【感じた不穏な雰囲気】J1league第5節 アビスパ福岡 vs 鹿島アントラーズ

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今回は僕の感想中心になることを許してほしい。

この試合は『サッカーで起こる不思議な現象』が起きたものになった。もちろん、アントラーズ側に様々な要因があって、このようなことが起きたことは間違いない。だが、それでもこのようなことが起こるのがサッカーというスポーツだ。いつになっても、予想通りに試合が運ばないのがサッカーの醍醐味でもあるのだが。

では今回は雑感中心になってしまうので、緩く読み進めてもらいたい。

 

 

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スターティングメンバー

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スタッツ

前半(福岡:鹿島)

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後半(福岡:鹿島)

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試合全体(福岡:鹿島)

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引用:Flashscore

www.flashscore.co.jp

 

アントラーズが数的不利になるまで

まずはここから触れていこう。

アントラーズがこの試合、良い入りが出来たかというと、お世辞にもそうではなかった。この日はプレスが嵌り切らず、アビスパに簡単に前進されることになる。

アビスパ福岡のビルドアップ

まず触れるべきはアビスパのビルドアップの形。

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アビスパのビルドアップの形

彼らは『SHがハーフスペースを取る』こと、『SBが高い位置で幅を作り出す』ことを行う。

シンプルなものだが、これがアントラーズのプレスを回避することになり、SBで時間が作れる理由になる。

ではなぜ、アントラーズはこの形を取られてしまうとプレスが嵌まらなくなってしまったのだろうか。

それには以下の理由があると考えられる。

 

①:中盤の数的不利

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数的不利になる中盤

まず1つ目が中盤での数的不利だ。アビスパ福岡はCHがバックラインに降りてビルドアップを行うことがほとんどなかった。だからこそ、2CH+OMFでアントラーズ2CHに対して数的優位を作り出すことが出来た。だからこそ、アントラーズは中盤で数的不利に陥ることになる。

こうなると、何が良くないのだろうか。

 

②:迷いが生じるSHとCH

①の状況下に陥ると困るのがSHとCHだ。ではどのように困り、迷いが生じるのだろうか。

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迷うSHとCH

中盤が数的不利になっているので、初めにSHは絞ってCHを意識する立ち位置を取るようになり、SBからの距離が生まれる。さらにその背後のCHはCHを捕まえるか、自分の背後をうろつくOMFを気にするか迷うことになる。

この迷いが生まれると『守備の立ち位置と共有』が上手くいかず、遅れが生じてしまう。

だからこそ、以下のようにSBで前進されてしまっていた。

 

SBで前進されたアントラーズ

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SBで前進される理由

このようにSHがCHを捕まえるポジションを取ることで「アビスパSBとの距離」が広がってしまい、CBから簡単にSBへのパスを通されることになる。さらにSBはハーフスペースに入っているSHにピン止めされているので、SBに対応に出ることが難しい。

これで、アントラーズはSBで前進されることが多くなっていた。

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アビスパの崩し

そしてこのようにSBが釣り出されるとその背後を、CHが釣り出されるとライン間を使われることが多くなっていた。

もちろん、CBからSBへのパスをSHが間に合ってパスカットできることもあった。こうなるとカウンターを受けることが出来ていた。だがこれは完全に再現して行っている守備ではないので、単発でのものになるのと同時に、カウンターと言っても、ほぼ1人での持ち運びになるので、効果は薄かった。そして皮肉にもこの方法で単独突破を仕掛けた和泉が怪我をしてしまったのがなんとも言えない…

 

感じるのは圧倒的な個

ではアントラーズは攻守ともにどのような振る舞いを見せていたのか。

それは完全に個人能力で圧倒するサッカーだ。エヴェラウドの強さと起用さ、荒木と和泉のドリブル、土居のポジション取りの巧さ。バックラインの対人。どこのポジションでもアビスパを上回った。だからこそ、サイドで1vs3の状況でも単独突破を成功させ、クロスまで持っていくことが出来ている。

アントラーズっぽいと言えばアントラーズっぽい気もするが。

 

不穏な雰囲気

ここからは思いっきり雑感。

アントラーズは和泉と土居の負傷交代、関川の退場。試合開始直後から感じていたどこか危なげな雰囲気。重苦しい空気。実際に僕も試合をしている時にこの不穏な雰囲気を感じたことがある。これは何が原因なのかは試合中全くもってわからないというのが本音だ。

これにはきっと、いろんな原因があるだろう。アウェイへの移動距離、その日の気持ちの持ちよう、コンディション、などいろいろあるだろう。

そして画面越しでも伝わってきた不穏な雰囲気が見事にそのまま当てはまった。

だからこそ、どこかキレがなく、怪我人も出してしまったのではないだろうか。

だが、アントラーズの凄いのが1人少なくなっても攻撃に出れること。個人能力が高い選手が鹿島アントラーズにいることで、このように攻撃に出れる。果たしてここを上手く戦術的にまとめ、高い能力を遺憾無く発揮できるように設定することができるのか。

ここが今季タイトル奪還できるかどうかの分かれ道だ。地力があるからこそ、守れて攻めれる。スロースタートと言えど、ここまで足踏みすると再び苦しくなってしまう。

早めの立て直しに期待したい。

 

 

 

 

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【遅攻という大きな収穫】J1第3節 鹿島アントラーズ vs 湘南ベルマーレ

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タイトル奪還のために。開幕戦はエスパルスに不覚を撮ってしまった。開幕2連敗を避けるため必ず勝利が必須だった。そして始まった湘南ベルマーレとの一戦。アントラーズは開幕戦の鬱憤を晴らすかのように、攻撃を仕掛け続けて勝利を掴んで見せた。今回はいかにして湘南ベルマーレを圧倒し、ゴールを奪ったのか。これを考えていこう。

 

 

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スターティングメンバー

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苦労せずに進めたアントラーズ

特に前半。湘南の守備を諸共せず、攻撃を仕掛け続けた。簡単に縦パスが入り、攻撃を完結させることが可能になっていた。さらに、攻撃に人数を掛けることができていたので、ネガトラでも優位に立つことができていた。

ではなぜ苦労せず前進することができたのだろうか。

 

開幕戦の前進方法

開幕戦で見せた方法をこの試合でも見せるかと予想していたが、そうではなかった。

(開幕戦の前進方法を確認したい方は以下のブログを読んでいただきたい)

www.soccer-bunseki.com

 

ではこの試合ではどのように前進していたのだろうか。その方法は主に2つあった。

 

前進パターン①

まず1つ目はCHがバックラインに降りないパターンだ。この場合はどのように前進していたのだろうか。

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CB降りない場合の形

このパターンは上の図のようにボールと逆サイドのSBが最終ラインに残ることで3バックの形を取り、ボールサイドのSBを一列前に押し出す形を取る。この時にCF土居が必ずボールサイドに寄ってサポートを行い、エヴェラウドは中央に残る。さらにSHはWBとCBの間に立つことで2枚をピン止めする。

この形を取ることで以下のメリットを獲得できる。

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獲得できるメリット

まず最終ラインではCBとSBで2トップに対して数的優位を保つことができる。これでバックラインでボールをリスク低くボールを回すことが可能に。

さらに、その一列前ではIHに対してCHと土居で上下で数的優位を作り出せる。これでIHを止め、さらにSHがWBを止めていることでSBが中盤の脇でフリーでボールを受けることができていた。これらがメリットとして挙げられる。

そしてSBがフリーでボールを持つことを嫌うベルマーレはIHをそこに当てに行く。

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IHを釣り出せる

上の図のようにIHを釣り出すことでその背後でCF土居とSHが縦パスを受けることができていた。これが1つ目のパターンだ。

では2つ目はどのようになっていたのだろうか。

 

前進パターン②

2つ目の前進パターンはCHがバックラインに降りるパターンだ。これはCBの間だけではなく、CBの脇に降りることも見受けられた。ここはこれからも流動的に行われそうだ。

ではCHがバックラインに降りた場合はどのような形を取るのだろうか。

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CHがバックラインに降りた場合

このようにCHがバックラインに降りることで両SBが高い位置で幅を作るようになる。

これでパターン①と同様にバックラインで数的優位を作りながら、SBがベルマーレ中盤の脇を取ることができる。

だが、このパターンを行った時のベルマーレは守備が明確だった。

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ベルマーレの明確な守備

このように、CHが降りるとIHがプレスを行うことが散見された。そうするとそれに呼応してWBがSBを捕まえる。さらにIHの背後に立つCF土居をDMFが捕まえる。これで明確に人を捕まえてボールを回収しようと試みていた。

だがアントラーズはWBの背後を上手く使うことで前進してく。

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WBの背後を使う前進

アントラーズはマークされていても、『個人能力の高さ』でマーカーよりも優位に立つ。だからこそ、主に上の図のようなボールの回し方が可能になっていた。(ほとんどのパスはワンタッチ)これでSHがWBの背後を使うか、土居はそのままターンして持ち運ぶことでサイドから前進して行った。

 

アントラーズは主にこの2つの方法で前進し、攻撃を仕掛けていた。

 

遅攻について

前進を行い、ベルマーレを自陣に押し込み、遅攻に持ち込んだアントラーズ。だがこうなると「勝てない」イメージを持つ方は多いのではないだろうか。

しかしこの試合は違った。遅攻でもチャンスをいくつも作り出すことができていた。ではなぜ今までと違い、チャンスを作り出せたのだろうか。

 

2段回スペースメイキング

まず1つ目にこれが挙げられる。これは「CFに土居が入った」ことでできるものではないだろうか。

ではこの「2段回スペースメイキング」とはどのようなものだったのだろうか。

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SBでWBを釣り出す

まずはじめに行うことがSBでWBを釣り出すことだ。これを行うことで「WBの背後」にスペースを作り出す。そしてそこを中に入っているSBが使う。この「WBの背後のスペース」がまず1つ目の「スペースメイキング」だ。

そしてSHがそのスペースに流れることで2つ目のスペースを作り出す。

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CBを外に誘き出す

このようにSHが外に流れることで「CBを外」に誘き出す。こうなると生まれるスペースが「ハーフスペース」だ。これが2つ目のスペースになる。ここを土居が使うことで縦パスを受けることができていた。勝手に僕が命名しているが、これが2段回スペースメイキングだ。

そしてこれを行ったことで以下の選択肢を持てる。

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選択肢を持てる土居

このようにSH荒木へのスルーパス、または荒木が引っ張ることでサイド奥深くをドリブルで使うことができる。現にこの攻撃で開始早々のゴールは生まれたし、何度も土居がハーフスペース深くでドリブルを仕掛けるシーンを観ることができた。これにはこのような理由があった。

 

SHが寄るオーバーロード

そしてもう1つがオーバーロードだ。これでアントラーズは遅攻でもフィニッシュに持ち込むことができていた。

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オーバーロード

このように逆SHがボールサイドに寄ることで圧倒的な数的優位を作り出す。これで「前にいる誰か(ここでは土居・荒木・アラーノ)」が背後を使うことが簡単になる。さらに、WBがSBまで出て来ず、場所を埋めるのならばSBからクロスをシンプルに上げることで、圧倒的な強さを誇るCFエヴェラウドにフィニッシュチャンスを提供できる。だからこそ、この試合はエヴェラウドは常に中央に位置取りしていた。

そして荒木の2ゴール目にも見られたように、ボールと同サイドで詰まった時は、逆でSBがハーフスペースまで絞っているのでそこへ逃げることができる。そしてSBはそこである程度時間を持ってボールを持つことができる。ここから前方向の選択をすることで、攻撃を完結させていた。(もちろん中央のCHが開く場合もあり、前半終了間際に見せた永木のミドルシュートが良い例だ)

 

これらのように、遅攻でもフィニッシュに持ち込むことができていたこの試合は大きな収穫になったのではないだろうか。

 

やはり土居は中央の選手

この試合で2トップの一角に入った土居。開幕戦のサイドでのプレーと比べてみても、やはり土居は中央のプレーヤーということが再認識できた。献身的にボールサイドに寄り、数的優位とパスコースを作り出し、さらにはサイドに流れてスペースを突いて行く。さらにはリンクマンとしての役割を果たしていた。最初からサイドにいるのではなく、動きを加えることで相手を混乱に陥れていた。この試合で遅攻を仕掛け、それが機能したのも中央に土居がいたことが大きく関係しているだろう。

 

今週末にはサンフレッチェ広島との一戦が待っている。果たしてどのような試合展開になるのか。そして少なからず手応えを感じているであろう遅攻と共に、強みのカウンタープレスを発動しながら連勝を手にすることはできるのか。

この試合を観てより一層楽しみになる良い試合だった。

 

 

 

 

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【観て進む矜恃】Premier League 27節 チェルシー vs エバートン

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いまだ無敗。そしてまたしてもクリーンシート。共に青春を過ごしたチェルシーがトゥヘルの下で再び強くなっている。今節戦ったエバートンとの一戦でも、彼らの『守備を観る』ことで空いている場所から進み、ゴールを奪ってみせた。そしてボールを握ることで守備の時間を短くし、配置を整え、ネガトラですぐにボールを回収。だからこそ、この試合でもクリーンシートで試合を終えることができた。

では今回は、いかにしてチェルシーは前進していたのか。これについて触れていこう。

 

 

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エバートンの守備プラン

まずは彼らの守備のプランについて触れていこう。アンチェロッティはチェルシーの前進を堰き止めるために、以下のような守備プランを準備していた。

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守備セット時の立ち位置

基本的にエバートンはミドルブロックで守備を行っていた。(後半は割と高い位置から同様の形でプレスを行う。デイビスが入って少しやり方は変わった)

この守備の立ち位置を半ば無理やり表すのならば、5-1-4だろうか。上の図のように、2トップでズマとアスピリクエタを意識する立ち位置を取る。ジョルジーニョとコバチッチには、シグルズソンとゴメスがマーク。(シグルズソン→ジョルジーニョ、ゴメス→コバチッチ)

これで中央に残るアランがDMFの役割を果たしてライン間をケアしていた。

ではこれでエバートンはどこでボールを奪いたかったのか。

それは以下の図を観ていただきたい。

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エバートンが奪いたかったエリア

エバートンはボールを奪いにいく条件が明確になっていた。その条件が『ズマにボールが入った時』だ。彼にボールが入ったら、CFが外切りのプレスでWBへのパスコースを消す。それと同時にシグルズソンがCBクリステンセンを牽制できる立ち位置を取り、アランが前にスライドしてジョルジーニョを捕まえる。これで、ズマに中央へパスを入れさせてボールを回収しようと試みていた。そしてそこからショートカウンターを打つことを狙っていたのではないだろうか。

だがチェルシーはエバートンの守備をしっかりと観た上で前進していく。

ではどのように前進し、ラインを越えて行ったのだろうか。

 

チェルシーの3つの前進方法

トゥヘルになり「前進していくこと」に抜群の安定感を手に入れたチェルシー。例外なく、この試合でもきちんと前進していく。

 

①:WBへの対角のパス

まず1つ目の前進方法が「WBへの対角のパス」だ。このように表記すると「長いパス」のように捉えるかもしれないがそうではなく、下の短いパスだ。ではどのようにしてそのパスを打ち込んでいたのだろうか。

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対角のパスを打つために

上の図のように、肝となるのはCHのレーンの移動だ。これはトゥヘルになってからより正確に整理されたものだろう。CHが1枚隣のレーンに移動すると、その逆のCHも連動して隣のレーンにポジションを移す。こうすることで、この試合はそれぞれついてくるゴメスとシグルズソンを動かすことができた。これでリシャルリソンの背後、シグルズソンの脇にスペースを作り出すことができ、そこをWBが使うことで中央のブロックの外でWBがボールを受けることが可能になっていた。

そしてここからはこのように攻撃を仕掛けていく。

①-1:アランを釣り出す

ブロックの外でWBがボールを受けれると、アランの釣り出すことができる。そうすると、以下のように攻撃のフェーズに入っていくことができる。

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ライン間でボールを引き出すハヴァーツ

このようにWBが持ち出すことで、アランを釣り出すことができる。(前進されないためのプレー選択をアランは多くする)これで、ライン間にスペースができるので、そこをハヴァーツが使うことでボールを引き出す。ここの立ち位置と引き出すタイミングがハヴァーツは非凡だ。だからこそハヴァーツはこの試合でもライン間で効果的なプレーを連発していた。

 

②:シグルズソンを動かしての中央

①の方法を見せたことで次に動かすことができたのは「ジョルジーニョをマークしているシグルズソン」だ。これでチェルシーは簡単に中央を突破することができるようになる。

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離れて受けるコバチッチ

クリステンセンが自由にボールを扱う時間を持てると対角のパスでブロックの外に逃げられてしまうことを悟ったエバートン。だから上の図のように、クリステンセンに対してシグルズソンがプレスを行うようになる。これを行うことで、チェルシーは一瞬、ゴメスに対してコバチッチとジョルジーニョで数的優位を作ることができる。これがかなり優位に働く。ではなぜ、優位に働くのだろうか。それはゴメスの意識を中央のジョルジーニョとボールに引きつけることで、「ゴメスから離れていく」コバチッチがフリーになれるからだ。これで、コバチッチが『サイド』でボールを引き取ることが多くなっていた。

 

③:サイドを変える

この2つの方法で次はシンプルにサイドから攻略していく。

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早くパスを回すことでWBがフリー

このようにゴメスがコバチッチに着いてくること、アランがジョルジーニョまで出てきて捕まえることでエバートンは中央を狭くしていく。これに対してチェルシーはCH→CB→WBのシンプルなパス回しでサイドのWBに逃げることが可能になる。これは中央に圧縮することを選択するがゆえに空いてくる場所だ。だからチェルシーはシンプルにサイドで時間を作ることもできていた。

これで似たようにライン間に差し込むことで攻撃を仕掛けて行った。

 

動かす矜恃

OGを誘発した攻撃、PKを誘発した攻撃。他にも多くの攻撃に共通するもの。それは「動かす」ことだ。この試合のエバートンはSTにCB、WBにはWBと言うふうにマンマークを実行。ここをしっかりと突くことで、チェルシーはゴールを奪ってみせた。特に

先制点のシーンを観ると分かりやすいだろう。オドイがボールを引き出すことでホルゲイトを釣り出す。そしてターンしサイドに流れるドリブルに合わせて、サイドに張っていたアロンソがホルゲイトの背後に入り込む。この入れ替わりこそ、マークのズレを生み出し、優位に攻撃を仕掛けられる。この入り込むスペース作り出す動きと入り込む動き、これらの規律を整えたトゥヘル。だからこそ、選手は常に優位に立てるポジションを取ることができているのではないだろうか。それほど頻繁にポジションチェンジが行われるチームではないが、やはり味方の立ち位置を観てしっかりと自分の立ち位置を変えている。攻撃的だが、ランパードの時よりも被ることが圧倒的に減り、安定感が増した。果たしてどこまで無敗記録を伸ばすのか。真に強いチェルシーが時季に帰ってくるだろう。

 

 

 

 

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J1第2節 ピックアップゴール【大久保嘉人のゴールについて考える】

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シーズン開幕前。セレッソの加入を懐疑的に思う人は多かったのではないだろうか。そう。その選手こそ、大久保嘉人。日本屈指のレジェンドストライカーは昨季、J2でゴールを決めることができなかった。だからこそ、セレッソが獲得したことには疑問の声が多く上がったのではなだいろうか。実際に僕も疑問に思っていた。

そして開幕からの3試合。彼はその声をかき消すだけの結果を残した。

3試合で4ゴール1アシスト。結果を残し、ありとあらゆる人の掌を返させた。

もちろん、この試合でも彼はゴールを決めてみせた。

今回は、このゴールを詳しく解説していこう。

 

(解説は目次のスターティングメンバーから始まります)

 

 

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大久保嘉人のゴールシーン

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ゴールシーン解説

ストライカー。まさにストライカー。僕自身も現役の頃、フォワードをやらせてもらっていたので、このゴールの気持ち良さには共感できる。

そしてこのゴールには沢山のものが詰まっていた。その中でも、『視界の外』と『視界の中』の取り方と『動き直し』がとても秀逸だと感じた。

これを中心に解説を行っていこう。

①:SBとCBの間

まずクロスをもらおうとする最初のシーン。

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最初に欲しかったであろうクロス

この時点で大久保はクロスに合わせる動きと入り方を行う。だからこそ、CBとSBの間にポジションを取っていた。このポジションを取ることの何が良いだろうか。

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SBとCBの間に立つ意味

このポジションに立つメリットは主に2つある。

  1. CB渡辺の視野外に立てる
  2. SB中村とボールの間に立てるので先にボールを触れる

主にこの2つが挙げられる。特に2のSBとボールの間に立つことはとても重要だ。

これを行っていることで、SBを押さえながらボールを先に触れる。仮にSBが無理にボールを取りに来るのならば、ファールを誘え、PKを得ることも可能だ。

まずはこのポジションを取っていた。

だが実際にはここではボールは出て来なかった。そして次の動き直しはこうなっていた。ではここのポイントはどこにあったのだろうか。

 

②:動き直しで視野外へ!

実際にパスが出て来なかったので、大久保は以下のように動き直す。個人的にはここがこのゴールが生まれた重要なポイントだと思っている。

ではその動き直しとはどのようなものだったのだろうか。

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完全に視野外へ

実際には豊川→落としのようにボールは動いた。この時の大久保はボールが出て来なかったので上の図のように動き直した。

ここが大きなポイントで、SB中村の視野外に立つことで「完全にFC東京バックラインの視野から消える」ことができる。このポジションを取ったことが、このゴールの一番j重要なポイントだったのではないだろうか。

そしてこれで大久保は以下のようなクロスをイメージしていたはずだ。

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きっと欲しかったクロス

このように、ワンツーで受け直す原川、または走り込んできた松田からのダイレクトのクロスを受けようと思っていたに違いない。だからこそ、再びSB視野外にポジションを取り直すことで大外からフィニッシュまでイメージしていたはずだ。

しかしここでもパスは出て来なかった。

 

③:クロッサーに合わせて動き出す

そしてこの最後の動き出しで大久保は見事にゴールを奪い切る。

この動き出しは以下のようになる。

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あえて視野に入る動き

2つ目の動き直しで「FC東京バックラインの視野外」にポジションを取った大久保。これで、SH坂元(クロッサー)とタイミングを合わせてクロスを引き出す動きを加える。ここの動き出しも秀逸で、まずはオフサイドにならないように、バックステップを踏む。この時に、身体の向きは半身で常にゴール方向。仮にここで「後ろ向き」に走るのならば、大久保自身は身体の向きを変える時間と向きを変えることでボールから一瞬目を離すことになる。

だから、半身でのバックステップが重要だった。そしてこれは身に染み付いている動きだろう。

さらにSB中村の死角から視野内に入り込む。この動きのメリットは2つある。

  1. オフサイドに掛かりにくい
  2. SBのボールの間に自分を置ける

この2つのメリットがある。1つ目はもちろんのことながら、SBの手前に入るのでオフサイドに掛かる危険性はグッと下がる。2つ目は最初に解説したように、「ボールとSBの間」に自分を置くことで、守備者よりも先にボールに触れることが可能になる。

これで、大久保は見事にゴールを奪ってみせた。

 

ではもう一度、このゴールを観て欲しい。

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これぞストライカー!

3度の動き直し。これが口で言うことは簡単なのだが、いざやってみると案外難しい。そしてそれを3回行った。さらには、それを最も効果的でゴールを奪うことのできるポジションに自分を配置することができていた。だからこそ、ここまでゴールを積み上げることができているのだろう。これぞストライカー。開幕前の批判の声を跳ね返すだけの活躍をみせている大久保。果たしてこれからどこまでゴールを積み上げていくのか。このベテランストライカーに注目だ。

 

 

 

 

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【増やしていく選択肢】Premier League 29節 リバプール vs チェルシー

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6ポインター。トップ4に食い込むためにビッグクラブが凌ぎを削っている。そしてなんとしてもCL出場権を獲得したい両者の一戦。この一戦で勝利を収めたのは、10戦7勝3分という脅威の勝率を誇るトゥヘル・チェルシーだ。

では今回、この試合で『なぜチェルシーはプレスを回避できたのか』に焦点を当てて解説していこう。

 

(解説は目次のスターティングメンバーから始まります)

 

 

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スターティングメンバー

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リバプールの守備について

チェルシーのことを考えるためには、まずリバプールのことについて触れておかなければならない。この試合、リバプールはDMFにチアゴを添え、IHにワイナルドゥムを起用した。これには、次の守備を行うための入れ替えだったように感じた。

ではリバプールはどのように守備を行ったのだろうか。

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リバプールの守備について

このようにリバプールはハイラインでコンパクトな陣形を保ちつつ、ボール回収に努めた。そのために、CFフィルミーノがまずはポジションを落としてCHを捕まえつつ、中央CBを牽制できるポジションを取る。このタスクを託せるのはフィルミーノだからだろう。さらにIHジョーンズも余ったCHを捕まえる。こうすることで、WGが両脇のCBを外切りで牽制。また、IHワイナルドゥムはSTマウントを気にする立ち位置を取り、DMFチアゴと割と横並びの立ち位置を取る。

こうすることで、WGの頭上を越すWBへのパスを送らせてSBでボールを回収する。または、チェルシーを自陣に押し込んでいくことで、選択肢は無くしてミスを誘うことでボールを回収していた。

 

だがチェルシーはこのプレスを剥がしていくことで選択肢を広げていった。

ではチェルシーはどのようにプレスを回避していったのだろうか。

 

選択肢を広げるために

ではこの試合でチェルシーが見せていた回避方法を順に解説していこう。

①:CH→WGの回避

試合の立ち上がり、立て続けに見せた回避方法だ。

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CB→CH→WBの回避

このようにリバプールWGが外切りのプレスを行うので、ボールホルダーCBは「外が見えない」状態になる。だから中へのパスが自然と多くなる。このパスはリバプールに狙われているが、CHがワンタッチでWBへ逃げることでWBがフリーでボールを持てることが多くなっていた。これは「プレッシャーを受けながらもワンタッチで逃れる技術」が備わっているからこそできる回避方法だ。さらに、トゥヘルが就任して、きちんと配置が整理されたことで、適切な場所に選手がいるので、CHがワンタッチで叩くことができるようになった。

まずはこの方法でプレスを回避していく。そしてこれを行ったことでリバプールSBを釣り出すことができるようになる。

 

②:CB→SBの背後

①の回避でチェルシーはWBでリバプールSBを動かすことに成功したと先程少し触れた。ではこれを達成したことで次のプレーはどのように変化していったのだろうか。

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SBの背後を使う

次の選択肢は『SBの背後』となる。ではなぜここにスペースができたのか。それはWGがプレスを行った時点で、SBがWBを捕まえに前に出るようになったからだ。これは①で述べたように、WBで時間を作られることを嫌ったことでSBを動かすことができた。そしてこの背後を狙うために、この日の先発はジルーではなく、ヴェルナーとなっていたのではないだろうか。

この展開を予想して、トゥヘルは1トップにヴェルナーを起用した。だからこそ、前半10分あたりから、ヴェルナーがSBの背後を使う攻撃が散見された。

恐るべし、トゥヘル。

そしてこの攻撃前進を見せたことでさらに選択肢が広がっていく。

 

③:CB→WB→CHの回避

次に得た選択肢はCB→WB→CHの回避方法だ。

ではなぜこれが打てるようになったのだろうか。

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CHへ回避できた理由

この図のように、リバプールは背後を使われることを懸念したので、SBがバックラインに残るようになる。こうなるとリバプールは「WGが外切りのプレス」を行うと①と同様のプレス回避を行われることになる。だからこそ、「WGが真っ直ぐにプレス」を行うようになっていた。これで、CBが得られるパスコースはWBへのコース。ここにシンプルに逃げることで、リバプールIHを釣り出すことができる。これで、中央CHへパスを送ることでプレスを回避することができていた。さらに、中央ではCHとSTで数的優位を保ち、ボールを引き受けることができていた。

だからこそ23:00~の攻撃、VARで取り消しになったヴェルナーのゴールは、CHが中央で前を向けたこと、さらに、マウントの決勝点もCHからのロングパスからのものだった。

 

④:CH→STの前進

そして最後の選択肢。とうとうチェルシーは中央からの前進も可能になった。

ではどのように前進していたのだろうか。

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中央を突破するために

中央突破ができる場合は、CFフィルミーノがCBクリステンセンにプレスがかかった場合。この状況になるとリバプールは中盤3枚でブロックを作り出す。これに対してチェルシーはSTがブロックの外に流れる。これと同時にWBが少し高い位置を取ることでSBをピン止めする。

 だからこそ、以下のような状況を作り出すことができた。

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局所での数的優位

このように局所で瞬間的に数的優位を作り出すことができたので、CBクリステンセンは2つの選択肢を持つことができていた。

これに対してリバプールは一気に前進されたくないので、主にSTを消すことが多くなる。だからこそ手前のCHがボールを引き出すことができ、ここで前を向くプレーが多く見受けることができたのではないだろうか。

そして手前でCHが前を向けば、リバプールIHの視線を引きつけることができる。

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視野外でのマークの外し

このように、CHで「IHの視線を前」にしたことでその背後のSTが視野外のポジションに立つことができる。これで簡単にマークを外してボールを引き出せるようになっていた。

 

このようにチェルシーはプレスを1つずつ回避していくことで、選択肢を広げて攻撃を仕掛けていった。そして、この攻撃を組み立てるために、スピードのあるヴェルナーをCFで起用し、WBにはアロンソとオドイよりもパスの上手なジェームズとチルウェルを起用。彼らを起用したことで、WBからCHへの中央への斜めのパスを安定して差し込むことが可能になっていた。

 

攻撃の安定=守備の安定?

トゥヘルが就任してからの試合。ここまで10戦で7勝3分。圧倒的な結果を残している。そして驚愕なのがここまで2失点しかしてないことだ。その内訳はOGと南野のゴール。(南野凄え…!)この試合でも、結局枠内シュートを1に押さえ込んだ。

ではなぜ、ここまで守備が安定したのだろうか。これは攻撃の安定が大きく関係しているのではないだろうか。

攻撃時の配置がランパードの時よりも明確になったように感じる。選手個々のポジショニングが確実に変わった。だからこそ、ランパード時代に少なからず散見された『被るってしまう』現象。これはトゥヘルになってから、『全くもって』といっていいほど観られなくなった。この被ることがなくなったことで、ネガティヴ・トランジション時に、きちんと牽制をかけることができている。ランパードの時の『気合』の感じがなくなったので、選手も強度を持って走れるのではないだろうか。

他にも確実に要因はあるので、ここは追々触れていきたい。

 

 

 

 

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【守備の上をいく攻撃】J1 第11節 川崎フロンターレ vs セレッソ大阪

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ACLの関係で早期開催となった第11節。王者川崎フロンターレは開幕戦でマリノスに完勝を収めて、今季もその強さの片鱗を見せた。それに相対したのは、セレッソ大阪。

大久保嘉人というベテランストライカーを呼び戻し、昨季よりもより攻撃的に、よりゴールへ直結するサッカーを展開。

そんな両者の一戦は、白熱する撃ち合いになった。では今回はセレッソ大阪がいかにしてフロンターレから勝ち点を奪おうとしていたのかについて触れていこう。

(レビューは目次のスターティングメンバーから始まります)

 

 

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セレッソが用意した守備プラン

まずは前半。セレッソの守備について触れていこう。この守備を行ったことで前半はフロンターレの攻撃を食い止めた。ではどのように守備を行っていたのだろうか。

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外回りにさせるためにゾーンで守る

このように守備の基本形は4-4-2で、ミドルブロックを形成していた。ここから外回りにさせるために、清武と大久保でDMFシミッチを消すことを優先。

さらに、ボールサイドのSHの初めの立ち位置は少し中に寄るポジションになる。こうすることで、降りてくるIHを牽制することができる。さらに、中央に残るCHはセンターレーンを埋めることで、中央をより強固に締めていく。

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外回りにさせる!

こうした守備を行ったことでフロンターレは基本的に外回りのボールの動かし方になっていた。

この時のセレッソのスタンスは『中央にボールを入れさせない!』『入ってきても満足にプレーさせない!』というものだった。

これでサイドにボールを誘導すると、『ゾーンディフェンスからマンマーク』へ移行する。

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ゾーンからマンツーへ

このようにボールが外に出ると一気に人を意識する守備を行う。SHはSBを捕まえにプレスに出て、その背後のWGにはSBが早めにマークをつく。さらにIHにはCHが、DMFには清武がマークを行う。また大久保はCBへのバックパスを狙うことで、掻っ攫うチャンスとバックパスの牽制の役割を担っていた。

もちろん全体がスライドすることで、サイドを圧縮して場所を狭くしていた。

 

フロンターレの突破口

前半のフロンターレの突破口、それが三笘のドリブルと3人目の背後だ。

ではどのように三笘にボールを届け、チャンスを作っていたのかに触れていこう。

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三笘にボールを届けるために

このように、三笘は「前を向ける状態」を作り出すために若干下がってボールを受けることが多くなる。これに連動してもちろんのことながら周りの選手も場所を変える。IHは前に出てハーフスペースかつライン間を取り、SBは少し下がって三笘のサポートを行った。これで、前を向いて攻撃を仕掛けれるようになっていた。

 

さらにもう1つが3人目の抜け出した。

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3人目のサイド突破

これが行えるときは「SHのプレスの遅れ」が必要になる。この状況を作り出せれば、基本的にSBの背後を取ることができていた。その方法は上の図のようになる。

SBが幅を作り出すことで、「SHのプレスの遅れ」の状況を作り出す。ここでボールを受けると、CFがハーフスペースに流れてくる。これで縦パスを受けて目線を変えつつ、IHへレイオフパス。そのパスを受けたIHからセレッソSBの背後にボールを供給。これができたのは、「サイドに入るとマンマークへ移行」というセレッソの守備が大きく関係していた。だからこそ、これらの攻撃が前半の突破口となっており、左サイドからの攻撃が増えた理由ではないだろうか。

 

ヒントを得たダミアンの同点ゴール

左サイドの攻撃が多かったのは、もう1つ理由がある。それは『WGが幅を取るのか中に入るのか』というものだ。左サイドでは三笘が幅を作り出すことが多く、右サイドでは、家長がハーフスペースに入ることが多い。だからこそ、右サイドからは狭いブロックの中を掻い潜らないといけないため、自然と攻撃の頻度が少なくなっていく。

だが、前半すぐに追いついたダミアンのゴールは右サイドから生まれたものだ。

これはハーフスペースに立っていた家長に縦パスが入り、その外のSB山根がフリーでボールを受けることができたからだ。

これが後半逆転するためのヒントになり得たのではないだろうかと勝手に考えている。

 

逆転するために施したこと

逆転するためにあと2ゴールが必要だったフロンターレ。そしてそれを成し遂げるのだから恐ろしい。では彼らは逆転するために、彼らは後半から何を施したのだろうか。

彼らが後半から施したことは主に2つ。

  1. サイドチェンジを打ち込むこと
  2. IHが下がってSBを押し上げること

この2つを行っていた。では以下の図をみて欲しい。

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後半に施した2つのこと

このように、主にIH脇坂が下がってSBを押し上げることを行う。これをしたことでWGが中に入るようになっていた。また前半と違っていたのは逆WGの家長の立ち位置だ。彼が幅を作り出すことが多くなり、サイドチェンジのパスを受けることが散見された。(もちろん中に入ってSBが幅を作り出す場面もあった)

このサイドチェンジを打ち込んでいたのが、CBの谷口だ。ここからパスを出せたのはセレッソ2トップがDMFシミッチを消しているから。だからCBは自由にボールを扱うことが可能になり、「遠く」まで確認する時間を得ることができていた。

 

そしてCBから対角のパスが出てくると、それを嫌って大久保や清武が前に出て牽制を行うようになる。これで、DMFシミッチがボールを受けれることも多くなり、彼からも対角の長いパスが供給されるようになっていた。

 

この展開を作り出したことで、セレッソ大阪を押し込んで攻撃を仕掛け続けることに成功した。

 

分岐点となった清武のCH

個人的に分岐点となったと考えているのは、CHに清武を下げたことだ。もちろん、攻撃に出なければならない状況だったので、彼を残しておきたいのは十分に理解できる。だがこれを行ったことで、『一列前で時間を作り出す選手』がいなくなってしまい、全体をプッシュアップする時間を作り出せずに、押し込まれる展開になってしまったのではないだろうか。

 

不滅の大久保と天才三笘

はっきりという。僕は掌を返すぞ。開幕前は「小窪で大丈夫なのか?』と思っていた。だがどうだ。開幕してみると、見事にその声を跳ね除けた。2試合連続ゴールで、もう3ゴールだ。この試合でもあわやハットトリックという活躍。しかもゴールだけではない、守備でも爆走し、起点にもなる。上手くボールを隠して苦しい場面でファールをもらってチームを助けた。昨年、ノーゴールだったのが嘘かのように、躍動している。これからどこまでゴールを積み上げるのか、とても楽しみだ。

 

そして三笘だ。彼のプレーに何度驚けば良いのだろうか。逆転ゴールを叩き込む前の「天才」ロナウジーニョばりのドリブル。オフサイドになってしまったが、間合いを使ったシュート。これは「アイスマン」ベルカンプを彷彿させた。さらには、前節のキックフェイントトラップ。決まりはしなかったが、「永遠のファンタジスタ」バッジョと見間違えた。この選手をJで観れることに感謝したい。

これからどのようなキャリアを歩み、どのような選手になるのか、とても楽しみだ。

言葉とおり、色々詰まっていたこの試合を皆さんも見返して観てほしい。

 

ハイライト

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【持ち込まれた苦手な展開】J1開幕節 鹿島アントラーズ vs 清水エスパルス

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昨季を教訓に開幕戦を制して勢いに乗りたかったアントラーズ。今季こそはリーグタイトル奪還を目指す。そんなアントラーズと開幕で戦うこととなったのは、昨季セレッソを率いたロティーナが率いるエスパルスだ。

彼らはアントラーズの苦手とする展開に持ち込んだことで、見事に逆転勝利を収めて見せた。

では今回はこの試合のレビューで起きていたことについて解説をしていこう。

 

 

スターティングメンバー

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混乱がおきた前半

いつも通りに戦ったアントラーズに対してエスパルスだ。ロティーナが就任してからの初シーズン。感じたのは、『早い』だ。何が早いのかというと、『戦い方』を落とし込むことが早いのだ。

だから彼らは立ち位置を変えながら攻撃を行い、守備でも当時のセレッソ並の守備を披露。セレッソとはもちろん、守備の立ち振る舞いは違うのだが、それでも堅さは変わらなかった。

ではアントラーズはどのように攻撃を仕掛けられたことで守備時の混乱が起きていたのだろうか。まずはここに触れていきたい。

 

  • 混乱するビルドアップ

まず触れたいのがビルドアップだ。このビルドアップがあったからこそ、アントラーズは混乱に陥り、上手くプレスが嵌まらずに十八番のカウンタープレスを発動することが難しくなっていた。

このカウンタープレスの脅威から逃れるためにエスパルスは以下のようにビルドアップを行う。

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エスパルスのビルドアップ

主に行ったエスパルのビルドアップの形は3-1-4-2だ。SB片山が3バックの立ち位置をとり、CH竹内がワンアンカーの振る舞いをする。これで、菱形を作り出してビルドアップを行っていた。さらに、SB原が高い位置を取ることで、こちらのサイドではSH中山が中に入り、STのような立ち位置を取ることが多くなる。またCFディサロとCH中村がIHの振る舞いをすることで、中央にもパスコースを作り出す。

このような変形を行ったことで、アントラーズの「マークの担当」を絞らせなかった。「俯瞰」で観ている僕でも、この変形になかなか苦戦したので、ピッチ上の選手はより一層の混乱を感じていたはずだ。

ではどこで混乱が起きていたのだろうか。

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アントラーズの混乱


アントラーズが主に迷い、混乱に陥っていた場所は垢で示したエリアになる。バックラインではシンプルに2トップに対して3バックの状態を作り出されているので、必ず誰かが浮いた状態でボールを持たれてしまう。

さらに、その浮いたCBにSHがプレスを行うのか、はたまたステイして幅を作り出すSBを見るのかの迷いが生まれる。もちろんその背後でもSBが似たような迷いが生まれている。極め付けはCHの場所でも同様のことが起きている。

だからこそ、アントラーズは『意志を統一して』プレスを行うことが難しくなり、嵌め切れずに前進(背後を取られる)されることが多くなってしまっていた。

 

では次は守備について触れていこう。

 

  • 速さを吸収される守備

ではアントラーズはエスパルスにどのような守備を行われたことで、攻撃を遅らせられたのだろうか。

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エスパルスの守備


エスパルスの守備はこのようになる。アントラーズはCBの間に降りるCH形を前半は取る。これに対してはCFとSHで牽制を行う。だからこそ、満足にボールを持つことができなかった。さらに、この日に先発したディサロ。彼が縦関係になるCHを捕まえることで、中央の前進のルートも消しにかかった。

これで、CHが中に絞るSHを意識して、圧倒的な強さを誇る2トップには4バックで対応することができていた。

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奪い所

そして奪う場所はこのように設定されていた。CBに牽制をかけるSHはSBを消しながらプレスをかけることで、CBに中央のパスを選択させる。さらに、近くのCHは消しているのこと、中央はブロックを作って消しているのでCBのパスコースはほとんど強制的に『SHのみ』になってしまう。

これで、エスパルスはSBとCHで対応を行うことでボールを回収していた。

だが、この守備に対して何度かアントラーズは『斜めのSBへのパス』で時間を作り出すことができていた。

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斜めの回避

このように斜めのサイドチェンジで何度か回避していたのだが、ここからスピードを上げることができなかったので、上手く攻撃を仕掛けることができなかった。これは後述する『SHの手前でSBが受ける』ことが大きく関係していた。

 

さらに、スピードを殺す守備も行う。ここはセレッソの時と似ていたのではないだろうか。

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スピードを吸収する守備

その守備とは『スピードを吸収する守備』だ。これが行われるのはCF(チアゴサンタナ)がバックラインに下がるCHに対してプレスを行わず、縦関係になったCHを捕まえる時にこの守備は行われる。

この時にはSHがSBを斜め後ろから捕まえれる立ち位置を取り、CF(ST)のディアロはCHの立ち位置に入る。そしてCH竹内はDMFの立ち位置を取ることで4-1-4-1の形で守備を行う。ここは明確にセレッソの時とは違う所だ。

こうなることで、アントラーズは中盤で数的不利な状態になるので、CFへのロング/ミドルパス→2nd回収が難しくなる。

さらに高い位置でSBが幅を作れないので、チャンネルを広げることができずにハーフスペースを取ることが難しくなっていた。

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ハーフスペースを取れない理由

このように、SBが高い位置を取れないのでSBはSHの『手前』でボールを受けることになる。こうなると、SH~逆CH(赤のライン)のラインを越えることは難しくなる。

これはピッチレベルの視野ではないと理解しにくいだろう。

大体こんな感じになる。

(緑→エスパルス 黄→アントラーズ)

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SHの手前で受けるSBの視野

こう見るとかなり狭いのがわかるだろうか。ここで逆SHへ展開すれば良い!というのは少し酷だ。このように、エスパルスは『ハーフスペースを見せない』こと、もっというと『ライン間を見せない/スペースを見せない』ことでアントラーズの攻撃を『遅く』させ、テンポを上げさせなかった。

 

外から入るアントラーズ

後半に入り、アントラーズは明確にやり方を変える。それが『CHのCB化とCBのSB化』だ。これは前半に1度か2度見せたもので、これは今季アントラーズが新しく取り入れようとしているものではないだろうか。(ちなみに昨季の残り3節ぐらいで犬飼が幅を作るパターンも試しているはず…)

ではこれを行うことのメリットはどこにあるのだろうか。

  1. SBが高い位置を取れる
  2. CHが前向きに出れる
  3. CHがひっくり返されなくなる

この3つが挙げられる。

これを行うことで、『外から入り込む』ことを考えたのだろう。

ではどのように入り込んでいたのだろうか。

①:外からハーフスペースを取る

まず1つ目が『外からハーフスペースを取る』方法だ。

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外からハーフスペースを取る

このように、CHが中央のCBのような役割を果たしたことでCBをSBの立ち位置に押し出す。これで玉突きでSBが高い位置へ。さらにSHが中に押しやられることになる。これで、上の図のようにCB→SB→SHがハーフスペースの形で抜け出していく。これができたのは、SBでエスパルスSBを釣り出すことができるので、ハーフスペースを開けることができたからだ。

これを見せたことで、次の攻撃の選択肢が生まれる。

 

②:ハーフスペース手前を取る

これができたのはSHがハーフスペースを取ることができたので、エスパルスの守備陣を動かすことが可能になった。

f:id:football-analyst:20210228231002p:plain

手前とCH下がったメリット

このようにSBがエスパルスSBを釣り出すことで、ハーフスペースにCHを下げることができる。これでCBからSHへのパスコースが空くので、「手前」でSHへパスを打ち込む。(もちろんCB→CH→SHのパスもあり)

この時にCHがバックラインに入っていることで、バックラインに入ったCHは全体を見ることができるのでサポートも行うこともできる。もちろん、サポートも行わない場合もある。これが最大のメリットで、全体を見れるので判断を後出しすることができる。これを設計するために、CHをバックラインに置いたのではないだろうか。

 

③:苦しかったら質的優位を使用

そして3つ目。それが2トップの強さを生かした質的優位を使う方法だ。

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質的優位と後出し

このように、CBからシンプルにCFへのミドルパス/アーリークロスを送り込む。この時にセカンドを作った時にそのボールに反応できる選手を多く作ることができる。(青のエリアの選手)

これでCHが前向きに対応することができる。もちろん、相手の体勢が悪ければ一気にプレスをかけ、よければステイする。いわばここでも後出しを使うことができていた。

 

やはり持たされると…

昨シーズンからの課題。持たされると勝てなくなってしまうのがアントラーズ。この試合でも、この課題が浮き彫りになった。まだシーズン始まったばかりなので、わからないが、この試合を見る限りは持たされる試合、もっというとテンポを上げられない試合は苦しむことが明確になった。果たしてこれは、修正されているのだろうか、それともこれから修正されていくのだろうか。しかっりとこれからも見ていきたい。

 

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