見えた。だからこそ、大胆にスライドを行うことができ、ホワイトがディアス、ガブリエウがジョタに対応できるようになっていた。供給源に遠くを見せずに、レシーバーを潰す。そのために大胆なスライドを行うこと、あらかじめ人を出すために高い位置を取らせることをしっかりとアルテタ監督は準備していた。

これはかなり嵌まっていたと思うが、リバプールのオフザボールの上手さ、特にマネのフリーランの上手さによって回避されてしまった。これについては後述していく。

では次はリバプールのプレスについてを考えていこう。

 

外誘導とジャンプ

リバプールがハイプレスを行うことは周知の事実だろう。だがこの試合のリバプールは「よりアーセナルを意識して」プレッシングを行った印象だ。特にトーマスとウーデゴールをかなり意識しながらプレスを行っていた。

だからこそ以下のような守備担当になっていた。

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リバプールの守備担当

基本的に外切りでプレスを行うことが多いリバプールだが、この試合はSBに誘導することが基本となっていた。だからWGがCBに真っ直ぐ向かっていく形を選択し、ジョタが背後でトーマスを意識する。さらに背後で消せきれないので、IHもトーマスを意識しながらプレーを行っていた。ボールがティアニー側にあるのならばチアゴが、セドリック側にあるのならばヘンダーソンがそれぞれトーマスを意識するような形だ。とりわけ、チアゴのタスクは複雑で、ボールの位置とプレスのかかり具合、ウーデゴールとトーマスのポジショニングによって細かにポジショニングを修正していた。

一方のヘンダーソンはジャカを意識していくのだが、ジャカがトーマスのヘルプを行うことが多かったので、手前に据えれる状態が多かったのでチアゴよりは守備をし易かったはずだ。この試合のチアゴの守備時の細かなポジショニングの修正を見ていくだけでもかなり面白いと思う。

これでリバプールは2つの方法でボールを回収していく。その2つの状況がIHがサイドに流れる場合と流れない場合だ。

ではまずはIHがサイドに流れない状況下についてに触れていこう。

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IHがサイドに流れずに中央に止まる場合

このように外側に誘導していく中で、SBにボールが出るとそこにはWGのマークを捨ててSBが対応を行っていく。当然アーセナルSBがリバプールSBに出ていく時との振る舞いは違っていて、リバプールSBが出ていくときは明確にボールを奪い切る意志を感じるものだ。だからこそ、プレスをかけられたSBはリバプールSBの背後にボールを落とすか、近くの選手にパスを付けることが多くなる。当然近くにつけるパスは確実に潰し切れるポジションを取っている。

問題はプレスに出ていくSBの背後なのだが、ここはCBファンダイクとマティプが出ていって対応することで守備を完結させる。CBが釣り出されることを許容していて、これができるのは良い状態でボールを蹴らせていないこと、そしてCBの守備能力が格段に高いので完結させることができる芸当だ。

 

この試合のアーセナルはSBの背後にボールを落とし込んで攻撃を仕掛けていく意識があったが、ファンダイクやマティプの壁を越えることは難しくなっていた。だがSB vs WGの構図に持ち込むことができれば、かなり優位に立てていた。特にアーノルドvsマルティネッリの1vs1を作り出せれば、高確率で勝負に勝っていた。この構図をより多く作り出すことができれば、アーセナルはもう少しチャンスが増えていたかもしれない。

 

話しを戻してアーセナルIHがサイドに流れた時の守備方法に触れていこう。

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ここでもSBはジャンプしてプレスをかける

IHが流れるとここにはIHがついて行かずに、ここでもSBがジャンプしてIHに対応を行うようになっていた。ここで重要になってくるのがWGの2度追いになるのだが、それを行う献身生と強度と迫力がディアスとマネには備わっている。だからこそSBがジャンプする時間を稼ぐことができるし、ここでもSB背後をCBがカバーすることを許容しているので、思い切ってプレスに出ることが可能になっていた。これで場所を狭くしながら、出てくるパスの精度を落としてボールを回収することができていた。

だから特に前半は「中盤の強度」が確実に試合の分かれ目になっていたし、いかにしてトーマスを経由して外を開けるかといかにしてトーマスを経由させないかの駆け引きになっていた。

ここの駆け引きを見ていくとこの試合はより楽しめるのではないだろうか。

 

フリーランの重要性

この試合の決め手は「中盤の強度」と思っていたが、蓋を開けてみれば分かれ目となったのは「フリーラン」だった。マネとディアスを入れ替えることで、フリーランを生かした攻撃を仕掛けてゴールに迫ることを選択したリバプール。

これは人を意識するアーセナルにとってかなり厄介なものになった。足下でボールを受ける分には近くに人を立たせているので優位な状態から守備に入ることができる、というよりもそのようになるようにチームとしてプレーしている。

だがフリーランが上手い選手がいるとちょっとしたズレが生まれてくる。例えばオフサイドになったマネのゴールやジョタのゴールが生まれるときのマネの動き。彼のフリーランにより引っ張られる選手とそれに伴って受け渡しを行う選手が出てきてギャップとズレが生まれてしまう。

これでスペースが生まれてリバプールは前進がかなり楽になっていた。さらにマネは一回の動きで終わらずに、動き直しを何度も行うことでより錯乱させることができる。これでアーセナルの守備のズレを作り出して攻撃を助けていた。これを誘導される左サイドで行うことで、誘導される場所となっていたロバートソンや入れ替わりでボールを受けれていたチアゴからのパスを呼び込む、もしくはジョタにボールを出せるように仕向けていた。

この修正を前半の半ばに行い、さらにハーフタイムで明確なものにする。ここまでクロップ・リバプールが勝てている理由が理解できるような試合だったのではないだろうか。

 

これでリバプールは首位ペップ・シティとの差は1となった。まだ4冠の可能性を秘めるリバプールがどこまで進んでいくのかも見届けた。一方のアーセナルはまだビッグクラブとの試合が残る中で、いかにして彼らと渡り合い、4位以内を確保するのか。ここにもしっかりと注目していこうと思う。

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

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【スペースをどのように管理させるか】プレミアリーグ 第29節 アーセナル×レスター

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皆さんどうも。今回はプレミアリーグ第29節のアーセナル×レスターのマッチレビューを行っていきます。

絶好調のアーセナルはこの試合でもしっかりとプレス回避を行っていくことで、見事にレスターをひっくり返しながら、ゴールに迫ることができていました。手前と背後をうまく使いながら、斜めに前進することで効果抜群の攻撃を仕掛けていた印象です。彼らはレスターに対して「どのようにスペースを管理させるか」を突きつけ、その対応を見て自分たちがどこを使って攻撃を組み立てていくかを瞬時に選択しているように見えました。後の先を常に取りながらプレーすることで、遅れとずれを作り続けることができているので、現在のアーセナルは安定しているのではないでしょうか。

では今回はアーセナルがどこのスペースを管理させて、対応を行われるとどのように攻撃を選択していたかについてを考えていきますので、最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

 

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スターティングメンバー

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レスターの守備

アーセナルのプレス回避についてを触れていく前に、まずはレスターの守備についてを考えていこう。彼らは4−4−2で守備を行うことが基本形になる。これはハイプレスもミドルプレスも同様だ。

では彼らはどのようなことを考えながらプレスを行っていたのだろうか。

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レスターの守備

彼らはこのようにマディソンとイヘアナチョでアンカーポジションに立つトーマスを消しにかかる。これで中央を経由されて展開されることを防ぎ、外側に誘導を行う。さらに外側の誘導をより確実なものにするために、中盤4枚は台形のような形になって中央を消して外側に出ていく立ち位置をとる。この時にSHが背後でIHを消しながら、2トップ脇を運び出すCBに対しても牽制をかけれるようなポジションを取るため、このような形になっていたのだろう。これでSBに誘導するとSHは外側に向かってプレッシングを行う。これがレスターの全体のプレスのスイッチになる。

ではここからどのようにプレスを完結させることを狙っていたのだろうか。

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圧縮できればOK。
狙うのはSBから出てくるパス。

このようにSBにSHがプレスをかけることで、ボールホルダーに圧力をかけつつ、CHもしっかりとスライドを行うことでレシーバー潰しもしっかりと行って圧縮をかける。ここのSBでボールを回収できればベストだが、距離が少しあるのでここでボールを回収できる確率は少し低く、だからこそSBから出てくるパスを回収することを考えていた印象だ。

だからバックスの準備が不可欠で、とくにWG vs SBとCBの背後のケアはかなり大切なタスクとなっていた制限をかけつつ、準備を怠らないことでボールを回収することはある程度かなっていたが、それでも前進されてしまったのはアーセナルに「スペースの管理」を強制させられていたからだ。

ではアーセナルはレスターに対してどこのスペースを管理させて、どのように攻撃を仕掛けていたのだろうか。

 

スペース管理の強制と後の先

アーセナルはウーデゴールとジャカにスペースを与えることで、前進を行って攻撃を組み立てていくことが基本形となっている印象を受ける。だからトーマスで2トップを止めて、SBでSHを釣り出して段差を作り、WGでSBを止めるプレーをする。

もっとわかりやすく、アーセナルがレスターに対して以下のスペースを管理させることを考えていた印象だ。

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スペースを管理させる場所

アーセナルはレスターに対してSH–CH–SB–CBを結んだスペースを管理させることを突き付ける。そこでここのスペースを確保するために、以下のように各ポジションの選手はプレーを行っていく。

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スペースを確保するために

まずアーセナルが一貫して行っているのが中央での2つの菱形だ。まず1つ目の菱形がラムズデールを含んだ、ガブリエウ、ホワイト、トーマスの菱形だ。これが土台となる。そして2つ目がラカゼットを含んだ、トーマス、ウーデゴール、ジャカの菱形。この菱形を作ることで、ボールの出どころを作り出し、IH周辺にスペースを作り出すに至る。

さらにSBはSHとかなり距離を取るポジショニングをすることで、SHをブロックから引き摺り出す、もしくはユニットのスライドの距離を長くさせる。そして極め付けがWGだ。サカとマルティネッリはレスターSBがアーセナルSBまでジャンプして対応ができないようにピン止めを行う。これで先ほど触れたスペースを作り出す。

そしてここに動きを加え、人とボールを送り込むことでレスターに対してスペースと人の守備を強制させる。これが相手を動かす大きな手段となっている。

ではどのようにして攻撃を仕掛けていたのだろうか。

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最もシンプルなパターン。

まずは最もシンプルなパターンだ。このパターンはSBとSHの距離を作り出していることで、SBから背後を選択する。この時に抜け出すのがWGになっていて、WGの抜け出し方は基本的にマーカーの内側で、ボールは外側になっている。これでマーカーに対してWGとボールを同一視野に収めることを困難にさせて、優位に背後のランニングを仕掛けることが可能になる。ここの背後を選択できるようになったので、アーセナルは手前の組み立てが活きてくるようになっているのではないだろうか。これに付随してラカゼットの中盤のヘルプも生きるようになっている。

では背後を選択できない、もしくは選択しない場合はどのようになっているのだろうか。

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IHが流れて三角形形成

このようにIHがSBとWGの間に流れることで三角形を形成する。ここでラカゼットの存在がかなり重要になる。彼がIHの横のサポートとSBの斜めのサポートを作り出すことで、出口となることができる。ここも最初に触れたスペースを使っていくことで、レスターの守備を動かすまでに至っていた。

これでSBはIHに対してCHの遅れが出ていればIHをシンプルに使って、そこから遅れから得れる優位性をどんどん大きくしていく。またCHのスライドが間に合うようだったらラカゼットへ逃げることで、ラカゼット⇨トーマスのレイオフで逆へ逃げることも可能になっていた。

当然、IHが斜めを作ってトーマスとCBを含めた菱形も作り出すこと、IhとWGを含めた三角形を作り出すこともある。この場合の出口はIhとWGになり、特に右サイドのサカのところで個人で打開していく場面も見受けることもできていた。今のサカのプレーっぷりはとんでもないものだと思う。

 

この場合はレスターのスライドが間に合わなかった場合になる。ではスライドが間に合ってレシーバーを完全に潰された場合はどのようになるのだろうか。

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レシーバーが捕まったときはサイドを変える

このようにレシーバーが捕まった場合は無理せずにCBとGK経由でサイドを変えていく。このシンプルなサイドを変えるプレーがかなり効いていた。上の図のように、レスターはレシーバーを潰すためにかなりの距離をスライドしている。だからこそ、アーセナルはボールサイドのユニットでレスター全体を引きつけることができている。これで逆サイドにボールを持っていったときに逆IHがフリーでボールを引き取ることができていた。もちろん、レイオフでトーマス経由の持っていき方もあったし、スライドが間に合う場合はCHーCHの門が広がっているので、ラカゼットがボールを引き取ることもあった。

このようにしてアーセナルはレスターにスペースを管理させていくことで、後の先をとることに成功し、うまくプレスを回避することができていた。

 

CL圏内に生き残れるか

消化試合も少ない中で現在4位。そしてチームの雰囲気も試合の内容も上々だ。このままま順調にいけば、来季のCL出場も確実だろう。今のアーセナルには鹿kりとした土台とプレービジョンがある。このまま突っ切ることも可能な感じはするが、サカ、トーマス、ラカゼットが怪我で離脱したときにどのようになるのかの不安材料はまだ拭えない。ここが唯一の懸念点だろうか。

トッテナム、マンチェスター・ユナイテッド、ウェストハム、アーセナル。このグループの中で頭1つ抜け出しているのは確実にアーセナルだ。シーズンも佳境に差し掛かり、ここがアーセナルにとっても正念場だろう。ここからの戦いにもしっかりと注目していきたい。

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

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【前向きの捉え方】Premier League第28節 バーンリー vs チェルシー

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皆さん、どうも。今回がプレミアリーグ第28節のバーンリー×チェルシーのマッチレビューを行っていきます!

優勝戦線に生き残るために、CL圏内確保を確実なものにしてくために、チェルシーはポイントを落とすことは許されません。カラバオ杯の鬱憤を晴らすためにもなんとしても勝利が必要でした。

そして結果は4−0の圧勝。プレミアリーグにも慣れ、いよいよ本格的に本領を発揮し始めたハヴァーツと怪我から戻ってきたジェームズの活躍でバーンリーを粉砕して見せました。シーズン当初のあの安定感を取り戻しつつあるチェルシー。ここからさらなる勝利を積み重ねていけそうです。

前置きはこの辺りにして、早速マッチレビューを行っていきましょう!最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

 

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スターティングメンバー

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3人目の前向きの回避

バーンリーはプレスをかける時はリュディガーに対してレノンを押し出して、ベグホルストとロドリゲスでチャロバーとシウバを抑えにかかるように設定をしていた。さらにジェームズに対してはマクニールに意識させることで、ビルドアップの制限をかけよう試みている印象を受けた。これで奥側にロングパスを蹴らせることで、跳ね返すことを狙っていた。

このプレスに対してチェルシーは基本的に3人目の前向きを作り出すことで、プレス回避を行っていく。

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SHの背後で数的優位を作り出して回避

まずはレノンの背後にボールを送り込むことで回避することを考えていく。ここでの前向きの選手はGKのメンディが主となる。ここからサウールにボールを届けることで、SBロバーツに対してプリシッチと数的優位を作り出してプレスを回避していた。

ここでプリシッチがボールを受けた時に時間ができるのあジョルジーニョとカンテでウェストウッドとブラウンヒルを中央に寄せているから。だからこそ、プリシッチが前向きでボールを受けて持ち出すことができるようになっていた。

この方法をまずはバーンリーに提示していくことで、彼らのプレスの方法を少し変更させる。

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レノンは背後が気になり出してリュディガーまで出にくくなる

このようにレノンの背後を上手く使っていくことで、レノンのプレスをまずは止めることに成功する。こうなると次に前向きになれる選手がリュディガーになる。ジョルジーニョ経由、もしくはシウバ⇨メンディ⇨リュディガーでボールを届けると、リュディガーが外側でフリーになれる。

ここでの前線の選手のアクションは上の図が主にになっていた。基本的に右も左もSTが手前でボールを受ける動き、WBでSBを釣り出す役目、それに呼応してCFが背後を狙っていくことで、手前と背後と斜めから横の選択を作り出す。当然、最優先は背後なので手前が生きてくる。

このようにしてチェルシーはバーンリーのプレスを回避していくことで、ハイプレスを強制終了させることに成功。これで1つ前のエリア、ミドルゾーンでボールを保持できるようになっていく。

基本的にチェルシーのプレス回避の局面は外側のCBが前向きでプレーできるように設定されている。そしてそこから3つの選択肢を用意し、より良いものを選択することで1つ1つ丁寧に剥がしていく。その過程で、相手を剥がしてスペースを作り出す方法と誰にスペースを与えていくかの精度がとても高いので、安定して試合を運ぶことができるのではないだろうか。

 

その段階でチェルシーは前向きをどのように捉えているのだろうか。

 

前向きの捉え方は?

僕の印象にしか過ぎないが、シーズン当初と現在のチェルシーの前向きの捉え方が変化したように感じる。

安定感抜群だったシーズン当初のチェルシーの前向きの捉え方は3人目が主流だった。CFがサイドに流れてSTで前向きを作り出す、STがヘルプを行ってCHで前向きを作り出す、CBで前向きを作り出す(これは変わらない)、ST経由でWBを前向きにするなど、基本形は『3人目で前向き』だった印象だ。レイオフを使うことで、狭いエリアでも前向きの選手を作り出せるようになっていた。狭いエリアを抜けて広い方に対角のパスで展開する。このパターンはよく見受けることができ、かなりの効力を放っていた。

だがこれにはデメリットもあり3人目で前向きを作るということは、基本的に「①縦パス⇨②落とし(バックパス)⇨③前向き」の手順を踏む必要がある。①の選手はスペースと時間を得ているが、②のプレーをする選手は捕まっている、もしくは後ろ向きのプレーを迫られる状況下がほとんどだ。

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ここのところで仮に奪われてしまうと、相手は前向きに奪ったパワーを利用してそのままカウンターに出れる。当然ここのリスク管理のために③の選手がいるのだが、パワーを持って向かってくる選手に対しての対応を難しい。さらに③の選手(ジョルジーニョやカンテ)にマークを付けているチームだと、向かってくる選手+マーカーで数的不利な状況下での対応になる。

チェルシーと対戦するチームはここを狙って潰しにかかるようになってくる。その対策としてWB(ジェームズやチルウェル)を内側に絞らせてマークのズレを生み出し、さらに奪われた際の守備の強度とCHを残すことでダイレクトにゴールに向かわれずに一度外へ追い出すように適応していく。

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WBを内側に絞らせる狙い

このような役割をWBに担わせたことでマークのズレを生み出し、さらにネガトラの強度も上げることにも成功していたチェルシー。CHが対応に出なくて良くなっているので。常時3−2のブロックを形成することができ、外側に押し出すこともできるようになっていた。これで全体を押し戻す時間も確保できるようになっていた。

だがジェームズとチルウェルの負傷離脱により、これが難しくなっていき、最初に触れたような展開になっていく。

憶測の域を出ることはできないが、トゥヘルはこの辺りから前向きの捉え方を変えたのではないだろうか。その移行期間が年末の不安定感に繋がり、そして徐々に安定感を取り戻しているのではいだろうか。

ではチェルシーはどのように前向きの捉え方を変えたのだろうか。それは個人にスペースを与えて、そこでターンしてもらう方法だ。

こうすることで、2人で前向きの選手を作り出すまでに至り、さらに「後ろ向きの選手」と「落としのパス」を省くことが可能になる。これで相手が前向きで対応できる状況を実質消すことができ、カウンターを未然に防ぐことができるようになっていた。

この試合では以下のようにスペースを与えていた。特にプリシッチがボールを引き取ってドリブルで運んでいくシーンは多く見受けることができた。

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引き伸ばす+狭くさせる

このように3CBで引き伸ばすことを考えながら、ジョルジーニョで狭くさせるように対応させる。さらに3CBで数的優位を作り出せているので、カンテが1つ前のライン間に進出することが多く、サウールが高い位置で幅を作ることでレノンを押し下げるようにプレーをしていた。

これでバーンリーが狭くしている状態だと以下のようにボールを引き取る。

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ブロック脇で引き取る

このようにCBからSTで前向きを簡単に作り出すことができる。これでプリシッチやマウント、時にカンテがターンしてドリブルで持ち出すことで攻撃を仕掛けていく。

また引き伸ばした場合は以下のようになる。

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逆STが入ってきてライン間で引き取る

カンテが一列前にいることで、マウントがフリーマンのような振る舞いをすることが可能になる。これでプリシッチが降りて捕まった場合、CH間の門を広げてそこの門の先でマウントがボールを引き取ることで前向きを作り出す。チェルシーの3CBのパス供給能力の高さがあるからこそできる芸当だろう。

 

このように3人ではなく2人で前向きを作り出して、向かっていくドリブルを選択することで、後ろ向きと落としを省き、さらに前向きな人を作るために割く人数を減らすことに成功。こうすることでより攻撃に人数をかけることができるようになっていた。

だからプリシッチやマウントがDF(斜めにゴールに)に向かっていくことで、WBが外側でフリーな状態になれることも多くなっていた。

ここに絡んでくるのがハヴァーツで、その絡むタイミングと絡んだ時のクオリティの高さは言うまでもないだろう。

当然、3人目で前向きを作り出すことが全くなくなったわけではなく、前向きの作り方の主流が変わったように僕は感じた。もう少し試合を見てみないとわからないので、ここを意識しながら観戦していこうと思う。

 

新皇帝・ハヴァーツ!!!

とうとう本領を発揮し始めたハヴァーツ。プレミアのスピード感と強度にも慣れた感じがして、躍動し始めた。背中でDFを受ける安定性、動きながらボールを受ける技術、ハイボールの処理能力、スムーズすぎるターン、走る場所とタイミング、起点、ワンタッチプレー、動き直し、クロスに入っていく感覚、シュートセンス。さらには攻守に渡って機動力も兼ね備えている。それに加えてかっこいい。

ハイレベルで万能なチェルシーの新皇帝のハヴァーツが躍動し始めると、チェルシーはさらに勝利を積み重ねることができるだろう。

そしてこの試合のような戦い方が主流になってくるのならば、プリシッチの重要性も上がってきそうだ。持ち出せてボールを受ける場所のセンスもある。そして彼もクロスに入っていく感覚を持ち合わせている。ここはランパード監督が叩き込んだことだと僕は思う。

シーズン当初とは違った方法で安定感を取り戻しつつあるチェルシー。シーズン佳境の過密日程を乗り切り、さらなる勝利とタイトルを期待したい。

 

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今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

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【手前と奥】コッパイタリア準決勝1st Leg ミラン vs インテル

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皆さんどうも。今回はコッパイタリアの準決勝のミラノ・ダービーのマッチレビューを行っていきます。インテルはリーグ戦でミランに勝てていません。ですがコッパイタリアでインテルはリベンジの場を得ることができました。

お互いにリーグ戦で調子の上がらない中でのダービー。ここでライバルを叩くことができれば、もう1度調子を上げることができる一戦です。そのぐらい、ダービーには効力があります。

熱戦必至のこの第1戦。結果はスコアレスドローでしたが、見応えのある試合になりました。では今回はインテルがなぜミランのプレッシングに苦しんだのかについてを中心に、マッチレビューを行っていきます。最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

 

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スターティングメンバ

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奥を使えないがゆえの

WBが幅と高さを作り出して相手のDFラインを止め、CBとIHでプレスを引き込み、相手を縦に引き伸ばしながらジェコが動きながらボールをピックアップすることで、ひっくり返して全体を押し上げて攻撃に移行していく。だがこの試合、いや勝てなくなったここ数試合はこれが上手くいっていない印象だ。

ではなぜこれが上手くいかなくなってしまったのか。それが「奥」、表現を変えるなら「背後」を使えなくなったことが大きな原因ではないだろうか。

この試合でもWBのダンフリースとペリシッチが幅と高さを作り出していたが、彼らの背後へのランニングは少なかった。だからこそ、ミランは常に前向きに対応することができるようになっていた。

ではミランはどのようにしてハイプレスを完結させていたのだろうか。

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ミランのプレッシング

ミランはリーグ戦でのミラノダービーと同様、かなり人を意識してプレスを行う。ここでポイントとなるのがやはり中盤と2トップのマンツーマン。これがインテルを苦しめる。

そしてミランは以下の場所でボールを回収することを行っていた。

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常に前向きで対応するミラン

このようにミランは外側のCBに誘導すると、そこには外切りでSHがしっかりと対応を行う。ここで外切りを行うのはWBを消すことで「WBの無力化」を考えているからだろう。だからこそ、インテルはWBが背後を狙うことが難しくなってくる。

さらにこれを解消するために、インテルはIHをCBとWBの間に流すのだが、ここには当然のようにミランCHがしっかりとついてくる。もちろん、IHが流れれば中央が空くのでここにジェコが降りてボールを引き取る動きを加えるのだが、ここにはCBが前向きに、しかもパワーを持って対応できるので、起点を作り出すことが難しくなっていた。

ここの「CBがパワーを持って前向きに」がインテルがかなり苦しんだ理由だ。場所を空けて人を降ろすことで、ライン間でポイントを作って全体を押し上げるのだが、そのポイントを作るところで潰される。

人が降りたところで潰されてしまうと、奪われた時点で「押し込まれた状態」に陥ってしまう。だから仮にボールを奪い返したとしても、押し込まれている状態なのでミランの圧力から抜け出すことは困難になる。だからこそ、上の図のようにプレッシングを嵌められてしまい、全体を縦に伸ばせずにミランが押しあがった状態でロングパスを蹴らされてしまっていた。

これは先ほども少し触れたが、背後へのアタックが少なかったことが挙げられる。この試合ではSHがCBに向かっていく時点でWBへの縦へのフライスルーパスを消されていたことが大きな原因だと思うが、他にも疲労だったり、プレスを引き込みすぎるがゆえに、近くに常に人がいるので「遠くが見えない」という状況を自ら作り出してしまっていることにも小さくない原因がありそうだ。

リーグ戦のミラノダービーも同様だったが、よりこの試合の方がミランが前向きでパワーを持って対応できる状況に陥ってしまっていたように僕は感じた。

 

斜め・奥・手前を用意したミラン

では一方のミランの攻撃、インテルの守備はどうだったのだろうか。インテルはミドルプレス(ミドルブロック)でミランの攻撃を受け止めながらショートカウンターを狙うことを考えた。だがこれはミランが外側からの「斜め・奥・手前」の3つの選択肢を用意したことで、嵌り切らない状況になっていた。

ではミランはどのようにして選択を複数用意していたのだろうか。

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インテルのプレッシング

まずはインテルの守備から触れていきたい。インテルは2トップとIHでミランCHを消しながら、2トップがCBに向かっていくように守備設定をしていた。ミランのように完全にマンツーマンで守備を行わないので、ブロゾビッチがしっかりとIHをしたから支えるようなポジションを常にとるようになる。相変わらずここの細かなカバーポジションの取り方は秀逸だ。

これでインテルは中央を経由させずにSBに誘導する。ここに向かっていくのがWBだ。WBはラインを越えてSBに出ていくようになる。これで最も良いのがSBで回収、これは難しいので、SBから次に出てくるパスを潰し切ることで前向きにボールを回収し、そのままダイレクトにゴールに向かえるカウンターを発動することを試みる。

だがミランが以下のように攻撃を準備することで、インテルは守備でも苦しんだ印象だ。

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3バックを引き伸ばされるインテル

まずプレスが嵌り切らなかった原因はSB⇆WBの距離にある。ミランはここの距離を意図的に長くして組み立てを行う。これができたのも、SHが下がらずに高い位置で幅を作って我慢していたから。基本的にCBでボールを保持できていたミランはWBが初めにSHを消していない立ち位置を取っていたならば、背後を積極的に選択していた。ここがインテルとミランの決定的な違いだろう。だからこそ、幅を作り出すSBとWBとの距離を確保することができた。これで十分なプレー時間とスペースを得ることに成功。

 

さらにSBでWBを釣り出すことができれば、SHに対してCBがスライドして対応する守備設定を利用して、SHとCFでCBの門を広げることに成功。これで時間ができたSBから手前に降りるCFジルーと背後に走るクルニッチ、さらに縦でSHを背後に走らせることで奥も使っていく。より手数をかけずにゴールに向かえる選択を積極的に選ぶので、インテルは徐々に押し込まれる状況に陥っていた印象を受けた。

 

インテルが攻撃に移行できる場合は?

当然、全く攻撃に出られなかったわけではない。というものSBから斜めに差し込んでくるパスを回収することができれば、インテルはショートカウンターの移行することができていた。この斜めのパスが奪えるのは逆IHの絞りによるヘルプが間に合った場合に回収が適い、攻撃に移行することができていた。絞って奪って前に出る。IHの負担がかなり大きくなってしまう方法だったが、これができたときはスムーズに攻撃に移行でき、ミランをひっくり返すことができていた。この状況を前半からもっと意図的に作り出すことができていれば、スコアを動かすことができたかもしれない。

 

組み立てを修正したインテル

ミランのハイプレスに苦しんだインテル。全くもって組み立ての修正を行わなかったかというとそうではない。シモーネ監督はしっかりとハーフタイムで修正を行なった。その修正というのがWBを高い位置で張らせるのではなく、3CBとブロゾビッチのヘルプを行わすように修正。さらにCBデフライがGKハンダノビッチの近くではなく、ブロゾビッチの横にポジションを取ることが多くなっていた。

これでバストーニ・シュクリニアル・デフライ・ハンダノビッチで菱形を作り出し、さらにWBがSHの近くに降りてきたことで、バストーニとシュクリニアルにプレスをかけていたSHを止めることができるようになった。

仮にWBまでSBがついてきた場合はCFが内側から外側に流れることでSBの背後でポイントを作る。これでCBのパワーを持った前向きの対応を受け流すことができるようになる。またIHが中央でプレーする回数が増えたので、2ndボールへの人数も揃えることができるようになり、さらにバレッラやチャノハノールが背後に飛び出していく回数も増えた印象だ。

このようにパワーを受け流すための修正を行なったが、それでもミランの守備の出足の速さとマークの受け渡しのタイミングの練度が高かったので、ゴールを破るまでにはいかなかった。ピオリ監督の訓練がかなり効いており、ミランの守備が堅いことにも頷ける内容だったのではないだろうか。

 

スコアレスとは言えど

スコアレスドローで終わったミラノダービーだったが、スコアレスとは言えど、かなり見応えのある試合だった。局所でのバトルはもちろんの事なが、マークの受け渡しのタイミングや予測を聞かせたプレスなど、特に守備の局面で見応えがあったと僕は感じた。その中で奥と手前を上手く使うこと、パワーをいなすことを上手く使えなければ、プレスの餌食になってしまうということも改めて気付ける試合だった。

お互いに一歩も譲らない一戦となったミラノダービー。果たして第2戦目はどのような内容になるのか。とても楽しみだ。

 

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